教育訓練給付金は、受講前の手続きが講座の種類で分かれます。専門実践教育訓練と特定一般教育訓練は、訓練前キャリアコンサルティングでジョブ・カードの交付を受け、受講開始日の2週間前までにハローワークで受給資格確認をしておかないと給付を受けられません。一般教育訓練には受講前の手続きがなく、修了日の翌日から1か月以内に支給申請をするだけです。
最初にするのは、受けたい講座がどの種類に指定されているかの確認です。そのうえで、雇用保険の加入期間が足りているかを確かめます。受講の申込みや入学金の支払いを済ませてから気づいても、2週間前の期限は動きません。
講座の種類は、自分ではなく講座で決まる
教育訓練給付金の対象は、厚生労働大臣の指定を受けた講座だけです。指定はレベルなどに応じて3種類に分かれていて、同じ資格を目指す講座でも、学校やコースによって種類が違うことがあります。厚生労働省のリーフレットでは、介護職員初任者研修が特定一般と一般の両方の例に挙がっています。
どの講座が何に指定されているかは、厚生労働省の教育訓練講座検索システムで調べられます。学校のパンフレットに「給付金対象」とあっても、検索システムで種類と指定期間を見ておきます。受講開始日が指定を受けた期間内であることも条件です。
ここでいう受講開始日は、通学制なら講座の所定の開講日、通信制なら教材などの発送日で、どちらも教育訓練の実施者が証明する日です。本人が初めて出席した日とは限りません。パンフレットは、受給資格の可否を決める重要な日付なので、申込みは余裕をもって行うよう書いています。
3種類の違い
ハローワークと厚生労働省の案内をまとめると、次のようになります。
| 一般教育訓練 | 特定一般教育訓練 | 専門実践教育訓練 | |
|---|---|---|---|
| 給付率 | 20% | 40%、資格取得・就職で50% | 50%、資格取得・就職で70%、さらに賃金上昇で80% |
| 上限 | 10万円 | 20万円(50%の場合は25万円) | 年間40万円(70%は56万円、80%は64万円) |
| 受講前の手続き | なし | キャリアコンサルティング+受給資格確認 | キャリアコンサルティング+受給資格確認 |
| 初めて受ける人の加入期間 | 1年以上 | 1年以上 | 2年以上 |
| 支給の時期 | 修了後 | 修了後 | 受講中も6か月ごと |
上限額は、2026年10月27日にハローワークインターネットサービスの教育訓練給付金のページと、令和8年8月版のパンフレットで確認した額です。改正で変わることがあるため、受講を決める前にこのページで最新の額を見てください。
どの種類でも、給付額が4千円を超えない場合は支給されません。専門実践の給付は最大3年分で、上限は192万円です。10年の間に複数回専門実践を受ける場合も、最初の受講開始日から10年間の合計は192万円が限度です。法令上最短4年の課程(専門職大学、管理栄養士の養成課程など)には、4年目分の上乗せがある場合があります。
対象講座の例として、厚生労働省のリーフレットは次のようなものを挙げています。
- 専門実践:看護師・准看護師、介護福祉士、保育士、美容師などの養成課程、専門職大学院(MBAなど)、ITSSレベル3以上の資格を目指す講座
- 特定一般:介護支援専門員実務研修、介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許、ITSSレベル2の資格を目指す講座
- 一般:簿記検定、TOEIC、宅地建物取引士、社会保険労務士、税理士、介護福祉士実務者養成研修など
自分が対象になるか
雇用保険の加入期間
3種類とも、原則として受講開始日までに雇用保険に加入していた期間(支給要件期間)が3年以上必要です。ただし、初めて教育訓練給付金を受ける人は、当分の間、一般と特定一般なら1年以上、専門実践なら2年以上で対象になります。パート・アルバイトや派遣で働く人も、雇用保険に加入していれば対象です。
支給要件期間は、同じ会社で続けて加入していた期間です。その前に別の会社で加入していた期間があり、間の空白が1年以内なら、両方を通算できます。
過去に教育訓練給付金を受けた人は、二つの条件が加わります。
- 前回の受講開始日より前の加入期間は通算しない。前回の受講開始日以降に3年以上が必要
- 今回の受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金を受けていたら支給されない
同時に複数の講座で支給申請をすることもできません。
離職した人は1年以内に受講を始める
受講開始日に雇用保険に加入していない人は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であることが条件です。この1年の間に、妊娠、出産、育児、病気、けがなどで受講できない期間が30日以上続いた場合は、ハローワークに「教育訓練給付金適用対象期間延長申請書」を出すと、その期間だけ延長できます。延長は最大19年で、離職から受講開始まで最大20年以内になります。申請書は、受講できない期間が30日以上続いた日の翌日以降、早めに出すのが原則です。
分からなければ支給要件照会
加入期間が足りているか、講座が指定を受けているか分からない場合は、ハローワークに支給要件照会ができます。「教育訓練給付金支給要件照会票」に記入し、本人確認書類を添えて、来所・代理人・郵送・電子申請のいずれかで出します。電話での照会は受け付けていません。結果は「教育訓練給付金支給要件回答書」で届きます。
照会は任意で、照会しても支給申請は別に必要です。照会した受講開始予定日と実際の受講開始日が違ったり、照会後に退職して加入状況が変わったりすると、回答どおりにならない場合があります。
専門実践・特定一般は、受講開始日の2週間前までに二つの手続き
1. 訓練前キャリアコンサルティング
訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受け、就業の目標や職業能力の開発に関する事項を書いたジョブ・カードの交付を受けます。ハローワークか、キャリア形成・リスキリング支援センターで受けられます。厚生労働省は、対面とオンラインのどちらでもよいとしています。
予約制です。厚生労働省の委託事業のページでは、予約の際に受けたい講座の訓練校名、コース名、開講日が分かるものを用意し、面談の当日までにジョブ・カードの様式(キャリア・プランシート、職務経歴シート、職業能力証明シート)を記入して持参するよう案内しています。面談は60分から90分ほどかかるとされています。様式はマイジョブ・カードのサイトやハローワークで手に入ります。
2. 受給資格確認
ジョブ・カードを受け取ったら、「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票」とジョブ・カードを、原則として住所を管轄するハローワークに出します。来所のほか、代理人、郵送、電子申請(e-Gov)でも出せます。郵送の場合も、受講開始日の2週間前までの消印が必要です。
受給資格確認に使うジョブ・カードは、専門実践では訓練前キャリアコンサルティングでの交付から1年以内のもの、特定一般では受講開始前1年以内に訓練前キャリアコンサルティングを受けたものです。ほかに、マイナンバーカード(ない場合は本人確認書類と個人番号確認書類)、振込先の通帳かキャッシュカード、専門実践ではこの後の申請でマイナンバーカードを見せない場合の写真2枚などが必要です。過去に専門実践か特定一般の給付金を受けた人は、再受給時報告も出します。
期限は2024年4月1日に変わりました。それまでは、キャリアコンサルティングを受けたうえで、受講開始日の1か月前までに書類を出す必要がありました。今は原則2週間前までです。古い記事や知人の話で「1か月前」と聞いた場合は、この改正前の期限です。
キャリアコンサルティングの予約が取れる日と、ジョブ・カードを書く時間を考えると、2週間前の期限から逆算して早めに動くことになります。受講開始日が近い場合は、先にハローワークの窓口で、間に合う日程を相談してください。
受講後の支給申請と期限
支給申請は、どの種類も原則として住所を管轄するハローワークに出します。
一般教育訓練。 修了日の翌日から1か月以内に、支給申請書、教育訓練修了証明書、領収書、教育訓練経費等確認書などを出します。
特定一般教育訓練。 修了日の翌日から1か月以内に、まず40%分を申請します。修了後に資格を取得し、原則1年以内に雇用保険の被保険者として雇われた場合(在職中の人は資格を取得した場合)は、資格取得日と就職日のうち遅いほうの日(在職中の人は資格取得日)の翌日から1か月以内に、残り10%分の追加を申請します。二つの申請はまとめて出すこともできます。
専門実践教育訓練。 受講開始日から6か月ごとの期間の末日の翌日から1か月以内に、その期間の50%分を申請します。修了日がある期間は、修了日の翌日から1か月以内です。資格取得・就職による70%との差額は、資格取得日と就職日のうち遅いほうの日(在職中の人は資格取得日)の翌日から1か月以内に申請します。賃金上昇による80%との差額は、同じ日の翌日から6か月を経過した日から6か月以内に、事業主の証明が付いた支給申請書と賃金台帳などを添えて申請します。
資格取得による追加は、原則として受講開始日に予定されていた最初の試験で資格を取ることが必要です。名簿登録や免許の交付が必要な資格は、合格日ではなく登録日や免許取得日が資格取得日になります。
給付額の計算に入る費用
教育訓練経費は、本人が教育訓練の実施者に払った入学料と受講料の合計です。次のものは含まれません。
- 検定試験の受験料
- 必須でない補助教材費、補講費、行事の参加費
- 交通費、パソコンなどの機材費
- クレジット会社への手数料
- 支給申請の時点で払っていない額
割引を受けた場合は割引後の額で計算します。会社から受講料に充てる手当が出る場合や、学校などから一部が戻ってくる予定がある場合は、その分を差し引いて申告します。一般教育訓練の受講料は最大1年分です。また一般教育訓練に限り、受講開始日前1年以内に受けたキャリアコンサルティングの費用を、2万円を上限として経費に加えられます。
厚生労働省の計算例は次のとおりです。
- 特定一般(入学料5万円、受講料25万円、計30万円):修了で12万円、資格取得・就職で3万円が加わり、計15万円
- 専門実践(2年間、入学料10万円、6か月ごとの受講料40万円、計170万円):受講中の50%分が年間上限40万円で計80万円、資格取得・就職で32万円、賃金上昇で16万円、計128万円
専門実践の例では、2期目(受講開始から7〜12か月目)の支給額が年間上限にかかって減っています。第1期は50万円の50%で25万円、第2期は本来20万円ですが、年間40万円の上限から25万円を引いた15万円になります。
令和6年10月の拡充で変わったこと
令和6年10月1日以降に受講を始めた人から、特定一般と専門実践の最大の給付率が上がりました。
- 特定一般:40%から最大50%へ。資格取得・就職で10%(上限5万円)が加わる
- 専門実践:70%から最大80%へ。修了後の賃金が受講開始前より5%以上上がった場合に10%(年間上限8万円)が加わる。10年間の上限も168万円から192万円に
受講開始日が令和6年9月30日以前の人には、この追加はありません。専門実践の賃金の比較は、離職中に受講を始めた人なら直近の離職時の賃金日額、在職中なら受講開始日の前日に辞めたとみなした賃金日額と、資格取得日と就職日のうち遅いほうの日(在職中の人は資格取得日)から1年が経過するまでの連続する任意の6か月の賃金を比べます。
離職中に受講する人が知っておくこと
教育訓練支援給付金。 初めて専門実践を受ける人が、受講開始時に45歳未満で、昼間の通学制など夜間・通信制以外の講座を受け、失業状態にある場合は、基本手当日額の60%に当たる額が出る制度があります。受講開始日が令和9年3月31日以前であることが条件の暫定措置です。基本手当を受けられる期間や、基本手当の待期・給付制限の期間は支給されません。受給資格確認は本人が来所して行い、代理人・郵送・電子申請はできません。
基本手当の給付制限。 正当な理由のない自己都合退職でも、令和7年4月以降に教育訓練などを受けた(受けている)場合は、基本手当の給付制限が解除されます。自動的に外れるわけではなく、ハローワークへの申し出が必要で、厚生労働省はその際に使う「訓練実施施設による訓練開始日の証明書」の様式を掲載しています。
失業認定日。 基本手当を受けている人の失業認定日は、昼間の講座の受講日と重なっても、受講日の変更が難しい場合を除いて変更されません。
この記事で確認できなかったこと
2026年10月27日時点で、次の点は今回読んだ資料には書かれていませんでした。
- 受給資格確認の期限(受講開始日の2週間前)を過ぎてしまった場合に、救済の扱いがあるかどうか。
- 訓練前キャリアコンサルティングの予約が、申し込みから何日後に取れるかの目安。ハローワークや地域によって違うと考えられます。
- 支給申請から入金までの日数。
参考資料
- ハローワークインターネットサービス 教育訓練給付金
- 厚生労働省・ハローワーク 専門実践教育訓練の「教育訓練給付金」のご案内(PL080801保02)
- 厚生労働省・ハローワーク 特定一般教育訓練の「教育訓練給付金」のご案内(PL080801保01)
- 厚生労働省・ハローワーク 一般教育訓練の「教育訓練給付金」のご案内(LL080801保01)
- 厚生労働省 教育訓練給付制度
- 厚生労働省 教育訓練給付金のご案内(リーフレット LL070328開若01)
- 厚生労働省 教育訓練給付金 手続きの流れ
- 厚生労働省 2024年4月1日から教育訓練の支給申請がしやすくなります!
- 厚生労働省 令和6年10月から教育訓練給付金を拡充します
- 厚生労働省 令和6年10月から、専門実践教育訓練給付金を拡充します(LL060927保02)
- 厚生労働省 令和6年10月から、特定一般教育訓練給付金を拡充します(LL060927保01)
- 厚生労働省 特定一般教育訓練給付金 提出書類チェックリスト(LL060328保02)
- キャリア形成・リスキリング推進事業(厚生労働省委託事業) 訓練前キャリアコンサルティング
- 厚生労働省 令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます