夫が会社の健康保険に入っていて妻がその扶養に入っている場合、夫が75歳になった日に、妻も夫の健康保険から外れます。75歳未満の妻は、市区町村の国民健康保険(国保)に入るか、子など別の家族の健康保険の被扶養者になる必要があります。
国保に入るなら、夫の健康保険の「資格喪失証明書」を用意して、住んでいる市区町村の国保の窓口へ行きます。国保に入る時点で妻が65歳以上なら、保険料が減る「旧被扶養者減免」の対象になります。横浜市・札幌市・大阪市などでは初回に申請が要るので、加入の手続きと同じ日に申し出ておけば窓口に行くのが一度で済みます。
夫の75歳の誕生日に、妻も夫の健康保険を抜ける
日本年金機構の資格喪失の手続きのページでは、75歳到達による健康保険の資格喪失日は「誕生日の当日」です。退職のときの「退職日の翌日」とは数え方が違います。夫本人の後期高齢者医療制度への加入は自動で、札幌市・岡山市とも本人の手続きは不要としています。2026年8月以降に届く書類は「資格確認書」か「資格情報のお知らせ」で、どちらになるかの基準は市区町村の案内ごとに書き方が違います。たとえば静岡市と浜松市は、これから75歳になる人のうち、マイナ保険証を持っている人には「資格情報のお知らせ」、持っていない人には「資格確認書」を、誕生日の前月末までに郵送すると案内しています。資格情報のお知らせだけでは受診できず、受診にはマイナンバーカードが必要です。
扶養されていた家族の扱いについて、船橋市は「会社の保険(被用者保険)から後期高齢者医療制度に加入されると、同時に被扶養者だったご家族は被用者保険から資格が喪失(脱退)されます」と答えています。岡山市も、被保険者が後期高齢者医療制度へ加入した場合、その被扶養者も同時にこれまでの健康保険を脱退すると説明しています。
夫がどの健康保険に入っていたかで、妻がすることは変わります。
| 夫が75歳になる前に入っていた保険 | 妻(75歳未満)の扱い |
|---|---|
| 会社の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合・共済組合など) | 夫と同時に被扶養者でなくなる。国保に入るか、子などの健康保険の被扶養者になる |
| 協会けんぽの任意継続 | 同じく被扶養者でなくなる。協会けんぽは、被扶養者は次の健康保険への加入手続きが必要と案内 |
| 市区町村の国保 | 妻はもともと国保の加入者なので、そのまま使い続ける(岡山市)。加入の手続きは要らない |
| 国民健康保険組合 | 組合によって扱いが違う(札幌市・岡山市)。加入している組合に確認する |
妻自身が後期高齢者医療制度に入るのは、原則として妻が75歳になったときです。札幌市の案内では、65歳から74歳で一定の障害がある人は、申請して広域連合の認定を受ければ75歳前でも加入できます。こちらは任意です。
妻の行き先は二つ。国保か、子などの健康保険の扶養か
妻が会社員の子と暮らしている、または子から仕送りを受けているなら、子の健康保険の被扶養者になれる場合があります。船橋市・岡山市の案内も、国保のほかに「その他の被用者保険」「会社等の他の健康保険」に入る道を挙げています。
日本年金機構が示す被扶養者の収入の条件は、60歳以上なら年間収入180万円未満(60歳未満なら130万円未満)で、同居なら子の収入の半分未満、別居なら子からの仕送り額未満であることです。この年間収入には公的年金も含まれます。父母などの直系尊属は、同居していなくても被扶養者になれます。協会けんぽの場合、届出は子の勤務先を通して日本年金機構に出し、提出時期は事実発生から5日以内です。健康保険組合の場合は、子の勤務先に手続きを聞いてください。
子の扶養に入れない場合や、子がいない場合は国保に入ります。旧被扶養者減免は国保に入った人の保険料の減免なので、子の扶養を選ぶ場合は関係しません。
国保に入る手続き
- 資格喪失証明書を用意する。 夫の健康保険の資格がなくなった日、妻が被扶養者でなくなった日を証明する書類です。札幌市は、加入していた健康保険の保険者か会社からもらうよう案内しています。協会けんぽの場合は、日本年金機構に「健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書」を出して証明を受ける方法もあります。健康保険組合の場合、さいたま市は組合が発行する証明書を挙げています。
- 住んでいる市区町村の国保の窓口に行く。 船橋市は資格喪失証明書と本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)、岡山市は資格喪失証明書と本人確認書類を持参するよう案内しています。札幌市は、夫が後期高齢者医療制度に加入した日から14日以内の手続きを求め、加入日より前には手続きできないとしています。
- 65歳以上なら、旧被扶養者減免も申し出る。 次の節で説明します。
札幌市は、健康保険の脱退証明書は離職票や雇用保険の証明とは別のもので、これがないと国保の加入手続きを進められないと書いています。夫の誕生日が近づいたら、勤務先に証明書の発行を頼んでおくと、誕生日のあと窓口へ行く日が遅れずに済みます。
65歳以上なら「旧被扶養者減免」を一緒に申請する
会社の健康保険の被保険者が後期高齢者医療制度へ移ったために、その被扶養者だった65歳以上の人が国保に入った場合、国保の保険料(税)が減免されます。横浜市・名古屋市・札幌市・大阪市・さいたま市の案内に共通する内容は次のとおりです。
| 保険料の部分 | 減免の内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 所得割 | 旧被扶養者の分を全額減免 | 当分の間 |
| 均等割 | 旧被扶養者の分の半額を減免 | 国保に加入した月から2年間(24か月) |
| 平等割(設けている市区町村のみ) | 国保の加入者が全員旧被扶養者の世帯は半額を減免(札幌市・大阪市)。7割・5割の軽減が適用される場合は対象外。札幌市はさらに、別の制度で平等割が半額になる場合も対象外 | 2年間(24か月) |
対象になる「被用者保険」に、国民健康保険組合は含まれません(名古屋市・札幌市)。年齢は、札幌市と名古屋市では国保の資格を取得した時点で65歳以上かどうかで判定します。
低所得世帯向けの軽減(7割・5割)と重なる場合の扱いは、市によって書き方が違います。札幌市と大阪市は、7割・5割の軽減が適用される場合は均等割・平等割の減免の対象にならないとしています。さいたま市は「法定軽減適用の場合、あわせて50%」と表にしています。自分の世帯でどちらになるかは、保険料の通知書と一緒に市区町村で確かめてください。
申請のしかたも市区町村ごとに違います。
- 横浜市: 初めて受けるときは必ず申請が必要。翌年度も該当する人には、6月下旬以降に減免承認決定通知書が届く
- 札幌市: 初回のみ申請が必要
- 大阪市: 申請が必要。2年度目以降は自動的に適用される
- 名古屋市: 対象者のほとんどは国保の加入手続きの際にすでに申請している、と案内
- さいたま市: 申請が遅れても該当日までさかのぼって適用し、2年目以降の申請は不要
大阪市は、減免一般の注意として、特別な事由のない限り申請があった月以降の保険料が減免の対象になると書いています。さかのぼって適用されるかどうかが市によって違うので、国保に入る日にその場で申請しておくのが確実です。申請に要る書類として、名古屋市は被用者保険の喪失証明書と資格確認書(または資格情報のお知らせ)、さいたま市は旧被扶養者であることが書かれた資格喪失証明書を挙げています。他の市区町村から転入した人には、大阪市・さいたま市とも「旧被扶養者異動連絡票」を求めています。
保険料の通知は世帯主に届く。夫が世帯主なら軽減の判定に夫の所得も入る
国保の保険料は世帯単位で計算され、世帯主に請求されます。横浜市は、世帯主が国保の被保険者でなくても、同じ世帯に国保の被保険者がいれば、その人の分だけを計算した保険料を世帯主に請求すると説明しています。
低所得世帯向けの7割・5割・2割の軽減を判定するときの世帯の所得には、国保に入っていない世帯主の所得も含まれます。名古屋市は「国民健康保険の被保険者ではなく国民健康保険上の世帯主となっている人(擬制世帯主)の所得」も含めるとし、札幌市も低所得世帯の減額について「世帯主が他の健康保険に加入している場合でも、世帯主の所得は減額判定用の所得に含まれます」と書いています。夫が世帯主であれば、妻の年金が少なくても、夫の所得しだいでこの軽減に当たらないことがあります。
国保に入った月は、高額療養費の限度額が半分になる
夫が月の途中で75歳になり、妻がその月の途中から国保に入った場合、その月の妻の国保での高額療養費の自己負担限度額は、本来の額の2分の1になります。札幌市と名古屋市の国保の案内に、この扱いが書かれています。名古屋市は、国保の資格取得日が月の初日の場合(夫の誕生日が1日の場合)は対象外としています。
名古屋市の案内では、70歳未満の加入者の世帯合算について、この加入した月は対象になる自己負担額の基準が、通常の21,000円以上から10,500円以上に下がります。入院や通院が続いている人は、加入した月の領収書を分けて保管しておくと、申請の際に確かめやすくなります。
問い合わせ先
- 国保の加入、旧被扶養者減免、保険料: 住んでいる市区町村の国民健康保険の担当窓口
- 資格喪失証明書: 夫の勤務先、または加入していた健康保険(協会けんぽの場合は、日本年金機構の確認請求書を事務センターか近くの年金事務所に窓口持参・郵送で出して請求することもできる)
- 子の健康保険の扶養に入る場合: 子の勤務先と、子が加入している健康保険
- 夫の後期高齢者医療の資格確認書・資格情報のお知らせ: 住んでいる市区町村の後期高齢者医療の担当窓口
参考資料
- 日本年金機構 従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き
- 日本年金機構 従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
- 日本年金機構 国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき
- 日本年金機構 健康保険・厚生年金保険資格取得・資格喪失等確認請求書(ケース7-6 詳細説明)
- 静岡市 後期高齢者医療資格確認書等の発行と令和8年8月の一斉更新のご案内
- 浜松市 後期高齢者医療制度(対象者・資格確認書と資格情報のお知らせ)
- 協会けんぽ 資格の喪失について(任意継続のよくあるご質問)
- 札幌市北区 後期高齢者医療の届け出
- 札幌市北区 国民健康保険の届け出
- 岡山市 もうすぐ75歳を迎え後期高齢者医療制度の対象となりますが、何か手続きが必要ですか
- 船橋市 今まで被扶養者だった家族はこれからどの保険に加入するのですか
- 横浜市 保険料について(国民健康保険)
- 名古屋市 国民健康保険料を軽減する制度
- 札幌市 国民健康保険(保険料の減額)
- 大阪市 保険料の軽減・減免(国民健康保険)
- さいたま市 国民健康保険税の減免
- 札幌市 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)
- 名古屋市 高額療養費制度(国民健康保険)