屋根の雪下ろし、事故を防ぐには何をする?国の「雪下ろし安全10箇条」は命綱とヘルメット、2人以上で作業、はしごの固定。建物の周りに雪を残して下ろす

この記事の要点

屋根に上がるなら、安全帯と命綱(アンカー、ない場合は屋根の反対側の柱などに固定)、あごひもを締めたヘルメット、滑りにくい長靴をそろえ、はしごを固定し、家族や近所に声をかけて2人以上で作業します。屋根の雪は少し残し、建物の周りの雪は雪下ろしの後に片付け、携帯電話を身につけます。低い屋根でも油断しないことです。

  1. 国土交通省によると、多雪の年には除雪作業中の事故が年間1000件以上起き、100人以上が亡くなる。死亡事故の約8割は65歳以上
  2. 事故の要因で最も多いのは屋根からの転落。平成22年度の調査では、除雪作業中の死者の41%が屋根からの転落、17%が屋根からの落雪、10%が水路への転落
  3. 転落した死者の60%は1階の屋根から落ちている。屋根からの転落事故の32%は、はしごから(同じ調査)
どうする?編集部 · · 読了 約6分
目次(16項目)
  1. どんな事故で亡くなっているか
  2. 雪下ろし安全10箇条
  3. 1. 安全な装備で行う(最重要)
  4. 2. はしごは固定する
  5. 3. 作業は2人以上で行う
  6. 4. 足場の確認を行う
  7. 5. 雪下ろしのときは周りに雪を残す
  8. 6. 屋根から雪が落ちてこないか注意する
  9. 7. 除雪道具や安全対策用具の手入れ・点検を行う
  10. 8. 除雪機の雪詰まりはエンジンを切ってから棒などで取り除く
  11. 9. 携帯電話を身につける
  12. 10. 無理はしない
  13. 消防庁の10箇条
  14. 離れて暮らす親が雪下ろしをしているなら
  15. この記事で確認できなかったこと
  16. 参考資料

屋根の雪下ろしで事故を防ぐために、国土交通省が「最重要」としているのは安全な装備です。安全帯と命綱、あごひもを締めたヘルメット、滑りにくい長靴。そのうえで、はしごを固定する、2人以上で作業する、建物の周りに雪を残して下ろす、携帯電話を身につける。これらは国土交通省の「雪下ろし安全10箇条」に並んでいる項目です。

除雪作業中の事故は、多雪の年には年間1000件以上起き、100人以上が亡くなっています。死亡事故の約8割は65歳以上の高齢者です。国土交通省は、昔から安全対策をしなくても事故に遭わなかったから大丈夫、と考えるのはとても危険だとしています。

この記事では、10箇条の中身と、事故の起き方についての国の調査を確かめます。

どんな事故で亡くなっているか

国土交通省によると、除雪作業中の事故の要因で最も多いのは屋根からの転落事故です。ほかに、転倒、除雪機の事故、屋根からの落雪、水路などへの転落、重労働による発作があります。

内閣府(防災)と国土交通省のチラシ「よくある除雪作業中の事故とその対策」は、平成22年度の調査をもとに、除雪作業中の死者の内訳を次のように示しています。

  • 屋根からの転落:41%
  • 屋根からの落雪:17%
  • 水路への転落:10%
  • 除雪作業中の発作:8%
  • 除雪機に巻き込まれた:5%

同じチラシには、次の数字も載っています。

  • 屋根から転落した死者のうち 60%が1階の屋根から
  • 転落した死者のうち 51%が地面に強く打ちつけられている
  • 屋根からの転落事故の 32%は、はしごから

消防庁の「消防の動き」2020年12月号は、平成30年11月から令和元年5月までの冬の雪害で、死者40人全員が屋根の雪下ろしなど除雪作業中の事故によるものだったとしています。内閣府の雪害対策のページは、雪による死者の多くが高齢者の事故、一人での作業中の事故だとしています。

雪下ろし安全10箇条

国土交通省がまとめている10箇条と、それぞれの説明です。

1. 安全な装備で行う(最重要)

  • 安全帯は、腰全体を支えるハーネス型か、体全体を支えるフルハーネス型を使う
  • 命綱は、ザイルロープなど丈夫なものを、屋根の上で止まる長さで正しく結ぶ
  • 命綱の一端は、アンカー(ない場合は、雪下ろしをする屋根の反対側の柱や固定物)にしっかり固定する
  • ヘルメットはあごひもを締める。長靴は滑りにくいものを使い、動きやすい服装で

これらの装備は、ホームセンターや登山・キャンプ用品店などで買えるとしています。内閣府・国土交通省のチラシは、トラロープ(標識ロープ)は滑りやすいので命綱に使わないこと、命綱は使う前によく点検すること、靴は厚底を避けることも挙げています。命綱は正しく使わないとかえって危険だとも書かれています。

2. はしごは固定する

はしごは倒れることがあるので、必ずしっかり固定します。斜めに立てかけず、決められた角度でまっすぐ立て、軒先から少し高くかけます。はしごから屋根に移るときは特に注意し、はしごの上で雪庇を落とすような作業は絶対にしないよう求めています。

3. 作業は2人以上で行う

1人で作業すると、事故が起きたときに発見が遅れ、重大な事故につながる危険が高くなります。家族や親戚、近所の人と一緒に作業し、地域で協力する除雪も大切だとしています。

4. 足場の確認を行う

屋根の雪止めの位置を確かめてから作業します。落雪に巻き込まれないよう、屋根の上から下ろします。滑りにくくするため、雪は少し残して作業します。内閣府・国土交通省のチラシは、厚さ20cm程度の雪を残すこと、雪止めより下には足場を作らないこと、軒先の雪は作業の最後に落とすこと、軒下の人や電線にも注意することを挙げています。晴れて気温が高い日は滑りやすくなるので特に注意します。

5. 雪下ろしのときは周りに雪を残す

屋根から落ちたとき、地面やアスファルト、コンクリートに強く打ちつけると被害が大きくなる可能性があります。落ちた場所に雪が積もっていると、被害を軽くできる場合があります。そのため、住宅周りの除雪は雪下ろしの後に行うよう書かれています。

6. 屋根から雪が落ちてこないか注意する

住宅の周りで除雪するときは、軒下で屋根からの落雪に注意します。屋根に積もって時間がたった雪は氷のように硬くなり、直撃すると非常に危険です。新雪や、晴れて暖かい日のゆるんだ雪は特に注意します。屋根の雪を人の手によらず落とす落雪式住宅の場合は特に注意するよう書かれています。

7. 除雪道具や安全対策用具の手入れ・点検を行う

スコップやスノーダンプには、雪がつきにくくなるスプレーを使うなどして使いやすくし、古くなって壊れていないかを定期的に点検します。

8. 除雪機の雪詰まりはエンジンを切ってから棒などで取り除く

素手で取り除くのは非常に危険なので絶対にやめること、デッドマンクラッチ(安全装置)をひもで縛るなどして無効化しないことも書かれています。

9. 携帯電話を身につける

事故が起きると動けなくなることがあります。携帯電話を身につけておけば、家族や緊急医療機関などにすぐ連絡できます。

10. 無理はしない

除雪は重労働です。体調が悪いときは作業しない、作業前に準備運動をする、こまめに休憩をとる。寒い屋外での重労働で発作などを起こす危険があるとしています。

消防庁の10箇条

消防庁も「命を守る除雪中の事故防止10箇条」を示しています。内容は国土交通省のものと重なりますが、言い方が違う項目があります。

  • 作業は家族、となり近所にも声かけて2人以上で!
  • 建物のまわりに雪を残して雪下ろし!
  • 晴れの日ほど要注意、屋根の雪がゆるんでる!
  • はしごの固定を忘れずに!
  • エンジンを切ってから!除雪機の雪詰まりの取り除き
  • 低い屋根でも油断は禁物!
  • 作業開始直後と疲れたころは特に慎重に!
  • 面倒でも命綱とヘルメットを!
  • 命綱、除雪機など用具はこまめに手入れ・点検を!
  • 作業のときには携帯電話を持って行く!

離れて暮らす親が雪下ろしをしているなら

国土交通省は、作業する本人だけでなく、家族、親戚、近所の人が、安全対策をしていないのを見かけたら声をかけ、10箇条を教えてあげるなど、地域全体で安全対策をすることが大切だとしています。

空き家の雪について、内閣府・国土交通省のチラシは、除雪されずに危険な状態になっている場合、災害対策基本法第64条第1項に基づき、市町村長の判断で雪下ろしを行うことができるとして、困ったときは市町村に問い合わせるよう書いています。

この記事で確認できなかったこと

2026年11月5日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。

  • 屋根に何cm積もったら雪下ろしをすべきかという基準。
  • 最近の冬の除雪作業中の死者数。今回読んだ数字は平成22年度の調査の割合、平成30年11月〜令和元年5月の消防庁の集計、国土交通省の「多雪の年には」という記述です。
  • 高齢者世帯の雪下ろしを自治体が支援・助成する制度の内容。
  • 業者に頼む場合の費用の目安。

参考資料

Photo by Dreame Vacuum Cleaner on Unsplash
#雪下ろし #除雪 #命綱 #冬の事故 #高齢者

参考資料

  1. 国土交通省 雪下ろし安全10箇条(チラシ)
  2. 国土交通省 雪下ろし安全10箇条~除雪作業中の事故に注意しましょう~
  3. 国土交通省 『雪下ろし安全10箇条 動く電子ポスター』の公表(2013年12月16日)
  4. 内閣府(防災)・国土交通省 よくある除雪作業中の事故とその対策(チラシ)
  5. 消防庁 消防の動き 2020年12月号 雪害に対する備え
  6. 内閣府 防災情報 雪害対策

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

この記事をシェア

関連記事

家庭用の除雪機、使う前に何を確かめる?消費者庁の注意は「安全機能を無効化しない」「エンジンを掛けたまま離れない」「雪詰まりはエンジンを切って雪かき棒で」

くらし どうする?
くらし2026年11月6日

家庭用の除雪機、使う前に何を確かめる?消費者庁の注意は「安全機能を無効化しない」「エンジンを掛けたまま離れない」「雪詰まりはエンジンを切って雪かき棒で」

要点除雪機を使う前に、デッドマンクラッチなどの安全装置が正常に動くかを点検し、クラッチレバーをひもや洗濯バサミで固定しないことです。少し離れるときもエンジンを切り、周りに人(特に子ども)がいないことを確かめ、雪詰まりはエンジンを止めて回転部の停止を確認してから雪かき棒で取り除きます。物置など屋内でエンジンを掛けたままにはしません。

年末年始に家族が亡くなったら、死亡届と火葬はどうなる?死亡届は夜間・休日も預かってもらえるが、火葬許可証の交付と火葬場の休場日は市によって違う

くらし どうする?
くらし2026年11月6日

年末年始に家族が亡くなったら、死亡届と火葬はどうなる?死亡届は夜間・休日も預かってもらえるが、火葬許可証の交付と火葬場の休場日は市によって違う

要点死亡届は7日以内(横浜市や静岡市は7日目が閉庁日なら翌開庁日まで)で、横浜市などは年末年始も夜間・休日窓口で預かります。火葬には火葬許可証が要り、法律で定める例外を除いて死亡後24時間を過ぎてからでないと火葬できません。休日に許可証をその場でもらえるか、火葬場がいつ休むかは市ごとに違うので、まず火葬場の予約状況を確かめます。

石油ストーブに灯油と間違えてガソリンを入れたら?少量の混入でも火災のおそれ。灯油とガソリンは別の容器に入れ、別の場所に置く

くらし どうする?
くらし2026年11月6日

石油ストーブに灯油と間違えてガソリンを入れたら?少量の混入でも火災のおそれ。灯油とガソリンは別の容器に入れ、別の場所に置く

要点石油ストーブやファンヒーターにガソリンを入れると、少量の混入でも火災のおそれがあります(NITE)。灯油は灯油用ポリタンク、ガソリンは消防法に適合した携行缶に入れ、ラベルで区別して別々の場所に置きます。ガソリンが混じった灯油を使ってしまったときは、すぐに使用を停止し、必要に応じて消防署や販売店などに相談します(東京消防庁西新井消防署)。

同じテーマの記事

タグ #雪下ろし #除雪 #命綱 を含む他のカテゴリの記事も見る