年末調整の地震保険料控除。火災保険料は対象外で、書くのは地震保険の部分だけ。控除は最高5万円、古い長期契約は旧長期損害保険料として最高1万5千円

この記事の要点

年末調整の保険料控除申告書に書くのは、控除証明書に載っている地震保険料(地震等損害部分)だけです。年間5万円までは全額、超えると5万円が控除額です。平成18年までに結んだ満期返戻金付きの10年以上の契約で、平成19年以後に契約を変更していないものは旧長期損害保険料として別に計算し、合わせて最高5万円になります。

  1. 控除の対象は、地震・噴火・津波による損害を補償する部分の保険料(地震保険料)。火災保険の保険料は、平成19年分から対象外
  2. 地震保険料の控除額は、年間の支払額が5万円以下なら全額、5万円を超えれば一律5万円
  3. 平成18年12月31日までに結んだ満期返戻金付きで保険期間10年以上の契約で、平成19年1月1日以後に変更していないものは、旧長期損害保険料として最高1万5千円。地震保険料と合わせて最高5万円。一つの契約で両方あるときはどちらか一方を選ぶ
どうする?編集部 · · 読了 約7分
目次(13項目)
  1. 対象になるのは「地震等損害部分」の保険料
  2. 保険会社の保険だけでなく共済も入る
  3. 家屋と家財の条件
  4. 保険料は本人が払ったもの
  5. 控除額の計算
  6. 平成18年までの長期契約は「旧長期損害保険料」
  7. 一つの契約で両方あるときは、どちらか一方を選ぶ
  8. 保険料控除申告書の書き方
  9. 証明書は金額にかかわらず必要
  10. 年末調整で間に合わなかったら確定申告
  11. 確認の順番
  12. この記事で確認できなかったこと
  13. 参考資料

年末調整の保険料控除申告書で地震保険料控除の欄に書くのは、地震保険の部分の保険料だけです。火災保険とセットで払っていても、火災保険の保険料は入りません。国税庁のタックスアンサーNo.1145は、控除の対象を特定の損害保険契約等に係る「地震等損害部分の保険料または掛金」としています。火災保険などの損害保険料控除は、平成19年分から廃止されています。

控除額は、その年に払った地震保険料が5万円以下なら全額、5万円を超えれば一律5万円です。例外として、平成18年までに結び、その後変更していない古い長期契約の保険料は「旧長期損害保険料」として最高1万5千円まで控除でき、地震保険料と合わせて最高5万円になります。

この記事では、どの保険料が対象になるか、保険料控除申告書のどこに何を書くか、証明書が間に合わないときにどうするかを順に確かめます。

対象になるのは「地震等損害部分」の保険料

令和8年分の保険料控除申告書の裏面は、地震保険料を次のように説明しています。本人または本人と生計を一にする親族の家屋で常時その居住の用に供しているものや、これらの人の生活に通常必要な家財を保険や共済の目的とし、地震もしくは噴火またはこれらによる津波を直接または間接の原因とする火災、損壊、埋没または流失による損害(地震等損害)で生じた損失を補塡する保険金や共済金が支払われる契約について、本人がその年に支払った保険料や掛金のうち、地震等損害部分の保険料や掛金です。

火災保険と地震保険の保険料をまとめて払っている場合も、控除に使うのは地震保険の部分です。損害保険会社が送ってくる地震保険料控除証明書に、控除の対象になる保険料が書かれています。No.1146も、支払った損害保険料が地震保険料控除の対象になるかは保険会社などから送られてくる証明書で確認できるとしています。

保険会社の保険だけでなく共済も入る

No.1146は、対象になる契約として、損害保険会社の損害保険契約のほか、農業協同組合などの建物更生共済契約や火災共済契約、火災等共済組合の火災共済契約、消費生活協同組合連合会の火災共済契約や自然災害共済契約などを挙げています。これらの契約に附帯して結ばれる、地震等損害を補償する部分が対象です。共済でも、地震保険料控除の対象になる部分は証明書で確かめます。

家屋と家財の条件

対象の家屋は、本人または生計を一にする親族が持ち、常時住んでいる家屋です。家財は、これらの人の生活に通常必要な家具、じゅう器、衣服などの生活用動産です(No.1146)。

保険料控除申告書の記載例は、保険の対象になった家屋に住んでいる人や家財を使っている人が、本人または生計を一にする親族であることが必要だとしています。申告書の地震保険料控除の欄には「保険等の対象となった家屋等に居住又は家財を利用している者等の氏名」を書く列があります。

保険料は本人が払ったもの

「年末調整のしかた」は、地震保険料控除の対象を「所得者本人が支払ったもの」に限っています。勤務先が負担した地震保険料で給与として課税されるものは、本人が支払ったものとして扱われます。

その年に実際に払った額が対象です。剰余金の分配や割戻金を受けた場合は、払った保険料から差し引いた残りが控除の対象です。払込期日が来ても実際に払っていない保険料は入らず、翌年以後の分をまとめて払う「前納保険料」は、本年中に到来する払込期日の回数で按分した額がその年の分になります(生命保険料と同じ扱い)。

控除額の計算

No.1145と「年末調整のしかた」の計算方法は次のとおりです。

区分年間の支払保険料の合計控除額
地震保険料50,000円以下支払金額の全額
地震保険料50,000円超一律50,000円
旧長期損害保険料10,000円以下支払金額の全額
旧長期損害保険料10,000円超20,000円以下支払金額×1/2+5,000円
旧長期損害保険料20,000円超15,000円
両方がある場合-それぞれ計算した金額の合計(最高50,000円)

控除額の計算で1円未満の端数が出たら切り上げます(「年末調整のしかた」)。

「年末調整のしかた」の計算例では、地震保険料の合計が42,000円、旧長期損害保険料の合計が14,800円の人の控除額を、42,000円+(14,800円×1/2+5,000円)=54,400円とし、最高額の50,000円に抑えています。

平成18年までの長期契約は「旧長期損害保険料」

火災保険などの保険料を対象にしていた損害保険料控除は、平成18年の税制改正で平成19年分から廃止されました。No.1145は経過措置として、次の要件をすべて満たす長期損害保険契約等の保険料を、地震保険料控除の対象にできるとしています。

  1. 平成18年12月31日までに結んだ契約(保険期間または共済期間の始期が平成19年1月1日以後のものを除く)
  2. 満期返戻金等のあるもので、保険期間または共済期間が10年以上の契約
  3. 平成19年1月1日以後に契約の変更をしていないもの

該当するかどうかは、証明書の区分で「旧長期」とされているかで確かめてください。

一つの契約で両方あるときは、どちらか一方を選ぶ

一つの契約で地震保険料と旧長期損害保険料の両方を払っている場合は、選択によってどちらか一方の控除だけを受けます(No.1145)。両方を足すことはできません。

国税庁の質疑応答事例は、一つの契約で地震保険料10,000円と旧長期損害保険料17,000円を払っている例を挙げています。地震保険料で計算すると10,000円、旧長期損害保険料で計算すると17,000円×1/2+5,000円=13,500円なので、旧長期損害保険料を選んで13,500円とすることができる、という回答です。どちらが有利かは、両方で計算して比べます。

保険料控除申告書の書き方

保険料控除申告書の記載例は、地震保険料控除の欄に、保険会社等の名称、保険等の種類などを地震保険料控除証明書や契約証書を参考に書くとしています。「地震保険料又は旧長期損害保険料区分」欄には、証明書に書かれている適用制度の区分に○を付けます。

欄の下には、本年中に支払った保険料等の合計(Ⓐ)のうち地震保険料の合計(Ⓑ)と旧長期損害保険料の合計(Ⓒ)を分けて書き、Ⓑは最高5万円、Ⓒは10,000円を超えればⒸ×1/2+5,000円(最高15,000円)で計算し、合計して最高5万円を控除額にする計算欄があります。

証明書は金額にかかわらず必要

「年末調整のしかた」は、地震保険料については保険料の金額の多少に関係なく、支払ったことを証明する書類(または電子証明書等に係る電磁的記録印刷書面)を保険料控除申告書に添付するか提示する必要があるとしています。

証明書が届いていない、再発行を頼んでいるといった理由で年末調整に間に合わない場合は、翌年1月末日までに提出または提示することを条件に、地震保険料の控除をして年末調整を行ってもよいことになっています。期限までに出さなかった場合は、その保険料を除いて年末調整をやり直し、不足額を徴収すると手引きは書いています。

年末調整で間に合わなかったら確定申告

年末調整のあと、その年のうちに地震保険料を払った場合は、保険料控除申告書で申告して年末調整をやり直してもらえます。やり直しができるのは、源泉徴収票を交付することになる翌年1月末日までです(「年末調整のしかた」)。

年末調整で控除しなかった地震保険料は、確定申告で控除できます。No.1145は、確定申告では申告書の地震保険料控除の欄に記入し、証明書類を添付するか申告の際に提示するよう求めています。年末調整で控除された分は、確定申告で改めて証明書を出す必要はありません。

確認の順番

  1. 届いた証明書が地震保険料控除証明書か、区分が「地震」か「旧長期」かを確かめる
  2. 保険の対象の家屋に住んでいるのが自分か生計を一にする親族か、家財が生活用のものかを確かめる
  3. 保険料を自分が払っているかを確かめる
  4. 証明書の控除対象の保険料を保険料控除申告書に写す。火災保険の部分は書かない
  5. 一つの契約で地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合は、両方で計算して有利な方を選ぶ
  6. 合計して5万円を超える分は控除されない
  7. 証明書が間に合わなければ勤務先に伝え、翌年1月末日までに出す

この記事で確認できなかったこと

2026年11月2日時点で、次の点は今回読んだ国税庁の資料では確かめられていません。

  • 長期契約の保険料をまとめて払った場合に、それが「一時払」として払った年に全額控除できるのか、「前納保険料」として毎年按分するのかを見分ける基準。保険料控除申告書の記載例は一時払で5年間の契約の証明書を例に挙げていますが、その区別を説明した記述はありません。証明書の控除対象の金額を使ってください。
  • 自宅の一部を店舗や事務所に使っている場合に、地震保険料をどう分けるか。
  • 単身赴任で家族が住む自宅の地震保険料が「常時その居住の用に供する」家屋に当たるかどうか。
  • 住民税の地震保険料控除の額。住んでいる市区町村に確認してください。

参考資料

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参考資料

  1. 国税庁 タックスアンサーNo.1145 地震保険料控除
  2. 国税庁 タックスアンサーNo.1146 地震保険料控除の対象となる保険や共済の契約
  3. 国税庁 質疑応答事例 地震保険料控除に関する経過措置
  4. 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた
  5. 国税庁 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書
  6. 国税庁 令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書の記載例

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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