要介護認定を受けただけでは、障害者控除の対象になるかは決まりません。 65歳以上の方が自治体の認定を使う場合は、お住まいの市区町村へ、対象年と障害の状態を伝えて相談します。年末調整に使いたい方は、勤務先の提出期限も確認しておきましょう。
要介護認定と、税の障害者認定は別です
国税庁No.1185は、要介護認定だけでは障害者控除の対象にならない一方、要介護認定の有無にかかわらず、税法上の要件に当てはまれば対象になると説明しています。
自治体の認定を使うのは、精神または身体に障害がある満65歳以上の方が、国税庁No.1160に示された障害者に準ずるとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受ける経路です。単に65歳以上で要介護認定があればよい、という条件ではありません。
手帳など別の要件で控除を受けられる方もいます。名古屋市は、手帳などにより障害者控除を受けられる方には、この認定申請は不要と案内しています。
また、認定される人と税の控除を受ける人は区別します。対象は納税者自身、同一生計配偶者または扶養親族です。親について子が控除を受ける場合は、親が税法上の扶養親族に当たるか、生計や対象年の所得なども確認します。認定書を取得しただけで家族全員が控除を受けられるわけではありません。
12月31日は状態の基準日で、交付期限ではありません
横浜市と大田区は、認定基準日を控除を受ける対象年の12月31日とし、対象年中に亡くなった場合は死亡日としています。いつの状態を判定するかと、いつ申請し、いつ認定書が交付されるかは別です。
大田区の案内は、次のように分けて読む必要があります。
- 申請時期:対象年の認定書は翌年1月最初の開庁日以降。亡くなった方は死亡日以降。
- 年末調整に使う場合の相談:対象年の10月1日以降。
翌年1月の記載を「通常の交付時期」と読み替えたり、10月に相談すれば年内に必ず交付されると考えたりしないでください。年末調整の期限を伝え、申請できる時期と交付の見込みを窓口に確認します。この日程は大田区の案内であり、他の自治体にも共通するとは限りません。
国税庁には、65歳以上の方が認知症を理由に、認定を受けた前年分へさかのぼる場合の質疑応答もあります。前年12月31日に認定を受けられる程度の障害があり、かつ申告時に認定を申請中であれば、適用して差し支えないとしています。認定書の年内交付を一律の条件とする説明ではありません。ただし、この回答をすべての認定申請へ広げず、該当する年分と状態を税務署に伝えて確認してください。
自治体には、対象年・状態・申請方法を確認します
具体的な基準や申請書類は自治体の案内に従います。例えば横浜市は、市内に居住・住民登録があり、基準日時点で満65歳以上で、身体の障害や認知症の状態などが所定の基準に当たることを条件としています。大田区は介護認定の資料等を参考に判断し、申請前に管轄の地域福祉課へ電話で対象となるか確認するよう案内しています。
まず、次の内容を手元にまとめておくと相談しやすくなります。
- 認定を受けたい方の住所・生年月日、控除を使いたい年分
- 手帳の有無、要介護認定の状況、心身の状態
- 申請する人と本人の関係、代理申請に必要な書類
- 年末調整に使う場合は勤務先の提出期限
横浜市の申請先は各区福祉保健センターの高齢・障害支援課で、申請書、対象者の介護保険被保険者証、来庁者の本人確認書類を案内しています。被保険者証がない場合や、代理人・使者が来庁する場合は事前に問い合わせます。これを全国共通の持ち物とはしないでください。
認定書を翌年も使えるかも、交付元へ確認します。名古屋市は、障害事由に変更・消滅がない限り次年度以降も使えるとしています。基準日が対象年ごとにあることから、全国一律に毎年の再申請が必要とは判断できません。
控除額と、実際に戻る税金は違います
障害者控除は、税額そのものではなく、税金を計算する所得から差し引く所得控除です。
| 区分 | 所得税 | 市民税・県民税 |
|---|---|---|
| 障害者 | 27万円 | 26万円 |
| 特別障害者 | 40万円 | 30万円 |
| 同居特別障害者 | 75万円 | 53万円 |
同居特別障害者は、特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族が、納税者自身、配偶者、または納税者と生計を一にする他の親族と普段から同居している場合です。本人が家族と同居しているという理由だけで、本人の所得税の控除額が75万円になるわけではありません。
27万円の控除で27万円が返金されるわけではありません。 国税庁No.2030は、源泉徴収や予定納税で納めた所得税が年税額より多い場合に還付を受けられると説明しています。納めた所得税がなければ、認定書を取得して申告しても所得税の還付はありません。住民税への影響や申告は、所得税とは別に市区町村の税窓口へ確認します。
年末調整に反映できない場合は、申告方法を確認します
給与所得者の年末調整では、勤務先が扶養控除等申告書の情報から障害者控除を確認します。勤務先には、どの年分の控除を受けたいか、認定書の取得状況、必要な申告書と書類の提出期限を伝えてください。
年末調整に反映できなければ、税務署に確定申告の方法を確認します。申告義務のない方の還付申告は、原則として対象年の翌年1月1日から5年間です。ただし、申告期限が要件となる別の特例を使う場合などは期限が異なります。すでにその年分の確定申告を提出している場合も、同じ申告を出し直すのではなく、税務署へ手続きを尋ねてください。
相談先は、認定書の対象・交付は自治体の福祉窓口、年末調整の書類は勤務先、所得税の申告は税務署、住民税は自治体の税窓口と分けます。認定書が届いたら、本人の情報、対象年・認定区分を確認し、申告でその内容が反映されているところまで確かめましょう。