賞与からも子ども・子育て支援金は引かれます。計算の考え方は毎月の給与と同じで、賞与の支給額から1,000円未満を切り捨てた額(標準賞与額)に支援金率0.23%をかけ、その半分が本人の負担です。賞与が30万円なら345円です。
まず賞与明細の控除欄を見て、健康保険料のとなりに「子ども・子育て支援金」の行があるかを確かめてください。行が見つからない場合も、健康保険料に合算されていることがあります。金額が合っているかは、このあとの手順をたどれば自分で出せます。
この記事の数字は2026年10月2日に公表資料を確認した時点のもので、率は年度ごとに決まります。
公式ページに賞与の式が載っていないので、3か所を突き合わせる
こども家庭庁の制度ページには「支援金額(月額)は、標準報酬月額×支援金率になります」とあります。月額の式だけです。賞与が対象かどうかは、ここを読んでも分かりません。
答えは同じ庁のQ&Aにあります。「ボーナスからも支援金を拠出いただきます。これは、健康保険制度や厚生年金保険制度と同様です」と書かれています。対象であることはこの一行で確定します。
ただしQ&Aには、金額の出し方も上限も書かれていません。そこは協会けんぽの保険料額表の注記にあります。賞与明細を検算するには、この3か所を順に見る必要があります。
賞与の支援金を出す手順
協会けんぽの保険料額表の注記は、賞与の保険料をこう説明しています。「賞与に係る保険料額は、賞与額から1,000円未満の端数を切り捨てた額(標準賞与額)に、保険料率を乗じた額となります。」支援金率もこの「保険料率」の一つとして同じ表に載っています。
- 賞与の支給額から1,000円未満を切り捨てる。これが標準賞与額です
- 標準賞与額に支援金率0.23%をかける。ここまでが労使を合わせた額です
- 2の額を半分にする。この半分が本人の負担分です
- 円未満の端数を処理する
4の端数処理も注記に書かれています。会社が給与から控除する場合は「被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円」です。ただし「事業主と被保険者間で特約がある場合には、特約に基づき端数処理をすることができます」とあるので、1円のずれは会社の取決めで説明がつくことがあります。
実際に出してみる
令和8年度の支援金率0.23%で計算した例です。
| 賞与の支給額 | 標準賞与額 | 支援金の全額 | 本人が引かれる額 |
|---|---|---|---|
| 300,000円 | 300,000円 | 690円 | 345円 |
| 452,800円 | 452,000円 | 1,039.6円 | 520円 |
| 1,000,000円 | 1,000,000円 | 2,300円 | 1,150円 |
2行目が端数処理の例です。452,800円は1,000円未満を切り捨てて452,000円になり、0.23%をかけると1,039.6円、半分で519.8円です。端数の80銭は50銭を超えるので切り上げて520円になります。
同じ率は毎月の給与にもかかっています。協会けんぽの保険料額表では、標準報酬月額30万円の支援金が全額690円・折半額345円と載っています。賞与30万円の計算と一致します。
年度の累計が573万円に達すると、支援金はそこで止まる
標準賞与額には上限があります。協会けんぽの注記は「標準賞与額の上限は、健康保険、介護保険及び子ども・子育て支援金は年間573万円(毎年4月1日から翌年3月31日までの累計額。)となり、厚生年金保険と子ども・子育て拠出金は月間150万円となります」と書いています。
573万円は健康保険・介護保険と共通の枠で、4月1日から翌年3月31日までの累計です。年度の途中で枠を使い切ると、そこから先の賞与には支援金がかかりません。
夏に300万円、冬に350万円の賞与が出た場合で考えます。夏の時点で累計300万円なので、上限まで残り273万円です。冬の賞与350万円のうち標準賞与額に入るのは273万円までで、残りの77万円には健康保険料・介護保険料・支援金がかかりません。273万円に0.23%をかけると6,279円、半分で3,139.5円、端数の50銭は切り捨てて3,139円です。
ただし協会けんぽの注記は上限額を示しているだけで、上限をまたぐ賞与の中で算入分と算入外を分ける計算例は示されていません。上の数字は「累計額の上限」という文言から計算したものです。金額が合わないときは明細と給与担当で確かめてください。
厚生年金は上限の数え方が違うので、明細の止まり方がずれる
同じ賞与でも、保険の種類によって上限の数え方が違います。
| 上限の額 | 数え方 | |
|---|---|---|
| 健康保険・介護保険・子ども・子育て支援金 | 573万円 | 年間(4月1日から翌年3月31日までの累計) |
| 厚生年金保険・子ども・子育て拠出金 | 150万円 | 月間(賞与の支給月ごと) |
先ほどの夏300万円の例では、厚生年金保険の標準賞与額は150万円で止まります。一方で支援金は300万円全額が対象です。高額の賞与が出た月の明細で「厚生年金保険料が思ったほど増えていないのに健康保険料は増えている」と見えるのは、この上限の違いによるものです。
40歳から64歳の人は、これに介護保険料も加わります。協会けんぽ東京支部の令和8年度は、健康保険料率9.85%と支援金率0.23%に介護保険料率1.62%が加わる形で表に示されています。
「子ども・子育て拠出金0.36%」は自分の明細には出ません
名前が似ていて混同しやすいのですが、子ども・子育て拠出金は支援金とは別の制度です。協会けんぽの注記は「事業主の方は、児童手当の支給に要する費用等の一部として、子ども・子育て拠出金を負担いただくことになります。(被保険者の負担はありません。)」としています。率は0.36%で、厚生年金保険の標準報酬月額および標準賞与額にかかります。
つまり本人の明細に出てくる子ども・子育て関係の控除は0.23%の半分だけで、0.36%の方は出てきません。「0.36%も引かれているのでは」と探しても見つからないのが正しい状態です。
国民健康保険と後期高齢者医療には、賞与という区分がない
支援金は加入している医療保険ごとに決まります。こども家庭庁の説明では、国民健康保険は「お住いの市町村が定める条例に基づき、世帯や個人の所得等に応じて決定されます」、後期高齢者医療制度は「お住いの都道府県後期高齢者医療広域連合が定める条例に基づき、個人の所得等に応じて決定されます」となっています。
どちらも所得に応じた賦課で、賞与を別に計算する仕組みではありません。金額は市町村や広域連合から届く納入通知書で確認します。
負担の分け方も違います。厚生労働省に掲載された同庁の資料では、被用者保険は被保険者2分の1・事業主2分の1で、国民健康保険と後期高齢者医療制度は「被保険者のみが負担」と注記されています。会社員は半分を会社が出しますが、国民健康保険の人は全額が自分の負担です。
明細に支援金の行が見つからないとき
協会けんぽの保険料額表では、支援金は「子ども・子育て支援金」という独立した欄で、健康保険料の欄とは別に示されています。ただし給与明細の表示名や合算の仕方は会社の給与計算の作りによるので、明細に専用の行があるとは限りません。
手元でできる確認は次の2つです。
- 賞与額の1,000円未満を切り捨てて0.23%をかけ、半分にした額を出す。その額が明細の健康保険料に含まれているかを見る
- 給与担当に「賞与明細の健康保険料に子ども・子育て支援金が含まれていますか。含まれている場合、支援金分はいくらですか」と聞く
支援金は令和8年(2026年)4月分の保険料から始まりました。こども家庭庁は「令和8年4月保険料(5月に給与天引き)より拠出いただきます」としています。2026年4月より前の賞与明細と比べると、増えた分の見当がつきます。
この記事で確かめられなかったこと
今回開いた4つのページには、次の点が書かれていませんでした。推測で補わずに残しておきます。
- 産前産後休業や育児休業の期間中に支給された賞与の扱い。健康保険料と同じように支援金も免除されるのかどうか
- 年度の途中で会社や保険者が変わったときに、573万円の累計をどう数えるのか
- 引かれた支援金が年末調整や確定申告の社会保険料控除にどう入るのか
いずれも加入している保険者(協会けんぽ、健康保険組合、共済組合)か会社の給与担当に確認するのが早い項目です。
令和9年度以降の率は決まっていません
支援金率は年度ごとに決まります。厚生労働省に掲載された資料では、支援金の総額について「令和8年度概ね6,000億円、令和9年度概ね8,000億円、令和10年度概ね1兆円を目安とすること」が法律に規定されているとあり、令和8年度は社会保障の歳出改革による負担軽減効果の範囲内として0.60兆円とされています。
総額の目安は示されていますが、令和9年度以降の支援金率そのものは今回確認した資料には載っていません。率が変われば、この記事の賞与の計算も変わります。
参考資料
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度のQ&A」
- 全国健康保険協会「令和8年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表(東京支部)」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援金制度について(令和8年3月)」(厚生労働省サイト掲載)