結論:離職票-2の⑨欄で、11日以上の行がいくつあるか数える
基本手当を受け取る条件は2つあります。ハローワークに求職の申込みをして失業の状態にあること。そして、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上あることです。後者でつまずく人が多いのは、この12か月が暦月ではないからです。
ハローワークインターネットサービスは被保険者期間を、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち「賃金支払いの基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月と計算します」と説明しています。勤めた月数ではなく、区切った期間ごとの日数が基準です。
その数はすでに手元の書類に出ています。会社から届く雇用保険被保険者離職票-2の左側に、⑧「被保険者期間算定対象期間」と⑨「⑧の期間における賃金支払基礎日数」が縦に並んでいます。⑨が11日以上になっている行を、上から数えてください。12行あれば、自己都合の退職でも日数の要件は満たしています。
行が12行で止まっていても、ぎりぎりとは限りません。離職証明書の記入例は、⑨欄が11日以上の完全月が12か月以上とれた場合はそれ以前の期間を省略できると事業主に指示しています。10年勤めた人の離職票が12行で終わっていることは普通にあります。
区切りは暦月ではなく、離職日から1か月ごと
⑧欄の区切りは「◯月1日から月末まで」ではありません。記入例は、左側の月日欄に離職日の翌日に応当する日を、右側に離職日に応当する日を書くよう求めています。9月10日に辞めた人なら、8月11日〜9月10日、7月11日〜8月10日、と1か月ずつ遡る形です。
ここで暦月の感覚とずれます。2025年9月20日入社・2026年9月10日離職の人は、在籍が1年に少し足りないのではなく、完全月11個と一番古い21日間の端数に分かれます。
| ⑧の期間 | 扱い |
|---|---|
| 2026年8月11日〜9月10日 | 完全月(1つ目) |
| 2026年7月11日〜8月10日 | 完全月(2つ目) |
| (1か月ずつ遡る) | 完全月 |
| 2025年10月11日〜11月10日 | 完全月(11個目) |
| 2025年9月20日〜10月10日 | 1か月未満の端数(21日間) |
「1年働いたから12か月」と思っていた人が足りない側に落ちるのは、ほとんどこの形です。
月給かシフトかで、危ない人が変わる
⑨欄に入る日数の数え方も記入例に書かれています。有給休暇も算入し、半日でも1日として計上します。月給者については「月間全部を拘束する意味の月給制であれば30日(28日、29日、31日)の暦日数」となり、1か月のうち日曜と休日を除いた期間に対する給与ならその期間の日数です。
つまり月給制でその1か月を通して在籍していれば、⑨は28日から31日になります。月給の正社員が11日を下回るのは、入社月と退職月の端数、それに賃金が支払われなかった月だけです。⑨欄は「賃金支払の基礎となった日数」なので、無給の休職期間は日数に入りません。
数え直しが要るのは、日給や時給でシフトに入る働き方です。週3日なら1か月で12日から13日あって11日は超えますが、出勤の少ない月は10日以下に落ちます。週2日だと多くの期間が10日以下になります。
12か月に届かないとき、先に見るところ
⑬「備考」欄の時間数
⑨が10日以下の期間も、その期間の労働時間が80時間以上なら1か月として数えられます。対象は離職日が2020年8月1日以降の人です。厚生労働省のリーフレットは、週の所定労働時間が20時間以上で雇用見込み期間が31日以上という加入要件を満たしながら11日に満たないために算入されない期間があるため、「日数だけでなく労働時間による基準も補完的に設定するよう見直しをします」と説明しています。
この「補完的」は運用の言い方ではなく、条文の作りそのものです。雇用保険法第14条第3項は、第1項と第2項で計算した被保険者期間が12か月(特定受給資格者と特定理由離職者は6か月)に満たない場合に限って、80時間以上の期間も1か月と読み替えると定めています。11日以上の月だけで12か月に届く人は、時間数を数える場面に入りません。
だから⑬欄が空欄なのは、多くの場合「時間数を見なくても足りていた」という意味になります。記入例も、⑨欄が11日以上の完全月が12か月以上ない場合に、10日以下の期間の労働時間数を⑬欄に書くよう事業主へ指示しています。
⑨が10日以下の行があるのに⑬欄が空のときは、記入漏れの可能性があります。まだ会社とやりとりできるなら、給与担当に「⑬欄にこの期間の労働時間を書いてもらえますか」と頼んでください。離職票を受け取った後なら、窓口でその行を指して同じことを伝えます。
一番古い行の端数
1か月未満の期間も、条件を満たせば2分の1か月として計算されます。雇用保険法第14条第1項ただし書は、被保険者となった日から最初の喪失応当日の前日までの期間の日数が15日以上あり、かつその期間の賃金支払基礎日数が11日以上あるときに、その期間を2分の1箇月の被保険者期間として計算すると定めています。第3項の読み替えはこのただし書にもかかるので、11日に届かず80時間以上ある場合も同じ扱いです。
当てはまるのは、⑧欄の一番古い行だけです。区切りは離職日から遡って作られるので、端数はそこにしか生まれません。先の例の21日間はこれに当たり、⑨が11日以上あれば11.5か月になります。11.5は12に届かないので、この人は次を見ることになります。
前の会社の離職票
2年の枠に別の会社の勤務が入っていれば、その分も同じ枠で数えます。愛知労働局が被保険者期間の足りない離職票に添えて交付する案内は、「この離職票以外の離職票をお持ちの方は、他の離職票と合わせれば受給資格を満たす場合があります」と書き、条件を「Bの離職票で受給資格決定していない場合に限ります」と括弧で示しています。Bは前の勤務先です。
条文側の条件も同じ向きを指します。雇用保険法第14条第2項第1号は、最後に被保険者となった日より前に受給資格などを取得したことがある場合、その離職の日以前の被保険者であった期間は含めないとしています。前の退職でハローワークに行って受給資格の決定を受けていれば、そこより前は今回の計算に入りません。使わずにしまってある離職票は、捨てずに持っていきます。
病気やけがで賃金がなかった期間
2年という枠自体が延びることもあります。記入例の⑧欄の説明には、疾病・傷病等で30日以上賃金の支払を受けることができなかった場合は、最大で離職日以前4年の期間を記入できる場合があると書かれています。必要になるのは、その事実を確認できる書類です。記入例には、事前にハローワークへ問い合わせるようにと添えられています。休職をはさんで辞めた人は、2年で数えて足りなくても結論が変わることがあります。
6か月で足りる人
離職理由によっては、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上でも受給資格を満たします。対象は特定受給資格者と特定理由離職者です。
ハローワークインターネットサービスが特定受給資格者に挙げるのは、倒産手続の申立て、事業所の廃止、大量雇用変動の届出、通勤困難となる事業所移転といった「倒産」等による離職と、重責解雇を除く解雇、賃金の3分の1超が支払期日までに支払われなかった場合、賃金が85%未満に低下した場合、過度な時間外労働、職場のいじめやハラスメントへの対応不備、退職勧奨などの「解雇」等による離職です。
特定理由離職者は2つに分かれます。ひとつは、更新を希望したのに合意が成立せず有期契約の期間が満了した場合。もうひとつは正当な理由のある自己都合退職で、体力の不足や心身の障害、疾病、負傷、妊娠・出産・育児による受給期間延長措置を受けた場合、親族の疾病や家庭の急変、配偶者や扶養すべき親族との別居生活が困難になった場合、通勤が不可能または困難になった場合などが並びます。
どちらに当たるかは、離職票-2の⑦欄に会社が書いた離職理由だけで決まりません。用紙右側の記入例は、⑦欄の分類は事業主の主張を把握するための便宜的なものであり、離職理由の最終的な判定はハローワークで行うため⑦欄と異なる場合があると明記しています。⑯欄には離職者本人が異議の有無を選ぶ欄があります。書かれた理由に心当たりがないときは、雇用契約書や給与明細など根拠になる資料を持って窓口で申し出てください。
まだ在職しているなら、退職日で完全月が1つ変わる
区切りが離職日を基準に作られるので、退職日を数日動かすと完全月の数が変わります。先の例で2025年9月20日入社の人が2026年9月10日に辞めれば完全月は11個ですが、9月19日まで在籍すれば応当日が19日と20日になり、2025年9月20日〜10月19日から2026年8月20日〜9月19日までの12個がすべて完全月になります。9日の違いで完全月が1つ増える形です。
退職日は会社との相談で決まりますし、離職理由によっては6か月で足ります。それでも、辞める日をこれから決める段階なら、⑧欄の区切り方を知っておくと判断材料が1つ増えます。雇用保険被保険者証に書かれた資格取得日から数えてみてください。
離職票が届く前に自分で数える
離職票は退職後に会社を経由して届くので、手続きの直前になることもあります。届く前に見通しを立てたいなら、給与明細と出勤記録で代わりになります。
- 月給制でその期間を通して在籍していた月は、⑨欄が暦日数になる。数えるまでもなく11日以上
- シフト勤務なら、離職日から1か月ごとに区切って出勤日数を数える。暦月の出勤日数ではないので月をまたいで数え直す
- 有給休暇を使った日も1日として数える。半日でも1日
- 賃金が支払われなかった月は0日として扱う
数えて12か月に少し足りない結果になっても、そこで申請をあきらめる必要はありません。離職票を持って住所を管轄するハローワークへ行き、「11日以上の月が◯か月、10日以下の月が◯か月あります。80時間の月と一番古い端数を入れて足りますか」と行を指して聞いてください。前の会社の離職票があれば、同じ場で一緒に出します。判定はその場で行われます。