国民年金に加入していた家族が亡くなったあと、「遺族年金の請求はどこに出すのか」でつまずく方が多いところです。遺族基礎年金の請求書の提出先は、住所地の市区町村役場の窓口です。年金事務所ではありません。例外は一つで、死亡日が国民年金第3号被保険者期間中だった場合は、年金事務所または街角の年金相談センターが提出先になります。使う様式は「年金請求書(国民年金遺族基礎年金)様式第108号」で、市区町村役場、年金事務所、街角の年金相談センターのいずれの窓口にも備え付けてあります。
受け取れるのは「子のある配偶者」か「子」
遺族基礎年金は、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族が受け取ります。対象は次の2つです。
- 子のある配偶者
- 子
ここでいう「子」は、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方を指します。
配偶者と子の関係には順番があります。子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間は、子には支給されません。また、子に生計を同じくする父または母がいる間も、子には支給されません。つまり子の名義で別に年金が出るのではなく、まず「子のある配偶者」として請求するのが基本の形になります。
遺族厚生年金を受給できる遺族であれば、遺族基礎年金とあわせて受給できるとされています。
亡くなった方の側の要件
次の1から3のいずれかを満たしている方が亡くなったときに、遺族に遺族基礎年金が支給されます。
- 国民年金の被保険者である間に死亡したとき
- 国民年金の被保険者であった60歳以上65歳未満の方で、日本国内に住所を有していた方が死亡したとき
- 老齢基礎年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
1と2には保険料の納付要件がつきます。死亡日の前日において、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。
ただし当面は緩い基準が併用されています。死亡日が令和18年3月末日までのときは、死亡した方が65歳未満であれば、死亡日の前日において、死亡日が含まれる月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。直近1年の未納の有無で判断できる、という意味です。
3の要件は、保険料納付済期間、保険料免除期間、合算対象期間、および65歳以降の厚生年金保険の被保険者期間を合算した期間が25年以上ある方に限られます。
全員が用意する添付書類
年金請求書のほかに、次の書類が「すべての方」の欄に挙げられています。マイナンバーを記入することで添付を省略できるものには、その旨を添えます。
- 戸籍謄本(記載事項証明書)または法定相続情報一覧図の写し(マイナンバー記入で省略可)。死亡者との続柄および請求者の氏名・生年月日の確認のためです。戸籍謄本は、受給権発生日以降で提出日から6カ月以内に交付されたものが必要です。
- 世帯全員の住民票の写し(マイナンバー記入で省略可)。死亡者との生計維持関係の確認のためで、こちらも受給権発生日以降で提出日から6カ月以内に交付されたものです。
- 死亡者の住民票の除票。世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要です。
- 請求者の収入が確認できる書類(マイナンバー記入で省略可)。生計維持の認定のためで、所得証明書、課税(非課税)証明書、源泉徴収票などが例に挙がっています。
- 子の収入が確認できる書類(マイナンバー記入で省略可)。義務教育終了前は不要です。高等学校等在学中の場合は、在学証明書または学生証のコピーなどです。
- 市区町村長に提出した死亡診断書(死体検案書等)のコピー、または死亡届の記載事項証明書。死亡の事実(原因)と死亡年月日の確認のためです。
- 受取先金融機関の通帳等(本人名義)。カナ氏名、金融機関名、支店番号、口座番号が記載された部分を含む預金通帳またはキャッシュカード(コピーも可)などです。請求書に金融機関の証明を受けた場合は添付不要です。
「6カ月以内に交付されたもの」という条件は見落としやすいところです。亡くなった直後に取った戸籍謄本を、手続きが遅れて半年以上たってから出すと取り直しになります。
受給権者となる子が3人以上いる場合は、3人目以降を「加給年金額または子の加算額に係る別紙様式」に記入し、年金請求書とあわせて提出します。
公金受取口座を使うとき
公金受取口座を利用する方は、請求書の「金融機関の証明」欄の証明と、受取先金融機関の通帳等のコピーの添付が、どちらも不要とされています。
注意点として、公金受取口座の登録口座を変更したとしても、年金の受取口座は変更されません。年金の受取口座を変えたいときは、「年金受給権者 受取機関変更届」の提出が必要です。
インターネット専業銀行での年金の受け取りについては、日本年金機構の年金Q&A「インターネット専業銀行で年金の受け取りはできますか。」を見るよう案内されています。
第三者行為(交通事故など)の場合に増える書類
死亡の原因が第三者行為の場合は、次の書類が追加で必要とされています。
- 第三者行為事故状況届(所定の様式あり。詳細は年金事務所に問い合わせ)
- 交通事故証明または事故が確認できる書類。事故証明がとれない場合は、事故内容がわかる新聞のコピーなどです。
- 確認書(所定の様式あり)
- 被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類。マイナポータルからダウンロードした「医療保険の資格情報」を印刷したもの、資格確認書のコピー、源泉徴収票のコピー、学生証のコピーなどが例に挙がっています。なお医療保険の資格情報と資格確認書のコピーは、保険者番号および記号・番号等を判別・復元できないようマスキング(黒塗り等)するよう指示されています。
- 損害賠償金の算定書。すでに決定済の場合で、示談書等の受領額がわかるものです。
納付済・免除が25年未満のとき
保険料納付済期間と保険料免除期間を合算して25年未満の方は、合算対象期間を確認するために、戸籍の附票の写しなどの添付が必要となる場合があります。この場合は、お近くの年金事務所へ事前に相談するよう案内されています。
なお、年金請求のために用意した住民票等を年金請求以外で使いたいときは、原本を返してもらえます。日本年金機構の「添付書類の原本の返却を希望するとき」に手続きが載っています。
年金額(令和8年4月分から)
子のある配偶者が受け取るとき
- 昭和31年4月2日以後生まれの方:847,300円 + 子の加算額
- 昭和31年4月1日以前生まれの方:844,900円 + 子の加算額
子が受け取るとき
847,300円+2人目以降の子の加算額を子の数で割った額が、1人あたりの額になります。
子の加算額
- 2人目の子:243,800円
- 3人目以降の子:各81,300円
金額は改定されるので、請求時点の額は日本年金機構のページで確認してください。
東日本大震災に関する請求期限
東日本大震災で亡くなった方または行方不明となった方についての遺族年金の請求は、平成28年6月末までの提出を求めていたものです。平成28年6月末を過ぎても遺族年金の請求は可能ですが、年金の支給を受ける権利(支分権)の一部が時効によって消滅することがあるとされています。
この記事で確認できなかったこと
- 遺族厚生年金の受給要件・対象者・年金額。読んだのは遺族基礎年金の2ページで、遺族厚生年金のページは開いていません。
- 請求してから初回の振込までどれくらいかかるか。読んだ2ページに記載がありません。
- 遺族基礎年金そのものの請求期限(時効)。時効の話として読んだページに出てくるのは、東日本大震災に関する支分権の記述だけです。「年金の時効」のページは開いていません。
- 様式第108号の記入方法、別紙様式のPDFの中身。どちらもファイル自体は開いていません。
- マイナンバーを記入して省略した場合に、後から書類を求められることがあるかどうか。記載がありません。
- 子のある配偶者が亡くなった場合など、受給権が子に移るときの手続き。読んだ2ページには「支給されない」条件までしか書かれていません。
参考資料
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」(更新日2026年11月4日)— 受給要件の1〜3、納付要件と令和18年3月末日までの特例、受給対象者と子の定義、令和8年4月分からの年金額と子の加算額
- 日本年金機構「遺族基礎年金を受けられるとき」(更新日2025年12月2日)— 年金請求書(様式第108号)、全員分の添付書類と6カ月以内の交付条件、公金受取口座、第三者行為の場合の書類、合算対象期間、提出先、東日本大震災に関する請求期限