確定申告書は郵便で送って提出できます。郵便または信書便で送った場合、封筒に押された通信日付印(いわゆる消印)の日が提出日とみなされます。国税通則法22条の定めで、国税庁は「通信日付印により表示された日を提出日とみなします」と案内しています。期限日の日付が押されていれば、税務署に届くのが翌日以降でも期限内です。
ただし、これは郵便か信書便で送った場合に限られます。確定申告書は「信書」に当たるため、ゆうパックやクリックポストのような荷物扱いのサービスでは送れません。宅配便などそれ以外の方法で届けた場合は、税務署に届いた日が提出日です。
宛先は、所轄税務署の内部事務をまとめて処理している業務センターです。2026年7月10日からすべての税務署がこの「内部事務のセンター化」の対象になりました。2025年1月からは控えに受付印が押されなくなったので、控えは自分で作って残します。納める税金がある人は、申告書を送っただけでは納付は終わりません。順に見ていきます。
提出日は「通信日付印の日」
国税庁の「税務手続に関する書類の提出時期」によると、税務の書類の提出日は、原則として税務署に書類が届いた日です(到達主義)。ただし、確定申告書のような納税申告書とその添付書類は、郵便や信書便で出した場合に限り、通信日付印に表示された日が提出日とみなされます(発信主義)。
国税通則法22条は、通信日付印の表示がないときや表示が明瞭でないときは、その郵便物について通常要する送付日数を基準にして、その日に当たると認められる日に提出されたものとみなすとしています。
国税庁の「申告書の税務署への送付」のページは、郵便・信書便以外の場合は「税務署に到達した日が提出日となります」と書いています。期限ぎりぎりに宅配便で送ると、届いた日によっては期限後の提出になります。
投函した日と押される日付
通信日付印は郵便物に押される日付です。国税庁は「この日付が申告期限内となるよう、お早めにご送付ください」と案内しています。ポストに入れた時刻によってどの日付が押されるかは、今回読んだ国税庁と日本郵便の資料には書かれていませんでした。期限の当日に送る場合は、ポストの取集時刻を確かめるか、郵便局の窓口から差し出すほうが安心です。
期限は原則3月15日。還付申告は5年間
タックスアンサーNo.2020によると、所得税の確定申告の期間は原則としてその年の翌年2月16日から3月15日まで、申告と納付の期限は原則として翌年3月15日です。
国税通則法10条2項は、書類の提出などの期限が日曜日や祝日などに当たるときは、その翌日を期限とみなすと定めています。タックスアンサーNo.2036も、3月15日が土曜日または日曜日に当たるときは、その翌日が期限とみなされると説明しています。その年の期限の日付は、国税庁の確定申告の案内で確かめてください。
税金が戻るだけの還付申告は、扱いが違います。タックスアンサーNo.2030は、還付申告書は確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出できるとしています。医療費控除や、年の途中で退職して年末調整を受けていない人の還付申告は、3月15日を過ぎても郵送で出せます。ただし、青色申告特別控除(55万円、65万円)を受ける場合など、法定申告期限までの提出が要件になっている特例を使うときは、還付申告でも期限までに出す必要があります。
送れる方法、送れない方法
国税庁のタックスアンサーNo.2036は、税務上の申告書や申請書・届出書は「信書」に当たるとしています。法律で、日本郵便と信書便事業者以外は信書を送達してはならないとされ、誰であっても信書の送達を禁じられた業者に信書を差し出してはならないとされています。確定申告書や添付書類を送るときは、「郵便物」(第一種郵便物)か「信書便物」として送る必要があります。
日本郵便の「信書の送付について」は、次のサービスでは信書を送れないとしています。
- ゆうパック
- ゆうメール
- ゆうパケット
- クリックポスト
封筒に入れて切手を貼る普通の手紙(第一種郵便物)なら送れます。書類が多くて封筒に入りにくい場合は、日本郵便が「信書も送れるサービス」としているレターパックが使えます。A4サイズ・4kgまでで、追跡サービスで引受とお届けの状況を確かめられます。
国税庁のページには、平成19年10月1日以降、郵政民営化に伴う郵便法の改正で、それまでの小包郵便物は郵便法の定める郵便物ではなくなったという注意も載っています。
宛先は所轄税務署を担当する業務センター
国税庁は、複数の税務署の内部事務を業務センターという専担部署でまとめて処理する「内部事務のセンター化」を令和3年7月から一部の税務署で始め、令和8年(2026年)7月10日からは全税務署を対象にしました。内部事務には、申告書の入力処理などが含まれます。
国税庁の「内部事務のセンター化」のページは、書面で申告書や添付書類を出す場合は業務センターへ郵送するよう求めています。e-Taxで送信する場合は所轄税務署へ送信します。センター化は所轄税務署を変えるものではない、とも書かれています。
送る先は、次の順で確かめます。
- 自分の所轄税務署を、国税庁の「国税局・税務署を調べる」で郵便番号や住所から調べる
- 国税庁の「令和8年7月10日からの業務センターの名称変更及び内部事務のセンター化の対象署一覧」(PDF)で、その税務署を担当する業務センターの名称と郵送先住所を探す
一覧には「札幌国税局札幌業務センター」のように、国税局名と地名を付けた名称が並んでいます。2026年7月10日に名称が変わったので、前の年の封筒や控えに書いた宛名をそのまま使わず、一覧で確かめてください。
郵送以外では、e-Taxで送信するか、所轄税務署の窓口に持参するか、所轄税務署の時間外収受箱に入れます。業務センターへ直接持ち込むことはできません。業務センターは、税の相談や納税証明書の交付、申告書の用紙の送付依頼などにも対応していません。
控えは自分で作る。受付印は押されない
国税庁は、税務行政のデジタル化に伴う見直しで、2025年(令和7年)1月から申告書等の控えに収受日付印を押していません。「申告書の提出方法」のページは、書面で提出(送付)する場合は申告書等の提出用だけを送り、必要に応じて控えを自分で作って保有し、提出年月日を控えに書くなどして記録・管理するよう案内しています。
郵送する前に、申告書と添付書類のコピーを取り、控えに送った日と送り方を書いておきます。レターパックで送った場合は追跡番号も控えておくと、届いたことを確かめられます。
返信用封筒を入れるとリーフレットが返ってくる
国税庁の「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A」によると、当分の間の対応として、郵送等で申告書を出すときに切手を貼った返信用封筒を同封した人には、日付と税務署名(業務センター名)を書いたリーフレットを同封して返送するとされています。後日の交付依頼や、なくした場合の再発行の依頼には、日付・税務署名の記載されていないリーフレットが交付されます。
同じQ&Aでは、提出したのに税務署から「提出されていないのではないか」と問合せがあった場合、納付状況やほかの証拠書類を確認し、聴き取りをしたうえで、リーフレットと控えなどを確認して、原則としてその日に提出されたものとして扱うとしています。
提出したことを後から確かめる方法
Q&Aの問3は、書面で出した所得税の申告書について、オンライン申請の「申告書等情報取得サービス」、「保有個人情報の開示請求」、「納税証明書の交付請求」で確認できるとしています。オンラインを使わない場合も、税務署で保有個人情報の開示請求、申告書等の閲覧サービス、納税証明書の交付請求ができます。
税金を納める人は、納付を別に手配する
タックスアンサーNo.2020は、申告書を出したあと、税務署から納付書の送付や納税通知書などによるお知らせはないとしています。納める税金がある人は、申告書を郵送するのとは別に、期限までに自分で納付します。
方法として、振替納税、ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)、インターネットバンキング等、クレジットカード納付、スマホアプリ納付、コンビニ納付(QRコード)、納付書を使った現金納付が挙げられています。口座からの引き落としにしたい人は、振替納税の手続きが別に要ります。
送る前の確認
- 宛先:所轄税務署を国税庁の検索ページで調べ、対象署一覧でその税務署を担当する業務センターの名称と住所を確かめる
- 送り方:封書(第一種郵便物)かレターパック。ゆうパック・ゆうメール・ゆうパケット・クリックポストは使わない
- 日付:期限日の通信日付印が押されるように出す。還付申告だけなら翌年1月1日から5年間
- 控え:提出用だけを送り、コピーに送った日を書いて残す。日付入りのリーフレットが欲しければ、切手を貼った返信用封筒を同封する
- 納付:納める税金があれば、送付とは別に期限までに納付する
この記事で確認できなかったこと
2026年11月2日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。
- ポストの最終取集時刻を過ぎて投函した郵便物に、どの日付の通信日付印が押されるか。
- 日本郵便以外の信書便事業者のうち、確定申告書を送れる具体的なサービス名。
- 住民税の申告書を市区町村へ郵送する場合の扱い。
参考資料
- 国税庁 申告書の提出方法
- 国税庁 タックスアンサーNo.2036 確定申告書の税務署への送付
- 国税庁 税務手続に関する書類の提出時期
- 国税庁 申告書の税務署への送付
- 国税庁 申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A
- 国税庁 国税局・税務署を調べる
- 国税庁 タックスアンサーNo.2020 確定申告
- 国税庁 タックスアンサーNo.2030 還付申告
- 国税庁 内部事務のセンター化
- 国税庁 令和8年7月10日からの業務センターの名称変更及び内部事務のセンター化の対象署一覧
- e-Gov法令API 国税通則法 — 10条(期間の計算及び期限の特例)、22条(郵送等に係る納税申告書等の提出時期)
- 日本郵便 信書の送付について
- 日本郵便 レターパック