結論:今月申し込めます。割引額は「前納を始める月」で決まります
国民年金の前納は、4月にしか手続きできない制度ではありません。口座振替とクレジットカード納付は「いつでも申し込むことができます」と案内されていて、年度の途中に出しても、残りの月分がまとめて前納されます。
ただし、いつ出しても同じ額が割引されるわけではありません。割引額は前納する月数に比例して小さくなります。 だから今月できることは2つに分かれます。
- 今年度のうちに少しでも割引を受けたい → いま申出書を出す。初回の振替で、残りの月分がまとめて引き落とされます(6カ月前納だけは例外があります。後述します)
- 24カ月分の満額の割引(口座振替で17,370円)を取りたい → 「2年前納(4月開始)」を選んで出す。次の4月から2年分が始まります。直近の4月に間に合わせるには2月末必着です
振替開始月は「手続きをした月の翌月以降」です。10月に出せば、早ければ11月末日が初回の振替になります。実際の開始月は、手続き後に届く「国民年金保険料口座振替開始(変更)通知書」と「国民年金保険料口座振替額通知書」に書かれています。
申出書の名前は「国民年金保険料 口座振替納付(変更)申出書 兼 還付金振込方法(変更)申出書」。提出先は年金事務所(窓口・郵送どちらも可)か、振替口座のある金融機関の窓口です。街角の年金相談センターでは受け付けていません。マイナポータル経由の「ねんきんネット」からも申し込めます。
初回の振替で、何カ月分が引かれるのか
ここが前納のいちばん分かりにくいところです。選んだ方法が同じでも、初回振替日によって対象期間が変わります。日本年金機構が口座振替について公表している表が次のものです。
| 初回振替日(口座振替) | 6カ月前納 | 1年前納 | 2年前納 | 2年前納(4月開始) |
|---|---|---|---|---|
| 4月末日 | 4月分〜9月分(6カ月) | 4月分〜翌年3月分(12カ月) | 4月分〜翌々年3月分(24カ月) | 4月分〜翌々年3月分(24カ月) |
| 5月末日 | 4月分(1カ月・割引なし) | 5月分〜翌年3月分(11カ月) | 5月分〜翌々年3月分(23カ月) | 4月分(1カ月・割引なし) |
| 6月末日 | 5月分(1カ月・割引なし) | 6月分〜翌年3月分(10カ月) | 6月分〜翌々年3月分(22カ月) | 5月分(1カ月・割引なし) |
| 7月末日 | 6月分(1カ月・割引なし) | 7月分〜翌年3月分(9カ月) | 7月分〜翌々年3月分(21カ月) | 6月分(1カ月・割引なし) |
| 8月末日 | 7月分(1カ月・割引なし) | 8月分〜翌年3月分(8カ月) | 8月分〜翌々年3月分(20カ月) | 7月分(1カ月・割引なし) |
| 9月末日 | 8月分(1カ月・割引なし) | 9月分〜翌年3月分(7カ月) | 9月分〜翌々年3月分(19カ月) | 8月分(1カ月・割引なし) |
| 10月末日 | 10月分〜翌年3月分(6カ月) | 10月分〜翌年3月分(6カ月) | 10月分〜翌々年3月分(18カ月) | 9月分(1カ月・割引なし) |
| 11月末日 | 11月分〜翌年3月分(5カ月) | 11月分〜翌年3月分(5カ月) | 11月分〜翌々年3月分(17カ月) | 10月分(1カ月・割引なし) |
| 12月末日 | 12月分〜翌年3月分(4カ月) | 12月分〜翌年3月分(4カ月) | 12月分〜翌々年3月分(16カ月) | 11月分(1カ月・割引なし) |
| 1月末日 | 1月分〜3月分(3カ月) | 1月分〜3月分(3カ月) | 1月分〜翌年3月分(15カ月) | 12月分(1カ月・割引なし) |
| 2月末日 | 2月分〜3月分(2カ月) | 2月分〜3月分(2カ月) | 2月分〜翌年3月分(14カ月) | 1月分(1カ月・割引なし) |
| 3月末日 | 3月分(1カ月) | 3月分(1カ月) | 3月分〜翌年3月分(13カ月) | 2月分(1カ月・割引なし) |
クレジットカード納付の表は、割引のつく前納の期間(1年前納と2年前納の列、6カ月前納の10月末日以降)は口座振替と同じです。違うのは割引のない1カ月分の月で、1カ月後ろにずれます。6カ月前納の初回立替納付日が5月末日なら対象は5月分、9月末日なら9月分で、2年前納(4月開始)の3月末日は3月分です。クレジットカードの毎月納付が納付対象月の当月末日、口座振替の翌月末振替が翌月末日に動くためです。
表には2つの例外が付いています。どちらも「選んだのに前納が始まらない」ケースなので、先に確認しておいてください。
- 6カ月前納の初回振替日が5月末日〜9月末日のとき — 9月分までは自動的に割引のない翌月末振替(クレジットカードは毎月納付)になり、10月末日から6カ月前納が始まります。つまり夏に申し込んでも、前納が動き出すのは10月です
- 2年前納(4月開始)の初回振替日が5月末日〜当年度3月末日のとき — 当年度3月分までは割引のない翌月末振替(クレジットカードは毎月納付)になり、翌年度4月末日から2年前納が始まります
もうひとつ、残高の話です。口座振替では、前納分の初回の振替で前月分の保険料も同時に引き落とされます。 早割を選んだ場合も初回は前月分(割引なし)と当月分(割引あり)の2カ月分になります。通知書に書かれた金額をそのまま口座に用意しておくと安全です。クレジットカードの場合は立替納付日とカード会社の口座引落日が別なので、引落日はカード会社の利用明細で確認してください。
割引額は納付方法で違う。口座振替がもっとも大きい
同じ「1年前納」でも、どう払うかで割引額が変わります。令和8年度(2026年度)の額です。
| 納付方法 | 2年前納 | 1年前納 | 6カ月前納 | 当月末振替(早割) |
|---|---|---|---|---|
| 口座振替・1回あたりの納付額 | 417,150円 | 210,530円 | 106,300円 | 17,860円(1カ月分) |
| 口座振替・割引額 | 17,370円 | 4,510円 | 1,220円 | 60円 |
| 納付書・クレジットカード・1回あたりの納付額 | 418,510円 | 211,220円 | 106,650円 | — |
| 納付書・クレジットカード・割引額 | 16,010円 | 3,820円 | 870円 | — |
毎月納付は令和8年度が17,920円、令和9年度が18,290円で、割引はありません。割引額は納付書で毎月納付した場合との比較です。2年前納は2年度にまたがるので、比べる元の額は17,920円×12カ月+18,290円×12カ月=434,520円です。保険料額は毎年4月に変わるので、最新の額は日本年金機構の「国民年金保険料の前納」で確認できます。
表から読み取れることは3つです。
- 口座振替がもっとも安い。 2年前納なら納付書・クレジットカードより1,360円多く割引されます
- 当月末振替(早割)は口座振替だけの選択肢です。 1カ月60円なので年間720円。まとまった額を用意できないときは、これだけでも効きます
- まとめる期間が短いと、割引はごく小さい。 6カ月前納の割引はクレジットカードで870円です
付加保険料(月400円)も同じように前納できます。口座振替の2年前納なら9,220円で、割引額は380円です。
24カ月分の割引を取るなら「2年前納(4月開始)」。直近の4月からなら2月末必着
2年前納には名前の似た2つの選択肢があり、どちらかを選ぶ必要があります。中身は別物です。
「2年前納」 — 初回の振替で、その時点から翌年度3月分まで(振替開始月に応じて13カ月から最大24カ月分)を割引つきでまとめて納めます。次回以降は、2年分(24カ月分)を翌々年度の4月に振替します。
「2年前納(4月開始)」 — 最初の4月が来るまでは1カ月分ずつ割引なしで振替し、その4月に24カ月分(割引あり)をまとめて納めます。
つまり「今年度の途中から割引を始めたい」なら前者、「24カ月分の満額の割引にしたい」なら後者です。そして後者で直近の4月から始めたい場合だけ、2月末(必着)までに申出書を出す必要があります。
この2月末には注意点が付いています。2月末までに提出しても、口座の確認に時間がかかって4月の振替に間に合わないことがあります。その場合は5月末日に、割引のない4月分と、5月分から翌々年3月分までの23カ月分が振り替えられます。日本年金機構は、マイナポータル経由の「ねんきんネット」から申し込むと口座確認に時間がかからず、すみやかに前納を開始できると案内しています。郵送にするなら、到着までの日数を見て早めに投函してください。
口座振替とクレジットカード納付は、一度申し込めば辞退の申出がない限り次回以降も自動で続きます。
納付書(現金)で前納する場合
納付書払いでも前納はできますが、手順と期限の立て方が別です。
任意の月分から始められます。 納付書によるお支払いの場合、任意の月分から当年度末または翌年度末までの保険料をまとめて前払いできると案内されています。令和8年度の例で言うと、11月分から翌年3月分までの5カ月分は89,020円(割引580円)、11月分から翌々年3月分までの17カ月分は301,110円(割引7,970円)です。開始月ごとの額は同機構の「前納金額一覧」(PDF)に一覧で載っています。
前納用の納付書が手元にないときは、年金事務所に発行を頼みます。 前納には前納用の納付書を使う必要があり、手元にない場合は専用の納付書を発行することになると案内されています。電話するときに「何月分から、いつまでの分をまとめて前納したい」と伝えれば、その期間の納付書が作られます。
前納用の納付書には「使用期限」が書かれています。 納付書には「納付期限」と表示のあるものと「使用期限」と表示のあるものの2種類があり、納付期限のほうは期限を過ぎても2年間はその納付書で納められます。いっぽう使用期限を過ぎた納付書は使えません。前納用は後者です。
2年前納の納付書はコンビニで払えません。 1枚の納付書の保険料額が30万円を超えるものはコンビニでは納付できず、金融機関、郵便局または電子納付(Pay-easy)を使います。令和8年度の2年前納は418,510円なので、ここに当たります。
現金の2年前納は、毎年2月1日から事前受付です。 希望する人は年金事務所に申し出ると「国民年金保険料2年前納納付書発行事前受付申出書(兼納付書作成処理票)」が送られます。この申出書を3月末までに年金事務所へ提出すると、4月以降に納付書が届きます。4月になってからの申し出もできますが、支払期限が4月末(土日祝なら翌営業日)までなので余裕がありません。
そして現金の2年前納でいちばん落としやすいのがここです。現金による2年前納は毎回の申し出が必要で、2年ごとに自動で次回分の納付書が届くわけではありません。 口座振替やクレジットカードとは扱いが違います。
申し込めない場合、引き落としに失敗した場合
免除を受けていると選べる方法が限られます。国民年金保険料が一部免除された人は、口座振替では翌月末振替しか使えません。クレジットカード納付も利用できません。全額免除・納付猶予が承認されている人には、7月初旬に7月分から翌年3月分までの納付書が送られます。
口座振替で残高不足になったときの扱いは、選んでいた方法ごとに違います。
| 選んでいた方法 | 振替できなかったとき(口座振替) |
|---|---|
| 2年前納・2年前納(4月開始) | 前納分の再振替はなし。次の4月までは自動的に割引のない翌月末振替になり、翌年の4月に2年前納分が振替される |
| 1年前納・6カ月前納 | 前納分の再振替はなし。次の前納振替(1年前納は次の4月、6カ月前納は次の10月または4月)までは割引のない翌月末振替 |
| 当月末振替(早割) | 翌月に再振替するが割引は受けられない。9月分が落ちなければ、10月末日に9月分(割引なし)と10月分(割引あり)をあわせて振替 |
クレジットカードも前納分の構成は同じで、カード会社への再度の請求は行われず、次の前納までは割引のない毎月納付になります。毎月納付分が立替納付できなかったときだけは後日納付書が送られ、次月分以降はまたカード会社に請求されます。
落ちなかった前納分は、口座振替では再振替されません。 引き落とし額は「国民年金保険料口座振替額通知書」(毎年4月中旬〜下旬に届きます)か、口座振替開始時の通知書で確認できます。それでも納付書で任意の月分からまとめて前納する道は残っています。年金事務所に専用の納付書を頼んでください。
前納したあとに気をつける2つのこと
就職したときの還付です。 1年間まとめて納付して年度途中で就職したときなど、重複して納付されたことが判明すると、日本年金機構から「国民年金保険料還付請求書」が送られてきます。記入して提出すると還付されます。口座振替の申出書には「還付金振込方法」欄があり、ここで振替口座への振り込みに同意しておけば、請求書のやり取りを省けます。「希望しない」に○を付けた場合は還付請求書が発送され、振り込みまで2〜3カ月程度かかります。
年末調整・確定申告での控除の分け方です。 国税庁は、2年前納した国民年金保険料の社会保険料控除について「一括控除」と「分割控除」のどちらかを選べるとしています。一括控除は前納した2年分の全額を納付した年分に控除する方法で、これを選ぶと納付した年の翌年以降に各年分相当額を控除することはできません。分割控除は各年分の保険料に相当する金額を各年に控除する方法です。所得が大きく動く年が分かっているなら、どちらが有利か先に決めておくと、控除証明書が届いてから迷いません。申告書に書く金額の決め方は保険料控除証明書の金額が二つあるときは、どっちを年末調整に書くのかで分けて説明しています。