介護休業給付金の支給申請は、介護休業が終わってからです。休業中に区切って出す育児休業給付金とは手順が違います。期限は介護休業終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日で、提出するのは原則として会社です。まず確認するのは、休業の初日と末日をいつにして申し出たかです。この2つの日付が決まらないと、給付金の計算の起点も申請の期限も決まりません。そのうえで、雇用保険の手続きを会社の人事・総務が自分でやっているのか、社会保険労務士に任せているのかを聞いておきます。
申請できるのは、休業が終わったあと
厚生労働省とハローワークのリーフレットは、冒頭に「一回の介護休業終了後に支給申請手続が必要です」と見出しを立てています。育児休業給付金と同じ手順だと思っていると、ここで取り違えます。育児休業給付金は休業中に2か月ごとなどで申請して、休業が続いているあいだに入金が始まります。介護休業給付金は、その休業が終わるまで申請できません。
休業期間が3か月以上にわたるときは、介護休業開始年月日から3か月を経過する日が区切りになり、その翌日から申請できます。1回の介護休業で給付の対象になるのは最長3か月だからです。
入金の時期も確認しておきます。支給が決まると「支給決定通知書」が届き、申請時に届け出た本人名義の口座に、支給決定後およそ1週間後に振り込まれます。休業に入ってから最初の入金までは、申請の準備期間も含めて数か月空く前提で家計を組んでおいてください。
期限は「終了日の翌日から2か月を経過する日の属する月の末日」
正確な文言は、各介護休業の終了日(介護休業期間が3か月以上にわたるときは介護休業開始年月日から3か月を経過する日)の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の末日までです。リーフレットは例も載せています。
| 介護休業終了日 | 申請できる期間 |
|---|---|
| 7月25日 | 7月26日から9月30日まで |
「2か月後」ではなく「2か月を経過する日の属する月の末日」なので、月のどこで終わっても締切は月末にそろいます。ただし終了日が月のどこに来るかで、締切までに使える日数は変わります。自分の終了日から数え直してください。
会社が手続きをする場合、社内で書類を回す時間が必要です。休業から復帰した日に、人事へ「介護休業給付金の申請はいつハローワークに出す予定ですか」と期限の日付つきで聞いておくと、月末ぎりぎりになりません。
出すのは原則として会社。本人が出せる場合も決まっている
提出者は事業主です。リーフレットは「この支給申請手続は、事業主の方が行ってください」と明記しています。そのうえで、やむを得ない理由のため事業主を経由して提出することが困難な場合や、被保険者本人が自ら申請手続を行うことを希望する場合は、本人が提出することも可能とされています。提出先はどちらの場合も、事業所の所在地を管轄するハローワークです。自宅の最寄りではありません。電子申請もできます。
会社が出す場合に必要なものは次のとおりです。
| 書類 | 中身 |
|---|---|
| 介護休業給付金支給申請書 | 下部に払渡希望金融機関指定届が付く。本人と介護対象家族のマイナンバーを記載 |
| 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書 | 賃金日額の計算のもと。支給申請書と同時に出すことができる |
| 介護休業申出書 | 本人が会社に出したもの。リーフレットに参考様式が付いている |
| 続柄の確認書類 | 住民票記載事項証明書など。同一世帯で双方のマイナンバーを届け出た場合は省略できる |
| 出勤簿・タイムカード | 休業の開始日・終了日と休業日数の実績 |
| 賃金台帳 | 休業期間を対象として支払われた賃金 |
本人が自分で出すときは、会社から「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」と「介護休業取扱通知書」を交付してもらい、続柄の確認書類・出勤簿・賃金台帳と一緒に添えます。会社の協力なしに全部をそろえることはできない構成になっているので、「自分で出すから何もしないでほしい」という話にはなりません。マイナポータルに公金受取口座を登録している人は、その口座を指定することもできます。
要介護認定がなくても、介護休業は申し出られる
「要介護2以上でなければ取れない」という説明を見かけますが、正確ではありません。
「常時介護を必要とする状態」の判断基準は、令和7年4月1日適用の版で次のようになっています。
- (1)項目①〜⑫のうち、状態について2が2つ以上または3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること
- (2)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること
このいずれかに該当すればよく、(1)は介護保険の認定とは無関係に判断できます。順番が(1)=12項目の表、(2)=要介護2以上になっているのは、障害児・者や医療的ケア児・者を介護する場合に認定区分では判断しにくいという指摘を受けて見直されたためです。
「育児・介護休業法のあらまし」は、要介護状態の説明の中で、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書、障害支援区分認定通知書、障害児通所給付費支給決定通知書等の提出を制度利用の条件とすることはできない、と注記しています。会社から「認定が出てから出し直して」と言われたときに示せる一文です。
同じ資料は、この基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されてしまわないように、介護をしている労働者の個々の事情にあわせて、事業主は柔軟に運用することが望まれるとも書いています。
12項目の表で、どこを見るか
状態は1・2・3の3段階で見ます。2が2つ以上、または3が1つ以上で該当します。
| 項目 | 状態2 | 状態3 |
|---|---|---|
| ①座位保持(10分間一人で座っていることができる) | 支えてもらえればできる | できない |
| ②歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる) | 何かにつかまればできる | できない |
| ③移乗(ベッドと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り移りの動作) | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ④水分・食事摂取 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑤排泄 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑥衣類の着脱 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑦意思の伝達 | ときどきできない | できない |
| ⑧外出すると戻れないことや、危険回避ができないことがある | ときどきある | ほとんど毎回ある |
| ⑨物を壊したり衣類を破くことがある | ときどきある | ほとんど毎日ある |
| ⑩周囲の者が何らかの対応をとらなければならないほどの物忘れがあるなど日常生活に支障を来すほどの認知・行動上の課題がある | ときどきある | ほとんど毎日ある |
| ⑪医薬品又は医療機器の使用・管理 | 一部介助、見守り等が必要 | 全面的介助が必要 |
| ⑫日常の意思決定 | 本人に関する重要な意思決定はできない | ほとんどできない |
状態2に出てくる「見守り等」は、常時の付き添いの必要がある「見守り」や、認知症高齢者・障害児者の場合に必要な行為の「確認」「指示」「声かけ」等を指します。状態1の「自分で可」には、福祉用具を使ったり、自分の手で支えて自分でできる場合も含まれます。つまり手すりや杖を使って自分で歩けるなら②は1です。
⑫の状態2は、見たいテレビ番組やその日の献立のような慣れ親しんだ事項は決められるが、ケアプランの作成への参加や治療方針への合意といった本人に関する重要な決定には支援を必要とする、という意味です。親の受診に付き添って医師の説明を一緒に聞く必要が出てきた段階が、ここに当たります。
なお要介護状態は、負傷・疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態であることが前提です。乳幼児の通常の成育過程で日常生活上必要な便宜を供与する必要がある場合は含まれません。
対象になる家族。同居していなくてよい
配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫です。父母と子には養父母・養子を含みます。「あらまし」は対象家族の定義に「同居の有無は問わない」と明記しています。実家が離れていても、扶養していなくても対象です。
介護休業中に他の家族に対する介護休業や産前・産後休業、育児休業が始まった場合は、新たな休業の開始日の前日でもとの介護休業が終わります。その日以降の分は介護休業給付金の対象になりません。介護休業は産前・産後休業中に開始することもできません。
93日を3回まで。1回の休業で給付されるのは最長3か月
育児・介護休業法第11条第2項は、同じ対象家族について3回の介護休業をした場合か、介護休業日数が93日に達した場合に申し出ができないと定めています。93日は対象家族1人あたりの通算で、親と配偶者の父母のように対象家族が2人なら、それぞれに93日あります。
給付の計算は、介護休業開始日から起算した1か月ごとの期間(「支給単位期間」)で区切ります。1回の介護休業で給付の対象になるのは最長3か月なので、1回につき最大3支給単位期間です。リーフレットの例では、令和8年6月1日から7月31日までの休業で支給日数61日、同じ家族についてさらに9月1日から10月2日までの休業で支給日数32日、合わせて93日になっています。
支給対象期間の区切り方は、開始日の「日」にそろいます。8月31日に休業を開始した場合、2つめの期間の初日は9月30日、3つめは10月31日です。応当する日がその月にないときはその月の末日になります。
支給額は賃金日額の67%。上限と下限は毎年変わる
計算式は、休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%です。賃金日額は、会社が出す休業開始時賃金月額証明書をもとに、原則として介護休業開始前6か月間の賃金を180で割った額です。支給日数は、最後の期間以外は30日、休業終了日を含む期間はその期間の日数です。
| 項目 | 額 |
|---|---|
| 賃金月額(賃金日額×30)の上限 | 546,600円 |
| 1支給対象期間あたりの給付金の上限 | 366,222円 |
| 賃金月額の下限 | 96,090円 |
この3つの額は令和9年7月31日までの額です。雇用保険の額は毎年8月1日に改定されるので、来年8月以降に休業する人は同じリーフレットの新しい版で確認してください。
仮の計算で見ておきます。休業前6か月の賃金が合計180万円の人なら、賃金日額は1万円、賃金月額は30万円です。30日の支給対象期間なら1万円×30日×67%で20万1,000円。これはあくまで上の式に数字を入れた例で、実際の額は会社が証明する賃金額で決まります。賞与や3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は賃金額に含めません。
休業中に会社から賃金が出る場合は調整が入ります。支給対象期間中の賃金支払日に、介護休業期間を対象として支払われた賃金について、次のようになります。
| 支払われた賃金 | 給付金 |
|---|---|
| 賃金日額×支給日数の13%以下 | 賃金月額の67%相当額を支給 |
| 13%を超えて80%未満 | 賃金月額の80%相当額と賃金の差額を支給 |
| 80%以上 | 支給されません |
受け取った給付金に税金はかかりません。雇用保険法第12条が、租税その他の公課は失業等給付として支給を受けた金銭を標準として課することができないと定めていて、介護休業給付金はこの失業等給付に含まれます。
働いた日が1か月に11日以上あると、その期間は出ない
支給単位期間のうち、就業していると認められる日は10日以下でなければなりません。11日以上あると、その期間は支給対象になりません。ここでいう就業日は、全日休業している日以外の日です。日曜日や祝日など会社の休日は全日休業している日に数えます。
介護休業終了日の属する1か月未満の期間については、就業日が10日以下であることに加えて、全日休業している日が1日以上あることが必要です。復帰日の調整で最後の端数期間が全部出勤になると、その期間の給付は出ません。
支給単位期間の途中で離職した場合、その期間の給付は受けられません。さらに、介護休業を開始する時点で休業後に離職することが予定されている人は、そもそも支給の対象外です。「93日休んでから辞める」という使い方はできない作りです。
給付の対象にならない人、申し出を断られる人
給付金と休業そのもので、条件が別に置かれています。
給付金の側は、介護休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12か月以上あることが要件です。令和2年8月1日以降に休業を開始する人は、11日以上の月が12か月ない場合、賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上の完全月を1か月として数えます。開始前2年間に疾病・負傷等で引き続き30日以上賃金を受けられなかった期間があれば、その日数を加えた期間(最大4年)で数えます。
休業そのものの側は、日々雇い入れられる者が除かれます。期間を定めて雇用される人は、申出時点で、取得予定日から起算して93日を経過する日から6か月を経過する日までの間に労働契約の期間が満了し、更新されないことが明らかでない場合に取得できます。
さらに、労使協定で次の労働者を介護休業の対象から外している会社があります。
- その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
- 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
これは除外できる範囲の最大限度で、より広い範囲を除外することはできません。就業規則に書いていなくても、労使協定がなければ会社は申し出を拒めません。育児・介護休業法第12条第1項は「事業主は、労働者からの介護休業申出があったときは、当該介護休業申出を拒むことができない」と定めていて、事業の繁忙や経営上の理由で休業を妨げることはできません。申し出や取得を理由とする解雇その他不利益な取扱いも、同法第16条で禁じられています。
2週間前に間に合わないとき、開始日はどうなるか
申し出が休業開始の2週間前に間に合わなくても、申し出そのものが無効になるわけではありません。同法第12条第3項は、開始予定日が申出日の翌日から起算して2週間を経過する日より前の日であるときに、事業主がその開始予定日から2週間経過日までのいずれかの日を開始予定日として指定できると定めています。つまり起こるのは「断られる」ではなく「開始日が後ろにずれることがある」です。
急な入院で明日から必要になった、という場面でも、まず申し出てください。リーフレットに付いている介護休業申出書の参考様式にも、休業開始予定日の2週間前に申し出ているかを記す欄と、遅れた理由を書く欄があります。
介護休業中の社会保険料は止まらない
社会保険料の免除は、産前産後休業と育児休業等の期間に用意された仕組みです。日本年金機構の案内も「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」という範囲で、介護休業はここに含まれていません。給与が出ない月も健康保険料と厚生年金保険料の本人負担は発生し、会社がいったん立て替えて後から本人に請求する運用が多くなります。
住民税の給与天引き(特別徴収)も止まりません。手取りの見込みを立てるときは、給付金の額から社会保険料と住民税を引いた残りで考えてください。休業中の保険料をどう払うか(毎月振り込むのか、復帰後の給与から引くのか)は、休業に入る前に人事と決めておくと後で揉めません。
5日の介護休暇との違い
介護休業とは別に、介護休暇があります。要介護状態にある対象家族の介護や世話をする労働者は、1年度において5労働日、対象家族が2人以上の場合は10労働日を限度に取得できます。年度は会社が特に定めない場合は4月1日から翌年3月31日までです。1日単位でも時間単位でも取れます。
令和7年4月1日から、「その事業主に継続して雇用された期間が6か月に満たない労働者」を労使協定で介護休暇の対象から外せるという規定が撤廃されました。入社半年未満でも取れるようになっています。労使協定で除外できるのは、1週間の所定労働日数が2日以下の労働者と、時間単位で取得することが困難と認められる業務に従事する労働者だけです。後者も1日単位での取得は拒めません。
介護休暇に雇用保険からの給付はありません。賃金が出るかどうかは会社の定めによります。通院の付き添いや役所・ケアマネジャーとの打ち合わせのように半日で済む用事は介護休暇、体制を組み直すためにまとまって休むなら介護休業、という切り分けになります。93日は3回まで分けて使えるので、最初の局面で使い切るより、状態が変わったときのために残しておく使い方もできます。
参考資料
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「介護休業給付の内容及び支給申請手続について」(08.08版)— 支給対象者、支給額、賃金月額の上限546,600円と1支給対象期間の上限366,222円、申請の提出者・提出期限・添付書類、支給決定後約1週間での振込
- 厚生労働省「育児・介護休業法のあらまし」(令和7年4月1日・10月1日施行対応)— 常時介護を必要とする状態に関する判断基準の12項目と注、対象家族と同居の有無、要介護認定通知書等を利用の条件にできないこと、労使協定で除外できる労働者、介護休暇
- 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 第11条・第12条・第15条・第16条・第16条の5(e-Gov 法令API のXMLで確認)
- 雇用保険法 第10条・第12条(e-Gov 法令API のXMLで確認)
- 日本年金機構「厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)」— 保険料免除の対象となる休業の範囲