荷下ろしのトラックが道をふさいでいて、真ん中の線は黄色。後ろから車が詰まってくる。ここで越えたら切符を切られるのか、という場面です。
黄色い中央線は、走っている車を追い越すためにはみ出すことを禁じています。一方、工事などの障害で左側を通れない場合には、別の例外があります。駐車車両があるだけで、いつでも越えてよいわけではありません。まず左側を通れるかを確認し、対向車が来ていれば待ってください。
条文は「原則」と「5つの例外」でできている
原則は道路交通法17条4項です。「車両は、道路……の中央……から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない」。中央線が引かれている道では、その中央線の位置が条文上の「中央」になります。
続く5項が、右側部分へはみ出せる場合を5つ並べています。
| 号 | 条文の場合(要約) | よくある場面 |
|---|---|---|
| 1号 | 一方通行となつているとき | 一方通行の道 |
| 2号 | 左側部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき | そもそも車体が収まらない幅 |
| 3号 | 道路の損壊、道路工事その他の障害のため左側部分を通行することができないとき | 工事、路面の陥没、ふさいでいる車 |
| 4号 | 左側部分の幅員が6メートルに満たない道路において、他の車両を追い越そうとするとき | 走っている車を追い越す |
| 5号 | 勾配の急な道路のまがりかど附近で、道路標識等により通行の方法が指定されているとき | 「右側通行」の標示がある区間 |
黄色い線が消すのは、このうち4号だけです。標識令(道路標識、区画線及び道路標示に関する命令)の別表第五は、規制標示「追越しのための右側部分はみ出し通行禁止(102)」の「表示する意味」を、こう定めています。
交通法第十七条第五項第四号の道路標示により、車両が追越しのため右側部分にはみ出して通行することを禁止すること。
指している根拠は4号だけで、1号から3号、それに5号には触れていません。別表第六では、この標示の色彩が「黄」と決められており、様式が中央線を兼ねることも備考に書かれています。路面の真ん中にある黄色い実線は、中央線の役目と、この一つの禁止を同時に背負った線だということになります。
白い線と黄色い線は、法令上の位置づけが違う
同じ中央線でも、白と黄色では条文のつながり方が別です。
区画線「車道中央線(101)」の設置場所は、標識令の別表第三で車道幅員5.5メートル以上の区間などと定められています。7条により、この区画線は道路標示「中央線」とみなされます。ただし、白い中央線をすべて区画線101と説明することはできません。別表第六には、道路標示「中央線(205)」自体にも白い様式があります。
205が表示する意味は「道路の中央であること又は交通法第十七条第四項の道路標示による中央線であること」です。別表第六の様式欄には、右側へはみ出してはならないことを特に示す必要がある道路に設置する場合も区別されています。白線の説明で「禁止という文言はどこにもない」と言い切るのも正確ではありません。
白い線だから例外なく越えてよいのではなく、道路交通法17条4項の左側通行が原則です。黄色い規制標示102は、5項4号の「追越しのため」の例外を使えなくするものです。越えられるかどうかは、線の色だけでなく、その条文の条件と他の標識・標示を確認して判断します。
ここを押さえると、「白だから越えてよい」も「黄色なら何があっても越えられない」も、どちらも条文の読み方としては粗いことが分かります。白い線でも17条4項の原則は生きているので、5項のどれかに当たらなければ越えられません。
一方通行以外は、はみ出しを最小限に
5項には、号の列挙に入る前の一文があります。
この場合において、車両は、第一号に掲げる場合を除き、そのはみ出し方ができるだけ少なくなるようにしなければならない。
一方通行の1号を除く全部に、この縛りがかかります。駐車車両を避けるときも、必要な分だけ膨らんで、抜けたら左に戻る。反対車線をそのまま走り続ければ、3号では説明がつかなくなります。
対向車が来ているときの振る舞いは、警察庁の「交通の方法に関する教則」が書いています。第5章第6節の「行き違い」に「進路の前方に障害物があるときは、あらかじめ一時停止か減速をして、反対方向からの車に道を譲りましよう」とあります。17条5項は「はみ出して通行することができる」としか書いておらず、対向車より先に行ける根拠にはなりません。障害物がある側、つまりこちらが待ちます。
4号でのはみ出し追越しは、4条件を確認
ここで確認するのは、17条5項4号の例外を使う場合の条件です。一方通行など、他の号に当たる場合と一緒にしないでください。
- 当該道路の左側部分の幅員が6メートルに満たないこと
- 当該道路の右側部分を見とおすことができること
- 反対の方向からの交通を妨げるおそれがないこと
- 道路標識等により追越しのため右側部分にはみ出して通行することが禁止されていないこと
この4つがそろっても、29条の追越しを禁止する場合や30条の追越し禁止場所など、他の規定にも従う必要があります。
教則も同じ内容を「左側部分の幅が6メートル未満の見通しのよい道路でほかの車を追い越そうとするとき」と言い換えています。
見落とされやすいのは1つめです。左側部分が6メートル以上ある道では、線が白でも、追越しを理由に4号の例外を使うことはできません。道路全体の幅ではなく、左側部分の幅が条件になっています。
なぜ4号に6メートルという線引きがあるのかは、黄色い線がどこに引かれるかと裏表です。警察庁の交通規制基準は、この規制の対象を「道路の左側部分の車道幅員が6メートル未満の舗装道路」で、見通しのきかないカーブなど構造上危険な区間としています。6メートル以上の道では4号の出番がないので、禁止を足す必要がありません。黄色い線が狭い道に集まって見えるのは、そういう仕組みだからです。
「追越し禁止」は、はみ出さなくても違反になる
名前の似た標識が2つあり、標識令の別表第一で区別されています。混同すると、やってよいことの範囲を取り違えます。
| 標識 | 番号 | 根拠条文 | 禁じていること |
|---|---|---|---|
| 追越しのための右側部分はみ出し通行禁止 | 314 | 17条5項4号 | 追越しのために右側部分へはみ出すこと |
| 追越し禁止 | 314の2 | 30条 | 追越しそのもの |
30条の条文は「他の車両……を追い越すため、進路を変更し、又は前車の側方を通過してはならない」です。はみ出すかどうかを問いません。自分の車線の中だけで追い越しても違反になります。
30条が挙げる場所は、標識で禁止されている区間のほかに3つです。
- 道路の曲がり角付近、上り坂の頂上付近、勾配の急な下り坂
- トンネル(車両通行帯の設けられた道路以外の道路の部分に限る)
- 交差点(優先道路を通行している場合を除く)、踏切、横断歩道、自転車横断帯と、これらの手前の側端から前に30メートル以内の部分
もう一つ、条文に括弧が入っています。30条が対象にするのは「他の車両(特定小型原動機付自転車等を除く。)」です。「特定小型原動機付自転車等」は18条1項で「特定小型原動機付自転車及び軽車両」と定義されており、自転車はこちらに入ります。教則も該当箇所の書き出しを「自動車や一般原動機付自転車を追い越すため」と限定しています。見通しの悪い曲がり角で自転車を追い越すことは、30条では禁じられていません。安全かどうかは別の話で、追越しの方法については28条4項が「できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない」と定めています。
例外として、横断歩道のまわりは教則の書き方が広くなります。第5章第3節に「横断歩道や自転車横断帯とその手前から30メートル以内の場所では、ほかの車を追い越したり、追い抜いたりしてはいけません」とあり、ここは車種を限っていません。進路を変えずに横をすり抜ける追い抜きも含めて避ける、という書き方です。
違反になったときの名前と金額
はみ出して追い越した場合に問われるのは17条4項です。道路交通法施行令の別表第二は、備考30で「通行区分違反」を「法第十七条第一項から第四項まで又は第六項の規定の違反となるような行為」と定義しています。基礎点数は2点です。
30条の場所で追い越した場合は、備考36の「追越し違反」になります(法28条から30条までの違反)。こちらも基礎点数2点です。
反則金は施行令の別表第六の十六に両方が並んでおり、額は同じです。
| 車種 | 反則金 |
|---|---|
| 大型車 | 12,000円 |
| 普通車 | 9,000円 |
| 二輪車 | 7,000円 |
| 原付等 | 6,000円 |
警視庁の「反則行為の種別及び反則金一覧表」も同じ額を載せています。反則金で処理されない場合の法定刑は、どちらも119条1項の「3月以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金」です(通行区分違反は6号、追越し違反のうち30条違反は5号)。
金額は改正されることがあります。切符に記載された金額や違反内容に疑問があれば、発行した警察署に確認してください。
迷う区間は、走る前に聞いておく
条文に「駐車車両」という語はありません。3号の文言は「道路の損壊、道路工事その他の障害」で、教則の言い換えは「工事などのため左側部分だけでは、通行するのに十分な幅がないとき」です。停まっている車がこの「その他の障害」に当たるかどうかを正面から書いた公的な一文は、今回見つけられませんでした。
ただし警察庁自身が、別の場所で「道路工事や連続した駐車車両などのために車道の左側部分を通行することが困難な場所」という書き方をしています(教則第3章、自転車が歩道を通行できる場合の説明)。駐車車両が左側部分の通行を妨げる事情として扱われていることは、ここから読み取れます。
通勤路に黄色い線と路上駐車が重なる区間があるなら、走る前に所轄警察署の交通課へ電話して、区間を伝えておくのが確実です。聞き方はこれで足ります。
「○○町の△△通り、真ん中に黄色い線が引かれている区間です。日中そこに荷下ろしの車が停まっていて、はみ出さずには通れません。対向車線側にはみ出して通るのは通行区分違反になりますか」
相談するときは、場所と標識・標示、停まっている車の位置、左側を通れる幅があるかを伝えてください。運転中に電話したり、後ろの車に促されて無理にはみ出したりしないでください。