失業保険(基本手当)を受けている間にアルバイトや家族の店の手伝いをしたら、その日は失業認定申告書の1欄に書きます。収入がなかった日も同じです。印の付け方は1日の労働時間で分かれ、原則として4時間以上なら○(就職・就労)、4時間未満なら×(内職・手伝い)です。
○を付けた日は、基本手当の支給対象になりません。×の日に収入があれば、2欄に収入を書きます。その額によっては、計算で基本手当が減額されます。働いたことを書かずに受給すると、不正受給として処分されます。少しの時間でも、無給でも、申告から外さないでください。
4時間以上か未満かで、○と×に分かれる
失業認定申告書の1欄は「失業の認定を受けようとする期間中に、就職、就労又は内職・手伝いをしましたか」という質問です。働いた日があれば「ア した」に○を付け、右のカレンダーに印を書きます。申告書には「就職又は就労をした日は○印、内職又は手伝いをした日は×印を右のカレンダーに記入してください」とあります。
どちらに当たるかは、受給資格者のしおりに書かれています。○を付ける「就職または就労」は次の場合です。
- 雇用保険の被保険者となる場合
- 事業主に雇用され、1日の労働時間が4時間以上である場合
- 会社の役員に就任した場合(1日の労働時間は問わない)
- 自営業の準備、自営業を営むこと、商業・農業等の家業に従事、請負・委任による労務提供、在宅の内職、ボランティア活動をした場合で、原則として1日の労働時間が4時間以上である場合
- 4の活動が1日4時間未満でも、それに専念するためハローワーク等の紹介にすぐに応じられない等、他に求職活動を行わなかった場合
1〜3は、しおりが「賃金等の報酬がなくても、就職または就労したこととなります」としています。
×を付ける「内職または手伝い」は、事業主に雇われて働いた場合や、4にあげた活動をした場合で、原則として1日の労働時間が4時間未満だったときです(雇用保険の被保険者となる場合を除く)。また、自営や家業、内職などで4時間以上働いても、1日あたりの収入額が賃金日額の最低額未満なら×に当たります。最低額はしおりで3,203円です。毎年8月1日に変わる場合があります。
アルバイトの場合、多くは2(○)か、4時間未満の×のどちらかです。迷ったときの扱いについて、しおりは「就職または就労、あるいは内職または手伝いかの判断がつかない場合には、ハローワーク等の係員にお問い合わせのうえ、記入してください」としています。
働いていない日も「就職」になる契約
1日ごとの時間とは別に、契約の形で就職扱いになる場合があります。しおりは、「契約期間が7日以上の雇用契約において週の所定労働時間が20時間以上、かつ、週の就労日が4日以上の場合は、実際に就労をしていない日を含めて就職しているものとして取り扱います」としています。
短時間の仕事でも注意が必要です。しおりは、パートやアルバイト、臨時雇用、日々雇用の就労について「これらが繰り返されて長期にわたる場合には、「就職」とみなされる場合があります」と書いています。続ける予定のアルバイトがあるなら、始める前に窓口で扱いを聞いておくと、後で申告を直さずに済みます。
○の日と×の日で、基本手当はどう変わるか
○の日(就職・就労)は、その日の基本手当が出ません。厚生労働省のQ&Aは、受給中にアルバイト・パート等をした場合について「仕事をした日は雇用保険(基本手当)の支給対象とならなかったり、収入額により減額される場合があります」としています。ハローワーク府中の説明資料も、○の日について「基本手当は支給されません」と書いています。
その日の分がどうなるかは、受給期間とあわせて考えます。しおりによると、基本手当は原則として離職日の翌日から1年間の受給期間のうち、「失業の状態にある日について、所定給付日数を限度として」支給されます。受給期間を過ぎると、所定給付日数分を受け終わっていなくても、それ以後は受けられません。働いた日が多い人や、手続きが遅かった人は、受給資格者証の受給期間満了日(18欄)を確かめておいてください。
×の日(内職・手伝い)は、収入がなければ減額されません。ただし申告は必要です。しおりは「内職または手伝いによる収入を得ていない場合でも、内職または手伝いをしたことの申告は必要となります」としています。収入があった場合は、次の計算で減額されることがあります。
収入があったときの減額の計算
厚生労働省の報道発表資料は、失業の認定期間中に「自己の労働によって収入を得た場合」の扱いを次のように説明しています。
- 1日あたりの収入から控除額を引いた額と、基本手当日額の合計が、賃金日額の80%以下なら全額支給
- 合計が賃金日額の80%を超えるときは、超えた分だけ基本手当日額を減額
- 1日あたりの収入から控除額を引いた額だけで、賃金日額の80%以上になるときは不支給
式にすると、1日の減額分は(1日あたりの収入 − 控除額)+ 基本手当日額 − 賃金日額 × 80% です。下の計算例では、収入額をその収入に当たる日数で割って1日あたりの収入を出しています。2欄に「何日分の収入か」を書くのは、このためです。
控除額は、令和8年8月1日以後、1,391円から1,429円に引き上げられました。基本手当日額の改定とあわせて変わることがあるため、令和9年8月以降は厚生労働省の「雇用保険の基本手当日額の変更」の発表で確認してください。
同じ資料に、次の計算例があります。賃金日額7,000円、基本手当日額5,201円(60歳未満)の人が、認定期間28日のうち2日間内職し、6,000円を得た場合です。
- 1日あたりの減額分:〔(6,000円 ÷ 2 − 1,429円)+ 5,201円〕− 7,000円 × 80% = 1,172円
- 認定期間の支給額:5,201円 ×(28日 − 2日)+(5,201円 − 1,172円)× 2日 = 143,284円
この例では、減額されるのは内職した2日だけで、他の26日は満額です。
自分の数字は受給資格者証で確かめられます。しおりによると、14欄が「離職時賃金日額」、19欄が「基本手当日額」です。
しおりの記入例では、2日分で2,000円の収入が書かれています。1日あたり1,000円で、控除額の1,429円より少ないため、上の式に当てはめると合計は基本手当日額を下回ります。計算上は減額されない額です。実際の支給額はハローワークが決めるため、気になるときは認定日に窓口で確認してください。
失業認定申告書の1欄・2欄の書き方
しおりの記入例(第1面)は、次のように書かれています。
- 1欄:「ア した」に○。カレンダーの5月15日と18日に×、20日に○
- 2欄:収入のあった日「5月25日」、収入額「2000円」、何日分の収入か「2日分」
カレンダーは、前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間に印を付けます。初めての認定日のときは、求職申込みの日から今回の認定日の前日までです。
2欄について、しおりは「内職収入、手伝いの謝礼等を受けた日と収入額、その収入が何日分のものであるかを必ず記入してください」としています。申告書の2欄は「内職又は手伝いをして収入を得た人」の欄で、後で触れるハローワーク名古屋東の申立書も、収入の欄を「×申告分のみ」としています。
働いた日は、まだ給料を受け取っていなくても書きます。しおりは、内職や手伝い、パート・アルバイトなどの就労をした場合、「まだ収入を得ていなくても」その日付を正確に書くよう求めています。
給料日が後になる場合の書き方は、ハローワーク名古屋東の記入例が参考になります。認定対象期間(11月10日〜12月7日)に受け取った10,000円について、収入のあった日「11月15日」、「5日分」、どの期間の収入か「10月1日〜10月31日」を書いています。この記入例は申告書とは別の「内職・就労申立書」です。日ごとの就労時間、内職・就労先の名称、賃金の締切日と支払日も書く様式で、他のハローワークが同じ書類を使うとは限りません。
書くときの決まりもしおりにあります。黒のボールペンまたは万年筆で書き、間違えたら二重線で消して訂正します。ハローワーク府中の資料は、修正液は使えないとしています。
手伝い・無給・給付制限中でも申告が要る
次の4つの場面も申告が必要です。
家族の店や知人の手伝い。 時間で○か×かを分けます。家業の手伝いが原則1日4時間以上なら○です。しおりは、受給できない状態の一つとして「家事手伝いや農業、商業など家業に従事し、就職することができない」を挙げています。
無給。 雇われて働いた日、役員になった日は、報酬がなくても○です。×の内職・手伝いも、収入がなくても申告します。愛知労働局のリーフレットは、申告が必要な場合として「内職又は手伝いをした場合。(収入がない場合も含みます。)」と書いています。同じリーフレットは、面接後に「試しにちょっとやってみたら」と言われて2日間研修を受け、賃金が出ないだろうと申告しなかった例を、不正となる例に挙げています。
試用・研修・見習い。 愛知労働局のリーフレットは「就職又は就労(パート、アルバイト、日雇、試用、見習、研修なども含みます。)」と書いています。
給付制限中。 厚生労働省のQ&Aは、給付制限期間中にアルバイト・パート等をした場合、「初回認定日及び給付制限期間があけた最初の認定日で提出する失業認定申告書に、収入の有無にかかわらず、アルバイト・パート等した日等を正確に申告してください」としています。雇用保険の一般被保険者となる条件(原則、週の所定労働時間20時間以上、かつ31日以上の雇用見込み)で働く場合は、就職の手続きが必要です。
申告しなかった場合
申告書の第2面の注意書きには、次の文があります。「申告しなければならない事柄を申告しなかったり、偽りの記載をして提出した場合には、以後失業等給付を受けることができなくなるばかりでなく、不正に受給した金額の返還と更にそれに加えて一定の金額の納付を命ぜられ、また、詐欺罪として刑罰に処せられることがあること」。
しおりは、不正受給の例として「事業主に雇用された場合(雇用の形態は問いません。試用(研修)期間も含みます。)に、そのことを失業認定申告書で申告しなかったり、採用日、雇用され、働いた事実および収入を隠したり、偽った申告をした」を挙げています。処分は次のとおりです。
- 支給停止(その日以後の失業等給付を受ける権利がなくなる)
- 返還命令(不正に受給した金額は全額返還)
- 納付命令(全額返還に加えて、不正に受給した金額の2倍に相当する額をさらに納める)
- 不正受給した日の翌日から延滞金
- 納入を怠ると、財産の差押え等が行われることがある
- 悪質な場合、詐欺罪等で処罰されることがある
厚生労働省のQ&Aは、「不正に受給した額の3倍の額の納付を命じられる場合があります」と書いています。しおりの全額返還と2倍の納付を合計した額にあたります。
書き忘れに自分で気づいた場合の扱いを示した資料は、今回確認した範囲にはありませんでした。受給しているハローワークに問い合わせてください。
この記事で確認できなかったこと
2026年10月27日時点で、次の点は今回の資料では確認できていません。
- 給料日が認定対象期間より後になる場合の2欄の書き方の全国共通の決まり。確認できたのはハローワーク名古屋東の「内職・就労申立書」の記入例だけです。
- ○の日(就職・就労)の分の基本手当が、受給期間内であれば後の日に受けられるとする全国資料の明文。しおりにあるのは、受給期間内の失業の状態にある日について所定給付日数を限度に支給する、という説明までです。
- 業務委託やフリマアプリでの販売など、雇われずに得た収入で、必要経費をどう扱うか。
- 申告漏れに自分で気づいて届け出た場合の扱い。
- 令和9年8月1日以降の控除額と賃金日額の最低額。
- 全国版のしおりの厚生労働省掲載URL。今回は鹿児島労働局が掲載した版(表紙の記号LL080801保01)を読み、秋田労働局が掲載している原稿版(LL080801保00)と文言を照らし合わせました。審査請求先など一部は鹿児島向けの記載です。
参考資料
- 受給資格者のしおり(LL080801保01、鹿児島労働局掲載版)
- 受給資格者のしおり 原稿版(LL080801保00、秋田労働局掲載)
- ハローワークインターネットサービス 失業認定申告書(様式第14号)
- 厚生労働省 雇用保険制度 Q&A(求職者給付)
- 厚生労働省 雇用保険の基本手当日額の変更(令和8年8月1日から)
- 厚生労働省 雇用保険の基本手当日額の変更 別添資料
- 愛知労働局 失業等給付は正しく受給しましょう(LL080401愛保)
- ハローワーク名古屋東 内職・就労申立書 記入例
- ハローワーク府中 雇用保険説明資料