65歳以上の親がいる家、あるいは自分が今年65歳になる人のところに、9月の終わりごろから新型コロナワクチンの案内が届き始めます。令和8年度の定期接種の開始日は2026年10月1日。受けられる人の線引きは全国共通ですが、払う金額と、いつまでに受けるかは住んでいる市区町村が決めていて、同じ注射の自己負担が区によって倍以上違います。最初に開くのは住民票のある市区町村の「新型コロナ 定期接種 令和8年度」のページで、そこに載っている金額と終了日を控えておけば、予約の電話は5分で終わります。
10月1日に始まるが、終わる日は住んでいる町で違う
開始日はどこも同じ2026年10月1日です。中野区のページも枚方市のページも、この日から始まると書いています。違うのは終わりのほうで、中野区は2027年3月31日まで、枚方市は2027年1月31日までです。同じ「今年度の定期接種」という名前で、2か月の開きがあります。
1月末で締める自治体だと、年末年始を挟んで「年が明けてから行こう」と考えていた人が、1月に入って予約を取れないまま期間を過ぎることがあります。3月末まである自治体なら、インフルエンザの流行が落ち着いた2月に受ける選び方もできます。どちらにしても、終了日は自分の町のページで見た日付だけを信じてください。隣の市の日付は当てになりません。
もう一つ知っておきたいのが、国のページの状態です。この記事を書いている2026年9月11日の時点で、厚生労働省の新型コロナワクチンのページは、令和8年度の対象者・スケジュール・使用ワクチンのそれぞれに「詳細が決まり次第お知らせいたします」と書いたままです。最終更新は2026年3月3日。国のページを先に開いても今年の話は出てきません。実際の案内は自治体が先に出していて、中野区は9月2日、枚方市は9月11日にページを更新しています。検索するなら「市の名前 新型コロナ 定期接種 令和8年度」のほうが早い。
定期接種で受けられるのは65歳以上と、60〜64歳のごく一部
対象の線引きは予防接種法の側で決まっていて、自治体が広げたり狭めたりはしません。中野区の案内では、65歳以上の人と、60歳から64歳で「心臓・腎臓・呼吸器、またはヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害により身体障害者手帳1級相当の障害のある方」が対象です。枚方市も同じ範囲を「身体障害者内部障害1級と認定されている人」と書いています。
高血圧や糖尿病で通院している、喘息の吸入薬を使っている。60代前半でこういう状態の人は、ここに入りません。手帳1級相当という条件はかなり重い機能障害を指していて、持病があれば対象、という読み方はできません。64歳以下で対象から外れる人は任意接種になり、全額自己負担です。60〜64歳で該当しそうな人は、予約のときに手帳の等級を先に伝えると、医療機関側も定期の予診票を用意しやすくなります。
年度の途中で65歳になる人は、誕生日を迎えた日から対象に入ります。中野区は65歳の誕生日の前月末までに予診票を郵送すると書いているので、12月生まれなら11月末までに届く計算です。10月に周りの人に案内が来ていて自分に来なくても、誕生日がまだなら順番待ちの状態です。反対に、誕生日の前に医療機関で受けてしまうと任意接種の扱いになって全額自費になります。誕生日を10月や11月にまたぐ人は、日付を確かめてから予約してください。数週間待つだけで払う額が変わります。
自己負担は同じ注射でも3,500円から7,800円まで開いている
金額を決めているのは市区町村です。国は「定期接種にする」ところまでを決めていて、いくら公費を入れるかは自治体の予算で変わります。だから同じワクチンなのに、住む町でこれだけ違います。
| 中野区 | 枚方市 | |
|---|---|---|
| 新型コロナの自己負担 | 3,500円 | 7,800円 |
| 接種期間 | 2026年10月1日〜2027年3月31日 | 2026年10月1日〜2027年1月31日 |
| 無料になる人 | 生活保護受給者、中国残留邦人等支援給付の受給者 | 生活保護受給者、市民税非課税世帯(世帯全員)、中国残留邦人等支援給付者 |
| 案内の届き方 | 予診票を9月下旬に発送 | 無料接種券は9月14日から申請受付 |
| ページの更新日 | 2026年9月2日 | 2026年9月11日 |
倍以上の差です。家族が別の市に住んでいて「うちは3,500円だった」と聞いても、自分の町では7,800円ということが普通に起きます。金額を人づてに聞かず、自分の町のページか、予防接種担当課の電話で確かめてください。電話では「今年度の高齢者の新型コロナ定期接種で、自己負担額と終了日、実施医療機関の一覧がどこにあるかを教えてください」と切り出せば通じます。担当課はこの質問を毎日受けています。
無料になる条件も揃っていません。枚方市は生活保護の受給者に加えて、世帯全員が市民税非課税なら無料にしています。中野区は生活保護と中国残留邦人等支援給付の受給者が無料で、非課税世帯は3,500円のままです。「非課税だから無料のはず」は、町によって当たりもし外れもします。
無料の枠に入る人は、手続きの順番に注意が要ります。枚方市は無料接種券の申請を9月14日から受け付けていて、令和8年1月2日以降に転入した人など課税状況を市で確認できない場合は、世帯全員の令和8年度市民税非課税証明書を求めています。当日窓口で「非課税です」と言っても通りません。先に券をもらってから予約、の順です。転入したばかりの人は、証明書を前の自治体から取り寄せる時間も見ておいてください。
去年受けた人も今年また1回。ワクチンは5種類から医療機関が選ぶ
回数は接種期間中に1回です。中野区も枚方市も同じ書き方です。去年の秋に受けた人でも、今年度分としてもう1回受けられます。逆に、今年度の中で2回目を定期接種の金額で受けることはできません。
使えるワクチンは複数あります。中野区の案内に載っているのは、コミナティ筋注、エムネクスパイク筋注、ダイチロナ筋注、コスタイベ筋注、ヌバキソビッド筋注の5製品です。製品ごとに仕組みが違い、どれを置くかは医療機関が決めます。「去年と同じ製品で」「この製品は避けたい」という希望があるなら、予約のときに扱っている製品名を聞いてから決めるしかありません。医療機関を変えれば選べる幅は広がりますが、自治体の実施医療機関一覧に載っている所でないと定期接種の金額になりません。一覧は自治体のページか、郵送される案内に載っています。
前回の接種からどれくらい空けるかは、予診票の問診で医師が確認します。自分で数えて悩むより、前回の接種日が分かるものを持って行くほうが早い。接種済証、お薬手帳に貼ったシール、スマホで撮っておいた写真、どれでも構いません。
当日持って行くのは、予診票、本人確認できるもの、それから自己負担額の現金です。カード払いができるかは医療機関次第で、小さな診療所は現金のみが多いので、予約の電話で一緒に聞いておくと当日困りません。
予診票は届くのか、届かないのか
中野区は令和8年9月下旬に予診票を発送すると書いています。届いたら、そこに書いてある実施医療機関で予約して、当日は予診票と本人確認できるものを持って行けば済みます。
ただ、全国の自治体がこの方式ではありません。予診票を郵送せず、医療機関の窓口に置いている自治体があります。その場合、案内が来ないのは対象外だからではなく、そもそも送っていないだけです。9月末を過ぎても何も届かないときに確かめる順番は、自治体のページの「予診票」の項目、次に予防接種担当課への電話、それでも分からなければかかりつけ医、の順です。電話では「今年度の高齢者の新型コロナ定期接種で、予診票は郵送ですか、医療機関に置いてありますか」とだけ聞けば通じます。
引っ越した直後の人は、もう一段階あります。前の自治体から届いた予診票は、転出した時点で使えません。定期接種は接種日に住民票がある自治体の制度なので、転入先の自治体で予診票を取り直すことになります。転入届を出したばかりで住民税の課税状況が新しい町に届いていない場合、無料の枠に入るかの確認にも時間がかかります。
住民票と住んでいる場所が違う人、たとえば施設に入っている親の場合も、原則は住民票のある自治体の制度です。施設の所在地で受けられるかは自治体同士の取り決めで変わるので、施設の看護職員に先に聞いてください。施設がまとめて手配していることも多く、その場合は家族が動く必要がありません。
インフルエンザと同じ日に受けるとき、予約の電話で聞くこと
新型コロナとインフルエンザの案内は同じ秋に来ます。中野区も枚方市も、医師が特に必要と認めた場合は同時接種ができるという書き方です。「できる」と「その医療機関がやっている」は別で、同時接種は受け付けないという医療機関もあります。予約の電話で「コロナとインフルエンザを同じ日にお願いできますか」と聞くのが確実です。
同じ日にしない場合、どちらを先にするかに決まりはありません。予約が取りやすいほう、案内が先に届いたほうを先にして構いません。10月中にどちらか一つ、11月にもう一つ、という組み方なら12月の流行期に両方が間に合います。1月末で終わる自治体に住んでいるなら、コロナのほうを先に片づけておくと期限切れの心配が消えます。
費用は別々に払います。枚方市ならインフルエンザ1,500円と新型コロナ7,800円で、同じ日に受けても合計9,300円です。片方だけ無料になる仕組みはなく、無料の条件は両方に同じように掛かります。同じ日に受けると2本分の副反応が重なることがあり、翌日に予定を入れないほうが楽です。
定期と任意で違うのは値段だけではない
64歳以下で手帳1級相当に当たらない人、65歳でも誕生日前に受ける人は任意接種です。値段の違いは前に書いたとおりですが、違うのはそこだけではありません。
| 定期接種(65歳以上など) | 任意接種 | |
|---|---|---|
| 費用 | 自治体が決めた自己負担額。3,500円や7,800円など | 全額自己負担。金額は医療機関が決める |
| 受けられる場所 | 自治体の実施医療機関一覧に載っている所 | 扱っている医療機関ならどこでも |
| 予診票 | 自治体の様式。郵送か医療機関に設置 | 医療機関の様式 |
| 健康被害が出たとき | 予防接種法の健康被害救済制度。申請先は市区町村 | 医薬品副作用被害救済制度。申請先は医薬品医療機器総合機構(PMDA) |
| 期間 | 自治体が決めた期間内だけ | 期間の縛りなし |
いちばん見落とされるのが健康被害のときの申請先です。定期接種なら市区町村の窓口に申請して予防接種法の救済制度に乗りますが、任意接種は別の制度で、申請先も医薬品医療機器総合機構になります。厚生労働省のページにも、予防接種健康被害救済制度の説明が定期接種の枠組みとして載っています。どちらの制度で受けたかは、あとから変えられません。
任意接種の金額は医療機関ごとに違うので、電話で先に聞くほかありません。65歳の誕生日が10月や11月にある人は、数週間待てば定期接種の金額で受けられます。急ぐ理由がなければ誕生日を待つほうが安く済みます。
この記事の数字は2026年9月11日に厚生労働省、中野区、枚方市の各ページで確認したものです。自治体は年度の途中で金額や期間を変えることがあり、国のページも今後、令和8年度の詳細を載せるはずです。予約の直前に、自分の町のページをもう一度開いてください。
根拠にしたページ
- 厚生労働省 新型コロナワクチンについて。2026年3月3日更新。令和8年度分は「詳細が決まり次第お知らせ」の状態で、予防接種健康被害救済制度の説明はここにあります
- 中野区 令和8(2026)年度新型コロナウイルス感染症定期予防接種のお知らせ。2026年9月2日更新。接種期間、対象者、自己負担3,500円、使用ワクチン5製品、予診票の発送時期を確認しました
- 枚方市 令和8年度 高齢者などのインフルエンザ・新型コロナワクチン定期接種。2026年9月11日更新。接種期間、自己負担7,800円と1,500円、無料の条件と接種券の申請開始日を確認しました
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。