夏のボーナスの手取りが思ったより少ない - 控除内訳と社会保険料の確認
額面と手取りの差は健康保険・厚生年金・雇用保険・所得税の合計で、おおむね額面の20〜30%が目安。所得税率は前月の給与額(社会保険料控除後)と扶養人数で決まるため、同じ額面でも人によって手取り額が違う。
目次(7項目)
6月末から7月にかけて支給される夏のボーナスは、年に数回しかない大きな入金で、明細を開く前から金額の見当をつけている人が多い。ところが実際の振込額を見て「思っていたより5万円少ない」「同期と比べて手取りが減った気がする」という声が毎年出てくる。額面と手取りの差は社会保険料と所得税で説明できるが、給与のときとは少し計算ルールが違う部分があるため、内訳を1度確認しておくと毎回もやっとせずに済む。
夏のボーナスは社会保険料の標準報酬月額が見直される時期とも近く、9月以降の毎月の手取りまで影響する。先に控除の仕組みを押さえておきたい。
明細を開いて最初に見るところ
ボーナスの明細書には支給額(額面)と控除額、そして差し引きの振込額が並ぶ。控除欄に登場するのは大きく分けて、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税の4つ。40歳から64歳までの人は介護保険料が加わって5つになる。
住民税はボーナスから引かれない仕組みで、毎月の給与から12分割で天引きされている。「ボーナスから住民税が引かれていない」と心配する必要はなく、これは標準的な扱い。
控除の合計は額面のおおむね20〜30%。額面50万円なら手取り37〜40万円あたりに落ち着くケースが多い。ただし所得税率は前月の給与に応じて変わるため、同じ額面50万円でも手取りは人によって数万円違う。最初に「自分の控除はどの項目が大きいか」を見ておくと、後で計算を確認するときに迷いにくい。
賞与から引かれる社会保険料の正体
賞与の社会保険料は、給与のときと違って「実際に支給された金額(千円未満を切り捨てた標準賞与額)」に料率を掛けて求める仕組み。給与で使う標準報酬月額の区分表は使わない。
健康保険の料率は加入している保険者と所在地で違い、協会けんぽ東京支部の場合は本人と会社の合計で10%前後(2025年度実績)、本人負担はその半額。介護保険料は40歳から64歳の被保険者だけが加算され、こちらも労使折半で本人負担は約0.8%。
厚生年金は全国共通で合計18.3%、本人負担はその半額の9.15%で固定されている。雇用保険は2026年度の一般事業で本人負担0.55〜0.6%程度。40歳以上で介護保険料込みの場合、額面に対する本人負担の社会保険料は合計で15%前後になる。額面50万円なら社会保険料だけで7.5万円ほど差し引かれる計算。
自分の正確な料率を知りたいときは、保険証に書かれた保険者名で公式サイトを確認するのが早い。健保組合は協会けんぽとは料率が異なることがほとんど。
所得税の計算が給与と違う理由
ボーナスの所得税(源泉徴収税額)は、毎月の給与で使う「給与所得の源泉徴収税額表」ではなく、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使う。これがボーナス所得税を分かりにくくしている一番の理由。
具体的には、賞与を支給する月の前月の「社会保険料等控除後の給与額」と「扶養親族の数」をもとに算出率を決め、その率を「今回の賞与の社会保険料控除後の金額」に掛ける。前月の給与が高いほど率が上がり、扶養親族が多いほど率が下がる構造になっている。
たとえば前月の給与(社会保険料控除後)が30万円・扶養なしなら、ボーナスにかかる率はおよそ6.126%。これに賞与の額面から社会保険料を引いた金額を掛けると、今回引かれる所得税額が出る。前月に残業代が多くて給与が膨らんでいた場合、ボーナスの所得税率も上がる点はもやっとしやすい。
源泉徴収はあくまで仮計算で、最終的な所得税は年末調整や確定申告で精算される。引かれすぎていれば12月の給与で還付される可能性が高い。
上限を超えるボーナスには特別ルール
社会保険料には標準賞与額の上限がある。健康保険は年間累計573万円、厚生年金は1回の支給につき150万円が上限で、これを超えた分には保険料がかからない。
夏に200万円、冬に200万円のボーナスを受け取る人なら、厚生年金は1回150万円までしか保険料計算の対象にならず、超えた50万円ずつは厚生年金保険料の対象外。健康保険は年間で573万円を超えた分が対象外になるため、ボーナスが大きい人ほど料率の影響は薄くなる。
毎月の標準報酬月額の上限(健康保険139万円、厚生年金65万円)を超えていない人は、ボーナスにそのまま保険料がかかると考えて差し支えない。多くの会社員はこちらに該当する。
夏のボーナス前後に退職する場合の注意
ボーナスの支給日に在籍していなければ、支給そのものを受けられない会社が多い。就業規則に「支給日在籍要件」が書かれていることが一般的で、6月25日支給の会社で6月20日付の退職なら、夏のボーナスは出ないことになる。
支給日には在籍していても、その月末で退職するとボーナスから引かれる社会保険料の扱いが変わる。月の途中で退職した場合、その月の社会保険料は給与・ボーナスとも本人負担分を引かない仕組みで、6月20日退職なら6月支給の賞与から健康保険料・厚生年金は控除されない(雇用保険料と所得税は控除される)。
「退職月の社会保険料はどう処理しますか」と労務担当に1度確認すると、想定との差を埋めやすい。退職後に国保や任意継続に切り替わるなら、その分の保険料は別途自分で払うため、トータルで見るとあまり変わらない結果になることが多い。
想定との差が大きいときに見る場所
明細の数字を計算し直しても合わない、あるいは去年のボーナスから手取りが大きく減ったときに確認したい場所はいくつかある。
健康保険料の料率は毎年3月分から改定される保険者が多く、3月以降に支給されたボーナスは新料率で計算される。協会けんぽは都道府県支部ごとに改定があるため、自分の所在地の支部ページを見ておきたい。
扶養親族の異動も影響する。配偶者が就業して扶養から外れた、子が独立して扶養控除の対象外になったといったケースで、源泉徴収の率が上がる。扶養控除等申告書を会社に提出済みかどうかも併せて確認したい。
それでも数字が合わない場合は、会社の給与担当(人事・労務)に「明細書の控除内訳をもう少し詳しく教えてほしい」と頼むのが早い。協会けんぽや日本年金機構の窓口でも保険料の計算は説明してもらえるが、ボーナスごとの個別計算は雇用主が処理しているため、最初の問い合わせ先は会社になる。
次のボーナスに向けて手取りを増やす方向性
ボーナスから引かれる社会保険料そのものを減らすのは難しい。法定の料率なので個人の選択で変える余地はほぼない。
手取りを増やす方向性として現実的なのは、所得控除を増やして所得税・住民税を減らすこと。iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金は全額が小規模企業共済等掛金控除の対象になり、ふるさと納税は実質2,000円の負担で住民税の前払いができる。生命保険料控除や地震保険料控除も上限まで使っていない人は、年末調整で申告する余地が残っている。
NISAは所得控除こそないが、運用益が非課税になるため、ボーナスのまとまった資金を成長投資枠で運用すると将来の手取り増につながる。2024年改正で年間360万円まで投資できるようになっているので、ボーナスの使い道として候補に挙げる人が増えている。
ただし、これらはどれも「来年以降の手取り」を増やす話で、今月の振込額を取り戻すものではない。今回のボーナスの数字には驚いても、内訳の理由が分かれば次回は事前に手取り目安を計算しやすくなる。
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参考資料
掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。
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