まず今の学校に、2つの証明書を依頼します
公立の小学校・中学校へ転校するときは、今の学校が出す2つの証明書と、自治体から受け取る通知を区別して準備しましょう。札幌市・名古屋市・横浜市の案内では、次の書類を転校先へ提出します。追加で必要な物や受取日は、学校・自治体に確認してください。
| 書類 | 出すところ | 受け取る時期 |
|---|---|---|
| 在学証明書 | 転出する学校 | 転校の予定を伝え、受取日を相談 |
| 教科用図書給与証明書 | 転出する学校 | 在学証明書とあわせて受取方法を確認 |
| 学校を指定する通知 | 転居先の市区町村 | 窓口手続き・郵送など、自治体の案内による |
引っ越すことが決まったら、まず今の学校へ転校の予定を伝えます。その際に、在学証明書と教科用図書給与証明書をいつ、どのように受け取るか相談してください。すでに引っ越して受け取れていない場合も、発行するのは在籍していた学校です。転校先には未受領であることを伝え、提出の進め方を確認しましょう。
窓口での手続きや通知の受け取り方は、市区町村で変わります。
| 自治体と対象 | 公式案内の流れ・注意点 |
|---|---|
| 札幌市:市内転居・他市町村からの転入 | 在学中と転校先の両方の学校へ連絡。転居後に区役所で転入・転居届を出し、通知を受け取って転校先へ提出 |
| 名古屋市:同一区内の小中学校の転校 | 区役所市民課・支所で転居届を出すと、通知は原則郵送。急ぐ場合は区の窓口で受け取り、学校の2書類とともに転校先へ提出 |
| 横浜市:市立小中学校の転校 | 転出する学校での手続き後に区役所で手続き。区役所での転学手続きは、従前校の最終登校日以降 |
名古屋市の例を、区をまたぐ転居などにそのまま当てはめることはできません。住む地域の案内で、窓口へ行く日と通知の受け取り方を確かめてください。
2枚目の「教科用図書給与証明書」は、教科書をもう一度もらうための紙です
名前だけを見ても用途の見当がつかない書類です。文部科学省の教科書Q&Aは、その中身をこう説明しています。
教科書Q&Aは、2月末日までに転学し、転校先で使う教科書が以前のものと異なる場合には、再度無償で受け取れると案内しています。その手続きのため、転学前の校長から教科用図書給与証明書を受け取り、転学後の校長へ渡します。
公立の小中学校などの教科書には、教科用図書採択地区を単位に採択する仕組みがあります。無償措置法12条・13条によるもので、地区は市町村の区域、または複数の市町村を合わせた区域です。ただし、学校教育法71条に基づき高校と一貫した教育を行う公立中学校と、公立中等教育学校の前期課程では、学校ごとに採択します(無償措置法13条3項)。別の地区へ移ると教科書が変わることはありますが、同じ教科書が採択されている場合もあります。再給与の案内で確認する条件は、地区が違うかだけではなく、実際に使う教科書が異なるかどうかです。
期限の書きぶりは、同じ文部科学省の中でもそろっていません。教科書Q&Aは「2月末日までの間に転学し」と条件を付けています。一方、無償給与制度を説明するページは期限に触れず、「学年の中途で転学した児童生徒については、転学後において使用する教科書が転学前と異なる場合に新たに教科書が給与されます」と書いています。どちらが優先するかは、この2つの案内からは読み取れません。年度末ぎりぎりで転校日を決めるなら、「3月の転学になります。残りの授業で使う教科書はどうなりますか」と、転校先の学校か市区町村の教育委員会に先に聞いておいてください。
転校先と通知の受け取り方は、教育委員会に確認します
転居先の住所に応じて通う公立小中学校を、教育委員会に確認してください。学校教育法施行令6条1号は、住所地の変更で学齢簿に新しく記載される学齢児童・学齢生徒に5条を準用し、入学期日の通知を「速やかに」行う扱いにしています。
5条2項の学校指定の条件は、市町村が設置する「小学校と義務教育学校」の合計が2校以上、または「中学校と義務教育学校」の合計が2校以上ある場合です。この中学校の数には併設型中学校を含みません。3種類の学校をまとめて数える条件ではありません。
同じ6条1号には、認定特別支援学校就学者と、その市町村の小学校・中学校・義務教育学校にすでに在学している人を除く規定もあります。同じ市町村内の転居や特別支援学校への就学については、この条文だけで手順を決めず、自治体の案内を確認してください。
転校先への事前連絡と、自治体での通知の受け取りは分けて進めます。札幌市も、転入・転居届の前に通学区域を確認し、両方の学校へ連絡するよう案内しています。通知がまだ手元になくても、転校の予定や必要な準備を先に相談してください。
通知の名称は、札幌市が「転入学通知書(または入校票)」、横浜市が「入学通知書」です。上の表のとおり渡し方も違うため、郵送される地域で急ぐ場合は、窓口で受け取れるかを自治体に相談してください。名古屋市の同一区内の転居の案内には、急ぐ場合の窓口受け取りが明記されています。
指定された学校ではなく今の学校に残したい、という話はここまでとは別の手続きです。同じ市区町村内なら同令8条の指定校変更、別の市区町村なら9条の区域外就学にあたります。
住民票は、転出が「あらかじめ」、転入が「14日以内」
住民基本台帳法24条は、転出をする者は「あらかじめ」、氏名・転出先・転出の予定年月日を届け出なければならないと定めます。日数の縛りではなく、引っ越す前という縛りです。一方、22条の転入届は転入をした日から14日以内。同じ市区町村の中での引っ越しは23条の転居届で、こちらも転居をした日から14日以内です。正当な理由なく届け出ない場合、52条2項により5万円以下の過料の対象になります。
転出届が「あらかじめ」である意味は、引っ越したあとに出す届ではない、というところにあります。学校の2枚が揃うまで待つ必要はありません。ただし、何日前から窓口で受け付けるかは条文に書かれていないので、早めに動くつもりなら今の市区町村の受付開始時期を確かめてください。なお、マイナンバーカードの交付を受けている人が転出届を出したときは、最初の転入届について住所の異動に関する文書の添付が要らない扱いがあります(24条の2。政令で定める場合は除かれます)。
成績の記録は、親が運びません
学校教育法施行規則24条3項では、校長が指導要録の写しなどを転学先へ送付することになっています。これは学校が記録する学習・健康の状況に関する書類で、保護者が受け取る在学証明書や教科用図書給与証明書とは別です。通知表などについて学校から別の案内があった場合は、その案内に従ってください。
ただし、送る先が分からなければ送れません。札幌市が在学中の学校と転校先の学校の両方に連絡させているのは、ここにつながっています。転校先が決まったら、学校名を旧校に伝えてください。
今日できること
引っ越す日が決まったら、次の内容を確認しておきましょう。窓口へ行く日や書類の受取日は、学校・自治体の案内に合わせます。
- 今の学校の担任か事務室に転校の予定を伝え、2つの証明書の受取日と受取方法を相談する。
- 転居先の学校や教育委員会に連絡し、通学する学校、窓口で手続きできる日、通知の受け取り方を確認する。
- 転出届は引っ越す前に出す決まりなので、いまの市区町村に受付開始時期を聞いて、学校の2枚とは切り離して先に済ませる。
- 引っ越した日から14日以内に転入届を出す。同じ市区町村内なら転居届を出し、自治体の案内に沿って学校の通知を受け取る。
- 学校の2書類と自治体の通知など、指定された書類を持って転校先で手続きする。
このほかに揃える物は学校ごとに違います。制服や体操服、上履き、算数のセットなどは買い直しになることがあり、そこは書類とは別に見積もっておいてください。
高校の転校は「許可」です
小中学校とは仕組みが変わります。学校教育法施行規則92条は、他の高等学校に転学を志望する生徒のあるときは校長がその事由を具し、生徒の在学証明書その他必要な書類を転学先の校長に送付するとし、「転学先の校長は、教育上支障がない場合には、転学を許可することができる」と定めています。住民票を移せば必ず入れる、という作りではありません。
東京都教育委員会は都立高校について「都立高校では、転学の機会として学期ごとに募集を実施しています」とし、学力検査の科目等は「各学校で定めますが、原則として、国語、数学、英語及び面接を行います」と案内しています。出願の前に単位の照合も必要で、同じ案内は「この単位の照合は、転学・編入学募集の出願前に行わなければなりませんので、早めに志願先の都立高校へ照合を依頼しましょう」と書いています。募集の時期も検査の内容も都道府県で違うため、高校生がいる家庭では、引っ越しの日程を固める前に転入先の都道府県教育委員会の募集案内を見ておく必要があります。