パート106万円の壁が2026年10月に撤廃、手取りは月いくら減る?

結論

10月からは年収ではなく週20時間以上の労働時間が基準になり、月およそ1万3千円の天引きが始まります。契約書の労働時間と勤務先の従業員数を先に確認しておきたいところです。

どうする?編集部 · · 読了 約6分
目次(10項目)
  1. 10月に消える「年収要件」の中身
  2. 自分が対象になるかは書類で見分けられる
  3. 手取りは月およそ1万3千円落ちる
  4. 「156万円未満は会社負担」はまだ検討段階
  5. 130万円の壁とは別物なので混同しない
  6. 税金の扶養と社会保険の扶養は別の話
  7. 時給と労働時間から週20時間を逆算する
  8. いま準備しておきたいこと
  9. 加入によって得られる将来の給付
  10. 参考

「パートを週3日で16時間、年収110万円くらいで働いています。10月から社会保険が変わるらしいのですが、私は関係あるのでしょうか」。先週、こんな相談を受けました。106万円の壁が撤廃されるという話は、2026年10月に厚生年金の年収要件だけを取り払うというのが正確なところです。判断のカギは年収ではなく、週の労働時間と勤務先の規模。まずはここから確認していきましょう。

10月に消える「年収要件」の中身

いま、パートで厚生年金と会社の健康保険に加入するためには、次の要件を全部満たす必要があります。

  • 勤務先の従業員数が51人以上
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 雇用期間が2か月を超える見込み
  • 学生ではない
  • 年収が106万円以上

このうち一番下の年収要件が2026年10月に外れます。10月以降は「週20時間以上働くパートは年収に関わらず厚生年金と健康保険に入る」というルールへ変わります。106万円ぴったりで働いていた人はもちろん、80万円台・90万円台でも週20時間以上勤務なら対象になります。

なお、勤務先の規模が51人以上という条件は、2027年10月にさらに撤廃予定です。50人以下の会社に勤めているパートは、2026年10月時点ではまだ対象になりません。

自分が対象になるかは書類で見分けられる

10月を待たずに、次の書類を先に確認しておいてください。

雇用契約書の週所定労働時間。ここが20時間以上と書いてあれば、10月以降ほぼ確実に加入対象になります。19時間や19時間30分などの中途半端な数字は、契約書ベースで判断されるので細かく見ておきたいです。実際の労働時間ではなく契約上の時間で決まる点に注意してください。

給与明細の会社名または雇用主。全国チェーンの飲食店やコンビニに勤めている場合、その店舗単位ではなく本社の従業員数で数えます。「うちの店は5人だから対象外」と思っていても、法人全体で51人以上あれば対象です。人事担当か店長に「うちは対象になっていますか」と一度聞いておくと確実です。

そして雇用期間の見込み。契約書に3か月ごとの更新と書かれていても、実態として更新される予定なら加入対象。反対に「10月から11月までの2か月限定」で働くだけなら対象になりません。

手取りは月およそ1万3千円落ちる

年収110万円のパートが10月から厚生年金と協会けんぽの健康保険に加入した場合、標準的な計算では月およそ1万3千円が給与から天引きされます。年間で15万〜17万円の負担です。これまで住民税と所得税だけを引かれていた家庭では、10月分の給料から一気に手取りが下がる感覚になります。

会社によっては、扶養手当を支給する要件に「配偶者の年収が130万円未満かつ配偶者の勤務先で社会保険に加入していないこと」と定めている場合があります。あなたが厚生年金に加入したタイミングで扶養手当も止まる可能性が高いです。世帯全体の手取りへの影響は、この扶養手当の有無で大きく変わってきます。就業規則の福利厚生の項目もあわせて見ておきたいところです。

「156万円未満は会社負担」はまだ検討段階

厚労省の議論では、年収156万円未満のパート従業員に限って、本来は労使折半で従業員も払うべき保険料の一部を、会社の判断で肩代わりできる特例が検討されています。肩代わりの割合は会社が任意で決められ、全額の肩代わりは認められない方向とされています。

とはいえこの仕組みは、2026年6月時点で法案として確定していません。詳細はまだ決まっていない部分も残っており、「10月から会社が保険料を肩代わりしてくれる」と受け取るのは早計です。勤務先が導入するかどうかは、8〜9月の説明会あたりで初めて明らかになる可能性が高いです。

130万円の壁とは別物なので混同しない

106万円の壁と並んで語られる「130万円の壁」ですが、こちらは撤廃予定ではありません。混同すると判断を誤るので、要点だけ整理しておきます。

106万円の壁は、パートが勤務先の厚生年金と健康保険に「新しく加入するか」の入口。年収要件が外れて、基準が「週20時間」に置き換わります。

130万円の壁は、配偶者の扶養から外れて自分で保険料を払う仕組みに切り替わるかどうかの入口。勤務先の規模や労働時間と関係なく、年収130万円を超えた時点で扶養から外れるルールです。この壁は10月以降も残ります。

つまり10月以降は、106万円と130万円という2つの数字ではなく、「週20時間の壁」と「130万円の壁」を頭に置いておくと迷いにくくなります。

税金の扶養と社会保険の扶養は別の話

もう一つ混同されやすいのが、税金の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)と社会保険の扶養です。今回の10月の改正は社会保険の話であって、税金の扶養は別のルールで動きます。

配偶者控除は、扶養する側が受けられる所得控除の一つで、配偶者の給与収入が103万円以下だと満額の38万円が受けられます。103万円を超えても150万円までは配偶者特別控除の満額対象で、収入が上がるにつれて段階的に控除額が減っていきます。10月に厚生年金へ加入したとしても、税金上の扶養からすぐに外れるわけではありません。「厚生年金加入イコール扶養完全脱退」と受け取ってしまうケースをよく見ますが、この2つは別々に判断されます。

時給と労働時間から週20時間を逆算する

自分の労働時間が20時間ちょうどなのか少し下なのか分からない場合、契約書と時給から目安を出しておくと安心です。時給1,050円で週20時間なら1週間の給与は21,000円、月4週として84,000円、年収で約100万円になります。時給1,200円で週20時間なら年収およそ115万円。10月以降は、年収の目安ではなく、この週20時間のラインが実質的な「壁」になります。時給が上がった年に労働時間を微調整して、あえて19時間30分に抑える働き方も選択肢の一つです。

いま準備しておきたいこと

10月まで3か月あります。この間にできることから動いておくと、切り替え時に慌てなくて済みます。

勤務先の説明会日程を先に押さえておく。7月〜9月にかけて対応方針の説明会を開く会社が多いです。案内が届いていない場合、人事や店長に「新しい適用ルールの説明予定はありますか」と確認しておくと、早めに情報が入ります。

家計面のシミュレーションは、家計簿アプリに「10月から15,000円を追加天引き」で入れる形で試すと効果が実感しやすいです。年間15万〜17万円の負担を月別に落とし込んで、変動費のうちどこを削るかを話し合っておくと、10月以降の家計が安定します。

労働時間の見直しを検討する場合、契約書上の週労働時間を19時間以内に絞れば加入対象から外れます。とはいえ収入自体も減るので、加入して手取りが月1万3千円減るのと、労働時間を減らして給与自体が数万円下がるのと、どちらが世帯にとって得かは家計の状況次第です。安易に労働時間を短くすると年収まで大きく落ちてしまう点には注意しておきたいです。

加入によって得られる将来の給付

短期的には手取りが減っても、加入で得られる保障はそれなりに厚くなります。

老後の年金は、厚生年金部分がのちに上乗せされます。加入期間1年で月およそ500円前後の年金増額が期待できるので、20年勤続すれば月1万円の上乗せというイメージです。傷病手当金の対象にもなり、病気やけがで4日以上会社を休むと、給与のおよそ3分の2が支給されます。出産手当金や育児休業給付金も、勤務先の健康保険・雇用保険に入っていれば受けられる仕組みです。将来の安心を買う一面もある、と考えて判断したいところです。

参考

  • 厚生労働省「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」
  • 日本年金機構「パート・アルバイトなどの短時間労働者の適用拡大」
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)保険料額表
パート106万円の壁が2026年10月に撤廃、手取りは月いくら減る? — お金 関連イラスト (どうする?)
Photo by Jakub Żerdzicki on Unsplash

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参考資料

  1. 厚生労働省「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」
  2. 日本年金機構「パート・アルバイトなどの短時間労働者の適用拡大」
  3. 全国健康保険協会(協会けんぽ)保険料額表

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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