福沢諭吉の1万円札や樋口一葉の5千円札、野口英世の千円札は、今もそのまま使えます。お年玉に入れてもかまいませんし、新しいお札に替えておく必要もありません。日本銀行は、一度発行されたお札は法令に基づく特別な措置がとられない限り使えなくなることはないとしていて、そうした措置がとられたのは過去3回だけです。
もっと古い聖徳太子や伊藤博文のお札も、お札としては有効です。ただ、流通に不便なお札は、日本銀行の本店・支店に持ち込めば今のお札と引き換えてもらえます。日本銀行は両替をしないので、お年玉用のきれいなお札を用意したいときは、近くの金融機関に相談します。
この記事では、今使えるお札の種類、新しいお札との関係、日本銀行で引き換えられるお札と手続き、破れたお札の扱い、「古いお札が使えなくなる」という詐欺について、日本銀行と財務省の案内で確かめます。
今使えるお札は25種類
日本銀行は1885年から今までに56種類のお札を発行していて、そのうち25種類が現在も有効です(教えて!にちぎん)。日本銀行は有効なお札を、「現在発行されている銀行券」と「現在発行されていないが有効な銀行券」の二つの一覧に分けて載せています。
| 額面 | 現在発行されている銀行券 | 発行は止まっているが有効な銀行券(発行停止日) |
|---|---|---|
| 一万円 | 渋沢栄一(2024年7月3日〜)、福沢諭吉(2004年11月1日〜) | 福沢諭吉(1984年11月1日〜、2007年4月2日停止)、聖徳太子(1958年12月1日〜、1986年1月4日停止) |
| 五千円 | 津田梅子(2024年7月3日〜)、樋口一葉(2004年11月1日〜) | 新渡戸稲造(1984年11月1日〜、2007年4月2日停止)、聖徳太子(1957年10月1日〜、1986年1月4日停止) |
| 二千円 | 守礼門(2000年7月19日〜) | — |
| 千円 | 北里柴三郎(2024年7月3日〜)、野口英世(2004年11月1日〜) | 夏目漱石(1984年11月1日〜、2007年4月2日停止)、伊藤博文(1963年11月1日〜、1986年1月4日停止)、聖徳太子(1950年1月7日〜、1965年1月4日停止) |
日本銀行の一覧では、2004年に発行が始まった福沢諭吉・樋口一葉・野口英世のお札は、2024年発行の渋沢栄一・津田梅子・北里柴三郎のお札と並んで「現在発行されている銀行券」に入っています。いわゆる「旧札」と呼ばれることが多いお札ですが、日本銀行の分け方では今発行しているお札の側です。
同じ福沢諭吉の1万円札でも、1984年から発行された券(黒色記番号は1984年11月1日、褐色記番号は1993年12月1日発行開始)は2007年4月2日に発行が止まり、「発行されていないが有効な銀行券」の一覧に入っています。新渡戸稲造の5千円札と夏目漱石の千円札も同じ日に発行が止まりました。どちらの一覧に入っていても、有効なお札であることに変わりはありません。
一万円・五千円・千円のほかにも、五百円券、百円券、五十円券、十円券、五円券、一円券が「発行されていないが有効な銀行券」の一覧に並んでいます。
お札が使えなくなったのは過去3回だけ
日本銀行によると、一度発行されたお札は、法令に基づく特別な措置がとられない限り使えなくなることはありません。そうした措置は次の3回で、これにより56種類のうち31種類が使えなくなりました。
- 関東大震災後の焼失兌換券の整理(1927年)
- 終戦直後のインフレを抑えるための新円切り替え(1946年)
- 1円未満の小額通貨の整理(1953年)
2024年に新しいお札が出たことで、従来のお札が使えなくなったわけではありません。財務省は、2024年7月3日から新しい一万円・五千円・千円券の発行を始めると決めたときにも、「現在流通している壱万円券、五千円券及び千円券は、新しい日本銀行券の発行後も従来どおり通用します」と書いています。
新しいお札に替える必要はない
日本銀行は「新券発行開始後の引換えに関する留意事項」で、従来のお札は新しいお札が出たあとも引き続き使えるので、新しいお札に交換する必要はないとしています。
お年玉に新しいデザインのお札を入れたい、折り目のないお札を入れたいという場合も、日本銀行の窓口では用意できません。日本銀行は、汚れたり破れたりして使いにくくなったお札の引換えはしていますが、両替や新しいお札への単純な交換はしていません。お札を番号順に渡すこともしていないので、日本銀行に行っても特定の番号のお札は手に入らないと案内しています。
両替を希望する人は、近くの金融機関に相談するよう日本銀行は案内しています。新しいお札は発行開始日以降に日本銀行から金融機関に支払われ、準備が整った金融機関の窓口やATMなどで順に手に入るようになる、というのが日本銀行の説明です。
聖徳太子や伊藤博文のお札が出てきたら
大掃除や実家の片付けで、聖徳太子の1万円札のような古いお札が出てくることがあります。これらも有効なお札ですが、日本銀行は「既に発行されなくなり、流通に不便な銀行券(例えば肖像画が聖徳太子の一万円券など)」については、本店・支店で今発行しているお札と引き換えられるとしています(教えて!にちぎん)。
引換えの窓口は、損傷したお金の引換えと同じです。
- 場所:日本銀行の本店とすべての支店。電算センター(東京都府中市)、発券センター(埼玉県戸田市)、国内事務所、海外駐在員事務所では受け付けていない
- 時間:月〜金の9時〜15時。国民の祝日に関する法律に定める休日と、12月31日〜1月3日は除く
- 予約:日本銀行のホームページや電話で、行く本支店に事前に予約するよう求めている。予約がないと当日中に引き換えられない場合がある
- 郵送:受け付けていない
年末年始は12月31日から1月3日まで受付がありません。お年玉に使う前に替えておきたいなら、12月30日までの平日か、1月4日以降の平日に予約を入れます。
破れたお札・燃えたお札
破れたり燃えたりしたお札も、日本銀行の本支店で引き換えます。基準は日本銀行の「損傷現金の引換えについて」に書かれています。
- 表と裏の両面がそろっているお札が対象
- 残っている面積が3分の2以上なら、額面の全額
- 5分の2以上3分の2未満なら、額面の半額
- 同じお札の紙片が2枚以上あれば、面積を合計して判定する
持ち込む前には、破れたお札を表裏の両面が確かめられる状態で、紙テープなど粘着性の弱いテープで貼り合わせておくよう求めています。濡れたお札はできるだけ1枚ずつ乾かし、焼けて崩れそうなものは箱に入れるなどして形を崩さずに持ち込みます。窓口では「引換依頼書」に記入し、損傷の経緯などを聞かれます。手数料はかかりません。
日本銀行は、お札や硬貨をわざと汚したり傷つけたりすると、引換えに応じられないほか、法令で罰せられる可能性もあるとしています。
「古いお札が使えなくなる」は詐欺
財務省は、従来のお札は新しいお札の発行後も引き続き使えるとして、「現行の日本銀行券が使えなくなる」などとかたる振り込め詐欺などに注意するよう呼びかけています。古いお札の交換を急がせる電話や訪問があっても、応じる必要はありません。詐欺と疑われる行為にあったときや不審に思ったときは、最寄りの警察に相談するよう財務省は案内しています。
日本銀行も、留意事項のなかで「従来の日本銀行券が使えなくなる」といった誤った情報や詐欺に注意するよう書いています。
確認の順番
- 手元のお札の肖像を見て、上の表のどれかを確かめる
- 福沢諭吉・樋口一葉・野口英世・夏目漱石などのお札は、そのままお年玉に使える
- きれいなお札がほしいときは、近くの金融機関に両替を相談する(日本銀行は両替をしない)
- 聖徳太子の券など流通に不便なお札や、破れたお札は、日本銀行の本支店に予約して平日9時〜15時に持ち込む(12月31日〜1月3日は休み)
- 「古いお札が使えなくなる」という連絡は相手にせず、不審なら警察に相談する
この記事で確認できなかったこと
2026年11月6日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。
- お店や自動販売機、券売機が古いお札を受け取るかどうか。日本銀行と財務省の案内は、お札として有効かどうかを説明していて、個々の店や機械の対応には触れていません。
- 金融機関で両替するときの手数料や、新しいデザインのお札を指定できるかどうか。金融機関ごとの扱いになります。
- 五百円券・百円券などの小額のお札を、日本銀行で今のお札や硬貨にどう引き換えるか。日本銀行は「流通に不便な銀行券」の例として聖徳太子の一万円券を挙げていますが、券種ごとの扱いは読んだ資料にありませんでした。
- 古いお札に、額面より高い値段で取引される場合があるかどうか。
参考資料
- 日本銀行 教えて!にちぎん「これまでに発行されたお札のうち、現在使えるお札はどれですか?」 — 56種類のうち25種類が有効、特別な措置は過去3回、流通に不便な券の引換え
- 日本銀行 現在発行されている銀行券・貨幣 — 2024年と2004年発行開始の券、二千円券
- 日本銀行 その他有効な銀行券・貨幣 — 発行されていないが有効な銀行券の一覧
- 日本銀行 その他有効な銀行券(一万円券)・(五千円券)・(千円券) — 肖像、発行開始日、発行停止日
- 日本銀行 新券発行開始後の引換えに関する留意事項について — 両替・新券への単純な交換をしない、交換は不要、詐欺への注意
- 日本銀行 損傷したお金の引換え窓口 — 本支店、受付時間、予約、郵送不可
- 日本銀行 日本銀行が行う損傷現金の引換えについて — 両替をしない、3分の2・5分の2の基準、持ち込み時の整理、手数料なし
- 財務省 新様式の日本銀行券の発行について(発行開始日の決定) — 2024年7月3日発行開始、従来どおり通用
- 財務省「現行の日本銀行券が使えなくなる」などを騙った詐欺行為にご注意ください — 詐欺への注意、警察への相談