親の白内障手術、片目でいくらかかる?高額療養費と2026年8月改定の影響
保険適用の単焦点レンズなら片目3万〜6万円台が目安。多焦点は選定療養で数万〜20万円台の自費差額。両目とも同じ暦月内に受けると高額療養費で頭打ちにできます。
目次(9項目)
親御さんから「そろそろ白内障の手術を勧められた」と連絡がきたときに、家族側が最初に気になるのは片目あたりの実費です。健康保険の窓口負担割合と、日帰りか入院か、単焦点レンズか多焦点レンズかで金額の桁が変わります。加えて2026年8月からの高額療養費上限の改定も控えているので、支払いのタイミングも合わせて考えておきたいところです。
相談で最初に聞かれる「片目でいくら?」の目安
家族から聞かれて答えづらいのが、この一言です。保険適用の単焦点眼内レンズを入れる標準的な日帰り手術の場合、健康保険3割負担で片目およそ4万〜6万円台、1割負担なら1万〜2万円台に収まるケースが多くみられます。両目とも受ける方が大半なので、単純に倍にすればおおよその予算感がつかめます。
これは手術代・眼内レンズ代・術後点眼薬の合計目安で、術前の検査、術後の通院、交通費などは別枠です。入院での手術を選ぶと差額ベッド代や食事代が加わり、地方の総合病院では日帰りより費用が伸びることもあります。「片目6万円と言ったのに請求は8万円だった」という家族間の食い違いは、この付帯費用を含めていないと起きがちです。見積もりを受け取ったら、術前検査・当日手術・術後1週間の通院までを合算した「トータル見込額」でメモしておくと、後で困りにくくなります。
1割か3割か、まずは負担割合証を確認
同じ「70代の親」でも、1割・2割・3割で最終的な支払額はまるで違います。ここは推測で話を進めず、親御さんの保険証と一緒に届いている「負担割合証」で確認する方が確実です。
75歳以上の後期高齢者医療制度は原則1割ですが、現役並み所得(住民税課税所得が一定額以上)なら3割、2022年10月以降は一部の中間所得層が2割負担に切り替わっています。「うちは年金だけだから1割」と思い込んで見積書を書き起こすと、実際は2割で数万円ずれるということが起きます。親御さんが「割合証なんて見た覚えがない」と言うこともよくありますが、市区町村の後期高齢者医療窓口またはマイナポータルから確認できます。
介護保険の負担割合証と紛らわしいので、封筒ごと持ち込んでもらうか、写真だけでも家族に送ってもらった方が確実です。
レンズ選択で自費部分が大きく変わる
白内障手術の費用差は、手術手技よりも眼内レンズ選びで生まれることの方が多いです。保険適用の単焦点レンズは前述の目安ですが、多焦点レンズを選ぶと状況が変わります。
現在は「選定療養」という制度で、手術・入院・術後の投薬は保険適用のまま、多焦点レンズの差額部分だけを自費にできる仕組みが使えます。差額はレンズ種類によりますが、片目で数万円から20万円台まで幅があります。従来のように全額自費(自由診療扱い)となる完全プレミアムレンズは、片目30万〜50万円台に及ぶこともあります。
親御さんの生活で「読書や手元作業が多いのか」「運転を続けたいのか」「夜間のまぶしさが心配か」で向くレンズは違います。値段だけで多焦点を勧めるクリニックがあれば、必ず眼科医と生活動作の話をしてから決めるのが安全です。手術後に「思っていたよりまぶしくて夜運転できない」といった不満が出ても、レンズは簡単には入れ替えられません。
入院で受けるべき人・日帰りでよい人
最近は白内障手術の8〜9割程度が日帰りで行われていますが、親御さんの状況によっては1〜2泊の入院が向くこともあります。判断の材料になるのは、片目ずつの手術日に自宅で目を触らずに過ごせるか、術後翌日の診察に自力で通院できるか、点眼が確実にできるかといった、生活面の要素です。
一人暮らしで通院手段が限られている、認知機能に不安がある、あるいは糖尿病や抗凝固薬を服用していて術後の観察を厚めにしたい場合は、初めから短期入院を選んだ方が家族の負担も軽くなります。費用面では入院代・食事代・差額ベッド代が加算されますが、高額療養費の限度額内に収まる範囲であれば、支払額の差は思ったほど大きくならないこともあります。
高額療養費は「月ごと」で切れる — 手術日程で数万円変わる
見落とされがちなのが、高額療養費が暦月(1日〜末日)単位で計算されるという点です。同じ両眼手術でも、右目を7月末、左目を8月初旬に予約すると、それぞれ別の月で計算されるので上限適用が2回分に分かれます。逆に、同じ月内で揃えられれば、両目分の自己負担が一度で頭打ちになる可能性が高くなります。
片目8万円で両目16万円かかる場合、同一月内なら1か月分の上限適用で済みますが、月をまたぐと二月にわたって別々に上限が計算され、結果として数万円多く払う結果になります。眼科の外来手術枠は数か月先まで詰まっていることも多いので、「月内で揃うか」を予約時に相談する価値は大きいです。
マイナ保険証を使えば限度額情報が自動照会されるため、原則として認定証申請は不要です。従来の紙の保険証を使っている親御さんの場合は、市区町村国保窓口や後期高齢者医療広域連合に限度額適用認定証を先に申請しておきましょう。窓口で一時的な全額立て替えを避けられます。
2026年8月の改定は親世代にも影響する
2026年8月からの高額療養費上限の段階的引き上げは、白内障手術の実質負担にも波及します。年収約370万〜約770万円区分では上限が数千円上がる見込みで、より高所得の区分は段階的に負担増となる方向です。改正の詳細は 高額療養費の自己負担上限が2026年8月から上がる? にまとめています。
住民税非課税世帯や、年4回目以降の「多数回該当」の上限は据え置き方向とされています。親御さんが慢性疾患で毎月高額療養費を使っている場合は、白内障手術の月が多数回該当のカウントに影響しないか、家族側でも意識しておくと安心です。
手術前に眼科で確認しておきたいこと
見積もりだけで判断しないでほしいのが、目の状態そのものです。糖尿病網膜症や進行した緑内障を抱えていると、白内障を取り除いてもすっきり見えるとは限りません。両目とも手術する場合の間隔は多くの施設で1週間から1か月程度ですが、親御さんの体力や通院手段によっては、あえて長めに空ける方が負担が軽いこともあります。
もう一点、術後は感染予防の点眼を数種類、朝晩指定時刻に差す必要があります。一人暮らしの親御さんだと点眼スケジュールを守れず、まれに眼内炎を起こすリスクが上がります。手術前に「点眼を誰が管理するか」を家族で決めておいた方が、術後のトラブルを避けやすくなります。近居でない場合はヘルパーや訪問看護、あるいは短期入所の活用も選択肢に入ります。
術後の見え方に違和感が残るとき
手術直後の数日から数週間は、視界のちらつきやハローグレア(光がにじむ現象)を感じることがあります。多くは目の順応に伴って落ち着いていきますが、視力の再低下や強い充血、痛み、飛蚊症の急な増加があれば、手術を受けた眼科にすぐ連絡してください。感染性眼内炎は頻度こそ低いものの、対応が遅れると視力回復が難しくなります。
数週間経っても「思っていた見え方と違う」と親御さんが言い続ける場合は、レンズ度数の追加検討や、遠近両用眼鏡の併用で改善できることもあります。手術を受けた病院と別の眼科でセカンドオピニオンを取る余地もあります。健康保険適用外になるケースもあるので、費用は事前に確認しておきましょう。
参考資料
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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