65歳を過ぎて退職したら失業保険はどうなる?高年齢求職者給付金の30日分・50日分と、年金との関係

この記事の要点

65歳以上で雇用保険に入っていた人が離職すると、基本手当日額の50日分(被保険者であった期間が1年未満なら30日分)が一時金で出ます。受給期限は離職日の翌日から1年で延長できません。65歳からの老齢年金は、受け取っても止まりません。

  1. 65歳以上の被保険者(高年齢被保険者)が離職したときは、基本手当ではなく高年齢求職者給付金が一時金で出る
  2. 額は基本手当日額の50日分。被保険者であった期間が1年未満なら30日分
  3. 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あり、失業の状態にあることが条件。住所を管轄するハローワークで求職の申込みをして、受給資格の決定を受ける
どうする?編集部 · · 読了 約7分
目次(8項目)
  1. 65歳前の離職と何が違うか
  2. 受け取れる人・受け取れない人
  3. いくらになるか
  4. 手続きの流れと、受給期限の1年
  5. 手続きが遅れると減る
  6. 年金との関係
  7. この記事で確認できなかったこと
  8. 参考資料

65歳以上で雇用保険に入っていた人が仕事を辞めると、受け取るのは基本手当(いわゆる失業保険)ではなく、高年齢求職者給付金という一時金です。額は基本手当日額の50日分で、被保険者であった期間が1年未満なら30日分になります。

65歳からの老齢年金は、この一時金を受け取っても止まりません。受け取れる期限は離職日の翌日から1年で、延長できないため、離職票が届いたら住所を管轄するハローワークで早めに求職の申込みをします。

65歳前の離職と何が違うか

ハローワークの説明では、65歳以上の被保険者で、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者にならない人を「高年齢被保険者」といいます。高年齢被保険者が失業したときは、一般の被保険者とは異なり、被保険者であった期間に応じて基本手当日額の30日分または50日分に相当する高年齢求職者給付金が支給されます。

一般の被保険者(基本手当)高年齢被保険者(高年齢求職者給付金)
日数所定給付日数。年齢・被保険者であった期間・離職理由などで、90日〜360日の間で決まる被保険者であった期間が1年以上なら50日分、1年未満なら30日分を一時金で
必要な被保険者期間原則、離職の日以前2年間に通算12か月以上離職の日以前1年間に通算6か月以上
受け取れる期限受給期間は原則、離職の日の翌日から1年間。病気などで引き続き30日以上働けないときは延長できる受給期限は離職の日の翌日から1年。延長できない
年金との関係65歳になるまでの老齢厚生年金を受けている人は、求職の申込みをすると年金が全額支給停止年金と併給できる

高年齢求職者給付金の失業の認定は、一般の受給資格者とは異なり1回限りです。

被保険者期間は、離職日から1か月ごとに区切った期間のうち、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月を1か月と数えます。11日以上の月が6か月に満たない場合は、賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として数えます。

受け取れる人・受け取れない人

厚生労働省の高年齢求職者給付金のリーフレットは、次の二つをすべて満たすことを条件にしています。

  1. 離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること
  2. 失業の状態にあること

そのうえで、住所を管轄するハローワークに行き、求職の申込みをして、高年齢受給資格の決定を受ける必要があります。

ここでいう失業の状態とは、就職したいという積極的な意思と、いつでも就職できる能力(健康状態・家庭環境など)があり、積極的に求職活動をしているのに就職できない状態です。同じリーフレットは、原則として支給を受けられない人の例として、次のような人を挙げています。

  • 家事に専念する人
  • 次の就職が決まっている人
  • 雇用保険の被保険者とならないような短時間の仕事だけを希望する人
  • 会社の役員などに就任している人(就任の予定や名義だけの役員も含む)
  • 就職・就労中の人(試用期間を含む)
  • パート・アルバイト中の人(週の労働時間が20時間未満なら、支給を受けられる場合がある)
  • 同じ事業所で就職と離職を繰り返していて、再びその事業所に就職する予定がある人

就職する意思・能力がないと判断されると、その状態が続く限り支給されません。

いくらになるか

支給額は「基本手当日額 × 50日(または30日)」です。基本手当日額は、原則として離職前6か月に毎月決まって支払われた賃金(賞与などは除く)の合計を180で割った賃金日額をもとに計算されます。愛知労働局のリーフレットでは、賃金日額のおよそ5〜8割で、賃金の低い人ほど高い率になり、上限額・下限額が定められているとしています。

仮に基本手当日額が5,000円で、被保険者であった期間が1年以上なら、5,000円 × 50日 = 250,000円です。これは仮定の数字による計算例です。自分の基本手当日額は、手続きをするハローワークで確認してください。

手続きの流れと、受給期限の1年

手続きは本人が、住所を管轄するハローワークで行います。厚生労働省の高年齢求職者給付金のリーフレットで持参するものとされているのは、次の4点です。

  • 離職票-1、離職票-2
  • マイナンバーカード(ない場合は、個人番号確認書類と身元確認書類)
  • 写真1枚(縦3.0cm×横2.4cm。手続きと認定日にマイナンバーカードを提示する場合は省略できる)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード(一部の金融機関を除く)

手続きのあとは、次の順に進みます。

  1. 離職票の提出と求職の申込みをした日から、失業の状態にあった日が7日間たつまでは支給されない(待期)
  2. 正当な理由のない自己都合で退職した場合は、待期のあとさらに給付制限の期間は支給されない(期間は下で説明)
  3. 待期と給付制限が終わる見込みの日より後に、ハローワークが指定する失業の認定日に出向き、失業の状態にあることの確認を受ける
  4. 認定を受けると支給が決まり、指定した口座に振り込まれる

給付制限の期間は、厚生労働省のパンフレット「離職されたみなさまへ」によると、離職日が令和7年4月1日以降なら原則1か月、同年3月31日以前なら原則2か月です。離職日からさかのぼって5年間のうちに2回以上、正当な理由なく自己都合で離職して受給資格決定を受けていた場合と、懲戒解雇された場合は3か月になります。

愛知労働局のリーフレットによると、認定日には本人がハローワークへ行き、就職や就労の事実、求職活動などの状況を申告します。認定は1回だけですが、認定日までに働いた日があって待期が終わっていないときは、改めて認定日が指定されます。振込は、失業の認定日の翌日から金融機関の営業日で数えておおむね5日後と案内されています(令和5年版のリーフレットの記載です)。

手続きが遅れると減る

受給期限は離職の日の翌日から1年です。高年齢求職者給付金のリーフレットは、求職申込みの手続きが遅れた場合、50日分(または30日分)の支給を受けられなくなることがあるとしています。図の例では、認定日から受給期限までが15日しかなく、15日分だけが支給され、受給期限を過ぎた35日分は支給されていません。

厚生労働省のパンフレット「離職されたみなさまへ」は、高年齢求職者給付金の受給期限は延長できないとしています。病気などで受給期間を延長できる基本手当とは扱いが異なるため、退職後しばらく休むつもりでも、受給期限と給付制限の期間を逆算しておいてください。

雇用保険の手続きの受付は月曜日〜金曜日(休祝日・年末年始を除く)の8時30分〜17時15分です。求職申込みにも時間がかかるため、高年齢求職者給付金のリーフレットは16時前の来所を勧めています。

年金との関係

雇用保険の失業給付と同時に受けられない年金として日本年金機構が挙げているのは、65歳になるまでの年金(特別支給の老齢厚生年金、繰上げ支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)、特別支給の退職共済年金)です。厚生労働省のパンフレット「離職されたみなさまへ」も、同時に受けられないのは65歳未満の人に支給される特別支給の老齢厚生年金・退職共済年金と基本手当だとしています。65歳以上を雇用保険の対象に加えたときの厚生労働省の平成28年のリーフレットには、高年齢求職者給付金は受給要件を満たすごとに支給され、「年金と併給可」と書かれています。

65歳になる前に離職して基本手当の手続きをする場合は、日本年金機構の案内で次のように扱われます。

  • 65歳になるまでの老齢厚生年金を受けている人がハローワークで求職の申込みをすると、実際に基本手当を受けたかどうかに関係なく、申込みをした月の翌月から、加給年金額も含めて年金が全額支給停止される
  • 支給停止は、失業給付の受給期間が経過した月、または所定給付日数を受け終わった月まで続く
  • 基本手当を受けなかった月の分は、すぐには支払われず、3か月程度後の支払いになる
  • 基本手当を受けた日数に比べて停止された月数が多い場合は、受給期間の経過後などに、さかのぼって年金が支払われる(事後精算)
  • この調整のための年金事務所への届出は原則不要。ただし、年金請求時に雇用保険被保険者番号を持っていなかった場合などは「老齢厚生・退職共済年金受給権者 支給停止事由該当届」が必要

名前が似ている高年齢雇用継続給付は、原則として雇用保険に5年以上加入している60歳から65歳になるまでの人のうち、賃金が60歳到達時の75%未満に下がった人を対象にした、高年齢求職者給付金とは別の給付です。

この記事で確認できなかったこと

2026年10月27日時点で、次の点は今回の資料では確認できていません。

  • 65歳以上で離職した人の基本手当日額の上限額。ハローワークの基本手当のページに載っている上限額(令和8年8月1日現在)は、60歳以上65歳未満までの区分です。
  • 65歳の誕生日の前後で退職日を決める場合に、どの日を境に高年齢被保険者として扱われるか。退職日を調整する前に、ハローワークで確認してください。
  • 高年齢求職者給付金の振込までの全国共通の日数(全国向けのパンフレットにある「おおむね1週間程度」は基本手当についての記載です)。おおむね5日後という目安は愛知労働局の令和5年版のリーフレットの案内です。

参考資料

Photo by Kelly Sikkema on Unsplash

参考資料

  1. ハローワークインターネットサービス 基本手当について
  2. 厚生労働省・ハローワーク 離職されたみなさまへ(PL071030保01)
  3. 厚生労働省・ハローワーク 離職されたみなさまへ<高年齢求職者給付金のご案内>(LL071030保01)
  4. 愛知労働局・ハローワーク 高年齢求職者給付金はこんな制度です!(LL050401愛保)
  5. 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク 雇用保険の適用拡大等について(LL280909保02)
  6. 日本年金機構 年金と雇用保険の失業給付との調整
  7. 日本年金機構 失業給付・高年齢雇用継続給付を受けるとき
  8. 日本年金機構 雇用保険の給付を受けると年金が止まります!(失業給付・高年齢雇用継続給付の手続きをされた方へ)

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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