転職先から「雇用保険被保険者証を出してください」と言われて家中を探しても見つからない、という状況から始まります。探す前に確かめる先は自分の引き出しではなく、前の勤め先です。加入手続きが終わった後も事業所で保管され、退職時にまとめて渡される例が多いと、ハローワーク名古屋南が案内しています。そこにもないときは再交付を申請します。申請先は自分が選んだ公共職業安定所で、窓口へ行けば原則その日に受け取れます。
探す前に、前の勤め先に一本聞く
雇用保険被保険者証は、事業所がハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を出して受理されると交付されます。ハローワーク名古屋南の案内では、交付された被保険者証は「原則、加入手続きが完了後すぐに事業所を通じて渡されますが、紛失防止等の理由で、事業所にて保管して退職時に渡される場合も多く見受けられます」とされています。
つまり、自分がなくしたのではなく、最初から渡されていない可能性があります。同じ案内も「もしご自身の手元にない場合は、事業所の担当者に事業所で保管しているかどうかを確認してください」と書いています。再交付の申請書を印刷する前に、前の勤め先の担当者に聞くほうが早く終わります。
なぜ転職先が欲しがるのかというと、番号を引き継ぐためです。名古屋南の案内では「基本的に雇用保険の被保険者には、1人1つの被保険者番号が割り振られて、別の事業所に転職する場合も同じ番号を引き継ぎます」とされ、そのため転職先から提出を求められる場合があると説明されています。提出の代わりに番号だけを伝えれば足りるかどうかは転職先の手続きによるので、そこは転職先に聞いてください。
申請先は「自分が選んだハローワーク」でよい
ここがいちばん調べにくいところです。雇用保険の届出は原則として会社の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所が扱います。雇用保険法施行規則第1条第5項は、公共職業安定所長が行う事務は「適用事業の事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(中略)の長(次の各号に掲げる事務にあつては、当該各号に定める公共職業安定所長)が行う」と定めています。
その「次の各号」の第4号が、被保険者証の再交付です。同項第4号は「第十条第三項に基づく事務及び日雇労働被保険者について行う法第四十五条の規定による日雇労働求職者給付金の支給に関する事務」について「その者の選択する公共職業安定所の長」と定めています。第10条第3項が被保険者証の再交付の規定なので、再交付の申請先は本人が選べることになります。
ただし、今回開いたハローワーク名古屋南とハローワーク茨木の案内には「どこの所でもよい」という書き方はありません。受付の窓口の場所や受付時間は所ごとに違います。行く所の案内を見て、受付時間と窓口の場所を確かめてから出かけてください。
窓口なら原則その日に受け取れる
ハローワーク名古屋南は、紛失した場合の再発行について「以下の①及び②の書類を持参の上、ご本人がハローワークの窓口にご来所ください。原則、即日発行可能です(受付時間:平日8:30~16:00)」と案内しています。即日という言葉と一緒に受付時間が書かれている点に注意してください。16時までなので、仕事を終えてから寄るのは難しい時間帯です。
窓口の場所も所によって違います。ハローワーク茨木は、本人確認書類を持って1階入口すぐの総合案内へ行くと申請書を渡され、2階22番窓口の「事業所の雇用保険手続きコーナー(適用課)」に案内されるとしています。申請書をあらかじめ印刷して記入してきた場合は、直接2階の窓口へ来てよいとも書かれています。即日で出せるかどうかは茨木の案内には書かれていないので、そこは行く前に電話で確かめるのが確実です。
持ち物は三通りで変わる
本人が窓口へ行くのか、郵送にするのか、家族に頼むのかで、必要なものと日数が変わります。開いた案内に書かれていた範囲で並べます。
| 出し方 | 持つもの・送るもの | 日数の案内 |
|---|---|---|
| 本人が窓口(名古屋南) | 再交付申請書/顔写真付きの本人確認資料1点(運転免許証、マイナンバーカードなど)。ない場合はア〜ウのうち異なる2種類 | 原則即日。受付は平日8時30分〜16時 |
| 郵送(名古屋南) | 再交付申請書/顔写真付きの本人確認資料の写し1点(ない場合はア〜ウのうち異なる2種類の写し)/返信用封筒(通常の郵送料+特定記録分の切手を貼付) | おおむね2週間程度 |
| 郵送(茨木) | 本人確認書類の写し/再交付申請書/返信用封筒(切手貼付) | 通常1週間程度 |
| 代理人が窓口(名古屋南) | 再交付申請書/委任状/代理人の顔写真付き本人確認資料1点/申請者の本人確認資料の写し1点 | 原則即日。受付は平日8時30分〜16時 |
「ア〜ウ」は名古屋南の案内に出てくる選択肢で、ア 国民健康保険被保険者証又は健康保険被保険者証、イ 住民票記載事項証明書(住民票の写しまたは印鑑証明書)、ウ 年金手帳などです。顔写真付きの資料がないときに、この中から異なる2種類を用意する形になっています。
手数料については、今回開いた3つの案内のどこにも金額の記載がありませんでした。無料と書かれていたわけでもないので、金額が気になる場合は行く所に問い合わせてください。
法令の本人確認と、窓口案内の本人確認は同じではない
雇用保険法施行規則第10条第3項は、添える書類を「運転免許証、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第五十一条の三第一項に規定する書面その他の被保険者証の再交付の申請をしようとする者が本人であることを証明することができる書類」としています。顔写真付きでなければならない、という書き方ではありません。
一方でハローワーク名古屋南は「顔写真付きの本人確認資料1点」を求め、ない場合の代わりとしてア〜ウを挙げています。ハローワーク茨木は本人確認書類の一例として運転免許証、マイナンバーカード、パスポート、写真付き住民基本台帳カードを挙げています。
同じ手続きでも、所の案内はそろっていません。手元に顔写真付きのものがないからといって申請できないと決めつけず、持って行けるものを並べて、行く所に電話で確かめてください。逆に、法令の書き方を根拠に「何でもよいはずだ」と押し切るのも避けたほうがよいところです。
郵送は急いでいるときの手ではない
郵送でも申請できますが、日数の案内は所によって違います。ハローワーク茨木は「郵送での申請の場合、通常1週間程度お時間を頂いています。お急ぎの場合は、窓口での申請をおすすめします」としています。ハローワーク名古屋南は「郵送の場合は手続きにおおむね2週間程度お時間をいただいております」としています。転職先の入社日が近いなら窓口のほうが確実です。
茨木の案内には、郵送でつまずく点も書かれています。「申請書への連絡先の記載漏れや、本人確認書類の添付漏れが増えています。郵送前に今一度ご確認をお願いします」。返信用封筒の切手を貼り忘れると戻ってこないので、封をする前に、連絡先・本人確認書類の写し・返信用封筒の3点を並べて見直してください。
申請書をオンラインで作るときの落とし穴は二つ
ハローワークインターネットサービスには雇用保険被保険者証再交付申請書を画面で作れる機能があります。注意書きが二つあります。
一つ目は、作れるのは書類だけという点です。「本システムは申請書を作成するものであり申請を完了させるものではありません。印刷した申請書は公共職業安定所(ハローワーク)窓口までご持参ください」と明記されています。画面で入力しても、それで申請が終わるわけではありません。
二つ目は印刷の設定です。「印刷時には、A4の白色用紙に等倍(倍率100%)で印刷してください」とあり、「等倍以外の印刷設定の場合、窓口で受理できませんのでご注意ください」と続きます。縮小印刷のまま出すと窓口でやり直しになります。印刷した紙が極度に傾いていないか、文字や枠線にかすれや二重印刷がないかも確認するよう書かれています。
同じページには「この手続きは電子申請による届出も可能です」という記載もありますが、続けて「詳しくはお近くのハローワークまでお問い合わせください」とあるだけで、個人が自分の分をオンラインで完結できる手順は示されていません。電子申請でできるものとして当て込まないほうが安全です。
なお、申請書のPDFはハローワークのページからも手に入ります。ハローワーク茨木は再交付申請書、その記入例、委任状(任意様式)のPDFを置いています。
事業所名を書く欄は、いま働いているかどうかで変わる
この申請書でつまずきやすいのが事業所の欄です。ハローワークインターネットサービスの注意書きは、欄ごとに書き分けを指示しています。
5欄と6欄は「申請者が現に被保険者として雇用されている者である場合に、その雇用されている事業所の名称及び所在地」を入れる欄です。これに対して7欄と8欄は「申請者が現に被保険者として雇用されている者でない場合に、最後に被保険者として雇用されていた事業所の名称及び所在地」を入れます。
転職の合間で前の会社を退職済み、次の会社にはまだ入っていない、という状態の人は7欄と8欄のほうです。退職日と入社日が離れている人がここを間違えやすいところです。9欄には「最後に被保険者となつたことの原因となる事実のあつた年月日」を入れます。
1欄は「滅失又は損傷した被保険者証に記載されていたものと同一のもの」を入れる欄です。番号が分からないまま出すことになる人が多い欄ですが、記載すべき事項のない入力項目は空欄にしてよい、と同じ注意書きに書かれています。また、損傷したことによる申請のときは、申請書に損傷した被保険者証を添えるよう指示されています。
再交付できない人と、電話では答えてもらえないこと
そもそも雇用保険に入っていなければ、再交付される書類もありません。ハローワーク名古屋南はこう書いています。「雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入したことを証明する書類のため、雇用保険の加入が大前提となります。雇用保険の加入条件を満たしておらず、そもそも雇用保険被保険者とはなっていない場合は、雇用保険被保険者証の再発行はできません」。
では自分が入っていたかどうかを事前に電話で聞けるか、というと聞けません。同じ案内に「ご自身の雇用保険の加入状況についても、個人情報保護の関係で、電話による問い合わせに対してお答えすることはできません。ご来所いただき、本人確認資料を提示の上、再発行手続きにて確認してください」とあります。加入していたか自信がない人も、結局は本人確認資料を持って窓口へ行くことになります。
逆に、被保険者証を受け取ったことがあって、それをなくした人は申請する側です。施行規則第10条第3項は「被保険者証の交付を受けた者は、当該被保険者証を滅失し、又は損傷したときは(中略)公共職業安定所長に提出し、被保険者証の再交付を受けなければならない」と書いています。放っておいてよい、という書き方ではありません。
今日の順番
- 前の勤め先の担当者に、被保険者証を事業所で保管していないか聞く。
- 転職先に、提出がいつまでに必要かを聞く。入社日が近ければ郵送は使わない。
- 行くつもりのハローワークの受付時間と窓口の場所を、その所のページか電話で確かめる。顔写真付きの本人確認書類がない場合の扱いもここで聞く。
- 申請書をハローワークインターネットサービスかハローワークのページから入手する。印刷はA4の白色用紙に等倍(100%)。
- いま働いているかどうかで、事業所名を書く欄が5欄・6欄か7欄・8欄かを分ける。
- 本人確認書類を持って窓口へ。代理人に頼むなら委任状と、代理人・本人それぞれの書類をそろえる。
参考資料
- e-Gov法令検索 雇用保険法施行規則(昭和五十年労働省令第三号)第1条第5項第4号・第10条第3項
- 厚生労働省 ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者証再交付申請書」利用上の注意
- 愛知労働局 ハローワーク名古屋南「雇用保険被保険者証を再発行する方法は?(転職された方向け)」
- 大阪労働局 ハローワーク茨木「雇用保険被保険者証の再交付について」