前を走る自転車との間隔を十分に取れないときは、無理に横を通らず、速度を落として安全に通れる場面を待ちましょう。
自転車の側方通過に関する新ルールは、2026年4月1日施行です。「2026年5月23日から」「必ず1.5m空ける」「空けられなければ時速10km以下」という決まりではありません。
新ルールの「追抜き」と「追越し」は別です
道路交通法18条3項は、同じ方向に進む自転車などの右側を通過するとき、十分な間隔がなければ、その間隔に応じた安全な速度で進む義務を定めています。相手が歩道や自転車道を通行している場合と、法律上の「追越し」は対象から除かれています。
法律上の追越しは、前の車両に追い付いた後、進路を変えて横を通り、その前に出ることです(2条1項21号)。進路を変えずに前へ出る追抜きと、区別してください。車線変更の有無だけで決まる定義ではありません。
| 場面 | 確認する規定 |
|---|---|
| 進路を変えず、自転車などの右側を通過する | 18条3項。十分な間隔がなければ、間隔に応じた安全な速度で進みます |
| 自転車に追い付き、進路を変えて横を通り、その前へ出る法律上の追越しに当たる | 28条など。対向・後方・前方の交通にも注意し、相手の速度・進路や道路状況に応じた安全な速度と方法で進みます |
追越しが18条3項から除かれるからといって、自転車のすぐ横を高速で通ってよいわけではありません。28条4項のほか、他人に危害を及ぼさない速度と方法を求める70条の安全運転義務にも従う必要があります。
1.5m・時速10km以下は法定基準ではありません
警察庁の概要資料は、18条3項の通行方法について、次の目安を示しています。
- 自転車などの右側を通るときは、できる限り間隔を空け、少なくとも1m程度空けることが安全です。
- 1m程度の間隔を確保できない場合には、時速20〜30km程度で運転するよう案内しています。
同じ資料には、間隔や安全な速度は、具体的な走行状況・道路状況・交通状況によって異なると明記されています。「1mあれば減速不要」「30km/h以下ならどんな狭さでも通れる」という許可ではありません。
間隔が狭い、自転車がふらついている、前方に障害物があるといった場面では、数字だけで判断せず、さらに速度を落とすか、通過を待ちましょう。
狭い道では、通れるようになるまで待ちます
自転車を見つけたら早めに速度を落とし、自転車の動きと、対向車・後方・前方の状況を確認します。安全な間隔と速度を両立できなければ、その場で抜こうとせず、後方で待ってください。
間隔を取るためでも、中央線を自由に越えてよいわけではありません。道路交通法17条4項は、道路の左側部分を通ることを原則としています。
追越しを理由に17条5項4号の例外を使う場合は、次の条件が必要です。
- 道路の左側部分の幅が6m未満であること
- 右側部分を見通せること
- 対向交通を妨げるおそれがないこと
- 標識・標示で追越しのための右側へのはみ出しが禁止されていないこと
この4号に当たる場合も、はみ出し方をできるだけ少なくしなければなりません。一方通行など、17条5項の別の号による例外とは分けて考え、ほかの交通規制にも従います。道幅だけを見て「対向車線に出て1.5m確保すればよい」と判断しないでください。
違反名・反則金・刑事罰を分けて確認します
18条3項の義務に違反した場合の違反名は、歩行者等側方安全通過義務違反です。宮崎県警察の案内では、普通車の反則金は7,000円、基礎点数は2点です。新ルールの違反を、すべて「安全運転義務違反」として説明するのは正確ではありません。
法定刑は、道路交通法119条1項6号により、3か月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金です。反則金は刑事罰の罰金とは別の制度なので、金額を混同しないようにしてください。追越しの方法に違反した場合などは、該当する別の規定で判断されます。
また、自動車の運転上必要な注意を怠り、人を死傷させた場合には、自動車運転死傷処罰法5条の「過失運転致死傷」が問題になります。自転車との事故を一律に「業務上過失致死傷」とする説明は誤りです。
自転車側にも義務があります
18条3項に当たる側方通過の場面では、自転車などにも、できる限り道路の左側端に寄って通行する義務があります(18条4項)。ただし、自動車側の安全な通過義務がなくなるわけではありません。
この規定で相手となる「自転車等」には、自転車を含む軽車両だけでなく、特定小型原動機付自転車も含まれます。特定小型原付に該当する電動キックボードを、単に「安全配慮を推奨するだけの別カテゴリ」と考えないでください。
迷ったときの判断は、数値に合わせて無理に抜くことではなく、相手の動きに対応できる間隔と速度を取れるかどうかです。取れなければ、通過を待ちましょう。