再就職手当の額は「基本手当日額 × 支給残日数 × 60%または70%」です。支給残日数は、就職日の前日までの失業の認定を受けたあとに残っている日数で数えます。これが所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%、3分の1に届かなければ再就職手当は出ません。
まず自分の所定給付日数と基本手当日額、これまでに基本手当の支給を受けた日数を確かめます。分からなければ、受給手続きをしたハローワークに確認してください。申請は就職日の翌日から1か月以内が原則です。入金はその後、ハローワークの審査を経てからになります。
残り日数は「就職日の前日まで認定を受けた後」で数える
ハローワークの説明では、支給残日数は「就職日の前日までの失業の認定を受けた後の残りの日数」です。所定給付日数から、すでに基本手当の支給対象になった日数を引いた残りと考えます。
厚生労働省のリーフレットには、受給資格決定日から数えた例があります。待期期間は受給資格決定日を含めて7日なので、給付制限のない人が受給資格決定日以後50日目に就職すると、就職日の前日までの支給日数は42日分です。100日目に就職した場合は92日分になります。
- 所定給付日数270日・50日目に就職:残日数は270 − 42 = 228日
- 所定給付日数270日・100日目に就職:残日数は270 − 92 = 178日
給付制限の期間中は基本手当が支給されないため、その間に就職すれば残日数は所定給付日数のままです。リーフレットの例では、所定給付日数90日の人が給付制限期間中に就職すると、残日数は90日です。
注意点が二つあります。
- 延長給付の支給残日数は、再就職手当の残日数には数えません。
- 就職日の前日までの失業の認定を受けていることが条件です。リーフレットは「必ず就職日の前日までの失業の認定を受けてください」としています。
ハローワーク府中は、就職が決まったら就職日の前日(前日が土日祝なら直前の平日)に来所するよう案内しています。この日に、就職日の前日までの給付の支払いと再就職手当の申請手続きの案内を受けます。持参するのは受給資格者証、失業認定申告書、採用証明書(「受給資格者のしおり」の最終ページを切り取って使う)です。採用証明書は、採用者の都合で就職後に証明してもらう場合、後日提出でもよいとされています。他のハローワークの受付日や持ち物は、各所の案内で確認してください。
3分の1・3分の2の境目と、いくらになるか
所定給付日数ごとの境目は、リーフレットの表で次のとおりです。
| 所定給付日数 | 60%になる残日数 | 70%になる残日数 |
|---|---|---|
| 90日 | 30日以上 | 60日以上 |
| 120日 | 40日以上 | 80日以上 |
| 150日 | 50日以上 | 100日以上 |
| 180日 | 60日以上 | 120日以上 |
| 210日 | 70日以上 | 140日以上 |
| 240日 | 80日以上 | 160日以上 |
| 270日 | 90日以上 | 180日以上 |
| 300日 | 100日以上 | 200日以上 |
| 330日 | 110日以上 | 220日以上 |
| 360日 | 120日以上 | 240日以上 |
「60%」の列の日数に届かなければ、再就職手当は出ません。
計算結果の1円未満は切り捨てです。リーフレットの例(基本手当日額4,000円)では、次の額になります。
- 所定給付日数90日・給付制限期間中に就職(残90日):4,000円 × 90日 × 70% = 252,000円
- 所定給付日数270日・残228日:4,000円 × 228日 × 70% = 638,400円
- 所定給付日数270日・残178日:4,000円 × 178日 × 60% = 427,200円
残178日の例は、180日に2日足りないため60%になっています。同じ人でも、就職日が数日違うだけで給付率が変わることがあります。
基本手当日額の上限
再就職手当の計算に使う基本手当日額には、基本手当そのものとは別の上限があります。2026年10月27日に確認した令和8年8月版のリーフレットでは、次の額です。リーフレットには令和9年7月31日までの額と書かれており、毎年8月1日に改定されます。最新額はハローワークインターネットサービスの就職促進給付のページで確認できます。
- 離職時の年齢が60歳未満:6,745円
- 離職時の年齢が60歳以上65歳未満:5,454円
基本手当日額そのものの上限は年齢区分ごとに別に決まっていて、令和8年8月1日現在で30歳未満7,450円、45歳以上60歳未満9,110円などです。自分の基本手当日額がこの再就職手当用の上限を超えている人は、上限額で計算します。
仮に、離職時45歳で基本手当日額が7,000円、所定給付日数90日の人が残90日で就職したとします。計算に使う日額は6,745円になり、6,745円 × 90日 × 70% = 424,935円です。7,000円で計算した441,000円にはなりません。これは仮定の数字による計算例です。
残日数が足りていても対象外になるとき
再就職手当は、次の要件をすべて満たす必要があります。リーフレットの8項目を短くまとめます。
- 受給手続き後、7日間の待期期間が満了したあとに就職、または事業を開始した
- 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
- 離職した前の事業主に再び就職したものではない。前の事業主と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりがある事業主でもない
- 離職理由による給付制限がある人は、待期期間満了後1か月の間、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職した
- 1年を超えて勤務することが確実である
- 原則として、雇用保険の被保険者になっている
- 過去3年以内の就職で、再就職手当または常用就職支度手当を受けていない(事業開始による再就職手当も含む)
- 受給資格決定(求職申込み)より前から採用が内定していた事業主に雇われたものではない
4・5・8は、残日数とは別に、就職の経緯や契約の内容で確かめる要件です。
給付制限がある人の就職経路(4)。 厚生労働省によると、正当な理由のない自己都合退職の給付制限は、退職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月、同年3月31日以前なら原則2か月です(退職日から遡って5年間に2回以上、正当な理由なく自己都合退職して受給資格決定を受けた場合と、重責解雇の場合は3か月)。給付制限がある人は、待期満了後の1か月は、知人の紹介や求人広告への応募で決まった就職は対象外です。この1か月を過ぎてからなら、就職の経路は問われません。教育訓練を受けたことなどで給付制限が解除された場合も、待期満了後1か月の間は紹介による就職であることが必要です。給付制限がない人は、待期期間を過ぎていれば経路を問いません。
1年を超える勤務の見込み(5)。 雇用期間が1年以下で、更新に一定の目標達成が条件付けられている場合や、派遣で雇用期間が決まっていて更新が見込まれない場合は、この要件に当たらないとされています。ハローワーク墨田の書類案内では、有期契約の人は支給申請書の「1年を超えて雇用する見込み」の欄に事業主の証明が必要です。
内定の時期(8)。 支給申請書には採用内定年月日を書く欄があり、受給資格決定日以後の内定であることを確認されます。
待期期間には、待期中に仕事をして失業の状態でなかった日や、失業の認定を受けていない日は含まれません。また、週の所定労働時間が20時間未満で雇用保険に加入しない働き方だった場合、ハローワーク墨田は再就職手当の要件を満たさないと案内しています。
申請は就職日の翌日から1か月以内
再就職手当の支給申請書は、就職した日の翌日から1か月以内に提出します。本人のほか代理人による提出や郵送もできます。
ハローワーク墨田の案内では、申請に使う書類は次のうちハローワークで指定されたものです。
- 受給資格者証
- 採用証明書
- 再就職手当支給申請書
- 離職前事業主との関連についての証明書
- 再就職手当要件確認書
- 失業認定申告書
- 紹介事実証明書(職業紹介事業者に証明してもらう書類)
同ハローワークは、本人が申告した就職日と、会社が証明した雇入日が食い違っていると、申請書類を受理できない場合があるとしています。受給資格者証の就職日、採用証明書の雇入年月日、支給申請書の就職日の3か所を、出す前に見比べてください。
1か月を過ぎたとき
厚生労働省は、雇用保険の給付金の申請期限を過ぎても、時効が完成するまでの2年間は申請できると案内しています。再就職手当の場合、基準日は「1年以上引き続き雇用されることが確実と認められる職業に就いた日の翌日」です。申請期限は基準日から1か月以内、時効は基準日から2年を経過する日までです。以前に期限切れで支給されなかった人も、時効前に再度申請し、要件を満たしていれば支給されます。
ただし、期限内の申請が原則です。厚生労働省は、期限内に申請しないと支給が通常より遅くなったり、他の給付金の返還が生じたりする場合があるとしています。
入金までの流れと、その後に届くもの
申請後の流れは次のとおりです。
- 就職が決まったらハローワークに届け出て、就職日の前日までの認定と、申請書類の案内を受ける
- 採用証明書や支給申請書に事業主の証明をもらう
- 就職日の翌日から1か月以内に、来所または郵送で提出する
- ハローワークが審査し、支給が決まると支給決定通知書が郵送される
入金までの日数を書いた資料は、今回確認した範囲ではハローワーク墨田の令和7年6月1日付の案内だけでした。同ハローワークは、書類の受理後に一定の審査が必要なため、入金まで3週間程度かかると案内しています。処理後は受給資格者証を郵送で返すとしています。他のハローワークでも同じ日数とは限らないため、提出先で確認してください。
支給決定通知書と一緒に、就業促進定着手当の支給申請書が送られてきます。再就職先に6か月以上雇用され、その6か月の賃金の1日分が離職前の賃金日額より低い場合に受け取れる手当です。上限は基本手当日額 × 支給残日数 × 20%(令和7年3月31日以前に再就職した人は別の率)で、ここでいう支給残日数は再就職手当を受ける前の残日数です。申請期間は、再就職した日から6か月経過した日の翌日から2か月間です。
再就職先をすぐ辞めた場合と、3分の1に足りない場合
再就職手当を受けたあとに離職して失業状態になった場合、ハローワークの案内では、再就職手当の分を除いた残日数分の基本手当を受けられる可能性があります。ハローワーク墨田は、受給期間内に再び離職したときは受給期間が満了するまで、残っている範囲内で給付を再開できるとしています。退職日の翌日以降に受給資格者証を持ってハローワークへ行きます。
残日数が3分の1に届かないときは、再就職手当は出ません。障害のある人など就職が困難な人については、残日数が3分の1未満でも、要件を満たせば常用就職支度手当という別の手当があります。対象かどうかはハローワークで確認してください。
この記事で確認できなかったこと
2026年10月27日時点で、次の点は今回の資料では確認できていません。
- 再就職手当の入金までの全国共通の日数。3週間程度という目安はハローワーク墨田の令和7年6月1日付の案内です。
- 再就職手当を受けたあと短期間で辞めた場合に、再就職手当の返還を求められるかどうか。
- 事業を開始した場合の細かな要件。リーフレットには、自営を開始した場合も待期期間満了後1か月の経過後から対象になる、とあります。
参考資料
- ハローワークインターネットサービス 就職促進給付
- 厚生労働省・ハローワーク 再就職手当のご案内(LL080801保02)
- 厚生労働省・ハローワーク 就業促進定着手当のご案内(LL080801保03)
- ハローワークインターネットサービス 基本手当について
- 厚生労働省 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます
- 厚生労働省 雇用保険の給付金は、2年の時効の範囲内であれば、支給申請が可能です
- 厚生労働省 時効についてのリーフレット(LL071001保01)
- ハローワーク府中 再就職した場合の手続きについて
- ハローワーク墨田 再就職手当関係書類の記入方法