台風で飛行機の欠航はいつ決まる?前日午後〜当日。確定前でも手数料なしで変更できます

この記事の要点

欠航の確定は前日午後〜当日が中心ですが、待つ必要はありません。JALは「運航の見通し」に次回更新時刻が書かれ、ANAは2日前の18時ごろに対象空港が決まります。JALは便名横の「!」、ANAは対象便の指定が出た時点で、運航状況にかかわらず手数料なしで変更・払い戻しができます。

  1. 欠航の確定発表は前日午後〜当日が中心。JALは決定次第Webに反映し、前日・当日・翌日分の発着情報検索で確認できる
  2. 台風シーズンを含む2025年7〜9月の国内線は欠航率1.19%・遅延率19.70%(国土交通省)。身構えるべきは欠航より遅延のほう
  3. 「風速何メートルで欠航」という公表基準はない。目安は気象庁の強風域15m/s以上・暴風域25m/s以上と、便の時刻が重なるか
どうする?編集部 · · 初出 · 読了 約18分
目次(16項目)
  1. 欠航の確定発表は前日の午後から夜が中心
  2. 台風シーズンでも欠航は100便に1便。増えるのは欠航より遅延
  3. 「風速何メートルで欠航」という公表された基準はない
  4. JALは「運航の見通し」に次の更新時刻が書いてある。ANAは2日前の18時ごろ
  5. 発表時刻に決まりはないが、気象庁の更新時刻には決まりがある
  6. 「わかる」のを待つより、決まった時点で知らせてもらう
  7. 「天候調査中」は、まだ決まっていないという意味
  8. JALは便名の横の「!」で対象かどうかが分かる
  9. ANAは欠航前に振り替えられる日が「前日から翌日」まで
  10. ANAとJALで違うところを並べる
  11. 進路図のどこを見れば、自分の便に関わるかが分かる
  12. 前日の夜にやることを順番に
  13. 行きは飛びそうで帰りだけ危ないとき
  14. ツアー・予約サイト経由・LCCは窓口が別
  15. 欠航しても宿泊費や振替交通費は原則自己負担
  16. 参考にした公式ページ

台風が近づいているのに、明日の便について航空会社から何の連絡もない。飛ぶのか飛ばないのか分からないまま荷造りする夜は落ち着かないものです。先に結論を言うと、欠航の確定発表は前日の午後から夜、または当日に出るのが中心で、2日以上前に決まることはまずありません。

ただ、確定を待つ必要はありません。JALは発着案内の便名の横に「!」が付いた時点、ANAは自社サイトで対象便に指定した時点で、実際に欠航したかどうかに関係なく手数料なしの変更・払い戻しを受け付けます。今夜見るべきなのは欠航の文字ではなく、この印です。

「いつわかるか」も、画面に張り付いて解決する問題ではありません。JALは決定と天候調査をメール・SMS・LINEで知らせますし、判断の材料になる気象庁の台風情報には決まった更新時刻があります。航空会社の側にも手がかりがあって、JALは「運航の見通し」のページに次回の更新予定時刻を書き、ANAは対象空港を運航日の2日前の18時ごろに決めます。

欠航の確定発表は前日の午後から夜が中心

台風による欠航は、天気予報から機械的に決まるわけではありません。航空会社は台風の進路や速度の最新データを見ながら、影響が避けられないと判断した便から順次発表していきます。

台風で欠航が決まる時期。ANAは2日前18時ごろに対象空港を決め、欠航の確定発表は前日午後〜当日が中心。JALは運航の見通しに次回案内時刻を載せ、便名横の「!」が対象の目印。気象庁の台風情報は3時間ごと、接近時は1時間ごとに更新

JALは公式FAQで、欠航や遅延が決まるタイミングは定まっていないとしたうえで、台風のように天候に見通しがつく場合はできる限り早いタイミングで決定して案内するよう努めていると説明しています。同時に、状況により出発間際に決まることもあるとも書かれています。つまり台風は、急な雷雨や霧に比べれば早めに判断が出やすい部類です。

JALの欠航・遅延サポートのページには「タイミングは決まっておらず、状況により変化するため、出発間際に決まることもあります」とあり、決定次第JAL Webサイトに反映され、前日・当日・翌日分の「発着情報検索」で確認できるとしています。裏を返せば、2日前の時点では個別の便について確定した答えはありません。実際の傾向として、翌日の便に広い影響が見込まれる場合は前日の午後から夕方にかけてまとまった発表が出ます。一方で進路の予測が難しい台風では、当日の朝まで保留されることも珍しくありません。

だから、2日前に「まだ欠航と出ていないから大丈夫」とも「どうせ飛ばない」とも決めつけられません。確定情報を待つより、次に説明する表示を見るほうが先です。

台風シーズンでも欠航は100便に1便。増えるのは欠航より遅延

「台風が来る=飛ばない」と身構えてしまいますが、全体の数字はそこまで極端ではありません。

国土交通省は、航空会社ごとの遅延率と欠航率を四半期ごとに公表しています。2026年4月28日に出た「航空輸送サービスに係る情報公開(令和7年度4月~9月分)」によると、台風シーズンを含む2025年7~9月の欠航率は1.19パーセント、遅延率は19.70パーセントでした。対象は特定本邦航空運送事業者、つまり国内の大手定期便全体の合計です。直前の4~6月は欠航率0.64パーセント、遅延率12.72パーセントでしたから、台風シーズンに入ると欠航はおよそ2倍になります。

それでも100便に1便強です。台風シーズンではっきり増えるのはむしろ遅延のほうで、5便に1便が遅れています。前日の夜に備えるべきなのは「飛ばないかもしれない」より「かなり遅れるかもしれない」で、到着後の乗り継ぎや現地の予定は遅れる前提で組んでおくほうが外れません。

年ごとの振れ幅も小さくありません。同じ資料で、2025年7~9月の欠航率は前年度の同じ時期から1.17ポイント減っています。台風がいくつ上陸したかで倍ほど動くので、「例年これくらい」という感覚は当てになりません。

そして、この数字を自分の便にそのまま当てはめないでください。全国・3か月分の平均なので、台風が直撃している空港のその時間帯だけを切り出せば比率はまったく違います。この平均が言っているのは「台風が来ている日でも、離れた地域の便はほとんど普通に飛んでいる」ということです。

「風速何メートルで欠航」という公表された基準はない

欠航率の次によく調べられるのが風速です。ただANA・JALとも、風速がいくつなら欠航するという数値基準は公開していません。公表されているのは、影響が見込まれる空港と便を指定して手数料なしの取り扱いにする、という運用のほうです。「風速○メートルで欠航」と書かれた数字を見かけても、航空会社の公式ページで裏を取れるものではありません。

代わりに使えるのは、気象庁が数値で定義している範囲です。

  • 強風域は、風速15メートル毎秒以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲
  • 暴風域は、風速25メートル毎秒以上の風が吹いているか、吹く可能性がある範囲
  • 台風の「強さ」は最大風速で決まり、強いが33メートル毎秒以上44メートル毎秒未満、非常に強いが44メートル毎秒以上54メートル毎秒未満、猛烈なが54メートル毎秒以上
  • 台風の「大きさ」は風速15メートル毎秒以上の半径で決まり、大型が500キロメートル以上800キロメートル未満、超大型が800キロメートル以上

使い方は単純です。自分の空港が暴風域に入る時間帯と便の時刻が重なるなら、影響を受ける可能性が高いと見て動く準備を始める。強風域にかかる程度なら、遅延を想定しながら対象指定が出るのを待つ。前日の夜に必要な大まかな判断なら、この二つで足ります。

JALは「運航の見通し」に次の更新時刻が書いてある。ANAは2日前の18時ごろ

「いつわかるか」を航空会社名とセットで調べるとき、知りたいのは自分の便の答えが出る時刻のはずです。確定の時刻こそ決まっていませんが、見る場所と次の更新時刻は決まっています。

JALの「運航状況のご案内(国内線)」は、「発着情報検索」と「運航の見通し」の二段構えです。運航の見通しの冒頭には「2026年9月10日(木)13時00分現在(次回ご案内予定時刻:16時頃)」とあり、いま何時時点の情報か、次にいつ更新されるかが最初に目に入ります。2026年9月10日に開いたときは影響のない日で、「対象となる空港はありません」とだけ出ていました。JALの便なら、この次回ご案内予定時刻に合わせて開き直すのがいちばん早く知る方法です。

見通しに載るのは、本日の悪天候にともなう遅延・欠航・出発空港への引き返し・他空港への着陸の可能性がある空港です。翌々日以降の分は「対象空港一覧(翌々日以降)」として別に出ます。注意点も書かれています。見通しは気象情報などから予測した情報で、機材故障や使用機材の到着遅れによる遅延・欠航、他社運航のコードシェア便は含みません。自分の便が実際にどうなったかは、前日・当日・翌日分の発着情報検索で見ます。

ANAは時刻を一つ示しています。国内ツアー向けの案内に「対象空港は運航日の2日前18:00頃に決定されます」とあります。便名に「!」が付いていなくても、発着空港が「運航に影響が予測される空港」に指定されていれば対象で、対象空港は「運航状況のご案内」の「運航の見通し」から確認できます。航空券の案内のほうも、悪天候などで遅延・欠航が見込まれる際は実際の運航状況にかかわらず、対象空港の航空券を手数料なしで変更・払い戻しすると書いています。手続きは出発時刻までです。

まとめると、前々日の18時を過ぎたらANAの運航の見通しを一度見る。JALは見通しページの「次回ご案内予定時刻」の直後に見る。この二つで、夜通し画面を開き直す必要はなくなります。

発表時刻に決まりはないが、気象庁の更新時刻には決まりがある

航空会社が何時に発表するかは読めません。ただ、航空会社が見ている材料のほうは、出てくる時刻が決まっています。気象庁の台風情報です。

気象庁は台風の実況、つまり現在の位置や強さを3時間ごとに発表しています。発表時刻は0時・3時・6時・9時・12時・15時・18時・21時の約50分後です。あわせて、5日先までの24時間刻みの予報を6時間ごと、1日先までの12時間刻みの予報を3時間ごとに出しています。

台風が日本に接近し、影響するおそれがある場合は間隔が縮みます。位置や強さの実況と1時間後の推定値が1時間ごと、24時間先までの3時間刻みの予報が3時間ごとになります。接近している段階なら、1時間待てば数字が新しくなります。

前日の夜に判断するなら、区切りは15時50分ごろ、18時50分ごろ、21時50分ごろです。この更新が出た直後に発着案内を開けば、航空会社が持っているのとほぼ同じ材料を見ていることになります。逆に、更新と更新のあいだに何度画面を開き直しても、表示は変わりません。夜通し張り付くより、この三つの時刻に合わせて開くほうが消耗しません。

当日の朝まで結論が持ち越された便なら、6時台と9時台の更新が次の節目です。空港へ向かう前に一度見ておくと、家を出るかどうかの材料になります。

「わかる」のを待つより、決まった時点で知らせてもらう

発着案内を追いかけて「いつわかるか」を解決しようとすると、眠れない夜になります。JALは、欠航・遅延が決定した場合や天候調査の場合に、メールやSMS、LINEでリアルタイムに知らせる仕組みを用意しています。決定と同時に手元へ届くので、こちらから見に行く回数を減らせます。

ただし条件が一つあります。受け取るには、予約記録にメールアドレスや携帯電話番号が登録されている必要があります。台風の予報が出た時点で予約確認画面を開き、連絡先欄に自分のメールアドレスと携帯番号が両方入っているかを見てください。

空欄や他人の連絡先になりやすいのは、こういう取り方をした予約です。

  • 会社の総務や出張手配の担当者が代わりに取った便
  • 家族の誰かが人数分をまとめて予約した旅行
  • 特典航空券を代理で発券してもらった場合

いずれも、登録されている連絡先が自分のものではないことがあります。届く先が自分でなければ、通知の仕組みがあっても手元では何も起きません。夜中に決定が出ても、翌朝まで知らないままです。

メールで受け取るなら、迷惑メールフォルダの振り分けも一度のぞいておきましょう。台風の前日は航空会社からの案内が続けて届くので、まとめて隔離されると気づくのが遅れます。

「天候調査中」は、まだ決まっていないという意味

前日に発着案内を見ると、欠航でも通常運航でもなく「天候調査中」と表示されることがあります。ここで不安になる人が多いのですが、この表示は欠航の予告ではありません。

JALの説明では、天候調査中とは、その便の出発地もしくは到着地の台風や降雪など悪天候にともなう運航への影響を調査している状態を指します。調査の結果としてありうるのは、出発地への引き返し、目的地の変更、遅延、欠航。もちろん、通常どおり飛ぶという結論もあります。

この表示が出ている段階でやるべきなのは、キャンセルの判断ではなく、無料で動ける対象になっているかの確認です。自己判断で先に予約を取り消せば、運賃によっては通常のキャンセル料が引かれます。天候調査中と出た時点で確かめるのは、次のセクションで説明する印の有無です。

前の項で触れたJALの通知は、欠航が決まる前、この天候調査の段階でも飛びます。つまり「天候調査中になりました」という知らせが来た夜は、まだ何も決まっていないけれど、動く準備を始めていい合図だということです。

JALは便名の横の「!」で対象かどうかが分かる

自分の便が手数料なしの対象かどうかを、JALははっきりした印で示しています。

印が出る場所は2か所です。発着情報検索(前日・当日・翌日分)の便名の横と、欠航・遅延便検索の画面の備考欄。欠航・遅延サポートのページには「検索結果の便名横に!が表示されている便が手数料免除対象便」と書かれています。欠航・遅延便検索で「*」が付いた便は、欠航・遅延証明書を発行できる対象便です。加えて、JALが対象空港を指定している場合は、予約便の出発地または到着地がその空港に該当すれば対象になります。翌々日以降の分は「対象空港一覧」として別に出ます。

対象になっていれば、実際の運航状況にかかわらず手数料なしで搭乗予定便の予約変更や払い戻しができます。まだ飛ぶ可能性が残っている便でも、印さえ出ていれば動けます。

変更できる範囲も具体的に決まっています。JALは、運航に影響が見込まれる便であれば手数料無料で搭乗日から30日以内の便へ変更できるとしています。正確には「航空券の有効期間または出発予定日の30日以内のどちらか長い方」です。台風が抜けた数日後の便を選ぶ余裕があるのはこのためです。さらに、普段は変更できないスペシャルセイバーなどの運賃についても、1回に限り変更できます。1回限りなので、変更先の便が普通に飛ぶのに自分の都合でもう一度動かすと、二度目は通常の扱いです。ただし変更後の便がさらに遅延・欠航した場合は再度変更できると、JALは明記しています。

手続きの窓口はJAL Webサイト、またはJALチャットサポートで、Webは予約便の出発時刻前までです。台風前のコールセンターは非常に混み合うため、電話は最後の手段です。

出発時刻を過ぎてしまっても、道は残っています。Webで変更・払い戻しができない航空券や、出発前までに手続きできなかった航空券は、搭乗日から30日以内なら手続きできます。払い戻しは専用の受付フォーム、変更はコールセンターです。払い戻しの処理には申請後1週間程度かかることがあります。特別な取り扱いになる判断基準は、欠航、30分以上の出発遅延、天候調査・条件付き運航、自然災害などで特別対応が必要とJALが判断した場合の4つです。ツアーの航空券は対象外で、購入した旅行会社に問い合わせることになります。

ANAは欠航前に振り替えられる日が「前日から翌日」まで

ANAも、運航に影響が見込まれる対象便については、便の遅延や欠航が決定する前でも手数料なしで変更(振替)および払い戻しができると案内しています。ここまではJALと同じ考え方です。

違うのは、振り替えられる日の範囲です。ANAの悪天候による予約変更は、操作可能期間が予約便出発予定日の前々日から翌日まで、搭乗可能期間が予約便出発予定日の前日から翌日までと定められています。この二つは公式ページに並べて書かれていて、初めて読むと「前々日から翌日まで振り替えられる」と取り違えやすいところです。手続きができる期間と、移った先に乗れる期間は別物です。欠航が確定する前に自分から動くなら、移れるのは前日・当日・翌日の便だけです。

これが実務でいちばん引っかかる点です。台風が明日の夜に抜けて、3日後に落ち着いてから帰りたいと考えても、欠航確定前の事前振替ではその便を選べません。この場合は振替ではなく払い戻しを選び、あらためて希望日の便を買い直すほうが確実です。手数料なしで払い戻せるので、運賃差が出なければ実質的な損はありません。

一方、便の遅延・欠航が確定した後は範囲が広がります。ANAは欠航決定以降の手続き期限を、変更は出発便予定出発日から10日以内、払い戻しは30日以内(ANAウェブサイトでは10日以内)としています。日程を大きくずらしたい場合は、確定を待ってから変更するほうが選択肢が多くなるという逆転が起きます。

払い戻しそのものの期限には余裕があります。有償航空券(クレジットカード・現金・スカイコイン・ANA旅行券での支払い分)は、旅程の開始日、まだ開始していなければ購入日から1年と30日以内が期限です。ただしANAウェブサイトで手続きできるのは旅程の最終搭乗日から4日後までで、それを過ぎると電話や空港カウンターでの扱いになります。自分で完結させたいなら、区切りはこの4日です。

ANAとJALで違うところを並べる

同じ台風でも、社によって動ける範囲と締め切りが違います。前日の夜に判断するとき用に、要点だけ並べます。

JALANA
対象の見分け方発着情報検索の便名横の「!」、または対象空港の指定(翌々日以降は対象空港一覧)便名の「!」、または「運航に影響が予測される空港」の指定
対象空港が決まる時刻「運航の見通し」に次回ご案内予定時刻を明示運航日の2日前18時ごろ(国内ツアー向け案内)
欠航確定前に振替できる範囲搭乗日から30日以内(航空券の有効期間が長ければそちら)予約便出発予定日の前日から翌日まで
欠航確定後の変更期限出発前に間に合わなければ搭乗日から30日以内(コールセンター)出発便予定出発日から10日以内
払い戻しの期限搭乗日から30日以内に専用フォーム(処理に1週間程度)旅程開始日から1年と30日以内(Webは最終搭乗日の4日後まで)
変更不可運賃の扱い1回に限り変更可対象便なら手数料なしで変更・払い戻し可
主な手続き窓口JAL Webサイト、JALチャットサポートANAウェブサイト

どの項目も各社の公式ページの文言を並べたものですが、細部はその台風ごとの案内で上書きされます。最後に効くのはこの表ではなく、自分の便の予約管理画面と、その台風について出ている案内です。

進路図のどこを見れば、自分の便に関わるかが分かる

航空会社の発表前でも、自分で見当はつけられます。ただし進路図は、見方を知らないと過大にも過小にも読めます。三つの図形の意味だけ押さえてください。

白い破線の円が予報円です。気象庁の説明では、予報した時刻にこの円内に台風の中心が入る確率は70パーセントです。中心が円のどこに来るかまでは決まっていません。だから自分の空港が予報円の端にかすっている段階では、航空会社の側にもまだ判断材料が足りていません。結論が出ないのは当然です。

予報円の外側を囲む赤い実線が暴風警戒域です。これは、台風の中心が予報円内に進んだ場合に5日先までに暴風域に入るおそれのある範囲全体を示しています。自分の空港がこの中に入っていても、必ず暴風になるとは限りません。可能性のある範囲を広めに囲った網です。

もっと直接使えるのが、暴風域に入る確率です。気象庁は、5日先までの3時間ごとの確率と24時間ごとの積算確率を、分布図と地域ごとの時系列図の形で6時間ごとに発表しています。この確率は予報円の大きさ、つまり進路予報の不確実性を織り込んで計算されているため、進路が定まっていない台風では確率が広く薄く散らばります。自分の空港がある地域の数字が更新のたびに上がっていくなら、発表が近づいていると読めます。

ここが、前の節で挙げた暴風域=風速25メートル毎秒以上という定義が実際に効いてくる場所です。分布図で自分の空港がある地域をクリックすると、3時間ごとの確率が並んだ時系列に切り替わります。便の出発時刻が入る3時間の枠を探して、その数字を見てください。24時間ごとの積算確率のほうは「その日のどこかで暴風域に入るか」を示すので、便の時刻まで絞り込みたいときは3時間ごとの側を使います。

そのうえで、自分の便の時刻と空港の位置を重ねます。出発か到着どちらかの空港が暴風域に入る時間帯と便の時刻が重なるようなら、影響を受ける可能性は高くなります。

逆に、台風が通過した後の便は、機材繰りの乱れが残っていなければ順次動き始めます。朝に抜ける台風なら夕方の便から再開する、といった流れが読めると、振替先を選ぶ参考になります。ただ、最終的に飛ぶかどうかを決めるのは航空会社です。読みが当たっていたとしても、対象指定が出るのを待ってから動くほうが得をします。

前日の夜にやることを順番に

最初の節目は前日ではなく前々日、ANAが対象空港を決める18時ごろです。JALは見通しページの「次回ご案内予定時刻」に合わせて開きます。

対象だと分かったら、電話ではなくWebで手続きします。台風前はコールセンターが混み合い、つながるまでかなり待つことになります。ANA・JALとも、予約管理ページから変更も払い戻しも自分で完結できます。

順番はこうなります。まず予約確認画面を開いて、連絡先のメールアドレスと携帯番号が自分のものになっているかを直します。ここを先に済ませておけば、以降は通知が来るのを待てる状態になります。次に同じ画面で自分の便の状況表示を見て、JALなら便名横の「!」の有無、ANAなら対象便の案内に自分の路線と搭乗日が入っているかを確かめます。そのうえで、旅程をずらせるなら振替、旅行自体を取りやめるなら払い戻しを選びます。

振替先の便は台風通過後の日程に予約が集中するため、動くと決めたら早めに席を押さえたほうが選択肢が残ります。特にANAは事前振替で選べるのが翌日までなので、翌日便を押さえるか、払い戻して買い直すかを、その場で決めることになります。

払い戻しの手続き自体は当日に空港へ行く必要はありません。帰宅の手段や宿の確保を優先して構いませんが、Webで自分で済ませたいならANAは最終搭乗日から4日後までという区切りがあります。放置して数週間経つと、電話や窓口に並ぶ手間が戻ってきます。

行きは飛びそうで帰りだけ危ないとき

旅行で悩ましいのは、往復のうち帰りの便だけに台風がかかるパターンです。行きが通常運航なら出発自体はできますが、帰れなくなったときの延泊費用は後述のとおり自己負担になります。

この場合も判断材料は対象指定です。帰りの便が対象に入っていれば、旅行全体を前倒しで切り上げる、帰りだけ前日の便に変更する、といった組み替えが手数料なしでできます。往復とも対象なら、日程ごと後ろにずらすのも選択肢です。出発前の夜に、行き帰り両方の便名で対象かどうかを確認しておくと、現地で慌てずに済みます。

なおANAは、往路便が悪天候で欠航した場合に、あわせて予約した復路便の扱いについても案内を出しています。往路が飛ばなくなった時点で復路をどうするかは同じ予約の中で処理できることが多いため、復路だけ別に取り消して手数料を払う前に、予約管理画面で往復まとめて扱えないかを確認してください。

ツアー・予約サイト経由・LCCは窓口が別

ここまでの内容は、ANA・JALの公式サイトや窓口で直接買った航空券が前提です。買い方によっては手続きの流れが変わります。

旅行会社や航空券予約サイトを通して買った場合、手続きの窓口は購入した会社です。航空会社に直接連絡しても手続きはできません。窓口は予約サイトのマイページか、そのサイトのサポートページです。無料変更の条件自体は航空会社の発表に準じますが、事務手数料を別に設けている会社もあります。

パッケージツアーは旅行業約款に基づく扱いで、航空券単体とはルールが別です。ツアーを実施するかどうかは旅行会社が判断するため、申込先への確認が最優先になります。

ピーチやジェットスターなどのLCCも天候欠航時の変更・払い戻しには応じますが、現金ではなく自社ポイントでの返金を基本にしている会社があります。現金での返金を希望する場合の手順は各社で違うため、予約確認メールにある案内ページを開いてください。

欠航しても宿泊費や振替交通費は原則自己負担

見落としやすいのがここです。台風による欠航は航空会社に責任のない「不可抗力」にあたるため、欠航で発生した宿泊費・食事代・新幹線など他の交通機関への振替費用は、原則として補償されません。航空券代金の払い戻しと、欠航にともなう損害の補償は別の話です。

帰りの便が欠航して現地にもう1泊するなら、その宿泊費は自分持ちです。台風シーズンに旅行するなら、クレジットカード付帯の保険や国内旅行保険に「航空機遅延費用」の補償が付いているか、出発前に確かめておく価値があります。補償の金額や条件は契約ごとに違います。該当部分だけでも約款を開いておくと、いざというときに迷いません。

補償の対象外になりやすいのは、自分の判断で早めにキャンセルした場合です。航空会社が対象便に指定する前に取り消すと、通常のキャンセル料が引かれたうえ、遅延補償の要件も満たさないという二重の不利になります。焦って取り消す前に、対象指定が出ていないかを一度確かめてください。取り消すのはその後です。

参考にした公式ページ

Photo by Jack Cohen on Unsplash

参考資料

  1. JAL 飛行機の欠航や遅延はいつ決まりますか(国内線)
  2. JAL 運航状況を確認すると「天候調査中」と表示されますが、天候調査とは何ですか(国内線)
  3. JAL 手数料なしで予約変更や払い戻しができる対象か確認する方法(国内線)
  4. JAL (国内線)飛行機が欠航・遅延するかも 困ったときは「JAL Webサイト」を確認(欠航・遅延に関するサポート)
  5. JAL 運航状況のご案内(国内線)発着情報検索・運航の見通し
  6. ANA 運航に影響が見込まれる際の変更・払い戻しについて(国内線)
  7. ANA 悪天候などによる運航への影響・ご旅行のお取り扱いについて(国内旅行)
  8. ANA 悪天候などが理由の予約変更(ANA便への振り替え)
  9. ANA 悪天候などが理由の払い戻し
  10. 気象庁 台風情報の種類と表現方法(発表時刻・予報円・暴風警戒域)
  11. 気象庁 台風の大きさと強さ(強風域・暴風域の定義)
  12. 気象庁 台風情報
  13. 国土交通省 航空輸送サービスに係る情報公開(令和7年度4月~9月分)
  14. 国土交通省 航空輸送サービスに係る情報公開(一覧)

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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