自分で国民年金保険料を払っていて1歳未満の子を育てているなら、2026年10月分から保険料が免除されます。免除されるのは10月分以降だけで、9月分までを遡って取り戻すことはできません。次に確かめるのは、自分が届出のいらない側かどうかです。産前産後免除の期間が2026年9月以降に終わる実母のうち一定の条件を満たす人だけは何もしなくてよく、実父と養父母は自分で届け出ます。届出先は住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口で、2026年10月1日以降はマイナポータルからも出せます。
免除されるのは2026年10月分から。9月分以前には戻らない
令和8年(2026年)10月1日から、国民年金第1号被保険者が1歳未満の子を養育している期間の保険料が免除される制度が始まります。第1号被保険者とは、自分で国民年金保険料を納めている20歳以上60歳未満の人で、日本年金機構は自営業者・農業者・学生・無職の方と説明しています。
対象になるのは、その子の実父母・養父母です。養育の要件は次の二つで、所得の条件はありません。
- 子と身分(親子)関係が継続していること
- 子と同一住所であること
法律上の親子関係がある実子・養子に加え、特別養子縁組の監護期間にある子、養子縁組里親に委託されている子も含まれます。被保険者を養子縁組里親として委託するのが適当と認められたのに実親等が反対したため養育里親として委託されている子も対象です。
すでに生まれている子も対象になりますが、免除されるのは2026年10月分以降の保険料だけです。日本年金機構は実母・実父どちらの説明にも「令和8年10月1日以降に限る」と付けています。2026年春に生まれた子でも、4月分から9月分までの保険料は免除されません。
届出がいらないのは一種類だけ。届く通知の名前で見分ける
この制度で読み取りにくいのが、届出が不要な人の範囲です。次のどちらに当てはまるかで、動くかどうかが変わります。
届出が不要なのは、産前産後免除に該当していた実母で、その産前産後免除期間が2026年9月以降に終わったあとも引き続き子を養育していることを日本年金機構が確認できた人です。確認の条件は、基礎年金番号とマイナンバーが紐付けされており、マイナンバーを用いた情報連携で親子関係と子と同一世帯であることが確認できること、と書かれています。該当する人には、産前産後免除期間が終わったあとに「国民年金保険料育児免除該当通知書」が送られてきます。
届出が必要なのは、実父、養父母、そして産前産後免除の届出が済んでいない実母です。また、育児免除に該当することが確認できなかった場合には「国民年金保険料の産前産後免除期間終了のお知らせ」が送られてきます。この「お知らせ」が届いた人で育児免除に当てはまるなら、自分で届出をしてください。
名前は似ていますが、意味は逆です。封筒を開けて、どちらの表題かを確かめてください。
母と父で免除される月の数え方が違う
免除される期間の決め方が、産前産後免除を持つ実母とそれ以外で分かれています。
- 産前産後免除期間がある実母 — 産前産後免除期間に引き続く9か月間(令和8年10月1日以降に限る)
- 実父・養父母、および産前産後免除期間を持たない実母 — 子を養育することとなった日の属する月から、1歳になる誕生日の前月までの最大12か月間(令和8年10月1日以降に限る)
産前産後免除の期間は、出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間です。多胎妊娠の場合は出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間になります。
日本年金機構が挙げている4つの例をまとめると、次のようになります。
| 子の出産(予定)日 | 届出する人 | 免除される月 | 月数 |
|---|---|---|---|
| 令和9年5月1日 | 実母(産前産後免除あり) | 令和9年8月〜令和10年4月 | 9か月 |
| 令和9年5月1日 | 実父・養父母 | 令和9年5月〜令和10年4月 | 12か月 |
| 令和8年1月1日 | 実母(産前産後免除あり) | 令和8年10月〜12月 | 3か月 |
| 令和8年1月1日 | 実父・養父母 | 令和8年10月〜12月 | 3か月 |
どの例でも終わりの月は「1歳の誕生日の前月」で同じです。違うのは始まりで、産前産後免除を取っている実母は産前産後の4か月(多胎は6か月)が終わった翌月から、実父と養父母は養育を始めた月からになります。産前産後免除の届出が済んでいない実母は、実父と同じ数え方の最大12か月として扱われます。産前産後免除は出産予定日の6か月前から届出でき、育児免除とあわせて出すこともできます。
制度が始まる前から養育していて2026年10月時点で1歳未満の場合は、上の計算のうち令和8年10月1日以降の月だけが免除されます。2026年1月1日生まれの例が3か月なのはそのためです。
令和8年度の保険料で計算するといくらか
国民年金保険料は令和8年度(2026年4月から2027年3月)が月額17,920円です。この月額に免除される月数を掛けると、次の金額になります。
| 免除される月数 | 令和8年度の額での金額 |
|---|---|
| 3か月 | 53,760円 |
| 9か月 | 161,280円 |
| 12か月 | 215,040円 |
これは令和8年度の月額で機械的に掛けた試算です。免除が始まるのは2026年10月分からなので、令和8年度に収まるのは3か月の行だけで、9か月と12か月は必ず令和9年度以降にまたがります。令和9年度以降の保険料額は年度ごとに決まるため、実際の合計はこの表の金額と一致しません。2026年9月26日に日本年金機構の国民年金保険料のページを確認した時点では、令和9年度の額は掲載されていませんでした。
なお、免除された期間は保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映されます。払わずに済むうえ、将来受け取る額も減りません。
学生納付特例や納付猶予で払っていない人も、届出で年金額が変わる
すでに保険料を納付している期間、法定免除に該当している期間、国民年金保険料免除・納付猶予、学生納付特例が承認されている期間についても、届出することで育児免除期間として取り扱われます。納付している期間の保険料は、充当または還付されます。
いま払っていない人にとって、ここは金額以上に意味があります。同じ「払っていない」状態でも、老齢基礎年金の額への効き方が違うためです。
| いまの状態 | 老齢基礎年金の額への反映 | 育児免除の届出をしたあと |
|---|---|---|
| 保険料を納付している | 反映される | 充当または還付され、納付したものとして扱われる |
| 全額免除 | 全額納付した場合の2分の1(税金分) | 納付したものとして扱われる |
| 納付猶予 | 反映されない | 納付したものとして扱われる |
| 学生納付特例 | 年金額の計算の対象となる期間に含まれない | 納付したものとして扱われる |
学生納付特例で承認された期間は、受給資格期間の10年には数えられる一方、年金額の計算には入りません。育児免除に切り替わればここが納付扱いになるので、すでに免除や特例が通っているから出さなくてよい、とはなりません。
育児免除期間中も、付加保険料(月額400円)を納付することができます。
対象にならない人
- 第2号被保険者(会社員や公務員など厚生年金の加入者) — 国民年金の育児免除ではなく、厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)の対象です
- 第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている配偶者) — 育児免除制度の対象ではありません
- 任意加入被保険者 — 育児免除制度の対象ではありません
- 子と同一住所でない親 — 養育の要件を満たしません
- 2026年10月時点で子が1歳以上 — 1歳になるまでの子が対象で、10月分以降に免除できる月が残りません
会社員から自営業に変わったなど、被保険者の種別が途中で変わる場合は、どの月が第1号被保険者だったかで扱いが分かれます。判断に迷う月があれば年金事務所に確認してください。
出し方 — 窓口かマイナポータル。様式は10月1日から
届出の時期は、育児免除の要件を満たした日以降すみやかに、とされています。ただし2026年10月1日より前から子を養育している場合は、2026年10月1日以降に届け出てください。産前産後免除とあわせて届け出ることもできます。
出し方は二つです。
- 紙の届書 — 住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ提出します。郵送もできます
- 電子申請 — 2026年10月1日以降、マイナポータルから申請できます
様式と記入例が公開されるのは、2026年10月1日以降です。日本年金機構のホームページからダウンロードでき、年金事務所と市区役所・町村役場の国民年金担当窓口にも備え付けられます。2026年9月26日時点ではまだ公開されていないため、9月中に様式を探しても見つかりません。
添付書類は次の3種類ですが、原則として添付は不要とされています。
- マイナンバーまたは基礎年金番号を確認できる書類(電子申請の場合は添付不要)
- 被保険者と子の身分関係(親子関係)を確認できる書類 — 原則添付不要。急ぐ場合は戸籍謄(抄)本または戸籍記載事項証明書
- 被保険者が子と同一住所であることを確認できる書類 — 原則添付不要。急ぐ場合は住民票
次の場合は書類の添付が必要です。
- 親または子が外国籍である場合(日本での戸籍で確認できる場合を除く) — その国の公的機関が発行する親子関係の証明書と、翻訳人を明記した和訳文
- 特別養子縁組の監護期間にある子 — 家庭裁判所が交付する事件係属証明書
- 養子縁組里親に委託されている子 — 児童相談所が交付する措置決定通知書
- 養子縁組里親としての委託が適当と認められたが実親等の反対により養育里親として委託されている子 — 児童相談所長が発行する証明書
口座振替やクレジットカード納付で前納している人は、育児免除期間が終わったあとに振替方法が変わることがあります。前納中の人は年金事務所に問い合わせてください。
子と同居しなくなったら終了の届出がいる
育児免除に該当している期間の途中で要件を満たさなくなった場合、たとえば子と同居しなくなった場合は、育児免除終了の手続きが必要です。要件を満たさなくなった日の翌日以降、すみやかに届け出てください。
子が1歳になって期間が満了したときは手続きは不要です。届出方法と提出先は該当したときと同じで、紙の届書か、2026年10月1日以降はマイナポータルからの電子申請になります。
2026年9月26日時点で確定していないこと
この記事は2026年9月26日に日本年金機構のページを確認して書いています。施行が近く、次の点はまだ公開されていないか、今後変わります。
- 届出様式と記入例 — 2026年10月1日以降に公開予定です。様式の名称はこの時点では示されていません
- 令和9年度以降の保険料額 — 年度ごとに決まります。国民年金保険料のページには令和8年度の月額17,920円までが掲載されています
- 届出が遅れた場合に遡れる期間 — 「速やかに届出してください」とあるだけで、期限は示されていません。納付済み分は充当または還付と案内されていますが、遅れた場合の扱いは窓口で確認してください
- マイナポータルでの申請画面 — 2026年10月1日以降に使えるようになります
産前産後免除に該当していた実母で、産前産後免除期間が2026年9月以降に終わる人は、まず郵便物の表題を確かめるのが先です。「国民年金保険料育児免除該当通知書」なら手続きはいりません。「国民年金保険料の産前産後免除期間終了のお知らせ」なら、10月1日以降に自分で届け出てください。
参考資料
- 日本年金機構 国民年金保険料の育児免除制度(2026年9月8日更新)
- 日本年金機構 国民年金保険料の産前産後期間の免除制度
- 日本年金機構 国民年金保険料(令和8年度の保険料額)
- 日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
- 日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度