iDeCoと退職金を同じ年に受け取ると損?同じ年・iDeCoが先・退職金が先の3通りで比べる

この記事の要点

同じ年なら収入を合算し、控除は最も長い期間に重ならない期間を足して1回計算します。別の年なら、DC一時金が先は前年以前9年内(2026年1月1日以後の支払い。以前は4年内)、退職金が先は前年以前19年内が調整対象です。税額は金額や期間の重なりで変わります。

  1. 同じ年に受け取ると収入を合算。控除は最も長い期間+重ならない期間で1回だけ計算し、2つ分にはならない
  2. iDeCo一時金が先・退職金が後なら、退職金の年の前年以前9年内のDC一時金が調整対象(2026年1月以後の受取分。それより前は4年内)
  3. 退職金が先・iDeCo一時金が後なら、iDeCoの年の前年以前19年内の退職金が調整対象。今回の改正では変わっていない
どうする?編集部 · · 初出 · 読了 約3分
目次(5項目)
  1. 3通りの受け取り方で何が違うか
  2. 同じ年に受け取る場合
  3. 別の年に受け取る場合
  4. 比べるときの手順
  5. 参考資料

訂正(2026年10月4日) 初出では「20年ルールがiDeCo→退職金の順、10年ルールが退職金→iDeCoの順」と書き、「iDeCoを先に受け取り、20年以上後に退職金」が有利だとしていました。順序が逆で、誤りです。国税庁の資料で確かめ、全体を書き直しました。

同日追記 退職金が先の場合に「19年以上空ける」としていた箇所も直しました。受取年の差が19年なら、まだ前年以前19年内に入ります。

3通りの受け取り方で何が違うか

iDeCoや企業型DCの一時金と会社の退職金を両方受け取るとき、退職所得控除の計算は、受け取る年の組み合わせで3通りに分かれます。

受け取り方控除の計算
同じ年に両方収入を合算。控除は最も長い期間に、ほかの期間のうち重ならない部分を足した年数で1回計算
iDeCo一時金が先、退職金が後(別の年)退職金の年の前年以前9年内にDC一時金(2026年1月1日以後の支払い)があれば、重なった期間の分を退職金の控除から調整。2025年12月31日までのDC一時金は前年以前4年内
退職金が先、iDeCo一時金が後(別の年)DC一時金の年の前年以前19年内に退職金があれば、重なった期間の分をDC一時金の控除から調整

2026年1月の改正で変わったのは、2行目の「4年内」が「9年内」に延びたことだけです。3行目の19年内は以前からのルールです。

「前年以前9年内」は年で数えます。2036年に退職金を受け取るなら、2027年から2035年に受け取ったDC一時金が対象です。受取日どうしの日数では判定しません。

同じ年に受け取る場合

同じ年なら、前年以前の調整ではなく合算の計算になります。たとえば、会社の勤続期間が35年、iDeCoの期間が20年で、その20年がすべて会社の35年に含まれるなら、控除の計算に使うのは35年です。

  • 控除額: 800万円 + 70万円 × (35年 − 20年) = 1,850万円
  • 退職金1,500万円とiDeCo一時金500万円を同じ年に受け取ると、収入は2,000万円
  • 退職所得: (2,000万円 − 1,850万円) × 2分の1 = 75万円

控除が1,850万円と、iDeCoの20年分の800万円の2つ使えるわけではありません。詳しい計算例と、支払先に出す書類は退職金とiDeCoを同じ年に受け取るときの控除にまとめています。

別の年に受け取る場合

別の年にずらすと、合算はされませんが、上の表の範囲に入れば重なった期間の分が調整されます。

調整で差し引かれるのは、重なった期間を勤続年数とみなして計算した控除額です。対象期間に入ったら控除がゼロになる、というわけではありません。先に受け取った一時金が、その一時金の控除額より少なかった場合は、重なりの計算に使う期間を短く読み替える決まりもあります(源泉徴収のあらまし)。

退職金が先の場合、この19年の範囲から外れるには、受取年の差が20年以上必要です。たとえば退職金を2026年、DC一時金を2045年に受け取るなら範囲内で、2046年なら範囲外です。iDeCoの老齢給付金は75歳になるまでに請求する必要があるため、60歳で退職金を受け取った人が、この範囲を外すためにDC一時金を待つことはできません。

DC一時金が先なら、2026年1月1日以後に支払われた分は、受取年の差が10年以上になると前年以前9年内の範囲から外れます。それより前の支払い分は前年以前4年内です。ただし、会社の退職金の時期は自分で選べないこともあります。期間の重なりや過去の支給額も必要なので、年の差だけで税額までは決まりません。

比べるときの手順

  1. 会社の退職金規程で、退職金の額と支給時期、年金形式を選べるかを確認する
  2. iDeCo・企業型DCの運営管理機関で、残高、受け取れる時期、加入期間の記録を確認する
  3. 「同じ年」「iDeCoが先」「退職金が先」のうち、実際に選べる案を2〜3通り書き出す(受取年と金額を入れる)
  4. 過去に受け取った退職金・DC一時金があれば、その年と金額も添える
  5. 税務署や税理士に、案ごとの税額を計算してもらう

一時金ではなく年金形式で受け取る分は、退職所得ではなく雑所得(公的年金等)として課税されます。退職所得控除の調整は関係しなくなる一方、公的年金と合わせた課税になるので、年金形式も比べる候補に入れてください。

順序の数え方は、iDeCoの「10年ルール」とはと退職金を先に受け取ったら、iDeCo一時金はどうなる?でも説明しています。

参考資料

  • 国税庁 タックスアンサーNo.2735 — 同じ年の合算計算と、前年以前4年内・9年内・19年内の区分(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」退職所得の源泉徴収事務 — 重複期間の調整
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1420 — 退職所得控除の計算式
  • iDeCo公式サイト — 受給開始と75歳までの請求
Photo by Eric Prouzet on Unsplash

参考資料

  1. 国税庁 タックスアンサーNo.2735「同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき」
  2. 国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし・退職所得の源泉徴収事務」(PDF)
  3. 国税庁 タックスアンサーNo.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
  4. iDeCo公式サイト「老齢給付金の受給」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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要点同じ年に受け取る退職金とiDeCo一時金は、収入を合算して計算します。控除の基準は最も長い勤続期間に、重複しない期間を加えたもの。受け取る順番だけで控除を二重に使うことはできません。

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