熱が出て、病院に行く前に市販のキットでインフルエンザかどうか調べたい、という場面で最初に確認するのは厚生労働省の「一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報」です。このページでインフルエンザの抗原を調べられる一般用キットとして載っているのは、新型コロナとの同時検査キット4品目で、インフルエンザだけを調べる一般用キットは載っていません。選ぶときの目印は「第1類医薬品」の表示で、承認されていない「研究用」は対象外です。そして、キットの結果が出ても薬の判断は別です。早期に治療を始める必要があるかどうかは医師に相談し、強い症状がある場合はキットの結果を待たずに受診してください。
この記事の情報は2026年11月7日に各ページを開いて確認したものです。承認品目は追加されることがあるため、買う前に厚生労働省の一覧そのものを見てください。
承認された一般用キットは「第1類医薬品」の表示で見分ける
厚生労働省の承認情報のページには、「一般用抗原検査キット(OTC)として承認されたのは下記の製品です。」「インターネット等で購入可能です。」「『第1類医薬品』の表示が目印です。」と書かれています。つまり、国の承認を受けた一般用キットは薬局・薬店のほかインターネットでも買えて、見分ける手がかりはパッケージや商品ページの「第1類医薬品」の表示です。
同じページは、選び方として「下記の『品目名』を入れて検索するなどして、製品写真等を参考に承認された抗原検査キットを選択してください。」とも案内しています。商品名が一覧の品目名と一致しているかを確かめる、という手順です。
国民生活センターの公表資料は、令和4年8月24日以降に一般用のキットが承認され、「薬剤師による情報提供を受けた上で、薬局、薬店のほか一部のインターネット通信販売サイトでも購入することが可能となっています」と説明しています。通信販売の場合についても「メール等で薬剤師による情報提供が行われます」としており、「不明な点は、薬剤師に相談してから購入しましょう」と呼びかけています。
インフルエンザを調べられる一般用キットは、同時検査型の4品目
厚生労働省の承認情報は、一覧を二つに分けています。一つは「抗原検査キット(新型コロナウィルス)」、もう一つが「抗原検査キット(新型コロナウィルス/インフルエンザウィルス)」です。インフルエンザの抗原が入っているのは後者だけで、令和7年2月20日更新時点では次の4品目です。
| 品目名 | 製造販売業者 | 検体 | 承認日 |
|---|---|---|---|
| エスプライン SARS-CoV-2&Flu A+B(一般用) | 富士レビオ株式会社 | 鼻腔ぬぐい液 | 令和4年12月5日 |
| アドテストSARS-CoV-2/Flu(一般用) | アドテック株式会社 | 鼻腔ぬぐい液 | 令和4年12月22日 |
| GLINE-SARS-CoV-2&FluA+Bキット(一般用) | 株式会社医学生物学研究所 | 鼻腔ぬぐい液 | 令和4年12月22日 |
| KBM ラインチェック nCoV/Flu(一般用) | コージンバイオ株式会社 | 鼻腔ぬぐい液 | 令和5年7月11日 |
4品目はいずれも検体が鼻腔ぬぐい液です。新型コロナ単独の一覧には唾液で調べられるものもありますが、同時検査型にはありません。鼻に綿棒を入れる方法が難しい相手(小さな子どもなど)に使うつもりなら、ここは先に確認しておく点です。
このページの表題は「新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報」で、インフルエンザだけを調べる一般用キットはこの一覧にありません。インフルエンザ単独の一般用キットについて別の一覧が用意されているかどうかは、今回は確認できませんでした。この一覧で確認できるのは「同時検査型なら一般用として承認されたものがある」という点までです。
「研究用」は承認されていない
同じページには、「なお、一部のネットショップで『コロナ 検査キット』等と検索すると、厚生労働省で承認されていない検査キット『研究用』が多数表示されますので、誤って購入しないようにご注意ください。」という注意が入っています。ページ下部でも「新型コロナの検査キットは『研究用』ではなく国が承認した『体外診断用医薬品』又は『第1類医薬品』を選びましょう!」と呼びかけています。
国民生活センターも、「従前から、国の承認を受けていない『研究用』とされるものも販売されているため、購入にあたっては注意が必要です」としています。
買う前に見るのは値段ではなく、商品ページのどこかに「研究用」と書かれていないか、「第1類医薬品」の表示があるかです。「研究用」は国の承認を受けていないものなので、結果をどう扱うかの判断材料になりません。
なお、厚生労働省は薬局向けの注意として、「既に医療用医薬品として薬局に納品されたものをOTCとしてインターネット等で販売することはできません。」とも書いています。医療機関で使う医療用のキットが、そのままネットで一般用として売られることはない、という前提です。
陰性でも「インフルエンザではない」とは決められない
国民生活センターは新型コロナの検査キットについて、「検査キットで陰性と判定された場合でも、偽陰性の可能性もありますので、検査キットの結果だけで感染していないと判断せず、外出時にはマスクを着用し、手を良く洗う等の感染対策をとるようにしましょう。」と呼びかけています。これは新型コロナを対象にした注意ですが、同時検査キットは同じ1本で両方を調べるものです。
厚生労働省のインフルエンザの総合ページは、診断について「迅速診断キットを用いた抗原検査、抗体検査、病原体の検出等により診断します。」と説明しています。検査はその一部で、医師が症状や流行の状況と合わせて判断するという書き方です。自分で行ったキットの結果が、医療機関での診断に置き換わるわけではありません。
検査のタイミングによって結果がどう変わるか、何時間後に調べると出やすいかについては、今回開いた公的な資料には記載がありませんでした。「発症直後だと出ない」といった説明をよく見かけますが、公式の資料では裏が取れていないため、ここでは扱いません。
薬を考えるなら、キットの結果より48時間を先に見る
厚生労働省のインフルエンザのページは、治療について「抗インフルエンザウイルス薬の服用を適切な時期(発症から48時間以内)に開始すると、発熱期間は通常1〜2日間短縮され、鼻やのどからのウイルス排出量も減少します。なお、症状が出てから2日(48時間)以降に服用を開始した場合、十分な効果は期待できません。」と書いています。
ここが市販キットの使いどころを決める条件です。抗インフルエンザウイルス薬は医療機関で処方されるものなので、薬を使うつもりなら受診が必要です。キットを買いに行き、使い方を読み、結果を確かめているあいだに48時間が近づくなら、順番を逆にしたほうが目的に合います。
ただし、48時間は受診をやめる期限ではありません。厚生労働省の令和8年度Q&A(Q15・Q16)は、治療薬はすべての患者に必須ではなく病状に応じて医師が判断するとしています。高い熱が続く、息が苦しい、意識の様子がおかしいなど具合が悪ければ早めに受診するよう案内しており、検査の陰性や経過時間だけで受診を控えないでください。
逆に、受診するかどうかを決める前の見当をつけたい、同居している人に広げないために早く見分けたい、という使い方であれば、承認された同時検査キットを手元に置いておく意味はあります。発症の起点をどこから数えるかは、別の記事で詳しく整理しています。
この記事で確認できていないこと
- インフルエンザ単独の一般用抗原検査キットについて、別の承認一覧があるかどうか
- 各キットの価格と、どの薬局・通販サイトで扱っているか
- 同時検査キットの承認がいつ報道発表されたか(承認を伝えた厚生労働省の報道発表ページは現在404で開けませんでした)
- 検査に適したタイミングと、発症からの時間による結果の変わり方
一覧の品目は追加されることがあります。買う直前に厚生労働省の承認情報のページを開き、手元の商品名が一覧にあるかを確かめてください。
参考資料
- 厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報 — 承認品目の一覧、「第1類医薬品」の目印、「研究用」への注意(令和7年2月20日更新)
- 厚生労働省 インフルエンザ(総合ページ) — 検査・治療方法、抗インフルエンザウイルス薬と48時間
- 厚生労働省 令和8年度冬季 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策Q&A — Q15の受診目安、Q16の治療薬の判断
- 国民生活センター 新型コロナウイルス感染のセルフチェックには国が承認した抗原定性検査キットを! — 薬剤師による情報提供、「研究用」への注意、陰性の扱い
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。