退職金が先なら「10年待てばよい」ではありません
「会社の退職金を受け取ったので、iDeCoは10年後にしよう」と考えているなら、受け取り方を決める前に確認が必要です。退職金が先、iDeCoなどのDC一時金が後の場合は、前年以前19年内の退職手当等が、退職所得控除の調整の確認対象になります。
通称「10年ルール」は反対の順序に関係する話です。どちらを先に受け取るかを入れ替えて読むと、税額の見込みが大きく違ってしまいます。
受け取り順序と、確認する過去の期間
国税庁の2026年の案内では、次のように分かれています。
| 受け取り順序 | 後の受け取りで確認する過去分 |
|---|---|
| 退職金 → DC一時金 | 前年以前19年内の退職手当等 |
| 2026年1月1日以後に支払われたDC一時金 → 退職金 | 前年以前9年内のDC一時金 |
| 2026年1月1日前に支払われたDC一時金 → 退職金 | 前年以前4年内のDC一時金 |
これは、過去の給付に関係する期間と、今回の期間が重なるときの控除調整です。対象期間に入っただけで、必ず控除がゼロになるわけではありません。先の退職金が控除額より少なかった場合には、調整に使う期間の求め方も変わります。
同じ年に両方を受け取る場合は、この表の「前年以前」とは別に合算計算をします。同年受け取りの計算例と必要書類も確認してください。
2026年に退職金、2036年にiDeCoなら?
2036年にDC一時金を受け取る場合、前年以前19年内は2017年から2035年です。2026年の退職金はその範囲に入ります。 10年後にしたからという理由だけで、調整がなくなるとは言えません。
判定は受取日の間の日数ではなく、受取年を基に確認します。支払先には「2026年に退職金を受け取り、2036年にDC一時金を受け取る予定」と、年を明記して相談すると話が通じやすくなります。
受け取りを遅らせる前に、請求期限も確認
iDeCoの老齢給付金は、原則60歳から受け取れますが、通算加入者等期間によって受給開始可能年齢が異なります。また、75歳になるまでに受給を請求する必要があります。
たとえば60歳で退職金を受け取った人が、調整対象の期間から外すためにiDeCoの請求を80歳まで待つ、という計画は立てられません。税金だけを見て請求を先送りせず、請求期限と手続きに必要な時間を運営管理機関に確認してください。
相談前にそろえておくもの
税額の比較に必要なのは、受け取る順番だけではありません。次を用意してください。
- 退職金の受取年・支給額・源泉徴収票
- 会社の勤続期間の開始日と終了日
- DC一時金の予定額と、控除計算に使う期間の記録
- 過去に受け取った他の退職金・DC一時金の情報
- 年金形式も検討するなら、公的年金などの見込額
会社には退職金の支払情報を、iDeCoの運営管理機関には請求可能な時期・期間の記録・受取形式を確認します。その資料を使い、税務署や税理士に控除調整と税額の計算を相談してください。
一時金、年金、一部を一時金にする併用では、税金や手数料のかかり方が変わります。併用できるかも運営管理機関によります。「何年待つのが正解か」だけでなく、いつ生活費が必要かも含めて決めるのが現実的です。