勤務先から「今年の年末調整はアプリで出してください」と案内が来たときに探すソフトは、国税庁が無償で配っている**年末調整控除申告書作成用ソフトウェア(通称・年調ソフト)**です。令和8年分の正式版は令和8年10月1日に公開されていて、各ストアで「年末調整 国税庁」と検索すれば入手できます。
ただ、先に勤務先へ聞くほうが早いことが一つあります。 国税庁の準備案内は、使うソフトについて「利用するソフトウェア等については勤務先に確認してください」としています。年調ソフト以外の民間ソフトを指定している会社もあるため、入れてから違ったという事故が起きます。最初に確認するのは、勤務先からの年末調整の案内文です。
利用前に確認したい不具合のお知らせ
国税庁は2026年10月22日付のお知らせ(PDF)で、令和8年分の年調ソフトに2つの事象があると公表しました。23歳未満の扶養親族等について「他の所得者の控除対象」を「はい」とし、所得の見積額が62万円を超えるなど、記載された条件がそろう場合に、所得の見積額が0円となり、所得金額調整控除や生命保険料控除が正しく計算されないことがあります。該当する場合は、お知らせの条件と影響を確認し、勤務先に相談してください。
もう1つはAndroid端末での書面出力時に画面が黒くなり、PDFを閲覧できない事象です。国税庁は暫定対応として「電子データで出力する」を選び、メールソフトに連携されたPDFを保存して閲覧する方法を案内しています。いずれも11月中旬頃の修正・再リリース予定とされていますが、予定は変わる可能性があるため、利用時点の最新案内を確認してください。
まず勤務先に聞くこと
国税庁の「年末調整手続の電子化へ向けた準備」は、勤務先と従業員の準備を分けて書いています。従業員側の一つ目はソフトの取得で、原文はこうです。
保険会社等から取得する控除証明書等データを利用して年末調整申告書データを作成するためのソフトウェア(国税庁が提供する「年末調整控除申告書等作成用ソフトウェア」など)を取得します(利用するソフトウェア等については勤務先に確認してください。)。
同じページは、従業員が提供する年末調整申告書データは「国税庁から提供する年調ソフトだけでなく、仕様公開を通じ同様の仕組みを取り込んだ民間のソフトウェアでも作成することができます」としています。つまり、国税庁の年調ソフトは選択肢の一つで、会社が別のソフトを使っている可能性があります。
勤務先に聞くことは三つです。
- どのソフトで申告書データを作るのか(年調ソフトか、会社が指定する別のソフトか)
- できたデータをどう渡すのか(勤務先のシステムへの取り込み方は会社ごとに違います)
- いつまでに出すのか
なお、電子化そのものに同意を求められていないことを不審に思う必要はありません。同じページは、勤務先が電子データで提供を受けるにあたり「法令上は事前に従業員から同意を得る必要はありません」としています。
令和8年分の年調ソフトの入手先
国税庁のページは、入手方法を二段構えで書いています。
1.各ストアから。 App Store/Google Play Store/Microsoft Storeで「年末調整 国税庁」と検索します。スマートフォンの場合は、国税庁ページに載っているQRコードのリンク先からも入手できます(AndroidとiOSで別のリンクです)。
2.ストアから入手できないパソコンの場合。 国税庁ページのリンクからZipを落とします。令和8年分として載っているのは次のとおりです。
| 対象 | 版 | ファイル | 更新日 |
|---|---|---|---|
| Windows | 令和8年分 年調ソフト(Ver.7.0.1) | Zip形式 24.73MB | 令和8年10月1日 |
| Macintosh(macOS) | 令和8年分 年調ソフト(Ver.7.0.0) | Zip形式 11.56MB | 令和8年10月1日 |
| Windows(2で正常にインストールできない場合) | 令和8年分 証明書インストーラ等 | Zip形式 25.26MB | 令和8年10月1日 |
WindowsとmacOSで版番号が違います(7.0.1と7.0.0)。同じページには、インストール手順・操作マニュアル(パソコン版)・操作マニュアル(スマートフォン版)・変更履歴のPDFが、いずれも令和8年10月1日の更新日で並んでいます。
対応する年分も確認してください。国税庁の記載は次のとおりです。
令和8年分の年末調整ソフトは、令和8年12月1日以後に行われる令和8年分の年末調整に対応しています。
勤務先の締切が11月でも、ソフト自体は令和8年分の年末調整に向けたものです。前年分のソフトが入ったままの端末なら、令和8年分を入れ直すところから始まります。
控除証明書のデータをどう集めるか
ここがいちばん分かれます。国税庁の準備案内は、従業員側の二つ目を「控除証明書等データの取得(マイナポータル連携を利用しない場合のみ)」という見出しで書いています。
- マイナポータル連携を使う場合:申告書データの作成中に、民間送達サービスに送達された複数の控除証明書等データをマイナポータルを通じて一括で取得します。このため、保険会社などから個別にデータを取りに行く手続きは不要になります。
- マイナポータル連携を使わない場合:保険会社等のホームページ等から控除証明書データを取得します。原文は「具体的な取得方法は保険会社等により異なります」としていて、取り方は会社ごとに違う前提です。
マイナンバーカードが間に合わない人の扱いも書かれています。案内は、カードの取得が間に合わないなどでマイナポータル連携による取得ができない場合は、契約している保険会社等のホームページ等からデータを取得するよう勤務先が周知することとしています。カードがないと電子データで出せない、という書き方にはなっていません。
自分の保険会社がデータを出せるかどうかは、国税庁サイトの「電子化対応保険会社」のページに一覧があります(今回はこの一覧の中身までは確認していません)。マイナポータル連携の事前準備についても、国税庁は別の特設ページを案内先として示しています。どちらも、契約している会社名を手元に置いてから開くほうが早く済みます。
入れたあと、使う前に見ておくもの
国税庁は年調ソフトに関する事象をお知らせしています。この記事では10月22日付のPDFを確認し、内容を上の「利用前に確認したい不具合のお知らせ」に整理しました。利用前には国税庁のページで、その後の更新や修正状況も確認してください。
印刷したときの見た目も先に知っておくと安心です。国税庁は注記で、年調ソフトで出力される書面印刷用の控除申告書について「国税庁ホームページに掲載している様式と見た目が異なりますが、法令上問題はありません」としています。見慣れた様式と違っても、それ自体は問題になりません。ただし紙で提出してよいかは勤務先の運用次第です。
操作で詰まったときの電話
国税庁は、年末調整手続の電子化と年調ソフトの操作方法について電話の窓口を設けています。令和8年10月22日のおしらせで「年調ソフトヘルプデスクを開設しました」と告知されたものです。
- 電話番号:0570-02-4563(ナビダイヤル)
- 受付時間:9時00分〜17時00分
- 受付日:9月1日〜9月30日は月曜〜金曜(祝日等を除く)/10月1日〜12月28日は毎日/1月4日〜1月29日は月曜〜金曜(祝日等を除く)
ナビダイヤルなので通話料がかかります。ここは公式ページの中で数字が揃っていません。 表には「固定電話から 9.35円/3分」「携帯電話から 99円/3分」「公衆電話から 50円/3分20秒」とある一方、同じページの注に「携帯電話からの通話料金は2026年10月1日より22円/30秒(132円/3分)に改定されます」と書かれています。今日は改定日より後なので、携帯からかけるなら3分で132円のほうを見ておくのが安全です。注にはもう一点、「携帯電話の定額制プランのご利用の場合であっても、定額料金のほか上記料金が発生します」とあります。かけ放題でも別途かかるという意味です。
長くなりそうな相談は固定電話から、というのが素直な使い分けになります。
この記事が答えていないこと
- 勤務先のシステムへのデータの渡し方:取り込み方や提出経路は勤務先ごとに違います。国税庁のページは、勤務先側で給与システム等の改修を行う前提を書いているだけです。
- 各控除の金額の計算:ここでは扱っていません。年調ソフトは控除申告書を作るソフトで、税額の計算は勤務先側で行われます。
- ソフトの画面の順番や項目名:操作マニュアル(パソコン版・スマートフォン版)が国税庁の同じページに置かれています。実際の画面は今回確認していないため、画面名は書いていません。
- 確定申告でのマイナポータル連携:年末調整とは別の手続きです。
参考資料
- 国税庁「年末調整手続の電子化に向けた取組について」:令和8年分の年調ソフトの入手方法、版番号と更新日、マニュアル、印刷時の様式の注記、おしらせ
- 国税庁「年末調整手続の電子化へ向けた準備」:勤務先と従業員の準備の分担、使うソフトの確認、控除証明書等データの取得方法
- 国税庁「ヘルプデスク」:電話番号、受付時間と受付日、ナビダイヤルの通話料