協会けんぽに加入していた人なら、会社からの資格喪失証明書を待たなくても、年金事務所で喪失日の証明を受けられます。日本年金機構に「健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)」を出すと、健康保険の資格を失った日や、家族が被扶養者でなくなった日を記した「確認通知書」が交付されます。提出先は事務センターか近くの年金事務所で、窓口に持っていっても郵送してもかまいません。添付書類は原則不要です。
会社を辞めてそのまま国保に入る人の場合、協会けんぽの支部に頼んでも、この証明は出てきません。協会けんぽの任意継続をやめて国保に入る人は別で、協会けんぽから資格喪失通知書が自宅に届きます(任意継続をやめて国保にするときの手順)。健康保険組合に加入していた人は、年金事務所ではなく組合か勤務先に頼みます。どちらだったか分からなければ、まずそこを確かめてください。
国保の届出は、国民健康保険法施行規則3条で、世帯主が14日以内に市町村へ出すことになっています。証明書を待つあいだに期限が近づいたら、住所地の市区町村に先に相談しておきます。
協会けんぽに頼んでも出てこない理由
健康保険法39条は、被保険者の資格の取得と喪失は「保険者等」の確認によって効力を生じると定めています。保険者等とは、協会けんぽの健康保険なら厚生労働大臣、健康保険組合の健康保険ならその組合です。協会けんぽの加入者の場合、資格の得喪を確認する側は協会けんぽではありません。
会社が退職者の資格喪失届を出す先も、協会けんぽではなく日本年金機構です。日本年金機構の資格喪失届のページでは、事業主が「事実発生から5日以内」に、事務センターか管轄の年金事務所へ出すことになっています。喪失日は退職日の翌日で、3月31日に退職したなら4月1日です。
協会けんぽ側も、この扱いをはっきり書いています。
- 岩手支部:「会社を退職した方の資格喪失証明書は、協会けんぽから発行することはできません」。事業所の任意様式での発行か、日本年金機構からの発行になる
- 協会けんぽのよくある質問:国保に加入する際に協会けんぽの資格喪失証明等が必要な場合は、日本年金機構で証明を発行しているので、近くの年金事務所へ
- 沖縄支部:国保加入の添付書類の例として「健康保険資格喪失証明書[発行:退職した会社]」か「健康保険の資格喪失確認通知書[発行:日本年金機構]」のいずれか
協会けんぽにも「資格喪失等証明書交付申請書」という名前の書類はありますが、これは資格喪失後の出産育児一時金を直接支払制度で受けるときに医療機関との手続きで使うものです。協会けんぽのページは、国保に加入するための証明が必要な人は日本年金機構に問い合わせるよう書いています。名前が似ているので取り違えないでください。
国保の窓口で「資格喪失証明書」と言われる書類は、会社が自社の様式や自治体の様式で作るもの、日本年金機構が出す確認通知書の、どちらでもよい場合があります。会社が動いてくれないときに使えるのが、後者の道です。
年金事務所で証明を受ける手順
日本年金機構のケース7-6のページと詳細説明では、次のとおりです。
- 請求する書類:健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)。日本年金機構のサイトからPDFかエクセルで取れる
- 対象:協会けんぽの健康保険の被保険者、または被保険者であった人
- 提出先:事務センターまたは近くの年金事務所
- 提出方法:窓口持参、郵送
- 添付書類:原則不要
- 窓口での交付を希望するとき:運転免許証など、請求者の身分を証明するものを持っていく
PDFは2ページで、1ページ目が「請求書」、2ページ目が「通知書」です。片面印刷し、両方に記入して、両方とも提出します。通知書は「日本年金機構理事長」の名義で、「上記のとおり相違ないことを確認しましたので通知します」という文が入っています。日本年金機構の「国民健康保険等へ切り替えるときの手続き」のページは、この請求書を「資格取得・資格喪失等確認通知書」の交付を求めるものと説明しています。エクセル版は端末の設定で印刷位置がずれることがあるので、印刷前に余白とレイアウトを確かめるよう注意書きがあります。
書き込む欄
記入例をもとに、本人が自分で請求する場合を並べます。
- 申請日、申請者の住所・氏名・電話番号・続柄(本人なら「本人」)
- 証明が必要な理由:「国民健康保険の加入(脱退)手続き」にレ印
- 被保険者だった人の欄:生年月日、個人番号または基礎年金番号、勤めていた事業所の名称と所在地。被保険者が請求する場合、個人番号(または基礎年金番号)の欄は必ず記入
- 被扶養者だった家族がいれば、その氏名・生年月日・続柄(4人分の欄がある)
取得年月日、喪失年月日、事業所記号・番号、保険者番号など「※」の付いた欄は、記入しなくてかまいません。申請者と被保険者が同じ人なら、被保険者欄の氏名と住所は省けますが、生年月日は書きます。
マイナンバーを書くときの本人確認
マイナンバーを書いて窓口で出すなら、マイナンバーカードを見せます。カードがなければ、マイナンバーが確認できる書類(個人番号の表示がある住民票の写し、記載事項が住民票と一致する通知カード)と、身元確認書類(運転免許証、パスポート、在留カードなど)の両方を見せます。郵送なら、マイナンバーカードの表裏両面のコピー、またはこの2種類のコピーを同封します。
家族が代わりに請求するとき
申請者が被保険者でも被扶養者でもない人なら、請求書の委任欄に被保険者などが記入します。
被扶養者だった家族が自分で請求した場合は、注意が要ります。日本年金機構は、被扶養者が申請するときは被扶養者本人に関する事項しか証明できず、被保険者の資格取得年月日や喪失年月日は証明できないとしています。被保険者から委任欄の記入を受けるのが難しく、被扶養者(親など)が他の被扶養者(小学生や乳幼児など)の分を請求する場合は、身分関係を確認できる戸籍謄本などが必要です。
家族全員で国保に入るなら、被保険者だった本人が請求し、被扶養者欄に家族を書くのが手間の少ない形です。
健康保険組合だった人は組合へ
この請求書は、協会けんぽの健康保険の被保険者だった人のためのものです。健康保険組合に加入していた場合、健康保険法39条で資格を確認するのは組合なので、年金事務所ではなく組合か勤めていた会社に証明を頼みます。
自治体の案内も同じ前提で書かれています。横浜市は資格喪失証明書を「やめた職場または資格確認書等を発行したところでもらってください」とし、大阪市は「会社や健康保険組合に証明してもらってください」としています。会社や組合に決まった様式がない場合に備えて、横浜市と大阪市は自前の証明書の様式をサイトに載せています。
どちらに入っていたか分からないときは、勤めていた会社に聞くか、マイナポータルの健康保険証の画面を見ます。横浜市の案内には、マイナポータルの資格画面に「氏名」から「保険者名」までが表示されることが書かれています。
証明書でなくても受け付ける自治体がある
国保の窓口で何を出せば足りるかは、市区町村ごとに違います。会社の証明書も年金機構の確認通知書も間に合わないときは、ほかの書類で済まないかを住所地の案内で確かめてください。今回読んだ4つの市区の例です。
| 自治体 | 資格喪失を確かめる書類として挙げているもの |
|---|---|
| 江東区 | 健康保険資格喪失証明書、健康保険・厚生年金資格取得・喪失確認通知書、退職証明書、雇用保険被保険者離職票、扶養削除証明書、日本年金機構の受付印がある資格喪失届など、いずれか1点 |
| 新宿区 | 健康保険の資格喪失証明書。扶養家族がいない場合は退職証明書でも代用できる |
| 横浜市 | 健康保険資格喪失証明書、マイナンバーカード+マイナポータル資格画面など |
| 大阪市 | 会社や保険組合が発行する健康保険等資格喪失証明書、またはマイナポータルの「その他のわたしの情報」の「医療保険」取得(回答)画面の提示か印刷 |
江東区は、電子データで持っている書類は印刷して持ってくるよう案内しています。
マイナポータルの画面で済ませるときは、何の画面が要るかまで決まっていることがあります。横浜市は、加入する人全員分について、マイナポータルの証明書>健康保険証の「マイナンバーカード利用状況」の下に出る、有効終了日が書かれた画面と、「氏名」から「保険者名」までの画面の写しを求めています。
大阪市は、マイナンバーを使った情報連携は被用者保険者の都合で行えない場合があるので、原則として届出の際には添付書類を出すよう求めています。添付書類が用意できずに情報連携を希望すると、日にちがかかる場合があるとも書いています。
14日の期限と、証明書が間に合わないとき
国民健康保険法施行規則3条は、会社の健康保険などをやめて国保の被保険者になった人がいるときは、その世帯の世帯主が「十四日以内に」届書を住所地の市町村に出さなければならない、と定めています。江東区、新宿区、横浜市、大阪市の案内も14日以内で、江東区の書き方は「原則として、資格喪失日から14日以内」です。資格喪失日は退職日の翌日なので、10月31日に退職したなら11月1日が喪失日になります。
江東区は「資格喪失証明書などの発行が遅れる場合には、発行後速やかにお手続きください」と書いています。資格喪失日より前の手続きはできないことと、国保の保険料は届出の日からではなく前の健康保険の資格喪失日がある月からかかることも、同じページにあります。
大阪市は、必要書類が14日以内にそろわない場合は、期間内に住んでいる区の区役所へ相談するよう求めています。届出が遅れたときの扱いは次のとおりです。
- 国保に加入すべきときまでさかのぼって保険料を納める(最長2年間分)
- やむを得ない理由もなく届出が遅れると、医療費の給付は届出日からになる場合がある
期限を過ぎても加入はできますが、保険料が軽くなるわけではありません。会社からの証明書が届かないと分かった時点で年金事務所への請求を始め、同時に市区町村にも「証明書を請求中」と伝えておくのが安全です。
会社が資格喪失届を出していないかもしれないとき
健康保険の資格の取得と喪失は、事業主の届出で行われ、保険者の確認で効力を生じます。会社が資格喪失届を出していなければ、記録の上ではまだ資格が続いている可能性があります。
日本年金機構は、事業主の未届や事実と違う届出があった場合に備えて、被保険者または被保険者であった人が自分で資格の確認を請求する手続きを案内しています。根拠は健康保険法51条と厚生年金保険法31条で、どちらも「いつでも」請求できると書かれています。健康保険の資格を確認するのが厚生労働大臣になるのは協会けんぽの健康保険の場合で、健康保険組合の場合は組合が確認します(健康保険法39条)。
- 請求する書類:厚生年金保険・健康保険被保険者資格確認請求書(日本年金機構のサイトにPDFとワードがある)
- 書く事項:氏名・生年月日、基礎年金番号・被保険者記号番号、事業所の名称と所在地、資格の取得や喪失の事実とその年月日
- 添える書類:雇用契約書、給与明細、出勤状況がわかる書類、退職日がわかる書類などの証拠書類
- 提出先:確認請求の対象となる事業所を管轄する年金事務所(自分の住所地ではない)
年金事務所は、請求者の氏名を事業所に示したうえで調査します。調査の範囲は、請求書の受付日から原則2年間さかのぼるまでです。請求の前に、退職日がわかる書類が手元にあるかを確かめておきます。
この確認請求と、前の節の確認通知書の請求は別の手続きです。会社が届を出していない段階で、確認通知書がすぐに出るのか、確認請求の結果を待つことになるのかは、今回読んだ資料には書かれていません。会社の届出が止まっていそうなときは、管轄の年金事務所にその旨を伝え、どちらの書類を出すかを相談してください。
今日の作業
- 加入していたのが協会けんぽか健康保険組合かを、勤めていた会社に聞くか、マイナポータルの画面の保険者名で確かめる
- 協会けんぽなら、日本年金機構のサイトから資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)を印刷し、請求書と通知書の両方に記入する。家族の分も被扶養者欄に書く
- 年金事務所へ持っていくか、事務センターか年金事務所へ郵送する。窓口なら身分証明書、マイナンバーを書いたならマイナンバーカードなどを用意する
- 健康保険組合なら、組合か勤めていた会社に証明を頼む
- 会社が資格喪失届を出していないようなら、退職日がわかる書類をそろえ、勤めていた事業所を管轄する年金事務所に資格確認請求について相談する
- 住所地の国保の案内で、退職証明書やマイナポータルの画面で足りるかを見る。14日以内に書類がそろわなさそうなら、期間内に窓口へ相談する
この記事で確認できなかったこと
2026年10月27日時点で、次の点は今回の資料では確認できていません。
- 年金事務所の窓口で請求した場合に、その場で確認通知書を受け取れるか。郵送で請求した場合に届くまでの日数
- 会社が資格喪失届を出していない段階で、確認通知書がすぐに交付されるか。資格確認請求を出した場合に結果が出るまでの日数
- 基礎年金番号で郵送請求する場合に、本人確認書類のコピーが要るか
- マイナポータルの画面を資格喪失の書類として受け付けるかどうかの全国的な扱い。今回確認できたのは横浜市と大阪市の案内だけです
参考資料
- 日本年金機構 7-6:国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき
- 日本年金機構 健康保険の資格喪失証明等が必要になったときの詳細説明(ケース7-6)
- 日本年金機構 健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)
- 日本年金機構 健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(記入例)
- 日本年金機構 国民健康保険等へ切り替えるときの手続き
- 日本年金機構 従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き
- 日本年金機構 自身の被保険者記録について確認を請求するときの手続き
- 協会けんぽ よくあるご質問 退職後の健康保険について
- 協会けんぽ岩手支部 任意継続健康保険の資格喪失通知書について
- 協会けんぽ沖縄支部 退職後に市町村の国民健康保険に加入する場合の取扱い
- 協会けんぽ 健康保険被保険者出産育児一時金にかかる資格喪失等証明書交付申請書
- e-Gov法令検索API 健康保険法 第三十九条(資格の得喪の確認)
- e-Gov法令検索API 健康保険法 第五十一条(確認の請求)
- e-Gov法令検索API 国民健康保険法施行規則 第三条
- 江東区 職場の健康保険をやめたとき(社会保険等から国民健康保険へ切替)
- 新宿区 国民健康保険の届出について
- 横浜市 手続きに必要なもの(こんなときは忘れず届出を)
- 大阪市 就職・退職に伴う国民健康保険の手続き