訂正(2026年10月4日) 初出と9月29日の訂正後も、19〜22歳の子が親の健康保険の被扶養者でいられる線を「年収130万円未満」と書いていました。2025年10月1日からこの年齢は150万円未満で、誤りでした。協会けんぽと厚生労働省の案内で確かめて直しました。税の金額(136万円・159万円・197万円)は変わりません。
同日追記 子に配偶者がいると特定親族特別控除の対象外になる、としていた説明も直しました。対象外なのは納税者本人の配偶者で、子が結婚していること自体は除外条件ではありません。
同日追記(2) 要約で「197万円で消えます」としていた表現も直しました。給与収入がちょうど197万円なら控除は3万円残り、197万円を超えるとなくなります(下の表は以前から正しい境目です)。
夏休みのシフトを詰めた結果、8月の給与明細を見て手が止まった。この時期にそういう話をよく聞きます。大学生の子のアルバイト代が、去年より明らかに増えている。ここで「103万円を超えたら親の扶養から外れる」と覚えている方が多いのですが、2026年分の線はそこにありません。給与収入136万円までが扶養控除の範囲で、そこを超えても159万円までは親の控除63万円がそのまま残ります。1月から8月までの給与明細、なければ勤め先のアプリに出ている支給額の累計。まずそこを開きます。
訂正(2026年9月29日) 初出では、2025年分の線(123万円・150万円・188万円)を2026年分として書いていました。2026年12月1日施行の令和8年度税制改正で、2026年分は136万円・159万円・197万円に動いています。国税庁の「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」の表で確かめ、以下の数字をすべて2026年分に直しました。
「103万円」で止めていると、線を33万円読み違える
2026年分の所得税では、扶養親族と認められる合計所得金額の上限が62万円です(2026年12月1日施行の改正で58万円から上がりました)。子のお金がアルバイト代だけなら、そこに給与所得控除の最低保障額74万円を足した136万円が、扶養控除に入れるかどうかの分かれ目になります。
103万円という数字は、給与所得控除が55万円、基礎控除が48万円だったころのものです。線は2025年分で123万円、2026年分で136万円まで上がったので、103万円のまま考えると33万円低い線を見ていることになります。
子ども本人の所得税がゼロで済む範囲も動きました。令和8年分の基礎控除は、合計所得金額489万円以下なら104万円。給与所得控除74万円と合わせると、給与収入178万円までは所得税がかかりません(2025年分は160万円まででした)。「103万円を超えたら子どもにも税金がかかる」という前提も、もう合っていない。
古い線で判断すると、9月から12月のシフトを必要以上に削ることになります。削った分の収入は戻ってきません。
親の控除が減り始めるのは、159万円を超えてから
19歳以上23歳未満の子は特定扶養親族にあたり、扶養控除の額は63万円です。ここは以前と変わっていません。変わったのは、扶養の線(2026年分は136万円)を超えた先に段差ができたことです。
令和7年度の税制改正で、特定親族特別控除という区分が新しく作られました。子の合計所得金額が扶養の線(2026年分は62万円)を超えても、123万円までなら親が控除を受けられます。しかも2026年分は62万円超85万円以下、給与収入でいえば159万円までは控除額が63万円のまま。扶養控除に入っていたときと同じ額です。
159万円を超えると、おおむね5万円刻み(最後の段だけ3万円)で落ちていきます。2026年分を給与収入に置き換えるとこうなります。
| 子の給与収入 | 子の合計所得金額 | 親が受けられる控除 |
|---|---|---|
| 136万円以下 | 62万円以下 | 63万円(扶養控除) |
| 136万円超〜159万円 | 62万円超〜85万円 | 63万円 |
| 159万円超〜164万円 | 85万円超〜90万円 | 61万円 |
| 164万円超〜169万円 | 90万円超〜95万円 | 51万円 |
| 169万円超〜174万円 | 95万円超〜100万円 | 41万円 |
| 174万円超〜179万円 | 100万円超〜105万円 | 31万円 |
| 179万円超〜184万円 | 105万円超〜110万円 | 21万円 |
| 184万円超〜189万円 | 110万円超〜115万円 | 11万円 |
| 189万円超〜194万円 | 115万円超〜120万円 | 6万円 |
| 194万円超〜197万円 | 120万円超〜123万円 | 3万円 |
| 197万円超 | 123万円超 | なし |
国税庁の表は合計所得金額で書かれています。上の表のいちばん左の列は、それを給与収入に置き換えたものです。2026年分は給与収入から74万円を引いた額が合計所得金額で、給与所得控除の最低保障額74万円は給与収入220万円までそのまま使えるので、この表の範囲なら引き算だけで換算できます。去年(2025年分)は65万円を引く計算で、線は123万円・150万円・188万円でした。
段の高さは一定ではありません。159万円を超えて最初の5万円は、63万円から61万円へ2万円しか落ちません。ところが164万円を超えたとたん、61万円から51万円へ10万円です。落ち方が変わるのはここ。167万円あたりで着地しそうなら、164万円で止めるか、いっそ174万円まで働くか、増える給与と減る控除の両方を並べて見比べる価値があります。
この表が当てはまらない子もいる
年齢はその年の12月31日時点で数えます。2026年分なら、2004年1月2日から2008年1月1日までに生まれた子が19歳以上23歳未満にあたります。誕生日がまだ来ていない18歳の子と、23歳になった子は一般の控除対象扶養親族に戻り、控除は38万円。段階表は使えず、2026年分なら136万円を超えた時点で親の控除は消えます。
大学生かどうかは条件に入っていません。専門学校でも、通信制でも、進学せずに働いていても、年齢と所得が合えば対象です。一人暮らしで下宿していても、学費や生活費を送っていれば生計を一にしていることになります。
納税者本人の配偶者は、この控除の対象外です。子が結婚していること自体は除外条件ではありません。事業専従者については、青色申告者の事業専従者としてその年に給与を受け取った人と、白色申告者の事業専従者は対象外です。子の合計所得金額が123万円を超えたとき(給与だけなら2026年分は197万円超)も、対象から外れます。
控除が減ると、家計はいくら違うか
控除が減った分は、そのまま親の課税所得に乗ります。所得税の税率は課税所得の大きさで5%から45%まで変わるので、同じ12万円でも効き方が違います。
給与収入600万円台の会社員なら、所得税の税率はおおよそ10%です。子の年収が166万円で控除が63万円から51万円へ12万円減ると、所得税は1万2千円増える計算になります。税率20%の層なら2万4千円。
給与収入197万円を超えて控除がゼロになった場合は、63万円まるごとが課税所得に乗ります。税率10%で6万3千円、20%なら12万6千円。子が稼いだ額の増え方と比べれば、控除が消えたせいで世帯全体が損をするという形にはなりません。それでも手取りの動きは一度確かめておきたいところです。
住民税にも扶養の控除はあります。ただし所得税とは控除額が別に決められていて、反映されるのは翌年6月から。上の金額は所得税だけの目安なので、住民税を含めた実額は、勤め先の年末調整の結果と、翌年6月に届く住民税の決定通知書で確かめてください。
見落としやすいのが会社の家族手当です。支給の条件を「扶養控除の対象である子がいること」と書いている会社だと、扶養の線(2026年分は136万円)を超えた時点で手当が止まることがあります。税の控除は159万円まで残っても、手当のほうは別の基準で動く。月1万円の手当なら年12万円で、控除が12万円減るより影響が大きい場合もあります。就業規則か給与規程を先に見ておくと安全です。
税より先に効いてくる健康保険の線(19〜22歳は150万円未満)
これは税金ではなく健康保険の話です。子が親の健康保険の被扶養者でいられる年収の目安は、ふつうは130万円未満ですが、その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の子(配偶者を除く)は150万円未満です。2025年10月1日から、税の特定親族特別控除に合わせてこの年齢だけ線が上がりました。学生かどうかは問われません。ここを外れると、子が自分で国民健康保険に入るか、勤め先の社会保険に加入することになります。
ここから考え方が変わります。税は1月から12月までの確定した額で見ます。健康保険は「これから先1年間の見込み」で見ます。150万円なら月額でおよそ12万5千円で、これを安定して超えるようなら、その時点から外れる扱いになることがある。夏だけ集中して稼いで秋から元のシフトに戻すのであれば、年間の合計が150万円に近づいても、そのまま外れるとは限りません。18歳の年(12月31日時点で18歳)の子は130万円未満(月額およそ10万8千円)のほうが当てはまります。
判断するのは税務署ではなく、親が加入している健康保険組合か協会けんぽです。基準の細かいところは保険者ごとに運用が分かれます。微妙なラインなら、親の勤め先の担当部署に聞くのが早い。
外れた場合の負担も見ておきます。国民健康保険料は前年の所得と自治体によって変わりますが、学生本人に所得があれば月数千円から1万円台に収まることが多く、市区町村の国民健康保険の窓口で試算してもらえます。手続きは、被扶養者から外れた日から14日以内が原則です。
もうひとつ、20歳を過ぎた学生には国民年金の保険料がかかります。本人の所得が一定以下なら学生納付特例で在学中の納付を先送りできますが、これは申請しないと始まりません。市区町村の国民年金の窓口か日本年金機構の電子申請で、学生証か在学証明書を添えて出します。承認は年度ごとなので、前年に出していても毎年出し直しが要ります。
まず1月から8月までの支給額を足してみる
計算より先に、事実を確かめます。
給与明細か勤め先のウェブ明細を開いて、1月分から8月分までの支給総額を足します。手取りではなく、控除される前の額のほうです。通勤手当が非課税の範囲で支給されているなら、それは給与収入に含めなくて構いません。
足した数字と、年内に残っている支給回数を並べます。9月から12月に支払われる分が4回なら、159万円までの残りを4で割った額が1か月あたりの上限です。8月までで105万円なら、159万円まであと54万円。月13万円強までは同じペースで働けます。ただし、親の健康保険の被扶養者でいたいなら、こちらは「これから先1年間の見込み」で150万円未満(月額およそ12万5千円)が目安です。月13万円強のペースが続くと、税の控除は残っても健康保険の扶養からは外れることがあるので、親の勤め先の健康保険にも確かめてください。
年をまたぐ扱いにも気をつけたいところ。所得税は支払われた日で年を区切ります。12月末で締めて1月に振り込まれる給与は2027年分。年末にシフトを増やしても、支払いが翌年になるならその年の年収には乗りません。逆に12月中に振り込まれる分は今年に入ります。締め日と支払日の関係は、雇用契約書か最初の給与明細に書いてあります。
掛け持ちしているなら全部を合わせて数えます。1か所ずつでは超えていなくても、合算で197万円を超えれば親の控除はゼロ。子の手元に源泉徴収票が2枚以上出る場合、子自身にも確定申告が要る場合が出てきます。
塾講師や家庭教師の報酬が混じっていたら
アルバイト代のつもりでも、税金の扱いが違うお金があります。
個人契約の家庭教師、業務委託のイベントスタッフ、フリマアプリやハンドメイドの売上。これらは給与ではなく、事業所得か雑所得として扱われます。給与所得控除(2026年分は最低74万円)が使えないので、同じ金額を受け取っても合計所得金額は大きくなります。
どちらなのかは源泉徴収票で見分けられます。給与なら年末に必ず出ます。報酬の場合は支払調書が出るか、何も出ないこともある。明細に「報酬」「業務委託料」と書かれていたら給与ではありません。
扶養の判定では、給与とそれ以外を足した合計所得金額で見ます。2026年分なら、給与収入150万円の給与所得は76万円。ここにハンドメイドの利益15万円が乗ると合計所得金額は91万円になり、表でいえば控除は51万円まで落ちます。給与だけを見て「159万円以内だから大丈夫」と思っていると、ここでずれる。
ただし報酬なら必要経費を差し引けます。交通費や材料費の領収書を残しておけば、その分だけ所得は下がります。差し引いた結果、雑所得が20万円以下で給与を1か所からしか受けていないなら、子の確定申告は不要になることもあります。
親の勤め先に出す紙が、今年から1枚増えた
特定親族特別控除は、黙っていて付くものではありません。年末調整のときに「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を勤め先へ出します。扶養控除等(異動)申告書とは別の紙で、配偶者控除の申告書と一体になった様式で配られることが多い。
書くのは、子の氏名と生年月日、それからその年の合計所得金額の見積額です。見積りなので12月の確定値でなくて構いませんが、大きく外れると年末調整をやり直すことになります。11月に書類を配る会社が多いので、10月末までに子から支給額の見込みを聞いておくと慌てません。
2026年1月以後に支払われる給与からは、毎月の源泉徴収の段階でもこの控除が反映されるようになりました。2026年11月までの毎月の天引きで対象になるのは、子の合計所得金額が58万円超100万円以下と見込まれるとき、給与収入でいえば123万円超165万円以下です(改正の反映は12月の年末調整から)。扶養控除等申告書にその見込みを書いておくと、毎月の天引きが軽くなります。書かないままだと年末調整でまとめて戻る形になり、月々の手取りが薄いまま12月まで進みます。
子が学生であることを証明する書類は要りません。年齢と所得と生計の3つで決まるので、在学証明書を求められることは通常ありません。
年末調整に間に合わなかったとき
申告書を出しそびれた。12月に子のシフトが増えて見積額が変わった。どちらも取り返せます。
年末調整のやり直しを勤め先に頼めるのは翌年1月末まで。給与支払報告書を市区町村へ出す前なら、応じてもらえる余地があります。それを過ぎたら親が確定申告をします。2026年分の申告期間は2027年2月16日から3月15日まで。e-Taxでも税務署の窓口でも構いません。
子の側にも戻るお金があるかもしれません。月々の給与から所得税が天引きされていても、年間の給与収入が2026年分なら178万円以下(2025年分は160万円以下)であれば本来の税額は0円です。年末調整をしていないアルバイト先の分は、子が確定申告をすれば戻ります。源泉徴収票の「源泉徴収税額」の欄に金額が入っていたら、それがそのまま対象額です。
還付の申告ができる期間は5年あります。急がなくても取り戻せますが、源泉徴収票をなくすと再発行の手間がかかるので、受け取ったら1か所にまとめておくのが無難です。
なお、ここに書いた金額と区分は、2026年9月29日に国税庁の「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」とタックスアンサーで確かめ直したものです。控除の額や申告書の様式は税制改正で動きます。年末調整の書類を書く前に、国税庁のページで年分の表示を確かめてください。
参考資料
- 国税庁「No.1177 特定親族特別控除」— 特定親族の要件と、合計所得金額の区分ごとの控除額
- 国税庁「No.1180 扶養控除」— 控除対象扶養親族の所得要件と、特定扶養親族63万円の区分
- 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」— 2025年分の線(123万円・150万円・188万円)と、源泉控除対象親族(合計所得58万円超100万円以下)
- 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」— 2026年分の扶養の所得要件62万円(給与136万円)と、特定親族特別控除の表(159万円・197万円)
- 国税庁「No.1199 基礎控除」— 令和8年分の基礎控除104万円(合計所得489万円以下)