インフルエンザで会社は何日休む。学校の出席停止日数は、職場の法令ではありません

この記事の要点

一般の会社について、インフルエンザで何日休むかを定めた法令はありません。「発症後5日・解熱後2日」は学校の出席停止期間で、職場の日数は就業規則で決まります。厚生労働省は職場への治癒証明書・陰性証明書の提出は不要としています。

  1. 一般の会社について、インフルエンザで何日休むかを定めた法令はない。日数は勤務先の就業規則で決まる
  2. 「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」は学校保健安全法施行規則の出席停止期間で、対象は児童生徒(厚生労働省Q&A)
  3. 職場への治癒証明書・陰性証明書は「求めることは望ましくなく、提出は不要」と厚生労働省が明記している
どうする?編集部 · · 読了 約9分
目次(9項目)
  1. 日数が法令で決まっているのは学校だけ。一般の会社に定めはない
  2. 自分の会社の日数は、就業規則のどこに書いてあるか
  3. 治癒証明書・陰性証明書を求められたら — 厚生労働省は「不要」と書いている
  4. 休んだ日の給与は、誰がその日を休みにしたかで変わる
  5. 会社が「就業禁止」と言うとき、根拠になる条文は限られている
  6. この記事が当てはまらない人
  7. 今日できる順番
  8. この記事で確かめていないこと
  9. 参考資料

インフルエンザと診断されて、会社に何日休むと伝えればいいのか迷ったとき、答えは法令ではなく勤務先の就業規則にあります。一般の会社について、インフルエンザで何日休むかを定めた法令はありません。よく見かける「発症後5日、解熱後2日」は学校の出席停止期間で、対象は児童生徒です。

まず確認する場所は二つです。勤務先の就業規則の「出勤停止」「私傷病」「病気休暇」の条文と、総務・人事への「インフルエンザのときの出勤停止の規定はありますか」という一本の質問。この二つで、休む日数と、その日が有給になるのか欠勤になるのかが決まります。

職場から治癒証明書や陰性証明書を求められても、厚生労働省は提出を不要としています。根拠は後ろで引用します。

2026/27シーズンは流行が早く始まりました。国立健康危機管理研究機構のIDWR 2026年第35号は、第34週に全国の定点当たり報告数が1.11となり「感染症法が施行された1999年以来、2009年に次いで二番目に早い流行入りとなった」と記録しています。第35週の定点当たり報告数は1.76(患者報告数6,543)でした。10月以降の最新の状況は、厚生労働省が9月〜4月にかけて毎週金曜日14時に行う報道発表で確認できます。本記事の数値は2026年10月5日に確認したものです。

日数が法令で決まっているのは学校だけ。一般の会社に定めはない

学校には条文があります。学校保健安全法施行規則は、第18条で「インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)」を第二種の感染症に挙げ、出席停止の期間を定めています。厚生労働省のQ&Aはその内容をこう引用しています。

学校保健安全法施行規則では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています

この「5日」「2日」を、職場の話として引用している説明も見かけます。しかし条文の対象は学校に通う児童生徒等です。一般の会社について同じ日数を定めた法令は見当たりません。厚生労働省が公開している急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&Aを全35問通して読んでも、職場に関する記載はQ20の治癒証明書だけで、出勤までの日数は書かれていません。

学校に通う子ども一般の会社で働く人
休む期間の根拠学校保健安全法施行規則(発症後5日かつ解熱後2日、幼児は3日)法令の定めはない。勤務先の就業規則
決める人校長(出席停止の指示)会社(就業規則の定めによる)と本人の申し出
証明書提出は不要(厚生労働省Q21)提出は不要(厚生労働省Q20)
休んだ日の扱い欠席日数に入れない扱いが取られる有給休暇か欠勤か、就業規則と本人の請求で決まる

体調の目安として使える記載もあります。同じQ&Aは「一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています」としています。これは排出期間の説明で、出勤可否の基準として示されたものではありません。復帰してよいかどうかは、診察した医師に聞いてください。

自分の会社の日数は、就業規則のどこに書いてあるか

探す見出しは、おおむね次のどれかです。「出勤停止」「就業の禁止」「私傷病による欠勤」「病気休暇」「特別休暇」。インフルエンザという病名で書かれている会社もあれば、「感染症」とまとめている会社もあります。

就業規則は、見られる状態になっているのが前提です。労働基準法第106条第1項は、使用者が就業規則を「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない」と定めています。社内ポータルに置かれている会社が多いので、まずそこを検索してください。見つからない場合は、総務・人事に「就業規則を確認したい」と伝えれば足ります。

条文が見つかったら、次の三点を読み分けます。

  1. 誰が休みを決めるのか(会社が出勤停止を命じるのか、本人が欠勤を申し出るのか)
  2. 何日なのか(「解熱後○日」と書いてあるのか、「医師の指示による」なのか)
  3. その日の賃金はどうなると書いてあるのか(有給の特別休暇か、無給か、記載なしか)

条文そのものが無い会社もあります。その場合、日数は慣行や上司の判断で決まっているため、口頭で確認した内容をメールやチャットで残しておくと、あとで賃金の扱いを確認するときに使えます。

治癒証明書・陰性証明書を求められたら — 厚生労働省は「不要」と書いている

これは根拠がはっきりしている論点です。厚生労働省の急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&AのQ20は、「急性呼吸器感染症にり患して休んでいた従業員が復帰する際に、職場には治癒証明書や陰性証明書を提出させる必要がありますか?」という問いに、次のように答えています。

診断や治癒の判断は、診察に当たった医師が身体症状や検査結果等を総合して医学的知見に基づいて行うものです。インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの急性呼吸器感染症は陰性を証明することが一般的に困難であることや、患者の治療にあたる医療機関に過剰な負担をかける可能性があることから、職場が従業員に対して、治癒証明書や陰性証明書の提出を求めることは望ましくなく、提出は不要です。

国が「望ましくなく、提出は不要」と書いている一方で、会社がこれを知らずに求めてくることがあります。やり取りを短く済ませたい場合は、この記載を示したうえで、受診した日・診断された病名・解熱した日という事実を自分から伝える形にすると、会社側が知りたい内容は満たせます。

これは証明書を発行してもらえないという意味ではありません。会社が就業規則で診断書の提出を求めていることもあります。その場合は、求められている書類が治癒や陰性の証明なのか、受診した事実を示す診断書なのかを分けて確認してください。発行手数料は医療機関が独自に決めており、全国共通の金額はありません。

休んだ日の給与は、誰がその日を休みにしたかで変わる

ここは三つに分かれます。

その日を休みにした理由賃金の扱い根拠・確認先
本人が年次有給休暇を請求して休んだ有給休暇として賃金が支払われる労働基準法第39条
本人が欠勤として休んだ就業規則の定めによる。無給となることが多い勤務先の就業規則(病気休暇の規定があるかを確認)
働ける状態なのに、会社の指示で出勤できなかった労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」に当たるかが問題になる就業規則と、勤務先を管轄する労働基準監督署

年次有給休暇をいつ使うかを決めるのは、会社ではなく本人です。労働基準法第39条第5項は「使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と定めています。「病気で休んだ分は有給にしておく」と会社が先に処理してしまうのは、この条文が前提にしている順番とは逆です。使いたいなら自分から請求し、残しておきたいなら欠勤にしてほしいと伝えてください。

同条第6項により、労使協定で有給休暇を与える時季を定めた場合は、5日を超える部分についてその定めによることができます。ただしこれは計画的付与の仕組みで、病欠を事後に振り替えるためのものではありません。

三つめの行が、実際にもめやすいところです。労働基準法第26条は「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と定めています。自分の体調で働けない日は、この条文が想定する休業とは別の話です。一方、解熱して働ける状態になったのに会社の方針でさらに数日出勤を認められなかった期間は、どちらに当たるかが状況によって変わります。就業規則の条文、会社から受けた指示の内容、医師の見解をそろえたうえで、勤務先の所在地を管轄する労働基準監督署に確認してください。

休みが続く場合は、健康保険の傷病手当金の対象になり得ます。条件と金額の計算は別の記事にまとめています。

会社が「就業禁止」と言うとき、根拠になる条文は限られている

「法律で就業禁止だから」と説明する会社もあります。該当しそうな条文は労働安全衛生規則第61条です。条文はこうなっています。

事業者は、次の各号のいずれかに該当する者については、その就業を禁止しなければならない。ただし、第一号に掲げる者について伝染予防の措置をした場合は、この限りでない。

第一号は「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾病にかかつた者」です。季節性インフルエンザを名指しした条文ではありません。さらに同条第2項は「事業者は、前項の規定により、就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、産業医その他専門の医師の意見をきかなければならない」と定めています。この条文を根拠に就業を禁止するなら、医師の意見を聞く手順が前提になります。

実務上、会社が「〇日休むように」と指示する根拠は、ほとんどの場合この条文ではなく就業規則です。両者は別のもので、賃金の扱いも就業規則の書き方で変わります。説明が「法律で決まっている」で止まっているときは、就業規則の条番号を聞いてみてください。

この記事が当てはまらない人

  • 鳥インフルエンザなど、季節性インフルエンザとは別の感染症。学校保健安全法施行規則でも「特定鳥インフルエンザ」は第一種として別に扱われ、感染症法上の位置づけも季節性インフルエンザとは異なります。
  • 医療機関・介護施設・保育所、食品を扱う仕事。施設や業種ごとの感染対策の規定が別に定められていないか、該当する人は勤務先の規定を先に読んでください。
  • 国家公務員・地方公務員。労働基準法の適用関係が民間企業と異なるため、人事院規則や各自治体の条例・規則で確認が必要です。
  • 派遣で働いている人。就業規則は派遣元のものが適用され、休む連絡は派遣元と派遣先の両方に必要になることがあります。

今日できる順番

  1. 受診した日、診断された病名、熱が下がった日をメモに残す
  2. 社内ポータルで就業規則を開き、「出勤停止」「私傷病」「病気休暇」で検索する
  3. 条文が見つからなければ、総務・人事に「インフルエンザのときの出勤停止の規定はありますか」と聞く(やり取りは文字で残す)
  4. 休む日を有給休暇にするか欠勤にするかを自分で決め、その希望を会社に伝える
  5. 治癒証明書や陰性証明書を求められたら、厚生労働省のQ&AのQ20の記載を示す
  6. 賃金の扱いに納得できないときは、就業規則と指示の記録を持って、勤務先を管轄する労働基準監督署に相談する

この記事で確かめていないこと

厚生労働省が2026年10月5日時点で公開しているQ&Aは令和7年度版(令和7年12月19日版)でした。令和8年度版が出ているかは確認できていません。流行状況の数値は国立健康危機管理研究機構のIDWR 2026年第35号までのもので、10月以降の週の数値は確認していません。

労働基準法第26条の休業手当が具体的にどの日まで及ぶかは、個別の事情によって判断が分かれる部分です。今回開いた公的資料のうち、季節性インフルエンザで会社が出勤停止を命じた場合の賃金について行政の見解を示したものは見つかりませんでした。会社ごとの就業規則の内容と、公務員・派遣の扱いも確認していません。

参考資料

  • 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」Q19・Q20
  • e-Gov法令検索「労働基準法」第26条・第39条・第106条
  • e-Gov法令検索「労働安全衛生規則」第61条
  • e-Gov法令検索「学校保健安全法施行規則」第18条
  • 国立健康危機管理研究機構「IDWR 2026年第35号 注目すべき感染症 インフルエンザ」
  • 厚生労働省「インフルエンザ」(発生状況の報道発表について)
Photo by Eric Prouzet on Unsplash

参考資料

  1. 厚生労働省 令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A(Q19・Q20)
  2. e-Gov法令検索 労働基準法(第26条 休業手当、第39条 年次有給休暇、第106条 法令等の周知義務)
  3. e-Gov法令検索 労働安全衛生規則(第61条 病者の就業禁止)
  4. e-Gov法令検索 学校保健安全法施行規則(第18条 感染症の種類)
  5. 国立健康危機管理研究機構 IDWR 2026年第35号 注目すべき感染症 インフルエンザ
  6. 厚生労働省 インフルエンザ(発生状況の報道発表について)

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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