先発医薬品を希望して払った「特別の料金」は医療費控除になる?マイナポータルの医療費通知情報には入らないので領収証から足す

この記事の要点

先発医薬品を希望して払った「特別の料金」は医療費控除の対象です。保険適用外の部分なのでマイナポータル連携の医療費通知情報には入りません。その年に払った特別の料金を領収証から拾って医療費控除の明細書に書き、他の医療費と合わせ、保険金などの補てん額を引いて10万円(総所得金額等200万円未満はその5%)を超えた分を確定申告で控除します。

  1. ジェネリックがある先発医薬品を希望して払う「特別の料金」は、治療や療養に必要な医薬品の購入の対価として医療費控除の対象(国税庁No.1122 Q&A Q6)
  2. 特別の料金は保険適用外の部分なので、マイナポータル連携で取る「医療費通知情報」には入っていない。領収証を保存し、その額を医療費控除の明細書に自分で書く
  3. 特別の料金は2026年6月から、先発医薬品と後発医薬品の価格差の2分の1相当(それまでは4分の1相当)。消費税がかかる。医療上の必要がある場合や在庫がない場合などは払わない
どうする?編集部 · · 読了 約6分
目次(10項目)
  1. 特別の料金とは
  2. 窓口で払う額の例
  3. 払わなくてよい場合
  4. 医療費控除での扱い
  5. マイナポータル連携に入らない理由と、書き足し方
  6. 領収証は5年残す
  7. 控除額の計算
  8. 確認の順番
  9. この記事で確認できなかったこと
  10. 参考資料

ジェネリック医薬品(後発医薬品)がある先発医薬品を、自分の希望で処方・調剤してもらったときに払う「特別の料金」は、医療費控除の対象です。国税庁は、この特別の料金を、治療や療養に必要な医薬品の購入の対価として扱うと示しています(タックスアンサーNo.1122のQ&A Q6)。

気をつけたいのは集計の仕方です。特別の料金は保険適用外の部分なので、マイナポータル連携で取り込む「医療費通知情報」には含まれません。国税庁は、特別の料金の領収証を保存し、その領収証から特別の料金について医療費控除の明細書を作る必要があると注意しています。マイナポータル連携だけで医療費を集計すると、この分が抜けます。

この記事では、特別の料金の仕組み、医療費控除での扱い、明細書への書き足し方と保存する書類を、国税庁と厚生労働省の資料で確かめます。

特別の料金とは

厚生労働省によると、ジェネリック医薬品がある薬で先発医薬品の処方を希望すると、通常の1〜3割の自己負担とは別に「特別の料金」を払います。対象は、同じ成分の後発医薬品がある先発医薬品で、長期収載品と呼ばれます。

協会けんぽの案内によると、この仕組みは2024年(令和6年)10月に始まり、特別の料金は先発医薬品と後発医薬品の価格差の4分の1相当でした。2026年(令和8年)6月からは、価格差の2分の1相当に変わっています。厚生労働省の説明は次のとおりです。

  • 例えば先発医薬品が1錠100円、後発医薬品が1錠60円なら、差額40円の2分の1の20円を特別の料金として払う
  • 特別の料金は課税対象なので、消費税分を加えて払う
  • 端数処理の関係で、ちょうど2分の1にならない場合がある
  • 後発医薬品がいくつかあるときは、薬価が一番高い後発医薬品との差で計算する
  • 薬剤料以外の費用(診療・調剤の費用)は変わらない

窓口で払う額の例

協会けんぽは、500円の先発医薬品と250円の後発医薬品で、3割負担の人の例を示しています(2026年6月以降)。

  • 特別の料金:(500円 − 250円)× 1/2 = 125円。消費税を加えて137.5円
  • 保険の対象になる部分:500円 − 125円 = 375円。その3割で112.5円
  • 自己負担の合計:112.5円 + 137.5円 = 250円

同じ例で後発医薬品を選んだ場合の自己負担は75円(250円 × 0.3)で、先発医薬品を希望すると175円多くなります。

払わなくてよい場合

厚生労働省のチラシは、先発医薬品を処方・調剤する医療上の必要があると認められる場合などは特別の料金は要らないとしています。流通の問題などで医療機関や薬局に後発医薬品の在庫がない場合も、払う必要はありません。特別の料金がかかるのは、たとえば使用感や味など、薬の有効性に関係のない理由で先発医薬品を希望する場合だと説明しています。

医療費控除での扱い

国税庁No.1122のQ&A Q6の回答は次のとおりです。

この「特別の料金」については、対象となる先発医薬品の価格の一部に相当する金額を支払うものであり、治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価として、医療費控除の対象となります。

No.1122は、医療費控除の対象として「治療や療養に必要な医薬品の購入の対価」を挙げています。特別の料金も、先発医薬品の価格の一部を払うものなので、この枠に入るという考え方です。

上の協会けんぽの例でいえば、窓口で払った250円は、3割負担分の112.5円も特別の料金の137.5円も、どちらも医療費になります。

マイナポータル連携に入らない理由と、書き足し方

Q6には次の注があります。

上記の「特別の料金」は、保険適用外部分の金額であることから、マイナポータル連携により取得する「医療費通知情報」には、「特別の料金」の金額は含まれません(このため、医療費控除の申告においては、「特別の料金」に係る領収証を保存し、その領収証から「特別の料金」について明細書の作成が必要になります)

国税庁No.1120によると、医療費控除を受けるときは、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作って確定申告書に添付します。医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、それを添付することで明細書の記載を簡略化できます。マイナポータル連携で取り込む医療費通知情報も、この医療費通知の一つとして扱われます(No.1120の注2)。

つまり、医療費通知情報で集計した医療費に、特別の料金の分を領収証から足す、という二本立てになります。手順は次のとおりです。

  1. その年に薬局や医療機関で先発医薬品を希望した回の領収証を集める
  2. 領収証から特別の料金の額を拾う
  3. 医療費控除の明細書に、医療費通知に載っていない医療費として特別の料金を書く
  4. 医療費通知情報の分と合わせて、その年の医療費の合計を出す

確定申告書等作成コーナーやe-Taxでマイナポータル連携を使う場合も、取り込んだ医療費に特別の料金は入っていないので、別に入力します。

領収証は5年残す

No.1120によると、税務署は、明細書の記載内容を確かめるため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書の提示や提出を求めることがあります。医療費通知を添付した分の領収書は除かれますが、特別の料金は医療費通知に載っていないので、その領収証は残しておきます。

控除額の計算

No.1120の計算式は次のとおりで、最高200万円です。

(その年に実際に払った医療費の合計 − 保険金などで補てんされる金額)− 10万円

総所得金額等が200万円未満の人は、10万円の代わりに総所得金額等の5%を引きます。医療費は1月1日から12月31日までに実際に払った額で数え、自分と生計を一にする配偶者やその他の親族の分も合わせられます。

特別の料金は、厚生労働省の例(先発医薬品1錠100円・後発医薬品1錠60円)では1錠20円、協会けんぽの例(先発医薬品500円・後発医薬品250円)では137.5円(税込み)です。家族の分も含めて1年分を領収証から集計し、ほかの医療費と合わせて10万円(総所得金額等200万円未満はその5%)を超えるかを見ます。

確認の順番

  1. 薬局の領収証で、その年に特別の料金を払った回があるかを確かめる(家族の分も)
  2. マイナポータル連携や医療保険者の医療費通知で、保険診療分の医療費を集計する
  3. 特別の料金を領収証から拾い、医療費控除の明細書に書き足す
  4. 補てんされる金額を引き、10万円(総所得金額等200万円未満はその5%)を超えるかを確かめる
  5. 確定申告をする。特別の料金の領収証は確定申告期限等から5年間残す

この記事で確認できなかったこと

2026年11月4日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。

  • 紹介状なしで大病院を受診したときに払う特別の料金(初診・再診)が医療費控除の対象になるか。国税庁Q&AのQ6が扱っているのは、長期収載品の特別の料金です。
  • 2027年3月から始まるOTC類似薬の特別の料金(一部保険外療養)の医療費控除での扱い。
  • 健康保険組合や協会けんぽが紙で送る「医療費のお知らせ」に、特別の料金が載るかどうか。国税庁の注はマイナポータル連携の医療費通知情報について書いています。
  • 薬局の領収証で、特別の料金がどの欄にどう表示されるか。
  • セルフメディケーション税制を選んだ場合に、特別の料金をどう扱うか。

参考資料

Photo by Blake Wisz on Unsplash

参考資料

  1. 国税庁 タックスアンサーNo.1122 医療費控除の対象となる医療費 Q&A
  2. 国税庁 タックスアンサーNo.1122 医療費控除の対象となる医療費
  3. 国税庁 タックスアンサーNo.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
  4. 国税庁 タックスアンサーNo.1120 Q&A
  5. 厚生労働省 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について
  6. 厚生労働省 患者のみなさまへ(窓口での案内チラシ)
  7. 協会けんぽ 長期収載品の選定療養について
  8. 香川県 後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について(令和8年6月1日)

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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