インフルエンザと新型コロナのワクチンを同じ日に受けること自体は、制度の上では止められていません。定期接種実施要領は、2種類以上を同じ日に受ける同時接種を「医師が特に必要と認めた場合に行うことができる」と定めています。認めるかどうかは接種する医師の判断なので、方針は医療機関ごとに違います。
別の日に分ける場合、この2つの間に空けるべき日数の決まりは見つかりません。要領で日数が示されているのは別の組み合わせで、厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aは「他のワクチンとの接種間隔に制限はありません」としています。
まず確認するのは、かかりつけ医か予約しようとしている医療機関です。同時接種を受けているか、同じ日に2本とも予約枠を取れるかは、電話で聞けば分かります。
同時接種は「医師が特に必要と認めた場合」
定期接種実施要領の「第1 総論 18 他の予防接種との関係」に、次のように書かれています。
2種類以上の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行う同時接種(混合ワクチン・混合トキソイドを使用する場合は、1つのワクチンと数え、同時接種としては扱わない。)は、医師が特に必要と認めた場合に行うことができること。
読み方として大事なのは2点です。
ひとつは、同時接種が禁止されていないことです。「行うことができる」と書かれているので、医師が認めれば同じ日に両方を受けられます。
もうひとつは、希望だけでは決まらないことです。判断するのは接種する医師で、要領は患者が求めれば行うとは書いていません。医療機関が同時接種を扱っていないことも、2本分の枠が取れないこともあります。
新型コロナワクチンについては、厚生労働省のQ&Aにも「新型コロナワクチンと他のワクチンとの同時接種については、医師が認めた場合に可能です。」とあります。要領は「特に必要と認めた場合」、Q&Aは「認めた場合」と表現が違いますが、どちらも医師の判断を条件にしている点は共通しています。
日数の定めがあるのは、別の組み合わせ
「他の予防接種との関係」で日数が出てくるのは1か所だけです。乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経皮接種用乾燥BCGワクチン、乾燥弱毒生水痘ワクチンのいずれかを打った日から、同じ5種類のいずれかを打つまでの間隔を27日以上おくという定めです。
| 組み合わせ | 要領に書かれている間隔 |
|---|---|
| 麻しん風しん混合・麻しん・風しん・BCG・水痘のいずれか → 同じ5種類のいずれか | 27日以上おく |
| 同じ種類のワクチンを複数回受ける場合 | そのワクチンに間隔の定めがあれば、その定めによる |
| インフルエンザ → 新型コロナ(順序が逆の場合も) | 日数の定めは書かれていない |
インフルエンザと新型コロナの組み合わせは、この27日の対象に入っていません。要領の本文を「13日」で探しても出てこず、現行の新型コロナワクチンQ&Aにも同じ日数はありませんでした。Q&Aは「また、他のワクチンとの接種間隔に制限はありません。」と明記しています。
ただし、日数の決まりがないことは「いつ打ってもよい」と言い切れることとは別です。発熱しているときや体調が整っていないときの判断、副反応が出ているときの2本目の日程は、医師が診て決めることになります。間隔を詰めたい事情があるなら、2本目を受ける医療機関にその日程で受けられるかを確認してください。
予約の電話で聞いておくこと
同時接種を考えているなら、予約の時点で次の3つを確かめておくと、当日に打てないという事態を避けられます。
- その医療機関が同時接種を行っているか
- インフルエンザと新型コロナの両方のワクチンを扱っているか
- 同じ日に2本分の予約枠を取れるか(新型コロナは市町村が設定した期間内に限られます)
予診票は、ワクチンごとに様式が分かれています。要領の様式の一覧では、インフルエンザの定期接種は様式第五、新型コロナウイルス感染症の定期接種は様式第十です。同じ日に受ける場合も、2枚書くことになります。事前に記入して持っていける医療機関もあるので、どちらの用紙が必要かを合わせて聞いておくと受付が早く済みます。
定期接種の対象になる人・ならない人
どちらのワクチンも、定期接種として受けられる人の範囲は要領で決まっています。インフルエンザ(第2 各論 12)と新型コロナウイルス感染症(同13)で、対象者は同じ書き方です。
- 65歳以上の人
- 60歳以上65歳未満の人のうち、心臓・腎臓または呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害がある人、およびヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある人
この範囲に入らない人が受ける場合は任意接種になります。接種そのものは受けられますが、定期接種としての扱いではないので、費用や手続きの案内が変わります。
回数と期間にも違いがあります。インフルエンザの定期接種は毎年度1回です。新型コロナの定期接種は毎年度10月1日から翌年3月31日までの間で各市町村が設定する期間に1回とされているため、同じ日に2本受けたい場合は、新型コロナの接種期間が始まっているかを先に確かめる必要があります。期間は市町村ごとに違うので、住んでいる市区町村の予防接種の案内で確認してください。
「ほかのワクチン」と書かれた古い案内を見たとき
ワクチンの間隔については、年によって運用が変わってきた経緯があります。いま手元のページに日数が書かれていても、それが現在の定めとは限りません。確認するときは次の順で見ると、どの時点の話かが分かります。
- 厚生労働省の予防接種情報ページで、最新の定期接種実施要領のPDFを開く
- 「第1 総論 18 他の予防接種との関係」を読む(日数が書かれているのはここです)
- 新型コロナワクチンについては、厚生労働省の新型コロナワクチンQ&Aを合わせて読む
今回確認した要領は「改正後全文・令和8年10月1日改正」と表記されたものです。要領は改正されるので、次に調べるときも改正日の表記を見てから本文を読むようにしてください。
なお、以前は新型コロナワクチンのQ&Aが専用サイト(cov19-vaccine.mhlw.go.jp)にありましたが、今回確認した時点ではそのドメインの名前解決ができず、開けませんでした。検索結果にそのサイトのページが残っていても、内容を現在の案内として読まないほうが安全です。
参考資料
- 厚生労働省「定期接種実施要領」(改正後全文・令和8年10月1日改正) — 同時接種と間隔の定め、インフルエンザと新型コロナの定期接種の対象者、予診票の様式
- 厚生労働省「新型コロナワクチンQ&A」 — 他のワクチンとの同時接種と接種間隔、定期接種の対象者とスケジュール
- 厚生労働省「予防接種情報」 — 定期接種実施要領の掲載ページ。改正日の確認に使いました
費用や接種期間など市町村が決める部分は、住んでいる市区町村の予防接種の案内が確認先になります。
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。