iDeCoの「10年ルール」とは?2026年1月から変わったのはiDeCo一時金が先の場合だけ

この記事の要点

通称10年ルールは、2026年1月1日以後に受け取ったDC一時金が先、退職金が後の場合の話です。退職金を受け取る年の前年以前9年内のDC一時金と期間が重なれば控除が調整されます。退職金が先なら前年以前19年内が対象で、5年空ければ有利という順序ではありません。

  1. 2026年1月から変わったのは「DC一時金が先、退職金が後」の場合。退職金の年の前年以前9年内のDC一時金が調整対象(以前は4年内)
  2. 2025年12月31日までに受け取ったDC一時金は、従来どおり前年以前4年内で判定する
  3. 「退職金が先、DC一時金が後」は前年以前19年内が対象。5年や10年空けても調整はなくならない
どうする?編集部 · · 初出 · 読了 約4分
目次(7項目)
  1. 2026年1月から変わったのは、DC一時金が先の場合だけ
  2. 順序ごとの対象期間
  3. 「退職金が先なら有利」とは言えない
  4. 同じ年に両方を受け取る場合
  5. 退職所得控除の計算式
  6. 相談前にそろえておくもの
  7. 参考資料

訂正(2026年10月4日) 初出では「退職金を先に受け取り、5年以上空けてからiDeCo一時金を受け取れば、改正後も従来どおり有利」と書き、その前提で計算例も載せていました。誤りです。退職金が先の場合は、後のiDeCo一時金で前年以前19年内の退職金が調整の対象になります。国税庁の資料で確かめ、全体を書き直しました。

同日追記 「受取年で数えて10年目以降」と書いた箇所は、最初の年を1年目と数えると1年早く読めるため、「受け取った年の10年後以降」に直しました。退職金が先の場合に範囲から外れるには、受取年の差が20年以上必要です(差が19年ならまだ前年以前19年内です)。

2026年1月から変わったのは、DC一時金が先の場合だけ

いわゆる「10年ルール」は、iDeCoや企業型DCの一時金を先に受け取り、そのあとで会社の退職金を受け取る順序の話です。

退職金を受け取る年の前年以前に受け取ったDC一時金があり、その計算に使った期間と会社の勤続期間が重なると、重なった分だけ退職金の退職所得控除が調整されます。この「前年以前」の範囲が、2026年1月1日以後に支払われたDC一時金について、4年内から9年内に延びました。前年以前9年内なので、DC一時金を受け取った年の10年後以降の年に退職金を受け取れば対象外になる、という意味で「10年ルール」と呼ばれています。

反対の順序、つまり退職金が先でDC一時金が後の場合は、以前から前年以前19年内が対象で、今回の改正では変わっていません。

順序ごとの対象期間

国税庁の令和8年版「源泉徴収のあらまし」に沿って整理すると、次のとおりです。

受け取る順序後の受け取りで調整の対象になる過去分
DC一時金(2026年1月1日以後に支払い) → 退職金退職金の年の前年以前9年内のDC一時金
DC一時金(2025年12月31日までに支払い) → 退職金退職金の年の前年以前4年内のDC一時金
退職金 → DC一時金DC一時金の年の前年以前19年内の退職金

判定は受け取った日どうしの日数ではなく、受け取る年で見ます。たとえば2036年に退職金を受け取るなら、前年以前9年内は2027年から2035年です。2026年に受け取ったDC一時金はこの範囲の外になります。

対象期間に入ったからといって、控除がゼロになるわけではありません。差し引かれるのは、期間が重なった部分を勤続年数とみなして計算した控除額です。先の一時金が、その一時金の控除額より少なかった場合には、重なりの計算に使う期間を短く読み替える決まりもあります。

「退職金が先なら有利」とは言えない

初出では、退職金を先に受け取って5年以上空ければ有利と書きました。これは成り立ちません。

60歳で退職金、65歳でiDeCo一時金を受け取る場合、65歳の年の前年以前19年内に60歳の退職金が入ります。会社に勤めていた期間とiDeCoに加入していた期間が重なっていれば、iDeCo一時金の控除はその分だけ小さくなります。

iDeCoの老齢給付金は、75歳になるまでに受給を請求する必要があります。60歳で退職金を受け取った人が、受取年の差を20年以上あけることはできないので、退職金が先の順序で調整を避けるのは、現実にはほぼできません。

どちらの順序でも、重なる期間が長いほど調整は大きくなり、短ければ小さくなります。順序だけで有利・不利は決まらないので、次の資料をそろえて計算してもらうのが確実です。

同じ年に両方を受け取る場合

退職金とDC一時金を同じ年に受け取る場合は、この表とは別の計算になります。両方の収入を合算し、控除は最も長い期間に、重ならない期間を足した年数で計算します。控除が2つ分使えるわけではありません。計算例は退職金とiDeCoを同じ年に受け取るときの控除にまとめています。

退職所得控除の計算式

退職所得控除そのものの計算式は、今回の改正で変わっていません(国税庁 No.1420)。

勤続年数(DCは掛金の拠出期間など)退職所得控除額
20年以下40万円 × 年数(80万円に満たないときは80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (年数 − 20年)

退職所得の金額は、原則として(収入 − 退職所得控除)× 2分の1です。勤続5年以下の短期退職手当等や役員等の特定役員退職手当等には別の計算があります。

相談前にそろえておくもの

  1. 退職金の受取予定年と支給額、会社の勤続期間の開始日と終了日
  2. iDeCo・企業型DCの一時金の予定額と、加入期間などの記録
  3. 過去に受け取った退職金・DC一時金の年と金額(源泉徴収票)
  4. 年金形式も検討するなら、公的年金の見込額

会社には退職金の支払い情報を、iDeCoの運営管理機関には受け取れる時期・期間の記録・受取形式を確認します。そのうえで、税務署や税理士に控除の調整と税額の計算を相談してください。順序を先に決めてしまうより、「何年に、いくら受け取るか」の案を2〜3通り用意して比べるほうが話が早く進みます。

退職金を先に受け取る場合の詳しい数え方は、退職金を先に受け取ったら、iDeCo一時金はどうなる?で説明しています。

参考資料

  • 国税庁 タックスアンサーNo.2735 — 前年以前9年内・19年内・4年内の区分(令和8年4月1日現在法令等)
  • 国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし」退職所得の源泉徴収事務 — 重複期間の調整と、先の支給額が控除額に満たない場合の扱い
  • 国税庁 タックスアンサーNo.1420 — 退職所得控除の計算式
  • iDeCo公式サイト — 老齢給付金の受給開始と請求期限
Photo by Nolan Issac on Unsplash

参考資料

  1. 国税庁 タックスアンサーNo.2735「同じ年に2か所以上から退職手当等が支払われるとき」
  2. 国税庁「令和8年版 源泉徴収のあらまし・退職所得の源泉徴収事務」(PDF)
  3. 国税庁 タックスアンサーNo.1420「退職金を受け取ったとき(退職所得)」
  4. iDeCo公式サイト「老齢給付金の受給」

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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