会社の健診を予約しようとして、去年までなかった「骨粗しょう症検診」という項目に気づいたなら、それは2026年度(令和8年度)から協会けんぽの健診に新しく加わった項目です。対象は40歳から74歳までの偶数年齢の女性被保険者に限られます。この検査だけを単独で申し込むことはできず、一般健診または節目健診とセットで受ける仕組みです。自己負担は骨粗しょう症検診の分が最高1,390円で、一般健診と合わせると最高6,890円になります。
申し込み先は協会けんぽではありません。協会けんぽ自身が「協会けんぽへの申込み手続きは不要です」と案内しています。申込書を取り寄せる必要はなく、受診したい健診機関に自分で直接予約します。そして2026年度分を受けられるのは2027年3月末までです。補助が年度に1回のため、この期限を過ぎると次に対象になるのは2歳後、2028年度になります。
対象は40歳以上、偶数年齢の女性被保険者だけ
対象は40歳から74歳までの偶数年齢を迎える女性の被保険者です。2026年度なら40歳、42歳、44歳と2歳刻みで該当し、41歳や43歳の年は対象になりません。「同僚には項目があるのに自分にはない」と感じたら、その年度に自分が何歳になるかを見てください。奇数年齢なら、見落としではなく制度上そうなっています。
年齢は年度内に迎える年齢で判定されます。協会けんぽは年度ごとに「対象者年齢一覧表」を公開しているので、自分の生まれ年がどの健診の対象になるかは、被保険者向けの健診ページからその表を開いて確かめるのが確実です。
対象外になるのは次の人です。
- 男性。骨粗しょう症検診は女性に絞った項目で、性別を問わない節目健診とは別枠です
- 39歳以下の女性。一般健診は35歳から受けられますが、骨粗しょう症検診は40歳からです
- 75歳に達した人。一般健診そのものが75歳の誕生日の前日までです
- 奇数年齢を迎える年の女性
- 2026年度時点の被扶養者。配偶者などが該当し、2027年度から対象になります
対象年齢に届いていない人や対象外の男性が骨密度を知りたい場合は、住んでいる市区町村の骨粗しょう症検診や、人間ドックのオプション検査を探す道が残ります。2026年度からは35歳以上の被保険者に人間ドック健診への補助(最高25,000円)も始まっているので、そちらの検査項目に骨密度測定が含まれるかを健診機関に確認する方法もあります。
2026年度分の期限は2027年3月末。逃すと次は2028年度
協会けんぽの補助が出るのは当該年度(4月から翌年3月)に1回だけです。2026年度の対象者が骨粗しょう症検診を受けられるのは2027年3月末までで、受けなかった分を翌年度にまわすことはできません。
ここで効いてくるのが偶数年齢という区切りです。2026年度に42歳で対象だった人が受けずに年度をまたぐと、43歳の2027年度は奇数年齢で対象外になり、次に受けられるのは44歳の2028年度です。1年遅れではなく2年空くことになります。
年度の後半に予約する場合、もう一つ気をつける点があります。1月から3月は健診機関の予約が埋まりやすい時期です。希望日に入れずに年度末まで押し出されると、そのまま受けそびれることになります。秋のうちに予約を取っておくほうが、選べる日程が広くなります。
すでに2026年度の一般健診を受け終えていて、そのとき骨粗しょう症検診を頼まなかった場合、同じ年度内にこの検査だけを追加で受けることはできません。骨粗しょう症検診は一般健診・節目健診とセットで受ける項目で、その補助を年度内に使い切っているためです。次の機会は2028年度になります。
申し込みは協会けんぽではなく、健診機関に直接予約する
協会けんぽへの申込手続きは不要です。申込書を提出したり、会社の健康保険担当者を経由したりする必要はなく、受診したい健診機関に自分で予約を入れます。流れは3段階です。
- 協会けんぽのサイトにある健診機関の一覧から、受診したい機関を探す
- その健診機関に直接予約し、そのときに「一般健診(または節目健診)と骨粗しょう症検診」を受けたいと伝える
- 当日、マイナ保険証など保険資格を確認できるものを持って受診する
骨粗しょう症検診は自動では付きません。予約の電話やWebの申込画面で、追加する検診を自分で指定します。2番で言い忘れると、一般健診だけを受けて終わることになります。
健診日を会社がまとめて設定しているときは、社内の窓口が予約を代行する場合もあります。その場合も追加検診の希望は個別に伝える必要があるので、誰が予約するのかを先に聞いておいてください。健診機関の一覧は事業主にも送られているため、社内の担当者が手元に持っているかもしれません。
受診当日はマイナ保険証等の提示が求められます。忘れると受診できないことがあるため、健診の案内と一緒に用意しておいてください。
費用は一般健診とセットで最高6,890円
骨粗しょう症検診は単独で受けられないため、実際に払う額はセットで受ける健診と合わせた合計になります。2026年度の自己負担額の上限は次のとおりです。
| 組み合わせ | 対象 | 自己負担額(上限) |
|---|---|---|
| 一般健診 + 骨粗しょう症検診 | 40〜74歳の偶数年齢の女性 | 最高6,890円(5,500円 + 1,390円) |
| 節目健診 + 骨粗しょう症検診 | 40・50・60・70歳の女性 | 最高9,670円(8,280円 + 1,390円) |
節目健診は40歳から5歳刻み(40・45・50・55・60・65・70歳)で、性別を問わず受けられる健診です。このうち偶数にあたる40歳・50歳・60歳・70歳は骨粗しょう症検診とも重なるため、上の表の下段になります。45歳・55歳・65歳は奇数なので、節目健診の年でも骨粗しょう症検診は付けられません。同じ「節目」でも、項目によって対象年齢の数え方が違います。
「最高」と書かれているのは、健診機関によって実際の請求額が上限より低くなることがあるためです。予約のときに合計額を聞いておくと、当日の支払いで慌てません。
同じ健診に追加できる女性向けの検診は他にもあります。子宮頸がん検診は20歳から38歳までの偶数年齢の女性が対象で自己負担は最高990円、こちらは単独での受診が認められています。乳がん検診は40歳から74歳までの偶数年齢の女性が対象です。骨粗しょう症検診と対象年齢が重なるので、予約のときにまとめて相談しておくと受診が1回で済みます。それぞれの自己負担額は、協会けんぽの被保険者向け健診ページに載っています。
2027年度からは扶養している家族も対象になる
2026年度の骨粗しょう症検診は被保険者本人だけが対象で、配偶者などの被扶養者は含まれません。妻の分を申し込みたくても、今年度はできません。
ただしこれは今年度限りの制限です。協会けんぽは2026年度の健診案内で「令和9年度からは、これらの健診がすべて被扶養者も対象となります」と明記しています。検討中の段階ではありません。協会けんぽの資料では、被扶養者を対象とした健診を、見直し後の被保険者向けの生活習慣病予防健診や人間ドックと同等の内容に拡充するとされています。
扶養している配偶者が2027年度に偶数年齢を迎えるなら、その年度に受けられる見込みです。2026年度中に被扶養者が受けられる健診の範囲は被保険者と異なるため、いま受けたい場合は何が受けられるかを協会けんぽの都道府県支部に確認してください。
検診で何を測るのか
協会けんぽは検診の内容を、問診と「骨の中にあるカルシウムやマグネシウム等の成分量を測定」することだと説明しています。骨密度とは、厚生労働省のe-ヘルスネットの説明では「骨を構成するカルシウムなどのミネラル成分のつまり具合」で、骨の単位面積あたりの骨塩量として数値化されます。
測定に使う機器は健診機関によって違います。放射線を使う装置かどうかを知りたい場合は、予約するときに測定方法を聞いてください。妊娠中または妊娠している可能性がある場合は、この確認が特に必要です。
骨粗鬆症の診断では、2重X線吸収法(DXA法)で測った骨密度が世界的に標準として使われています。健診で行う測定は、その詳しい検査へ進むかどうかを見分ける入り口の役割です。健診の数値がそのまま診断名になるわけではありません。
e-ヘルスネットは骨粗鬆症を、骨の代謝のバランスが崩れ、骨が作られるより壊されるほうが上回る状態が続いて骨がもろくなった状態だと説明しています。検診の対象が女性に絞られているのは、閉経の前後で骨量が減りやすいことが知られているためです。骨粗鬆症は腰椎や大腿骨の骨折につながりやすく、特に大腿骨の付け根を折ると日常の動作が難しくなり、要介護のきっかけになります。自覚症状がないまま進むため、骨折して初めて気づく人もいます。
結果に「要精密検査」と出たら
骨量測定の結果は、若い世代の平均値と比べた割合で示されることが多いです。基準を下回ると「要精密検査」や「要受診」の判定になり、整形外科や骨粗鬆症の専門外来で骨密度の詳しい測定、レントゲン撮影、血液検査などによる原因の確認へ進みます。
協会けんぽは健診結果について、生活習慣の改善が必要な人には特定保健指導の利用を、治療が必要と判定された人には医療機関の受診を勧めています。受診するときは判定表を持参してください。どの数値がどの基準を下回ったかが書かれているので、説明が早く進みます。
治療が必要と判断された場合は、食事や運動の見直しに加えて、骨密度を維持する薬を使う選択肢も出てきます。薬の要否は骨量の程度だけでなく、骨折の既往や他の病気の有無でも変わります。この記事だけで判断せず、結果表を持って相談してください。
判定が「経過観察」でも、次の測定まで何もしなくていい意味ではありません。次に対象年齢が来るのは2年後です。その間にできることを続けておくほうが、次の測定結果につながります。
家族に骨粗鬆症や大腿骨の骨折歴がある場合は、対象年齢を待たずに整形外科で相談する道もあります。検診の対象外だからといって、骨密度の測定自体が受けられないわけではありません。保険が適用されるかは症状や医師の判断で変わるため、受診時に確認してください。
対象の年でなくてもできること
厚生労働省のe-ヘルスネットは、骨粗鬆症の予防として「カルシウムの摂取と日光浴に加えて、ウォーキングや筋力トレーニングなど骨に刺激が加わる運動」を挙げています。カルシウムは乳製品や小魚、大豆製品に多く含まれます。
対象年齢が2年おきである以上、間の年は自分で続けるしかありません。毎食に乳製品や大豆製品を一品足す、歩く距離を少し伸ばす、といった範囲でも続けられます。大きく生活を変える必要はありません。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。