住宅ローン控除の2年目からは、確定申告をやり直す必要はありません。給与所得者は勤務先の年末調整で受けられます。出すものは2点で、税務署から届く「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」と、借入先の金融機関が出す「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」です。つまずくのはたいてい、この2点のどちらかが手元にないときで、原因は人によって違います。まず、初年度の確定申告で控除証明書の電子交付を希望したかどうかと、入居した年が令和6年1月以降かどうかを確かめてください。この二つで、次にどこへ連絡するかが決まります。
出すのは2点。片方が税務署から、もう片方が金融機関から
国税庁は2年目以降について、「年末調整でこの特別控除の適用を受けることができます。この場合、税務署から送付される『年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書』と『住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書』を勤務先に提出する必要があります」と書いています。
どちらも名前が長いので、届いた紙を見ただけでは見分けがつきにくいです。目印は二つあります。
- 税務署から来るものは、平成24年6月以後に交付されたものなら証明書と申告書が1枚で兼用になっています。居住年や工事の内容によって、書類名に「(特定増改築等)」が入る版もあります
- 金融機関から来るものには、その年の年末時点の残高が書かれています。名称に「年末残高等証明書」と入っています
提出の期限を決めるのは国税庁ではなく勤務先です。年末調整の書類の締切に合わせて出します。控除される額そのもの、つまり控除期間と借入限度額は、入居した年と住宅の区分で変わります。自分の金額は、国税庁の該当ページで入居年の区分を見るか、所轄の税務署に問い合わせてください。
書面が届かないときに見る順番
心当たりのある行から読んでください。
| 心当たり | 書面が届かない理由 | 次にやること |
|---|---|---|
| 確定申告のときに、控除証明書をe-Taxで交付してほしいという欄を選んだ | 電子交付を希望すると、書面では送付されない | e-Taxの受付システムに電子証明書でログインし、通知書等一覧から「住宅借入金等特別控除証明書」を選ぶ |
| 令和6年1月以降に入居した。借入先が調書方式に移っている | 金融機関から年末残高等証明書が交付されない | 借入先に「住宅ローン控除の適用申請書」を出す。残高の情報はマイナポータル等を通じて届く |
| 心当たりがない。または受け取ったがなくした | 未交付、または紛失 | 納税地を所轄する税務署長に「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を出す |
電子交付を選んでいた場合の受け取り方は、e-Taxの案内(令和2年1月6日掲載)に書かれています。送信は「毎年、10月頃から11月にかけて、順次」行われます。注意すべき点が三つあります。
- 受付システムに利用者識別番号などだけでログインした状態では、控除証明書は閲覧できません。通知書等一覧から電子証明書で認証したうえで開きます
- 平成31年1月より前に居住を開始した人や増改築をした人は、そもそも電子交付を希望できません
- 税理士に代理送信してもらって電子通知を希望した場合でも、控除証明書は納税者本人にのみ送信されます
令和6年1月以降に入居した人は、残高証明書が来ないことがある
令和4年度の税制改正で、残高の確認方法が変わりました。改正前は、納税者が金融機関から年末残高証明書を受け取って税務署や勤務先に出していました。改正後は、金融機関等が税務署に「年末残高調書」を提出し、税務当局から納税者に年末残高の情報が提供されます。これを調書方式といいます。
適用の時期は、法令と実務で言い方が分かれています。国税庁は「法令上、居住年が令和5年1月1日以後である者が、令和6年1月1日以後に行う確定申告及び年末調整について適用されますが、金融機関等におけるシステム改修等の対応の必要性から経過措置が設けられており、実務上は、この経過措置を全ての金融機関に適用するものと取り扱うこととし、令和6年1月1日以降に居住を開始した者について、対応が完了した金融機関等から、順次、調書方式に移行する」と説明しています。
つまり、入居が令和6年1月以降で、かつ借入先が移行を終えている場合に、残高証明書が来なくなります。移行した金融機関は国税庁のホームページで公表されています。ただし掲載に同意した金融機関に限って載せている旨の注記があるので、一覧に名前がないことだけを根拠に「まだ従来方式だ」と決めず、借入先に確認してください。借入先がまだ移行していない場合は、従来どおり年末残高証明書の交付を受けて、添付または提示します。
調書方式で控除を受けるには、納税者の側に一つやることがあります。借入先の金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を出すことです。様式は金融機関ごとに違い、住宅ローンの契約書類の中に申請事項を含めている金融機関もあります。この申請書に書く番号が、人によって変わります。
- 原則はマイナンバーを記載します。マイナンバーを書かないと、税務当局から年末残高の情報を通知できません
- 海外に居住していたなどの理由でマイナンバーを持っていない人は、代わりにe-Taxの利用者識別番号を記載します
- 金融機関側の準備が間に合わず「併用方式」を採っている場合は、マイナンバーに代えてe-Taxの利用者識別番号を記載します。借入先によって求められる番号が違うのは、この方式の違いによるものです
マイナンバーカードの発行を受けていないなどの理由で、マイナポータルを通じて残高の情報を受け取れない人もいます。その場合は手元の返済計画表などの書類を見て、自分で年末残高を確認して記入します。情報が届かないと控除が受けられない、という話ではありません。
年の途中から適用申請書を出した人向けの注意もあります。年末残高調書は、適用申請書を出した年分以後についてだけ提出されます。それより前の年分の残高は調書では分かりません。返済計画表などで自分で把握します。借入先に照会すれば、従来の年末残高証明書の様式で残高を伝えてもらえる扱いになっています。
2年目以降の調書は10月末までの提出。入っているのは年末の「予定」残高
ここは見落としやすいところです。年末残高調書のQ&Aは、2年目以降の提出期限を「その年の10月31日」とし、「提出時における年末の予定残高を入力し、ご提出していただく」と説明しています。10月末の時点での見込みの金額だということです。
そのあとに動きがあった場合の扱いも書かれています。繰上返済などで年末残高に異動が生じた場合や、債務者が亡くなった場合でも、金融機関の側では調書の修正など特段の対応は必要ないとされています。そして「債務者において、年末残高の異動の内容や、死亡日の残高を踏まえ、申告等の手続を行う必要があります」と続きます。直すのは本人の側です。
11月や12月に繰上返済する予定がある人は、通知された残高をそのまま書き写さないでください。返済後の年末残高で計算します。
調書の内容そのものに誤りがあり、提出期限までに訂正できなかった場合も同じです。国税庁は、その場合は正しい年末残高の情報を通知できないため、本人が正しい金額で年末調整や確定申告を行うことになり、金融機関から該当者に誤りと正しい金額を連絡するよう求めています。訂正の連絡が来たら、勤務先に出す前の書類を直します。
2年目でも年末調整で受けられないことがある
書類が揃っていても、その年だけ要件から外れることがあります。
- 合計所得金額の上限 — 令和4年以降に居住の用に供した場合は、控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であることが要件です。特例居住用家屋または特例認定住宅等に当たる場合は1,000万円以下です。令和3年までに居住した認定住宅等では3,000万円以下(特例特別特例取得は1,000万円以下)とされており、入居した年で線が違います。所得が増えた年だけ控除が止まる形になります
- 償還期間が10年以上であること — 対象になるのは、10年以上にわたり分割して返済する方法になっている借入金です。この償還期間に、元本の据置期間は、利払いの有無にかかわらず含まれません。国税庁は、償還期間等から据置期間を除いた期間が10年未満となるものは住宅ローン控除の対象となる借入金等に該当しないとしています。期間短縮型の繰上返済を重ねている人は、自分の契約でどう判定されるかを借入先と所轄の税務署に聞いてください
- その年に年末調整がない — 年の途中で退職して年内に再就職していない場合など、年末調整を受けない人は確定申告で受けます
勤務先の締切に間に合わなくても、5年のうちなら取り戻せる
書類が11月中に出てこなかった、締切を過ぎてしまった、という場合でも控除を落とす必要はありません。還付申告で受けられます。
還付申告の案内では、還付申告書は「確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます」とされています。還付申告ができる具体例として「一定の要件を満たしたマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき(住宅借入金等特別控除)」が挙げられています。提出先は、提出するときの納税地を所轄する税務署長です。
ただし、還付は源泉徴収や予定納税で既に納めた所得税がある場合に発生します。源泉徴収票の源泉徴収税額が0の人は、申告しても還付される所得税額はありません。
なくした・届かないままのときの再交付と、窓口の受付時間
税務署からの書類が未交付のまま、または紛失した場合は、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請書」を出します。既に確定申告で控除の適用を受けた人のうち、翌年以降の控除を年末調整で受けるために証明書の交付を受けようとする場合や、紛失等により申告書の再交付を受けようとする場合の手続きです。根拠は租税特別措置法第41条の2の2です。
申請の前に、次の点を押さえておきます。
- 提出時期は特に定められていません。 ただし、交付申請手続をした後の年分について関係書類が送付される扱いです。今年分の年末調整に間に合わないことがあるので、間に合わなければ前の節の還付申告に切り替えます
- 提出方法 — e-Taxソフトで申請書を作成してe-Taxで提出します。書面で作成して持参または送付することもできます。提出先は納税地を所轄する税務署長です
- 代理人が窓口で請求する場合は委任状が必要です。 家族に頼むときは先に用意します
- 再交付等を申請する人を除き、確定申告で証明書の交付を要することを選択していた場合は、この申請書の提出は不要です
窓口に行く場合の時間も変わっています。令和8年10月1日から、全ての税務署で総合窓口の受付時間が原則として午前9時から午後3時までになりました。受付時間外でも、開庁時間内(8時30分から17時)に来署すれば各種手続は利用できますが、可能な限り受付時間内に、とされています。土曜日、日曜日、祝日および年末年始(12月29日から1月3日)は執務を行っていません。
2026年10月9日時点で確かめられなかったこと
- 書面の控除証明書兼申告書が、何月に、何年分まとめて送付されるのか。 タックスアンサーも交付申請手続の案内も、送付時期と年分には触れていませんでした。電子交付については「毎年、10月頃から11月にかけて、順次」送信すると案内されています。書面の時期は所轄の税務署に確認してください
- 自分の借入先が調書方式に移行しているか。 国税庁の公表一覧は、掲載に同意した金融機関に限るとされています。一覧だけでは確定しません
- 「年末調整で住宅借入金等特別控除を受ける方へ」のパンフレット本文。 配布されているPDFを開きましたが、この環境では本文を読み取れませんでした。令和8年分の様式名や記載例は原文で確認していません
- 期間短縮型の繰上返済で返済期間が10年未満になった年の具体的な扱い。 要件が「10年以上」で、そこに据置期間を含めないという点までが確認できた範囲です
参考資料
- 国税庁 No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
- 国税庁 住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)に関するよくある質問
- 国税庁 A1-39 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請手続
- e-Tax e-Taxによる住宅借入金等特別控除証明書の送付について
- 国税庁 No.2030 還付申告