結論:控除を受ける人の名義で申し込み、その人が本会員のカードで払う
総務省のふるさと納税ポータルサイトのよくある質問に、「同じ家庭内なら、誰がふるさと納税を行っても大丈夫ですか?」という項目があります。答えはこうです。
所得税や住民税を納めている方が寄附金控除を受けられますので、寄附金控除を受けるためには、その納税者本人がふるさと納税を行う必要があります。
ここまでは「誰が寄附するか」の話です。回答はさらに一文続きます。
また、ふるさと納税を行う名義も本人である必要があります。
条件は二つ入っています。寄附を実際に行うのが本人であることと、申込みの名義が本人であること。国税庁のタックスアンサーも、ふるさと納税の控除の対象となる人を「自治体に対して寄附を行った方」と書いています。
家庭内で誰の名義にするかは、返礼品を誰が食べるかではなく、どちらの税金から差し引くかで決まると考えてください。
共働きなら、二人がそれぞれ自分の名義で寄附できる
一人の名義にまとめると、その人の上限だけを使うことになります。総務省は寄附先の自治体数に制限がないと説明した上で、「『寄附金控除』の額には、寄附をした人の年収に応じて上限があります」と付け加えています。上限は世帯ではなく、寄附をした人ごとに立ちます。
ですから共働きで二人とも所得税・住民税を納めているなら、それぞれ自分の名義で申し込むほうが、使える枠は広くなります。自己負担2,000円は「1年間(1月~12月)の寄附金総額に対して必要となるもの」なので、名義を分けると2,000円も人数分かかる点だけ計算に入れてください。
なお、上限額そのものの計算は収入や他の控除の状況で変わります。総務省は「具体的な上限額の計算は、お住まいの市区町村の住民税を担当する部署にお問い合わせください」としています。
収入のない家族の名義で申し込むと、控除は起きない
専業主婦・主夫の方や、扶養に入っている学生の名義で申し込むケースがあります。返礼品はその名義で届きますが、控除は別です。所得税も住民税も納めていなければ、差し引く税がないため控除は生じません。実質的には寄附額の全額が自己負担になります。
「世帯主が納税しているから世帯として控除される」という仕組みではない、というのが総務省の回答の意味です。控除を目当てに寄附するなら、名義は納税している人に寄せます。
見るのは二か所 ―― 「寄附者情報」と「支払い」
ポータルサイトの申込画面には、性質の違う欄が並んでいます。佐野市はキャンセルに関する回答の中で、申込み前に「寄附者情報・返礼品送付先・お支払い方法などに間違いがないか」を確認するよう求めています。控除の名義にかかわるのは、このうち寄附者情報とお支払い方法の二つです。返礼品送付先はそれとは別の欄で、指定できる範囲は申込画面の注記に従ってください。
見落としが起きやすいのは、ポータルサイトのアカウントを家族で共有している場合です。アカウントの登録名は、その申込みの寄附者名とは別物です。夫のアカウントから妻の寄附を申し込むなら、寄附者情報を妻の氏名・住所に入れ直します。入れ直さずに進むと、アカウントの登録名がそのまま寄附者として記録されます。
カードのほうは、券面に印字された名前を見ます。佐野市は、寄附金控除を受ける人と決済をする人を同一にするよう求めたうえで、「寄附者様ご本人名義のクレジットカード、引き落とし口座での決済をお願いします」「寄附申込前によく名義を確認の上、お申し込みをお願いいたします」と、決済手段と確認のタイミングまで書き添えています。
名義が食い違っても、申込みは通って受領証明書も届く
ここがいちばん誤解されやすいところです。自治体は決済の名義を見ていません。
生駒市は家族名義のカードについて、こう説明しています。
原則として、寄附金控除を受ける方(寄附者)と決済をする方は同一である必要があります。寄附者様ご本人名義のクレジットカード、引き落とし口座での決済をお願いします。 なお、本市はクレジットカード名義やカード番号を知ることができないため、お申し込みされた寄附者名で「寄附金受領証明書」を発行します。
碧南市も「碧南市ではカードの名義人ではなく、お申し込みをされた方のお名前で受領証等の書類を郵送しております」と案内しています。
つまり、受領証明書が自分の名前で届いたことは、名義が正しいことの証明になりません。書類は申込みの入力どおりに出ます。問題が表に出るとしたら、控除を受ける段階です。佐野市は「寄附者名義とお支払い名義が一致していない場合、ふるさと納税による税控除を受けることが出来ない場合もございます」と、断定を避けた書き方で注意を促しています。
この「場合もございます」を「必ず否認される」と読むのも、「どうせ通る」と読むのも、どちらも行き過ぎです。分かっているのは、揃っていれば起きない問題が、揃っていないと起こりうるということだけです。揃えるコストはゼロなので、揃えておきます。
家族カードはどう扱われるのか
家族カードは券面の名義が家族会員本人でも、引き落とし口座は本会員のものです。この二段構えをどう見るかについて、総務省のよくある質問にも、ここまで引用した三つの市の案内にも、名指しの記述は見当たりません。公的に書かれているのは「寄附者様ご本人名義のクレジットカード、引き落とし口座での決済をお願いします」までです。
判断が分かれる余地を残さない方法は一つで、寄附する本人が本会員になっているカードで払うことです。それなら券面の名義も引き落とし口座も本人になり、どの読み方をしても条件を満たします。
家族カードを使いたい事情があるなら、申込みの前に寄附先自治体のふるさと納税担当へ電話し、「家族カード(本会員は配偶者)で決済しても、寄附者名義で受領証明書を出してもらえますか」と聞いてください。聞くのは申込み後ではなく前です。寄附したあとでは変更に応じない自治体があります。
間違えて申し込んだと気づいたら
直せる余地は残っていることがあります。佐野市は名義変更について、条件を付けてこう書いています。
誤って違う名義で申し込みをしてしまい、お支払い名義と一致させる場合は名義変更を行えますが、それ以外の場合は変更出来ません。
同じページで、寄附は申込み手続きの完了後に基本的にキャンセルできないことも案内されています。つまり「いったん取り消して申し込み直す」という逃げ道は当てにできません。
寄附先自治体のふるさと納税担当に連絡し、次の四つを伝えてください。
- 寄附の受付番号と申込日
- 申込みに使った氏名(寄附者情報に入っている名前)
- 決済に使ったカードの券面名義
- どちらに揃えたいか(申込名義を変える/別の名義で改めて寄附する)
連絡は気づいた日にします。受領証明書が発行される前のほうが、事務の手戻りが少なく済みます。佐野市の場合、受領証明書とワンストップ特例申請書は寄附受付完了日から2〜3週間程度で送られるとされています。送付までの日数は自治体ごとに違うので、自分の寄附先の案内を見てください。
年内にまとめて寄附する前に、この順で決める
年末に複数の自治体へ続けて申し込むときほど、名義の確認は後回しになります。返礼品を選ぶ前に、次の順で先に決めておくと戻る手間が減ります。
- 誰の名義で寄附するかを決める。 控除を受けたい人、つまり所得税・住民税を納めている人です
- その人が本会員になっているカードを手元に出す。 家族カードしかないなら、本会員のカードを持っている人の名義に切り替えるか、申込み前に自治体へ確認します
- ポータルの寄附者情報を、その人の氏名・住所に書き換える。 アカウントの登録名のままになっていないか見ます
- 決済画面でカード券面の名前を読む。 ここが最後の分岐点です
- 申込み完了メールの寄附者名を確かめる。 違っていれば、この時点なら直せる可能性が高くなります
控除の手続き自体は、確定申告か、給与所得者でふるさと納税先が5団体以内ならワンストップ特例のどちらかです。どちらを選んでも、その前提にあるのは「誰が寄附したことになっているか」です。申込画面の数分が、翌年度の住民税の額を決めます。