結論から書きます。協会けんぽの任意継続は、本人が「やめたい」と申し出ればやめられます。ただし切れる日は自分で細かく選べず、申出が受理された月の翌月1日と決まっています。国保にしたい月があるなら、その前月中に「任意継続被保険者資格喪失申出書」を加入している協会けんぽ支部へ出します。
保険料は重なりません。任意継続は喪失月の前月分まで、国保は喪失月の分から、という切り分けです。翌月1日に資格が切れると、月初に資格喪失通知書が届きます。それを持って14日以内に市区町村の国保窓口へ行けば手続きは終わります。
今日やることは二つです。何月1日から国保にするかを決めること、そして申出書を用意することです。順に説明します。
切れるのは「申出が受理された月の翌月1日」
協会けんぽのFAQは、任意継続の資格を途中で失う事由を五つ挙げています。本人が就職して健康保険等の被保険者になったとき、保険料を納付期限までに納付しなかったとき、後期高齢者医療制度の被保険者になったとき、任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出たとき、亡くなったときです。
このうち「申し出たとき」がここで使う道です。健康保険法38条は、任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を保険者に申し出た場合、その申出が受理された日の属する月の末日が到来したときに、その翌日から資格を喪失すると定めています。受理された月の末日の翌日、つまり翌月1日です。
協会けんぽの申請書ページも同じ前提で書かれています。申出により資格を喪失する場合は「喪失希望月の前月中」に提出し、資格確認書などを交付されていれば「申出日の翌月1日(資格喪失日)以降に」返却するよう案内しています。
月の途中で切れることはありません。15日に申出書を出しても、25日に出しても、切れるのは翌月1日です。逆に、月末ぎりぎりに出して受理が翌月にずれると、喪失はさらに1か月あとになります。
11月1日から国保にしたい人の日付
任意継続の保険料は毎月10日が納付期限です。10日が土日・祝日にあたる月は翌営業日になります。申出書を出した月の分は、資格がまだ続いているので払います。ここを飛ばすと、申出による喪失より先に未納による喪失が起きて、日付が変わります。
| できごと | 日付 | 根拠 |
|---|---|---|
| 10月分の保険料を納付 | 10月10日まで | 協会けんぽ 納付期限は毎月10日(土日祝なら翌営業日) |
| 申出書が協会けんぽ支部に届く | 10月中 | 喪失希望月の前月中に提出 |
| 任意継続の資格喪失 | 11月1日 | 受理月の末日の翌日 |
| 資格喪失通知書の発送 | 11月の第2〜3営業日 | 岩手支部の案内 |
| 国保の届出 | 11月14日まで | 資格喪失日から14日以内 |
| 国保の保険料 | 11月分から | 喪失日のある月から発生 |
申出書は電子申請が推奨されていて、紙の場合は加入している協会けんぽ支部へ郵送します。支部がわからなければ、協会けんぽのサイトに支部の一覧があります。郵送なら、10月中に届くように10月20日前後には投函しておくと、月末の到着待ちで気をもまずに済みます。
「10月中に提出」と「10日までに10月分を納付」は別の作業です。先に保険料を払い、そのあと申出書を送る順にすれば取り違えがありません。
保険料は二重にならない
不安になるのはここです。任意継続をやめた月に、国保の保険料もかかるのではないか。答えは、月単位で切れるので重なりません。
任意継続の側は、協会けんぽのFAQが「資格を喪失した月以降の保険料を納付されていた場合は」還付請求書を送ると書いています。11月1日に喪失したなら、11月分以降を前納していれば返ってきます。10月分までは払ったままです。
国保の側は、江東区の案内が明快です。「国民健康保険料は旧保険の資格喪失日のある月からかかります。届出が出された時からではありません。」11月1日喪失なら11月分から、11月20日に届出しても11月分からです。届出が遅れても始まりは変わらず、遅れた分だけ後からまとめて請求されます。同じ江東区の案内には、長期間無保険だった場合は2年ほど前にさかのぼって保険料がかかることがある、ともあります。
まとめると、10月分は任意継続、11月分は国保です。境目の月は一つしかなく、その月は国保にだけ払います。
払わずに切れるのを待つ方法との違い
任意継続を「保険料を払わなければ自動的に切れる」と覚えている人も多いはずです。これは今も有効な道です。健康保険法38条は、保険料を納付期日までに納付しなかったときは、その翌日に資格を喪失すると定めています。納付期限が10日なので、喪失日は11日です。10日が土日・祝日で期限が翌営業日にずれた月は、その翌日です。
違いは日付と通知書です。
| 申出による喪失 | 未納による喪失 | |
|---|---|---|
| 資格喪失日 | 受理月の翌月1日 | 納付期限の翌日(11日) |
| 通知書の発送 | 喪失月の第2〜3営業日 | 喪失月の20日ごろ |
| 日を選べるか | 何月1日かを選べる | 選べない |
| 国保の保険料 | 喪失月から | 喪失月から |
未納で切れた場合も、喪失日のある月から国保の保険料がかかる点は同じです。差が出るのは、通知書が来るまでの空白です。協会けんぽのFAQは、未納による資格喪失通知書の送付を「当月20日ごろ」としており、岩手支部の案内も同じ時期を書いています。11日から20日ごろまで、資格が切れているのに証明書が手元にない期間ができます。
岩手支部の広報には、資格喪失後に古い資格確認書で受診すると医療費の返納が生じる可能性がある旨の注意があります。空白の期間に受診の予定があるなら、日を自分で決められる申出のほうが組み立てやすいです。
なお、未納による喪失には「納付の遅延について正当な理由があると保険者が認めたときを除く」という但し書きが法律にあります。払い忘れを理由に切れることを狙う場合、その判断は協会けんぽ側にあります。
資格喪失通知書が届いたら14日以内に国保窓口へ
岩手支部の案内は、資格喪失通知書を「次に加入する健康保険(国民健康保険等)の手続きに必要となりますので、大切に保管して下さい」と書いています。申出による喪失なら、喪失日の属する月の第2〜3営業日に発送されます。11月1日喪失なら11月の第2〜3営業日、つまり11月の上旬には手元に来る計算です。
国保の届出期限は、江東区も横浜市も「14日以内」です。11月1日喪失なら11月14日まで。通知書が第2〜3営業日に発送されるので、届いてから行っても余裕があります。
窓口に持っていくものは、資格喪失日が確認できる書類と本人確認書類です。江東区は「健康保険資格喪失証明書」「健康保険、厚生年金資格取得・喪失確認通知書」など7種類のいずれか1点に加え、本人確認書類とマイナンバーがわかるものを挙げています。協会けんぽの資格喪失通知書はこの「資格喪失日が確認できるもの」に当たります。横浜市は「健康保険資格喪失証明書、マイナンバーカード+マイナポータル資格画面等」と書いており、マイナポータルで喪失が反映されていれば画面で足りる扱いです。
自治体によって書類の名前と点数は違います。窓口に行く前に「(市区町村名) 国民健康保険 加入 必要なもの」で検索し、任意継続の資格喪失通知書がその一覧のどれに当たるかを見ておくと、当日の往復が減ります。
就職が決まった場合は「すみやかに」
途中で就職して会社の健康保険に入る場合も、同じ申出書を使います。協会けんぽのFAQは、就職したときは「任意継続被保険者資格喪失申出書」に保険証等を添付して支部へ提出するよう書いています。申請書ページは、他の保険に加入した場合の提出時期を「すみやかに」としています。
この場合の喪失日は、翌月1日ではなく被保険者になった日です。健康保険法38条は、被保険者となったときは「その日」から資格を喪失すると定めています。入社日に切れ、国保を経由しません。
被扶養者がいる人は、申出書に添える資格確認書などを全員分そろえます。申請書ページは、交付を受けている場合のみ資格確認書、高齢受給者証、限度額適用認定証を添付するとし、被扶養者がいれば全員分が必要としています。家族の分を出し忘れると返却の催促が来て、手続きの完了が遅れます。
2年の期限で切れる場合は申出書がいらない
任意継続の上限は2年です。健康保険法38条は、任意継続被保険者となった日から起算して2年を経過したとき、その翌日に資格を喪失すると定めています。この場合、協会けんぽのFAQは「手続きは必要ありません」と書いており、資格喪失通知書が送られてきます。
発送時期は申出のときより早く、岩手支部の案内では「資格喪失予定日の4営業日前」です。つまり期限で切れる人は、切れる前に通知書が手元にあります。国保の届出が喪失日から14日以内である点は申出の場合と同じなので、通知書が届いた時点で窓口に行く日を決めておけば、空白期間を作らずに済みます。
2年の期限が近い人が「どうせ切れるから」と申出書を出す必要はありません。出すとすれば、期限より前の月に国保へ移りたい場合だけです。
やめたあとの選択肢は二つ
任意継続の資格を失ったあとの健康保険について、協会けんぽのFAQは「国民健康保険にご加入いただくか、ご家族の健康保険の被扶養者となるか、いずれかとなります」と書いています。配偶者の扶養に入れる収入なら、国保ではなく被扶養者の道もあります。その場合は市区町村ではなく、配偶者の勤務先を通した手続きです。
どちらにしても、任意継続に戻る道はFAQに書かれていません。やめる前に、国保の保険料がいくらになるかを市区町村の窓口で試算してもらってから申出書を出す順番が安全です。
今日の作業
- 何月1日から国保にするかを決める。国保の保険料の試算は市区町村の窓口でできる
- その前月の10日までに、その月分の任意継続の保険料を払う
- 同じ月のうちに「任意継続被保険者資格喪失申出書」を電子申請か郵送で協会けんぽ支部へ出す。郵送は月内に届く日に投函する
- 翌月1日以降、資格喪失通知書が届いたら14日以内に国保窓口へ。通知書、本人確認書類、マイナンバーがわかるものを持っていく
- 前納していた分の還付請求書が協会けんぽから届いたら記入して返送する
保険料の額や納付期限は変わることがあります。最新の案内は協会けんぽの任意継続のページで確認できます。