年金手帳が見つからないとき、戻ってくるのは年金手帳ではありません。年金手帳は令和4年3月31日で廃止され、いま交付されるのは「基礎年金番号通知書」です。ただ、入社手続きや年金の相談で実際に必要なのは番号そのものなので、書類を待たずに確かめる道があります。マイナンバーカードを持っているなら、マイナポータルにログインして「年金」を開けば、その場で基礎年金番号が表示されます。情報を取得できる時間は午前8時30分から午後11時まで(土日祝日を除く)なので、休日に試して出てこなくても、カードや記録の問題ではありません。
再発行されるのは年金手帳ではなく「基礎年金番号通知書」
年金制度改正法(令和2年法律第40号)等の一部施行により、年金手帳は令和4年3月31日をもって廃止されました。令和4年4月1日以降、初めて年金制度に加入する人には、年金手帳に代わって基礎年金番号通知書が発行されます。
なくしたときも同じです。日本年金機構のQ&Aは「年金手帳をなくした場合、基礎年金番号通知書をなくした場合、いずれの場合も基礎年金番号通知書を再発行します」と書いています。手帳の形で再発行される道はもうありません。
逆向きの誤解もあります。年金手帳をいま持っている人に、通知書が送られてくることはありません。機構のページにも「すでに年金手帳をお持ちの方には『基礎年金番号通知書』は発行されませんので、引き続き年金手帳を保管してください」という一文があります。手帳は令和4年4月1日以降も、基礎年金番号を確認できる書類として使えます。手帳が手元にあるなら、わざわざ通知書に切り替える必要はありません。
番号だけ必要なら、マイナポータルが最短。ただし動くのは平日だけ
画面で番号を確認する方法として、日本年金機構は二つを案内しています。
ひとつはマイナポータルです。マイナンバーカードでログインし、トップページの「年金」を押すと、「情報が取得され次第、画面に基礎年金番号が表示されます」と案内されています。ただし時間帯に条件があり、機構は「情報を取得可能な時間は、午前8時30分~午後11時(土日祝日を除く)です」と明記しています。日曜に調べようとして何も出てこないのは、この時間の外にいるからです。
もうひとつはねんきんネットで、ログインするとトップページに基礎年金番号が表示されます。
ここに、気づきにくい順番の問題があります。ねんきんネットをユーザIDで使う場合、登録そのものに基礎年金番号が必要です。機構の案内は、ユーザID方式では「基礎年金番号、メールアドレスが必要」で、登録時に年金手帳や年金証書など基礎年金番号が確認できるものを準備するよう求めています。つまり「番号が分からないからねんきんネットで調べよう」は、ユーザID方式では成り立ちません。
番号が分からない状態から使えるのは、マイナポータル経由の方だけです。必要なものはマイナンバーカードとメールアドレスで、ユーザIDの取得は要りません。
ねんきん定期便をひっくり返しても、基礎年金番号は載っていない
毎年届くねんきん定期便を探す人は多いのですが、ここに基礎年金番号はありません。機構の説明は「『ねんきん定期便』には、基礎年金番号を表示していませんが、お問い合わせに対応するために『照会番号』を表示しております」です。印刷されているのは問い合わせ用の照会番号で、会社に伝える基礎年金番号の代わりにはなりません。
定期便しか手元にないときの使い道はあります。定期便を用意して「ねんきん定期便・ねんきんネット専用番号」に電話すると、基礎年金番号が記載された書類を後日郵送してもらえます。ただし、その場で口頭で番号を教えてもらうことはできません。機構は「個人情報保護の観点から、メールや電話ではお答えすることができません」としています。急いでいるなら、電話より先にマイナポータルを試す順番になります。
書類から探す場合、機構が基礎年金番号を確認できるものとして挙げているのは、基礎年金番号通知書、青色の年金手帳、国民年金保険料の口座振替額通知書、納付書・領収書、年金証書、各種通知書です。青色の年金手帳は、平成9年1月から令和4年3月までに被保険者資格の取得手続きをした人に発行されたものです。オレンジ色や茶色の手帳はこの一覧に入っていないため、それしかないときは画面か窓口で確かめることになります。
通知書そのものが要るときの、申請書と出し先
勤務先が通知書の写しを求めるなど、紙が必要な場面もあります。そのときに出すのは「基礎年金番号通知書再交付申請書」です。日本年金機構のページからPDFとエクセルの様式、記入例をダウンロードできます。
機構が提出のきっかけとして挙げているのは、基礎年金番号通知書や年金手帳を紛失またはき損したとき、そして届出によらず住民基本台帳ネットワークの異動情報に基づいて氏名の変更が行われたときです。提出するのは被保険者本人です。
| いまの立場 | 出す先 |
|---|---|
| 国民年金の第1号被保険者 | 事務センター、年金事務所または市区町村役場 |
| 厚生年金保険の被保険者 | 事業所経由、またはいずれかの事務センター・年金事務所 |
添付するのはマイナンバーカード、または個人番号確認書類と身元確認書類です。
受け取り方には注意点があります。再交付される通知書は「原則、日本年金機構で管理している住所あてに送付」されます。引っ越したあとに住所の登録が追いついていないと、ここで止まります。窓口で受け取れるのは、本人確認書類を持参した本人のほか、社会保険労務士、法定代理人、事業主などに限られます。
なお、上に挙げた機構の各ページには、再交付にかかる費用と、手元に届くまでの日数の案内がありません。提出の期限が迫っているなら、紙を待つことを前提にせず、番号だけ先にマイナポータルで確認して先方に伝えるほうが確実です。
再交付しなくていい人、入口が別になる人
全員が申請するわけではありません。
- 年金を受け取っている人 — 年金証書が基礎年金番号通知書の代わりになるため、再発行は不要です。
- すでに年金手帳を持っている人 — 通知書は発行されません。手帳をそのまま保管します。
- 共済組合にだけ加入していた(している)人 — ねんきんダイヤルに電話するか、年金事務所で用紙を受け取る案内になっています。
会社から「年金手帳を持ってきて」と言われたとき
入社のときにこう言われて焦る場面が、この問題のいちばん多い入口です。ただ、会社が出す「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」に書くのは、個人番号(マイナンバー)または基礎年金番号のどちらかです。令和5年9月29日に厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令が公布・施行され、個人番号を記入する扱いになりました。機構は「個人番号(マイナンバー)、基礎年金番号のいずれも記入がない場合は、返戻いたします」と告知しています。
つまり、返戻を避けるにはどちらか一方が書かれていれば足ります。マイナンバーを伝えられるなら、手帳も通知書も見つからないままで入社手続きは進みます。機構のQ&Aも、資格取得届を出す側に向けて、基礎年金番号が分からない従業員がいる場合は個人番号(マイナンバー)で手続きできると案内しています。
通知書を会社に預ける前提もありません。機構は事業主向けに、通知書は原則として被保険者あてに送付し、「あて先不明等の理由で被保険者にお届けできなかった場合には、事業所あてに送付しますので、事業主を通じて被保険者に交付してください」としています。会社が保管する書類ではなく、本人が持つものです。
手元にあるものから、今日やることを決める
| 手元にあるもの | 今日できること |
|---|---|
| マイナンバーカードと、ログインに使う暗証番号 | 平日の午前8時30分〜午後11時にマイナポータルへログインし「年金」を開く。その場で番号が出る |
| 青色の年金手帳、年金証書、国民年金保険料の納付書・領収書、口座振替額通知書 | その書類に基礎年金番号が書かれている |
| ねんきん定期便だけ | 番号は載っていない。照会番号を手元に置いて専用番号へ電話し、書類の郵送を待つ |
| どれもない | 年金事務所などで再交付を申請する。マイナンバーカード(または個人番号確認書類と身元確認書類)を持参する |
提出先に番号を伝えるだけなら、紙は要りません。通知書そのものの提示を求められたときだけ、紙が必要になります。
参考資料
- 日本年金機構「基礎年金番号・基礎年金番号通知書・年金手帳について」 — 年金手帳の様式と色、すでに手帳を持っている人には通知書が発行されないこと
- 日本年金機構 FAQ「自分の基礎年金番号の確認方法を教えてください。」 — マイナポータルの操作手順と取得可能時間、ねんきんネットの表示位置、確認できる書類、電話での照会と郵送
- 日本年金機構 FAQ「年金手帳や基礎年金番号通知書をなくしたのですが、再発行はできますか。」 — 手帳ではなく通知書を再発行すること、年金受給者と共済組合のみ加入者の扱い
- 日本年金機構「基礎年金番号通知書や年金手帳を紛失またはき損したとき」 — 提出者、提出時期、被保険者の種類別の提出先、添付書類、送付先と窓口交付の条件
- 日本年金機構「7-2:基礎年金番号通知書の再交付を受けようとするとき」 — 申請書と記入例の様式、年金手帳の廃止日と根拠法
- 日本年金機構 FAQ「「ねんきん定期便」には、基礎年金番号の表示がないのですか。」 — 照会番号が表示されている理由と問い合わせ先
- 日本年金機構「「ねんきんネット」の登録方法」 — マイナポータルからの利用に必要なもの、ユーザID方式では基礎年金番号が必要なこと
- 日本年金機構「【事業主の皆さまへ】「健康保険(船員保険)・厚生年金保険被保険者資格取得届」には個人番号(マイナンバー)を必ず記入してください」 — 個人番号または基礎年金番号、いずれも記入がない場合の返戻、令和5年9月29日の省令改正
- 日本年金機構 FAQ「資格取得届を提出したいのですが、基礎年金番号がわからない者がいます。どうしたらいいですか。」 — 個人番号での手続き、納付書や領収書からの確認
- 日本年金機構「【事業主の皆さまへ】「基礎年金番号通知書」は被保険者あてに送付します」 — 本人あて送付が原則であること、届かなかった場合の取扱い