健康診断の結果票に ALT 50 と書いてある。正常は 30 以下のはずなのに、自分のは 50。様子を見ていいのか、病院に行くべきなのか。
先に、専門学会が示している目安を書きます。
日本肝臓学会の奈良宣言2023は、健康診断などでALT値が30を超えていた場合、まずかかりつけ医等を受診することを勧めています。ALT 50 はこの目安を超えています。
奈良宣言が示している道筋
学会のページには、こう書かれています。
| 段階 | 何をするか |
|---|---|
| ALTが30を超えていた | まずかかりつけ医等を受診する |
| かかりつけ医で | 採血や腹部超音波検査などを受け、原因を調べる |
| 必要と判断されれば | 消化器内科でより詳しい検査を受ける |
宣言の目的は「肝疾患の早期発見・早期治療に繋げるため」とされています。
ここで大事なのは順番です。いきなり専門の科を探すのではなく、まずかかりつけ医です。 そこで原因を調べ、必要と判断されたときに専門科へ進みます。
「他の値が正常だから大丈夫」とは書かれていない
結果票を見ると、ALT だけが基準を超えていて、AST や γ-GTP は正常という人が少なくありません。
このとき「他が正常なら平気だろう」と考えたくなります。ただし奈良宣言はALT単独の値を目安にしていて、他の項目が正常なら受診しなくてよい、とは書かれていません。
他の値が正常であることは、受診した先で医師が判断するときの材料の一つになります。受診しない理由にはなりません。
なお、AST・γ-GTP・ALP などの基準値は**検査法や施設によって表記が違います。**自分の結果票に印刷されている基準値の欄を見てください。よその数字と見比べても意味がありません。
受診の前に、この4つを思い出しておく
かかりつけ医は原因を探します。最初の問診で聞かれることは、だいたい決まっています。行く前に思い出しておくと、その日のうちに話が進みます。
| 聞かれること | 具体的に |
|---|---|
| 前回までのALT | 初めての異常か、前から高かったか。過去の結果票があれば持参する |
| お酒 | 種類と量と頻度。「週に何回、何を、どれくらい」 |
| 薬とサプリメント | 処方薬だけでなく市販薬・サプリ・漢方も。お薬手帳を持参する |
| 体重の変化 | ここ半年〜1年で増えたか減ったか。何キロか |
このほか、疲れやすさ、むくみ、右上腹部の違和感といった体の変化があれば伝えてください。
持っていくものは、健康診断の結果票(できれば過去の分も)、お薬手帳、保険証です。
こういう場合は、受診を先延ばしにしない
上の道筋とは別に、次のいずれかがあれば早めに医療機関へ行ってください。
- 黄疸 — 皮膚や白目が黄色い
- 右上腹部の痛みが続く
- 健診の医師コメントに「要受診」「要精査」と書かれている
- 前回まで正常だったALTが、今回だけ急に上がった
最後の項目は、新しく飲み始めた薬、飲酒量の変化、体重の急な増減など、直前の生活の変化が手がかりになることがあります。心当たりを医師に伝えてください。
生活習慣は、受診と同時に見直す
飲酒量や体重が原因の一つであれば、生活習慣の見直しは有効です。ただしそれは受診の代わりではありません。
奈良宣言が示しているのは、再検査を待つのではなく、まず受診して原因を調べる流れです。原因が飲酒なのか、体重なのか、薬なのか、別の肝疾患なのかは、採血や腹部超音波検査をしないと分かりません。
受診したうえで、医師と一緒に「次にいつ測るか」を決めてください。
この記事で書かなかったこと
- ALTの値ごとの重症度の目安。奈良宣言が示しているのは30という一つの線で、50・80・100で行動が変わるという記載は、開いた学会ページにはありませんでした
- 具体的な病名の見分け方。原因の特定は採血と画像検査を経て医師が行うもので、数値だけからは決められません
- AST・γ-GTP・ALPの基準値。検査法と施設で異なるため、自分の結果票の基準値欄を見てください
※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。
参考資料
- 日本肝臓学会「奈良宣言2023」一般の方向け — ALT 30超で、まずかかりつけ医を受診
- 日本肝臓学会 奈良宣言2023 リーフレット — 宣言の趣旨と対象
- 日本肝臓学会 市民のみなさま — 一般向けの肝臓病情報