同じ年なら、受け取る月を変えても合算です
会社の退職金とiDeCoを一時金で受け取る場合、どちらも退職所得として扱われます。同じ年に受け取るなら、収入を合算して退職所得控除を計算します。 先に会社から受け取り、数か月後にiDeCoを受け取っても、それぞれに同じ期間の控除を使えるわけではありません。
ここで確認したいのは、支給額だけでなく、会社の勤続期間とiDeCo一時金の計算に使われる期間です。年数だけのメモでは重なりが分からないので、開始日と終了日も確認してください。
控除の基準になる期間
同じ年に複数の退職手当等がある場合は、最も長い勤続期間を基に、他の期間のうち重複していない部分を加えます。期間を単純に足すのではありません。
通常の退職所得控除額は次のとおりです。年数に1年未満の端数があるときは切り上げます。
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 年数(最低80万円) |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(年数 - 20年) |
過去にも退職金やDCの一時金を受け取っている場合などは、別途調整が必要です。障害が直接の原因となる退職にも加算があるため、上の表だけで個別の控除額を確定しないでください。
計算例:合計2,000万円、期間がすべて重なる場合
次の条件に限った例です。一般の退職手当等に該当し、過去の受け取りによる控除調整はないものとします。
- 会社の勤続期間は35年、退職金は1,500万円
- iDeCo一時金の計算に使われる期間は20年、受取額は500万円
- iDeCoの20年は、会社の35年の中にすべて含まれる
控除の基準は35年なので、800万円 + 70万円 × 15年 = 1,850万円です。
収入の合計2,000万円から控除1,850万円を引くと、残額は150万円。一般の退職手当等では、さらに2分の1計算をするため、退職所得は75万円になります。75万円は税額ではありません。ここから所定の税率等で税額を計算します。
2分の1計算は「勤続20年超だけ」の制度ではありません。特定役員退職手当等には適用されず、短期退職手当等では控除後の残額のうち300万円を超える部分に適用されないなど、例外があります。
後の支払先に渡す書類
先に会社の退職金を受け取り、後からiDeCo一時金を受け取るなら、後の支払先へ「退職所得の受給に関する申告書」を提出する際に、先の退職金の源泉徴収票を添付します。同じ年に他の退職手当等があることを申告するためです。
支払先には、次の点も確認しておくと手続きのやり直しを減らせます。
- 一時金の支払予定年と、申告書の提出期限
- 会社の勤続期間と、iDeCo側で用いる期間
- 先に受け取る退職金の源泉徴収票を、いつ用意できるか
- 過去の退職金・DC一時金の申告に必要な書類
申告書を出さない場合は、支払額の20.42%が源泉徴収され、本人の確定申告で精算する扱いです。
別の年にすれば、必ず別々の控除になる?
翌年にずらすだけでは、重複期間の調整がなくなるとは限りません。 退職金を先に受け取り、後にDC一時金を受け取る場合は、前年以前19年内の退職手当等を確認します。反対の順序では、2026年1月1日以後に支払われたDC一時金について、前年以前9年内の調整が関係します。
同年の合算計算と、別の年の過去分の調整は分けて考えてください。順序と年の数え方は、退職金を先に受け取った場合のiDeCo一時金で確認できます。
年金形式も含めて比較するとき
iDeCoを年金で受け取る部分には、退職所得控除ではなく公的年金等控除が関係します。公的年金などの収入と合わせて計算するため、「年金なら税金がかからない」とは言い切れません。公的年金等の収入400万円以下という確定申告不要制度も、非課税の基準ではありません。
一時金と年金の併用に対応するかは、運営管理機関によります。受取額・税金・手数料・生活費に必要な時期を並べ、支払先や税理士に具体的な金額で確認してから受け取り方を決めてください。