バリウム検査の翌日になっても便が出ない。下剤を追加していいか、受診に切り替える線はどこか

この記事の要点

翌日まで便が出なくても、腹痛・吐き気・お腹の張りがなければ水分を増やして検査施設に電話で相談する。持続する排便困難や腹痛が出たら、添付文書が「直ちに受診」を求める状態なので、待たずに消化器内科か救急へ。

  1. バリウムは腸に長くとどまると固まり、まれに腸閉塞や穿孔を起こす。添付文書は「十分な水分」と「排便状況の確認」を検査側の務めとして書いている
  2. 翌日まで出ていなくても、腹痛・吐き気・強い張りがなければ、まず水分を増やし、検査を受けた施設に電話して下剤の追加を相談する
  3. 「持続する排便困難」や腹痛などの消化器症状が出たら、添付文書の指示は「直ちに医療機関を受診」。夜間なら救急外来に「バリウム検査を受けた」と最初に伝える
どうする?編集部 · · 読了 約5分
目次(8項目)
  1. 「出ない」だけなら経過の範囲。線を引くのは症状のほう
  2. 添付文書が検査側の務めとして書いていること
  3. 翌日の昼までに出ていないとき、まずやること
  4. 下剤の追加と市販薬。自己判断で足す前に
  5. 電話ではなく受診に切り替える線
  6. 白い便は数日続く。出たあとも残ることがある
  7. 次の検査のために、今回のことを記録しておく
  8. 確認に使った資料

会社の健診でバリウムを飲み、その場で渡された下剤も飲んだ。ところが翌日の昼になっても便が出ない。健診でバリウムを飲む人が増える時期に、この疑問が繰り返し出てきます。結論を先に言うと、翌日まで出ていなくても、腹痛・吐き気・お腹の強い張りがなければ、まず水分を増やして検査を受けた施設に電話し、下剤を追加してよいか聞くのが順番です。逆に、痛みや吐き気が出ているなら電話ではなく受診です。硫酸バリウムの添付文書は、その状態を「直ちに医療機関を受診」と書いています。どこで線を引くかを、この記事で決めておきます。

「出ない」だけなら経過の範囲。線を引くのは症状のほう

バリウムは水に溶けない粉を水に混ぜたものです。胃で写真を撮ったあと腸へ流れ、腸で水分が吸われるにつれて固まりやすくなります。だから検査直後に下剤を渡され、水を多めに飲むよう言われます。

出るまでの時間には個人差があります。当日の夜に出る人もいれば、翌日の午後までかかる人もいます。普段から便秘気味の人や、検査後に水をあまり飲めなかった人は遅れがちです。翌日の昼に出ていない、それだけで慌てる段階ではありません。

添付文書が問題にしているのは時間ではなく状態です。バリトップPの添付文書には、消化管内に硫酸バリウムが停留することにより、まれに消化管穿孔、腸閉塞、大腸潰瘍、大腸炎、憩室炎などを引き起こすことが報告されている、とあります。そのうえで「持続する排便困難、腹痛等の消化器症状があらわれた場合には、直ちに医療機関を受診するよう指導すること」を検査側に求めています。線はここです。出ない状態に痛み・吐き気・張りが重なったとき、あるいは出ない状態そのものが続いたとき。

添付文書が検査側の務めとして書いていること

翌日に電話するとき、相手がどこまで対応する立場なのかを知っておくと話が早く進みます。同じ添付文書の「重要な基本的注意」には、検査を行う側への指示が並んでいます。

  • 患者の日常の排便状況に応じた下剤投与を行うこと
  • 迅速に硫酸バリウムを排出する必要があるため、十分な水分の摂取を患者に指導すること
  • 患者に排便状況を確認させ、持続する排便困難、腹痛等の消化器症状があらわれた場合には、直ちに医療機関を受診するよう指導すること

つまり下剤の量を決めるのも、出ていないときの相談を受けるのも、検査をした施設の仕事の範囲に入っています。「もう検査は終わったから聞きにくい」と遠慮する必要はありません。健診センターなら受付か放射線科、病院なら検査を受けた科の外来に、検査日と受診番号を言えばつながります。

翌日の昼までに出ていないとき、まずやること

水分を増やします。添付文書は量までは定めていません。書く前に何施設かの案内を見比べましたが、水の量は本当にばらばらで、ここに共通の数字は書けませんでした。施設の案内に書かれた量があればそれに従い、案内が手元になければ、普段より明らかに多いと感じる量をこまめに分けて飲みます。一気に大量に飲むより、1〜2時間おきにコップ1杯ずつのほうが続きます。冷たい水でも温かいお茶でも構いませんが、アルコールは脱水を進めるので避けてください。

体を動かします。座りっぱなしは腸の動きを鈍らせます。散歩程度で十分。

食事は抜かないでください。空腹のままだと腸が動きません。食物繊維の多い野菜や果物、朝ならヨーグルトやオートミールが向きます。

そのうえで、検査を受けた施設に電話します。伝えるのはこの順です。検査を受けた日、渡された下剤の名前と錠数と飲んだ時刻、最後に便が出た日時、いま痛みや吐き気があるかどうか。下剤の袋や健診の受診票を手元に置いて電話すると、薬の名前を聞かれても答えられます。

下剤の追加と市販薬。自己判断で足す前に

渡された下剤を追加してよいかは、電話で聞くのがいちばん確実です。施設は日常の排便状況に応じて量を決めているので、初回の量も追加の可否もそこに記録があります。

家に市販の便秘薬があっても、いきなり足すのは勧めません。理由は二つ。ひとつは、施設の下剤とは成分も強さも違い、重ねると腹痛や下痢が強く出かねないこと。もうひとつは、腹痛が出たときに「下剤が効きすぎた痛み」なのか「バリウムが詰まりかけた痛み」なのか、区別がつかなくなることです。電話がつながらない夜間で、痛みも吐き気もないなら、市販薬を足すより水分と食事で翌朝まで様子を見て、朝一番に施設へ連絡するほうが安全です。

浣腸も同じです。固まったバリウムが直腸の近くにあるときに自分で浣腸をすると、うまく出ないうえに粘膜を傷めるおそれがあります。使うなら医師の判断で。

電話ではなく受診に切り替える線

次のどれかが当てはまれば、施設への電話を待たずに受診します。

  • 腹痛が続く。特に、休んでも引かない痛みや、だんだん強くなる痛み
  • 吐き気や嘔吐
  • お腹が張って苦しく、おならも出ない
  • 検査から2日たっても一度も出ない。痛みがなくても「持続する排便困難」と考えて動く
  • 血が混じった便や黒い便

夜間や休日なら救急外来です。電話で「昨日バリウム検査を受けて下剤を飲んだが、腹痛と吐き気がある」と最初に伝えてください。この一言で、腹部のX線かCTを撮る判断が早くなります。添付文書も、腹痛などの消化器症状があらわれた場合は腹部の診察や画像検査を実施するよう検査側に求めています。

日中なら、検査を受けた施設に電話して受診を申し出るか、近くの消化器内科です。健診センターで受けた人は少し事情が違い、センターによっては診療そのものを行っていません。紹介先をセンターに聞くか、消化器内科を直接受診して構いません。受診は保険診療になるので、マイナ保険証か資格確認書を持っていきます。健診の受診票と下剤の袋も一緒に。

白い便は数日続く。出たあとも残ることがある

便が出れば、最初は白かグレーの塊です。これはバリウムそのもので、異常ではありません。色が普段に戻るまでは、多くの場合で数日。その間も水分は多めに続けます。

ただし、一度出たから終わりとは限りません。細く硬い白い塊が少し出ただけなら、残りはまだ腸の中かもしれません。出たあとにお腹の張りが残る、また出なくなった、白い便が1週間近く続く。こういうときは施設か消化器内科に相談してください。バリウムはX線に写るので、腹部の単純撮影で残り具合はすぐ分かります。

次の検査のために、今回のことを記録しておく

出にくかった人は、来年の健診の問診で先に伝えてください。添付文書が「日常の排便状況に応じた下剤投与」を求めている以上、伝えれば下剤の量や種類を変えてもらえます。胃カメラへの変更を案内する施設もあります。今回どの下剤を何錠飲み、何日目に出たかをメモしておくと、来年の受付で話が早く済みます。

持病で便秘薬を常用している人、腸の手術歴がある人、大腸憩室と言われたことがある人も、検査前の問診で言っておく項目です。添付文書は消化管の閉塞や穿孔の疑いがある人への使用を禁忌にしています。検査前に確認されるべきことなので、問診票に書く欄がなければ口頭で構いません。

確認に使った資料

  • 医薬品医療機器総合機構(PMDA) バリトップP 添付文書。検査後の水分・下剤、排便状況の確認、直ちに受診する条件、重大な副作用と禁忌の記載はこの文書に基づいています。

※個人差があります。受診の判断は医師にご相談ください。

Photo by Maxim Tolchinskiy on Unsplash
#バリウム検査 #健康診断 #便秘 #胃がん検診

参考資料

  1. 医薬品医療機器総合機構(PMDA) バリトップP 添付文書

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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