産前産後休業に入っても、健康保険料と厚生年金保険料は自動では止まりません。免除されるのは、事業主が「産前産後休業取得者申出書」を年金事務所または事務センターに提出したときです。免除される月は休業開始月から、終了日の翌日が属する月の前月まで。終了日が月の末日のときだけ、終了月まで免除されます。まず確認するのは、勤務先の社会保険の担当がこの申出書をすでに出したかどうかです。提出できる期間は休業中か、終了日から起算して1か月以内に限られています。
免除されるのはどの月分か
日本年金機構は、免除される期間をこう書いています。
(4)保険料の負担が免除される期間は、産前産後休業開始月から終了日の翌日の属する月の前月(産前産後休業終了日が月の末日の場合は産前産後休業終了月)までです。
分かれ目は、休業の終了日が月の末日かどうかです。終了日の翌日が次の月に入るかどうかで、免除される最後の月が1か月変わります。
仮の日付で当てはめると次のようになります。制度上の数え方を確かめるための例で、実際の休業期間は出産日によって決まります。
| 産前産後休業の終了日 | 終了日の翌日が属する月 | 免除される最後の月 |
|---|---|---|
| 5月20日(月の途中) | 5月 | その前月の4月分まで |
| 5月31日(月の末日) | 6月 | 例外にあたり5月分まで |
免除されるのは、被保険者が負担する分と事業主が負担する分の両方です。日本年金機構のQ&Aでも「産前産後休業期間中の厚生年金保険料は、事業主からの届出により、事業主負担分、被保険者負担分が免除されます」と説明されています。
動くのは会社で、自分は会社に申し出る
申出書を出すのは事業主です。日本年金機構は免除の概要ページで「申し出は、事業主が産前産後休業取得者申出書を日本年金機構(事務センターまたは年金事務所)へ提出することにより行います」と書いています。手続きページでは、被保険者が産前産後休業の取得について事業主へ申し出を行い、申し出を受けた事業主が申出書を提出する流れが示されています。
提出先は事務センターまたは管轄の年金事務所です。提出方法は電子申請、郵送、窓口持参で、窓口持参は年金事務所のみと書かれています。届書様式は「健康保険・厚生年金保険 産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届」のエクセルファイルで、添付書類は「なし」と案内されています。
給与明細から保険料が引かれたままになっているときに自分で確認できるのは、会社がこの申出書を提出したかどうかです。産休に入る前の面談で、提出の予定と時期を担当者に聞いておくと確認の回数が減ります。
期限は休業中か、終了日から1か月以内
提出できる期間は限られています。
(3)申出書の提出は、産前産後休業をしている間または産前産後休業終了後の終了日から起算して1カ月以内の期間中に行わなければなりません。
同じページの留意事項にも、同じ期間を示す一文が置かれています。この期限を過ぎてしまった場合にどう扱われるかは、日本年金機構のこの3ページには書かれていませんでした。復帰してから1か月以上たっていて提出されていないことに気づいた場合は、管轄の年金事務所に状況を伝えて確認してください。
対象になる人・ならない人
対象は、平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了となる被保険者と書かれています。対象になる期間は「出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間で、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間」です。産前が42日、多胎妊娠なら98日、産後が56日という数え方で、起算日は出産日と出産予定日のどちらが後かで変わります。
そのほか、手続きページの留意事項に次の点が書かれています。
- 「出産とは、妊娠85日(4カ月)以上の分娩をいい、早産、死産、流産、人工妊娠中絶を含みます」
- 「事業主等であっても、被保険者であれば産前産後休業期間中の保険料免除を受けられます。(ただし、育児休業期間中の保険料免除は受けられません。)」
- 「育児休業の保険料免除期間と産前産後休業の保険料免除期間が重複する場合は、産前産後休業期間中の保険料免除が優先されます」
育児休業の保険料免除については、労働者にあたらない事業主や役員、同居の親族のみを使用する事業に雇用される人は申し出ができないと概要ページに書かれています。産前産後休業の免除とは条件が違うので、同じものとして扱わないでください。
ここで説明しているのは健康保険・厚生年金保険の保険料です。自分で国民年金保険料を納めている人の産前産後期間の免除は別の制度で、日本年金機構は概要ページから別のページへ案内しています。
予定とずれたときに出す届
出産日が予定日とずれると、産前産後休業の期間も動きます。手続きページには「被保険者が産前産後休業期間を変更したとき、または産前産後休業終了予定日の前日までに産前産後休業を終了したときは、速やかに産前産後休業取得者変更(終了)届を日本年金機構へ提出してください」と書かれています。様式は最初の申出書と同じファイルに含まれています。
最初の申出が済んでいても、予定より早く復帰した場合は会社から変更(終了)届を出す必要があります。免除される最後の月は終了日で決まるため、届が出ていないと実際の休業期間とずれた月数のままになります。
確認する場所
- 勤務先の給与・社会保険の担当者:産前産後休業取得者申出書を提出したか、提出日はいつか
- 管轄の年金事務所:免除が反映されているか、期限を過ぎた場合の扱い
- 日本年金機構の手続きページ:届書様式のダウンロードと提出方法
参考資料
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が産前産後休業を取得したときの手続き」— 免除される月の範囲、提出期限、留意事項
- 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」— 対象となる期間、事業主が申し出る仕組み、国民年金の別制度への案内
- 日本年金機構 Q&A「産前産後休業中の厚生年金保険の保険料はどうなるのですか。」— 事業主負担分と被保険者負担分の両方が免除されること