65歳の年金請求書が届いた。出せるのは誕生日の前日から、初回の振込は提出から2〜4か月後。出さずに5年を過ぎた分は時効にかかる

この記事の要点

届いた月に加入記録と必要な添付書類を確かめ、誕生日の前日以降に年金事務所へ出します。戸籍や住民票は誕生日の前日以降に交付されたものが必要です。提出から1〜2か月で年金証書、その1〜2か月後に偶数月15日の振込が始まります。放置しても年金は消えませんが、5年を過ぎた分は時効で受け取れなくなる場合があります。

  1. 年金請求書(事前送付用)は受給開始年齢の3か月前に届く。65歳で初めて請求する人には、加入記録が印字された封書が本人あてに送られる
  2. 提出できるのは誕生日の前日以降。日本年金機構は「受付は65歳になってからです」と書いており、早く出しても受け付けられない。戸籍・住民票も「受給権発生日以降に交付されたもの」、つまり誕生日の前日以降に取ったものが求められる
  3. 提出先は年金事務所か街角の年金相談センター。郵送でも出せる。年金記録が共済組合だけの人は原則その共済組合へ出す
どうする?編集部 · · 読了 約7分
目次(7項目)
  1. 届くのは3か月前。封筒には自分の加入記録が印字されている
  2. 今月やること。記録を確かめ、要る書類を洗い出す
  3. 出せるのは誕生日の前日から
  4. 提出してから振込までの空白は2〜4か月
  5. 出さないとどうなるか。消えるのは「5年より前の分」
  6. 特別支給の老齢厚生年金を受けている人は、ハガキが来る
  7. 迷ったときに確かめる順番

結論から書きます。年金請求書が届いたら、今月のうちに加入記録を確かめて必要な添付書類を洗い出し、誕生日の前日以降に年金事務所へ出します。それより前に出しても受け付けてもらえません。提出から約1〜2か月で年金証書が届き、さらに1〜2か月後に偶数月15日の振込が始まります。

出さずに置いておいても年金そのものは消えませんが、受け取れるようになってから5年を過ぎた分は時効で受け取れなくなる場合があります。繰下げを考えている人を除けば、届いた封筒を先送りにする理由はありません。

届くのは3か月前。封筒には自分の加入記録が印字されている

日本年金機構は、受給開始年齢に到達する3か月前に「年金請求書(事前送付用)」を送ります。65歳で初めて老齢年金を請求する人には、基礎年金番号、氏名、生年月日、性別、住所、それに年金の加入記録をあらかじめ印字した請求書とリーフレットが本人あてに届きます。

誰から届くかは加入記録で分かれます。厚生年金と国民年金だけの人、または最後の記録が厚生年金の人には日本年金機構から届きます。最後の記録が共済組合の人には、その共済組合から送られます。

生年月日によっては65歳より前に届く人もいます。特別支給の老齢厚生年金を受け取る権利がある人には、その受給開始年齢の3か月前に同じ形の請求書が送られるためです。

事前送付の対象は加入期間が10年以上ある人です。封筒が来ない人や手元に請求書がない人は、年金機構の「老齢年金請求書の記入方法等」のページから請求書(様式第101号)を印刷して使えます。

今月やること。記録を確かめ、要る書類を洗い出す

届いた月は、まだ提出できない月です。しかも戸籍や住民票は、早く取りすぎると使えません。年金機構は「受給権発生日以降に交付されたもので、かつ、年金請求書の提出日において6カ月以内に交付されたもの」を用意するよう求めています。受給権が生じるのは誕生日の前日なので、役所へ取りに行くのはその日以降です。今月のうちに済ませられるのは次の3つです。

印字された加入記録を見る。 働いていたはずの会社が抜けていないか、国民年金の期間が思っている年数と合っているかを確かめます。空白や誤りがある人は、提出前に年金事務所で相談する対象だと年金機構は案内しています。そのまま出すと、抜けた期間が反映されないまま年金額が決まります。

添付書類を洗い出す。 65歳で初めて請求する人の全員に必要なのは次の2つです。

書類補足
戸籍謄本・戸籍抄本・戸籍の記載事項証明・住民票・住民票の記載事項証明書のいずれか誕生日の前日以降に交付されたもの。マイナンバーが登録されている単身者は原則不要
受取先金融機関の通帳等本人名義のもの。コピー可。請求書に金融機関の証明を受けた場合と、公金受取口座を使う場合は不要

マイナンバーの登録状況は、届いた請求書の8ページ(2)か「ねんきんネット」で確かめられます。未登録の人も、請求書にマイナンバーを記入すれば戸籍謄本等は原則不要になります。

配偶者の厚生年金加入期間が20年以上ある人は、戸籍謄本、世帯全員の住民票、請求者本人の収入が確認できる書類が加わります。年金機構のページには、この3つもマイナンバーの記入で添付を省略できると書かれています。

記入例を手元に置く。 年金機構は事前送付用の請求書の記入例と案内動画をページに載せています。封筒に同封されたリーフレットと合わせて、迷う欄はそこで確かめられます。

出せるのは誕生日の前日から

ここがいちばん誤解される点です。年金機構は65歳で初めて請求する人向けのページで「受付は65歳になってからです」と書き、請求の流れのページでは「受給開始年齢の誕生日の前日以降に」提出するよう案内しています。

年金機構の案内は、起点を誕生日ではなく前日に置いています。6月10日生まれなら6月9日から、4月1日生まれなら3月31日から出せます。

提出先は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターです。窓口に持ち込むほか、郵送でも出せます。年金の未加入期間がないなど一定の条件を満たす人は電子申請も使え、対象の人には請求書の表紙に「電子申請のご案内」が表示されています。年金記録が共済組合等だけの人は、原則その共済組合等に出します。

提出してから振込までの空白は2〜4か月

年金機構の案内する流れは次のとおりです。

  1. 年金請求書の提出から約1〜2か月後に「年金証書・年金決定通知書」が届く
  2. その1〜2か月後に「年金のお支払いのご案内」が届き、年金の受け取りが始まる
  3. 振込は原則、偶数月の15日に前月と前々月の分。15日が土日祝なら直前の平日

つまり提出から初回振込までは、短くて2か月、長ければ4か月ほど空きます。この間に振込がなくても手続きが止まったわけではありません。

受け取れる年金がどの月の分から始まるかは、国民年金法18条が定めています。年金給付の支給は「支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め」るという条文です。誕生日の前日に受給権が生まれるので、その翌月分からが対象になります。

6月10日生まれの人で組み立てると、こうなります。

時期起きること
3月上旬〜中旬年金請求書(事前送付用)が届く
3〜6月加入記録の確認、必要な添付書類の洗い出し
6月9日以降戸籍・住民票が要る人はこの日以降に取り、年金事務所へ提出
7〜8月年金証書・年金決定通知書が届く目安
8月15日または10月15日初回振込の目安。7月分以降がまとめて振り込まれる

初回の振込日は処理の進み方で前後します。表の日付は年金機構が示す「1〜2か月」を2回重ねた幅の範囲で置いたものです。

出さないとどうなるか。消えるのは「5年より前の分」

年金は請求して初めて支給が決まる仕組みで、請求書を出さない限り振込は始まりません。

ただし、放置した期間の年金が直ちに消えるわけではありません。年金機構は、年金の請求をせず、年金を受けられるようになったときから5年を過ぎると、5年を過ぎた分については時効により受け取れなくなる場合があると書いています。裏を返せば、5年以内の分は後から請求してまとめて受け取れます。

注意したいのは、支給の開始月は請求した月ではなく、受給権が生じた月の翌月で固定されている点です。遅れて出しても損はしませんが、得もしません。放置に意味があるのは、繰下げを選ぶ人だけです。

さきほどの6月10日生まれの人が、封筒を忘れて翌年1月に出したとします。受給権は前年6月9日に生じているので、対象は前年7月分からです。国民年金法18条3項は、支払期月ごとに「それぞれの前月までの分を支払う」と定めているので、初回の振込でその7月分以降をまとめて受け取ります。それ以降は偶数月15日の2か月分ずつに戻ります。

逆に言えば、遅れた分を取り戻す手続きは別に要りません。出すのが遅れたことに気づいたら、そのときに同じ請求書を同じ添付書類で出すだけです。5年という区切りは、書類を紛失したまま何年も経った人にだけ関係します。

65歳を過ぎてから出す人、繰下げを考えている人へ。 届いた事前送付用の請求書で出すなら、2ページの「2.受取開始時期の選択(支給繰下げ申請書)」欄を必ず記入します。年金機構は、この欄を書けば「老齢年金の受取方法確認書」と「老齢基礎年金・老齢厚生年金 支給繰下げ申出書(様式第103-1号)」の添付を省略できると案内しています。請求書をなくして様式第101号で出す場合は、受取方法確認書の提出が求められ、繰下げ受給を希望するなら様式第103-1号も一緒に出します。何歳まで待つと得になるかは別の記事で扱っています。

特別支給の老齢厚生年金を受けている人は、ハガキが来る

65歳より前から特別支給の老齢厚生年金を受けている人は、封書ではなくハガキ形式の年金請求書が届きます。

項目内容
届く時期65歳になる誕生月の初め頃(1日生まれは前月の初め頃)
差出人日本年金機構本部
提出期限誕生月の末日(1日生まれは前月末日)
遅れたとき年金の支払いが一時保留されることがある

このハガキには受取方法欄があります。老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を繰り下げたい人は、65歳時点の手続き自体が不要です。片方だけ65歳から受け取りたい人は、「基礎年金のみ65歳から受け取る(厚生年金は繰下げ予定)」か「厚生年金のみ65歳から受け取る(基礎年金は繰下げ予定)」のどちらかにチェックを入れて出します。

封書で届く人と違うのは、締切があり、遅れるとすでに受けている年金の支払いが一時保留されることがある点です。ハガキは届いた月のうちに返すものだと覚えておくと迷いません。

迷ったときに確かめる順番

年金機構が提出前の相談を案内している人は次の5つです。自分が当てはまるかを先に見ます。

  • 年金の加入記録に空白期間や記載誤りがある
  • 基礎年金番号を複数持っている
  • 他の年金を受けている
  • 繰上げまたは繰下げを検討している
  • 年金の見込額の交付を希望している

どれにも当たらない人は、添付書類を揃えて誕生日の前日以降に出すだけで手続きは終わります。年金事務所に行くときは、印字された請求書と添付書類を一式で持っていくと一度で済みます。

封筒が届いてから初回の振込までは、最短でも5か月ほどの道のりです。今月できるのは記録の確認と必要書類の洗い出し、誕生日の前日以降にやるのは書類の取得と提出、その後は年金証書と支払案内を待つだけ。この三段に分けておくと、途中で「何もしていないのでは」と不安になる期間を短くできます。

Photo by Cht Gsml on Unsplash
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参考資料

  1. 日本年金機構 老齢年金の請求手続きの流れ
  2. 日本年金機構 老齢年金請求書の事前送付
  3. 日本年金機構 65歳時の年金の手続き(老齢年金を初めて請求する方)
  4. 日本年金機構 65歳時の年金の手続き(特別支給の老齢厚生年金を受給している方)
  5. 日本年金機構 老齢年金請求書の記入方法等
  6. 日本年金機構 老齢年金を請求する方の手続き
  7. e-Gov 法令API 国民年金法(昭和34年法律第141号)第18条

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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