保険料控除証明書の金額が二つあるときは、どっちを年末調整に書くのか。9月までの額では足りない

この記事の要点

申告書に書くのは2026年1月1日から12月31日までに支払う保険料の合計で、9月分までしか証明されていない額ではありません。年内に払込みをやめた場合は実際に払った額までしか控除できず、直せるのは翌年1月末日までです。

  1. 申告書の欄の名前は「あなたが本年中に支払った保険料等の金額」。1月1日から12月31日までに払う合計で、証明書が証明している期間とは一致しない
  2. 国民年金の「納付済額」は9月30日まで、「見込額」は10月1日から12月31日までに納付が見込まれる額。見込額があれば二つを足した「合計額」を書く
  3. 生命保険の月払契約は、証明書に1月から9月までの払込状況が書かれていればよいと国税庁が定めている。12月分まで払う予定なら年間額のほうを書く
どうする?編集部 · · 読了 約7分
目次(8項目)
  1. 申告書の欄は「本年中に支払った保険料等の金額」。証明された期間とは一致しない
  2. 生命保険の証明が9月分までで止まるのは、国税庁がそれでよいとしているから
  3. 国民年金の証明書は三段。9月30日までの納付済額と、12月31日までの見込額
  4. 証明された額より多く納めたときは、領収証書を足して合算する
  5. 一括で前払いしている人は、証明書の額をそのまま書けない
  6. 年内に払わなかった分は入れられない。直せるのは翌年1月末日まで
  7. 2026年10月8日時点で確かめられなかったこと
  8. 参考資料

控除証明書を開くと、金額が二つ、三つ並んでいます。年末調整の紙に書くのは、そのうち一番上の「証明された額」ではありません。申告書が聞いているのは2026年1月1日から12月31日までに支払う保険料の合計で、証明書が9月分までで止まっているのは国税庁がそれでよいと定めているからです。まず見るのは金額そのものではなく、その金額の横に書かれた期間です。

申告書の欄は「本年中に支払った保険料等の金額」。証明された期間とは一致しない

勤務先から配られる「給与所得者の保険料控除申告書」には、国税庁の様式どおりの欄名が印刷されています。金額を書く欄は「あなたが本年中に支払った保険料等の金額(分配を受けた剰余金等の控除後の金額)」です。本年とは令和8年、つまり2026年1月1日から12月31日までを指します。

一方、手元の証明書に載っている額は、その年の途中までの払込みで区切られている場合があります。国民年金なら9月30日まで、生命保険の月払契約なら9月分までで足りることになっています。証明書の「証明された額」と、申告書が聞いている「本年中に支払った額」は、はじめから対象の期間が違います。

証明書に並んでいる金額その金額の期間申告書に書く額との関係
国民年金の「納付済額」1月1日〜9月30日に納付した総額10月以降に納付する分を足す
国民年金の「見込額」10月1日〜12月31日に納付が見込まれる額納付済額と合わせた「合計額」を書く
生命保険(月払契約)の証明された額1月から9月までの払込状況12月分までを含む年間額を書く

この欄に書くのは、自分で直接払った保険料だけです。給与から天引きされている健康保険・厚生年金保険・雇用保険の保険料は勤務先が集計するので、申告書には書きません。国税庁の手引きでも、本人が提出した申告書の金額に基づいて控除するのは「国民健康保険や国民年金などの保険料や保険税、掛金のように本人が直接支払っているもの」に限られます。

生計を一にする家族が負担すべき社会保険料を代わりに払った場合は、自分の社会保険料控除に入れられます。子の国民年金保険料を親の口座から払っている場合がこれにあたります。

生命保険の証明が9月分までで止まるのは、国税庁がそれでよいとしているから

国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」は、証明書類の扱いとして次のように定めています。

月払契約により支払った生命保険料の証明書類には、「本年中に支払った生命保険料の金額」に代えて、毎月の払込保険料の金額と本年1月から9月までの払込みの状況がわかる事項が記載されていればよいことになっています。

つまり、10月に発行される証明書が9月分までしか証明していないのは不備ではなく、そう作ってよいと決まっているということです。

証明書の様式は保険会社ごとに違い、発行時点までの払込済額と、12月まで払い続けた場合の年間額を並べて印字しているものがあります。呼び方は「証明額」「申告額」などさまざまで、国税庁の様式や手引きにこれらの言葉は出てきません。金額の名前より、その金額が何月までの払込みを指しているかを確かめてください。

12月分まで払い終える予定なら、申告書に書くのは年間額のほうです。9月分までの額で止めると、10月から12月の3か月分の控除が落ちます。

国民年金の証明書は三段。9月30日までの納付済額と、12月31日までの見込額

日本年金機構は、令和8年分の控除証明書の送付予定を2026年9月24日に公表しています。2026年1月1日から9月30日までに国民年金保険料を納付した人には、電子データが10月中旬から10月下旬、書面が10月下旬から11月上旬にかけて順次送られます。10月1日から12月31日の間に初めて納付した人には、電子データが2027年1月下旬から、書面は2027年2月上旬です。後者は年末調整の期限に間に合わないことがあり、その場合は確定申告で申告します。

金額の段の意味は、令和7年分の「控除証明書(ハガキ)の見方」に載っています。

  • 納付済額 — その年の1月1日から9月30日までに納付した総額
  • 見込額 — 証明書を作成した時点での納付方法で、10月1日から12月31日までに納付が見込まれる額
  • 合計額 — 納付済額と見込額の合計額

見込額が出ている人は、合計額を申告書に書きます。見込額が印字されないこともあり、令和7年分のページは、第1号被保険者ではない場合、翌年3月分までや翌々年3月分までの保険料を前納している場合、その年の4月分から8月分に未納期間がある場合(口座振替・クレジットカードで納付している人を除く)を挙げています。

厚生年金保険や共済組合の保険料については、日本年金機構は控除証明書を作りません。勤務先が控除額を算出して市区町村や税務署に届け出るためです。ただし被用者年金の加入者でも、その年に国民年金保険料を一度でも納付していれば、国民年金保険料についての控除証明書が届きます。年の途中で退職して数か月だけ国民年金に入っていた人は、この証明書を使います。

証明された額より多く納めたときは、領収証書を足して合算する

証明日の後に追加で納めた分は、証明書に載っていません。日本年金機構の案内はこうです。

控除証明書の「(1)納付済額」(「(2)見込額」がある場合は、「(3)合計額」)に、控除証明書の証明日以降に納付した保険料額を合算して申告することができます

このときは、「控除証明書と控除証明書の証明日以降に納付した保険料の領収証書を申告書に添付等してください」とされています。領収証書がない場合は、直近の納付実績を反映した控除証明書の再発行を受けられます。受付先はねんきんネット、自動音声サービス、ねんきん加入者ダイヤル、年金事務所です。

過去の年度分の保険料を今年まとめて納めた場合も、納めたのが今年なら今年の社会保険料控除に入ります。国税庁の手引きは「本人が本年中に支払ったものだけが控除の対象」としていて、どの年度の保険料かではなく、いつ払ったかで決まります。

一括で前払いしている人は、証明書の額をそのまま書けない

国税庁は、翌年以後に払込期日が到来する保険料を一括して払い込んだ「前納保険料」について、本年中に支払った保険料の額を次の式で計算するとしています。

前納保険料の総額(前納により割引をされた場合には、その割引後の金額)× 前納保険料に係る本年中に到来する払込期日の回数 ÷ 前納保険料に係る払込期日の総回数

生命保険料、地震保険料、社会保険料に共通の扱いで、地震保険を複数年分まとめて払っている場合も生命保険料と同じに取り扱うと手引きに書かれています。

ただし社会保険料には例外があります。例外に当たるのは、前納の期間が1年以内のものと、法令に一定期間の前納ができる旨の規定があってその規定に基づいて前納したものです。本人が前納保険料の全額を申告書に記入して申告すれば、その全額をその年の年末調整で控除しても差し支えないとされています。国民年金の1年前納はここに入るので、按分と全額のどちらを選ぶかで書く額が変わります。

2年前納した国民年金保険料を各年分に分ける方法を選ぶ場合は、各年分に対応する控除証明書を自分で年分ごとに切り取って、申告書に添付または提示します。

年内に払わなかった分は入れられない。直せるのは翌年1月末日まで

国税庁の手引きは、生命保険料について「払込期日が到来した保険料であっても現実に支払っていないものは含まれません」、社会保険料について「納付期日が到来して本年中に支払うべき保険料であっても現実に支払っていないものは含まれません」としています。見込みで書いた12月分を、解約や払込みの停止、口座の残高不足で実際には払わなかった場合、その分は控除できません。

逆に、年末調整が終わった後に年内の保険料を払った場合は、あとから申告できます。手引きによれば、勤務先は保険料控除申告書で申告を受けて控除額を再計算し、年末調整をやり直せます。期限は、源泉徴収票を受給者に交付することとなる翌年1月末日までです。

証明書が間に合わないときも同じ日が区切りになります。翌年1月末日までに提出または提示することを条件に、その保険料も控除して年末調整を行ってよいことになっています。期日までに出されなければ、勤務先はその保険料を除いて控除額を計算し直し、不足額を徴収します。

申告書そのものの提出期限は、国税庁の案内では「その年最後に給与等の支払を受ける日の前日まで」です。12月の給与日が25日なら24日までです。勤務先が社内の締切を別に設けている場合は、そちらが先に来ます。翌年1月末日を過ぎてから金額の誤りに気づいたときは、確定申告で直します。

2026年10月8日時点で確かめられなかったこと

  • 日本年金機構の令和8年分「控除証明書の見方」のページは公開されていません。この記事の納付済額・見込額・合計額の説明は令和7年分のページによるものです。段の名前や見込額が出ない条件が令和8年分で同じかどうかは、届いた証明書の記載で確かめてください。
  • 生命保険の控除証明書の様式と、年間額の呼び方は保険会社ごとに違います。自分の証明書に書かれた期間の表示で判断してください。

参考資料

Photo by Umesh Soni on Unsplash
#年末調整 #社会保険料控除 #生命保険料控除 #控除証明書

参考資料

  1. 国税庁 令和8年分 年末調整のしかた
  2. 国税庁 A2-3 給与所得者の保険料控除の申告
  3. 日本年金機構 令和8年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の送付予定をお知らせします
  4. 日本年金機構 令和7年 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書(ハガキ)の見方
  5. 日本年金機構 納付済額や見込額以上に国民年金保険料を納めたときの申告方法

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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