認知機能検査で36点未満だったら?75歳以上の免許更新で次にやることと処分の流れ

結論

36点未満は「認知症のおそれあり」の分類であって即日の免許停止ではありません。届いた通知書の差出人と提出期限を確認したうえで、臨時適性検査または診断書提出命令の予約をまず入れてください。

どうする?編集部 · · 読了 約9分
目次(11項目)
  1. 36点未満が出た時に最初に確認しておくこと
  2. 認知機能検査の中身を改めて把握しておく
  3. 検査結果の通知書をどう読み解くか
  4. 臨時適性検査と診断書提出命令の選び方
  5. 家族が同席するときに揃えておきたい資料
  6. 認知症と診断された後の処分の流れ
  7. 申請による取消し(自主返納)と取消し処分の違い
  8. 運転経歴証明書と返納後の生活設計
  9. 費用と期限の目安
  10. 家族で「やめる話」を切り出すタイミング
  11. 参考資料

親や祖父母の運転免許更新で「認知症のおそれあり」と書かれた通知が届くと、家族はどこから動けばよいか迷います。実際には、その場で処分が決まるわけではありません。医師の診断書または公安委員会指定医の臨時適性検査を経て、公安委員会が処分を判断する段階を踏みます。届いた書類を読み解き、医療機関の予約や家族の役割分担を順番に決めれば、期限に追われずに進められます。本記事は、検査結果の通知から処分が決まるまでの流れと、家族が押さえておきたい段取りを整理しました。

36点未満が出た時に最初に確認しておくこと

75歳以上の運転免許更新では、認知機能検査と高齢者講習を受けます。2022年5月の道路交通法改正で、認知機能検査は「認知症のおそれあり(36点未満)」「認知症のおそれなし(36点以上)」の2分類に整理されました。改正前は3分類だった経緯があるため、以前の知識のままだと「第1分類」「第2分類」といった呼び方で家族が説明を受けて混乱する場面が出てきます。

「36点未満」と聞くと、すぐ運転が止められるように受け取られがちですが、検査結果そのものは医学的診断ではありません。あくまで医師の判断を仰ぐ必要があるかどうかを区分する数値であって、検査直後にその場で免許証を取り上げられることはありません。後日、公安委員会から書面が届くのを待つ形になります。

検査当日は、結果通知書の控えを必ず持ち帰ってください。後日の手続きで参照する場面が多く、紛失すると再発行の手間が増えます。封筒に「免許更新関連」と書いて家族で共有できる場所に保管しておくと、後で書類を探す時間を短くできます。

認知機能検査の中身を改めて把握しておく

検査時間は約30分で、検査員からの指示を聞きながら回答用紙に記入する形式です。内容は大きく分けて、検査時の年月日と曜日、時間を答える「時間の見当識」と、16種類のイラストをヒント付きで思い出す「手がかり再生」の2項目で構成されています。点数は100点満点で換算され、36点未満が「認知症のおそれあり」の境界です。

検査当日は、メガネや補聴器など普段使っている用品を忘れずに持参してください。視力や聴力の状態が点数に影響することがあり、用品なしで臨むと本来の力を出せません。風邪や寝不足、強い薬の影響でも結果が大きく変動するため、無理に当日に受けず日程を相談した方がよい場面もあります。

検査と同じ日に高齢者講習を受けるケースが多い一方、地域や予約状況によって日程が分かれることもあります。通知書で当日の流れを確認しておくと、家族の付き添い予定が立てやすくなります。家族の予定が組みにくいときは、地域包括支援センターに「免許更新の付き添いを頼める介護保険外サービス」があるか相談する選択肢もあります。

検査結果の通知書をどう読み解くか

「認知症のおそれあり」と判定された場合、公安委員会から「臨時適性検査の通知書」または「診断書提出命令書」が届きます。表題の文言と差出人(都道府県公安委員会か所轄警察署か)で、次の行き先が決まります。通知書には提出期限がはっきりと書かれていて、おおむね1か月程度の余裕です。

家族で読み合わせる時は、(1)提出期限、(2)提出先、(3)診断書の様式の有無、(4)同封されている書類の枚数、(5)問い合わせ先の電話番号を、まずひと通り確認します。提出書類の様式が指定されているのに別の様式で出してしまうと差し戻されて時間を浪費します。様式が同封されていない時は、通知書の問い合わせ先に確認してから医療機関を予約してください。

文言が読み取りにくい時は、各都道府県警察の免許センターに電話で直接確認できます。「通知書の番号を見ながら案内してほしい」と伝えれば、書類の指す内容を確認しながらの説明を受けられます。電話の前に通知書の上端に書かれた発行番号と本人の氏名・生年月日をメモにしておくと、本人確認の応答がスムーズです。

臨時適性検査と診断書提出命令の選び方

「臨時適性検査」は公安委員会が指定した医師による診察で、自治体ごとに会場と日程が決まっています。「診断書提出命令」はかかりつけ医、または家族が選んだ医師に書いてもらった診断書を提出する方法です。通知書には選択肢が記されていて、本人がどちらで進めるか選べる場合があります。

かかりつけ医がいて認知症診療の経験があるなら、診断書提出命令を選ぶと予約調整がしやすく、本人の心理的な負担も軽くなります。反対に、かかりつけ医が認知症の判断書類に慣れていない場合は、書式と所見の書き方を医師と一緒に確認する必要があり、書類の差し戻しが起きやすくなります。事前に「公安委員会向けの診断書を書いた経験があるか」を尋ねると、進めるかどうかの判断材料になります。

指定医による臨時適性検査は予約枠が限られ、地域によっては数週間〜1か月先まで取れないことがあります。期限ギリギリで申し込むと間に合わない事態も起こり得るため、通知書を受け取ったら数日のうちに連絡を入れるのが現実的です。指定医のリストは通知書に同封されているか、都道府県警察のサイトで公開されています。

家族が同席するときに揃えておきたい資料

家族が付き添いで医療機関に行く場合は、健康保険証、お薬手帳、過去の健康診断結果、運転免許証、検査結果通知書、本人確認書類を1つの封筒にまとめて持参してください。診察の場で過去の経過がすぐ分かると、医師の判断が早くなります。お薬手帳が分散している家庭は、ここで1冊に束ねておく機会としても役立ちます。

最近半年の生活で気になった出来事(同じ話を何度もする、買い物の重複、料理の段取りの変化、運転で道に迷う頻度の増加、夜間外出の傾向、薬の飲み忘れなど)を、日付と場面を添えてメモにまとめておきます。診察の場で「家族の体感」を整理して伝えると、医師の問診の手がかりになります。エピソードが多すぎる時は、直近3か月の出来事に絞ってもよいでしょう。

ただし、家族の主観的な印象だけで「認知症だと思います」と先回りして伝えると、診察の方向が決まりすぎてしまうことがあります。事実(いつ、どこで、何が起きたか)と本人の言葉の引用に絞って書く方が、医師にとっても判断材料になります。本人と家族の認識が違う部分は、両方とも併記しておくと診察の場で整理されやすいです。

認知症と診断された後の処分の流れ

医師の診断書が公安委員会に到着すると、公安委員会が処分を検討します。診断結果が「認知症」と確定した場合、免許の取消しまたは効力停止の対象になります。処分前に「意見の聴取」と呼ばれる機会が設けられ、本人または代理人が言い分や事情を伝えることができます。聴取の通知書は処分予定日の前に届くため、家族の予定を空けやすい構成になっています。

軽度認知障害(MCI)や、特定の疾患に伴う一過性の症状で、認知症と確定できない場合は「経過観察」として扱われることがあります。経過観察期間は半年程度が目安で、その間に再度の診断書提出を求められる流れです。経過観察中に運転を続けてよいかどうかの判断は、医師と公安委員会の指示に従うのが基本で、家族の判断だけで「大丈夫」と決めない方が安全です。

意見の聴取の場では、本人の生活状況、運転の必要性、家族の支援体制、住んでいる地域の交通事情などを話せます。代理人として弁護士や家族が同席できる制度もあるため、本人の意思を整理して話すのが難しい時は、事前に役割分担を決めて臨んでください。聴取の議事録は処分の判断材料になるので、伝えたい内容はメモにまとめて持参すると安心です。

申請による取消し(自主返納)と取消し処分の違い

検査結果を見て本人が運転をやめると決めた場合は、「申請による取消し」を選べます。住所地の運転免許センターか警察署で手続きでき、同時に運転経歴証明書も申請できます。手数料は1,100円程度で、写真と本人確認書類を持参すれば即日交付される地域もあります。日中に窓口に行けない家庭は、土曜開庁のセンターの有無も合わせて確認してください。

申請による取消しは本人の意思で進める手続きなので、診断書の提出も意見の聴取も不要です。一方、認知症の診断後に進む取消し処分は法的な行政処分として扱われ、再取得の流れが変わる場合があります。状況によっては、自主返納の方がその後の手続きや家族の心理的負担を軽くできる場合もあります。本人が「自分で決めた」と感じられる返納の方が、後の生活にも影響しにくい傾向です。

どちらを選ぶか家族で迷う段階では、警察相談電話 #9110 に相談する選択肢もあります。緊急ではない相談を受け付ける番号で、一般的な流れを聞きながら家族で判断材料を整理できます。市区町村の高齢福祉課や地域包括支援センターにも、返納後の生活支援の窓口があるため、並行して情報を集めると検討に幅が出ます。

運転経歴証明書と返納後の生活設計

運転経歴証明書は、運転免許を返納した人や失効した人に交付される身分証で、銀行や役所での本人確認に使えます。地域によっては、バス・タクシーの運賃割引、商業施設の優待、介護施設見学の交通費補助など、運転をやめた人向けの優遇サービスと連動しています。発行から有効期限はなく、転居しても引き続き使えます。

優遇内容は市区町村ごとに異なるため、住んでいる自治体の高齢福祉課に「免許返納時の優遇制度を教えてほしい」と尋ねるのが早道です。「タクシー初乗り無料券」「コミュニティバス1年定期の割引」「指定スーパーでの割引」など、地域差が想像以上に大きい領域です。家族で一緒に確認しておくと、返納後の生活費の見通しを立てやすくなります。

買い物や通院の足は、地域包括支援センターの情報も参考になります。自治体のオンデマンドバス、コミュニティタクシー、ヘルパーの同行支援、近隣スーパーの配達サービスなど、選択肢を複数並べて検討すると、家族の送迎負担も分散できます。「車をやめた後の暮らし」を具体的に描けるかどうかは、本人が返納を受け入れる気持ちにも影響します。

費用と期限の目安

診断書提出命令で受診する場合の費用は医療機関によって異なりますが、初診料込みで5,000〜10,000円程度を案内されることが多い目安です。MRIなどの画像検査が追加されると、自己負担が増えます。臨時適性検査は公費負担となる地域と、一部自己負担の地域があるため、通知書の記載で確認してください。

通知書に書かれた提出期限は1か月程度を案内されることが多く、医師の予約状況によって間に合わない場合は、期限内に発行元へ連絡して延長の相談ができる場合があります。連絡せずに期限を過ぎてしまうと、診断書未提出を理由に効力停止や取消しが先に進むことがあるため、間に合わない見通しが出た時点で早めに電話を入れてください。延長が認められた場合は、書面で確認を残しておくと後の行き違いを防げます。

更新期間内であれば再受検も検討できますが、再検査の運用は地域差が大きいため、最寄りの免許センターに具体的な手順を確認しておきます。再受検で「認知症のおそれなし」になっても、その後の高齢者講習や運転技能検査は別途必要です。

家族で「やめる話」を切り出すタイミング

検査結果が出る前から、家族で運転についての話を進めておくと、結果が出てからの判断に余裕が生まれます。日常の運転で気になる場面(車庫入れで擦る回数、信号の見落とし、近所への近距離移動でも疲れている様子)を、責める形ではなく事実として共有していくと、本人も少しずつ受け止めやすくなります。

話の切り出し方は、家族の関係や本人の性格によって正解が違います。共通して避けたいのは「人前で説得しようとする」「同じ話を繰り返して圧をかける」進め方で、本人の自尊心を傷つけてしまうと、その後の手続きにも非協力的になりがちです。一度の会話で結論を求めず、半年から1年単位で少しずつ話していく心構えで臨むのが現実的です。

医師、ケアマネジャー、地域包括支援センターの職員など、家族以外の第三者から運転についての見立てを伝えてもらうのも有効です。家族だけで抱え込むと、決断と感情の整理を1人で背負うことになり長続きしません。話し合いの記録を、本人の言葉で残しておくと、後で判断を振り返るときの手がかりになります。

参考資料

公的な情報は警察庁の特設ページに集約されていて、地域ごとの違いは各都道府県警察のページで確認できます。本記事に挙げたリンクは2026年6月時点で参照したものですが、制度や手続きの細部は随時更新されます。最終的な判断は通知書の案内と公的窓口で確認してください。本人が落ち込みやすい話題なので、家族の声かけ方ひとつで動きやすさが変わります。書類の手続きと並行して、本人の気持ちの整理も忘れずに進めていきましょう。

認知機能検査で36点未満だったら?75歳以上の免許更新で次にやることと処分の流れ — クルマ 関連イラスト (どうする?)
Photo by Pierre Jeanneret on Unsplash

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参考資料

  1. 警察庁 75歳以上の運転免許更新時の認知機能検査
  2. 警察庁 運転免許の自主返納について
  3. 警視庁 高齢者講習等のご案内

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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