主務教諭とは?2026年4月新設、任意設置・給与・なり方を条文で確認

この記事の要点

主務教諭は2026年4月1日から置ける新しい職。ただし必置ではなく、置くかどうかは各教育委員会の判断です。処遇は手当ではなく「新たな級の創設」で検討するよう国が求めており、金額は自分の都道府県の給与条例で決まります。

  1. 法改正は2025年6月18日公布(令和7年法律第68号)。主務教諭の規定は2026年4月1日施行
  2. 必置ではない。文科省通知は「任意に設置することができる職」と明記している
  3. 学校教育法第37条第3項により、主務教諭を置くときは教諭を置かないことができる
どうする?編集部 · · 初出 · 読了 約12分
目次(15項目)
  1. 「主務」とは何か — 読み方と、四つの使われ方
  2. 主務大臣は「誰か」が法律ごとに違う
  3. 「主務官庁」は、探しても現行制度にない場合がある
  4. 主務教諭の「主務」
  5. いつから、どの学校に置けるのか
  6. 外から人が来るわけではない
  7. 何をする職なのか
  8. 養護・栄養をつかさどる主務教諭もある
  9. 主幹教諭・指導教諭とどう違うのか
  10. 給与はどうなるのか
  11. 教職調整額と学級担任への加算
  12. どうすれば主務教諭になれるのか
  13. 自分に関係するか
  14. 何を見に行けばいいか
  15. 参考資料

「主務教諭の選考、受けるかどうか」と職員室で聞かれて、その職が何なのか分からないまま返事を求められる。検索して出てくる説明の多くは「新設が検討されている」と書いていますが、それはもう古い話です。主務教諭を置けるようにする法改正は2025年6月に成立し、同月18日に公布されました。施行日は2026年4月1日で、すでに施行済みです。

決まったことと決まっていないことの線は、はっきりしています。職を置けるようにするところまでは法律で確定しました。置くかどうかと、置いた場合にいくら払うかは、自治体が決めます。

「主務」とは何か — 読み方と、四つの使われ方

読みは「しゅむ」。その事務を主として担当する、という意味の言葉です。単独で使うことはほとんどなく、後ろに語を付けて「主務大臣」「主務官庁」「主務教諭」のように使います。厄介なのは、付く語によって指すものが大臣・役所・学校の職・慣用の役職名と分かれることです。自分が見ている「主務」がどれなのかで、確認しに行く先が変わります。

見かけた形何を指すか根拠確かめに行く先
主務大臣・主務省令その法律を所管する大臣と、その大臣が出す省令法律ごとに個別に決まるその法律の雑則にある「主務大臣」の条
主務官庁旧民法で公益法人を許可・監督していた役所公益法人については廃止済み公益法人なら「行政庁」、NPO法人なら「所轄庁」
主務教諭2026年4月に置けるようになった学校の職学校教育法第37条第11項勤務先の都道府県・指定都市の給与条例
部活の主務、社内の主務学生団体のマネージャー役、社内の担当職位法令上の定義はないその団体・会社の規約や職位規程

主務大臣は「誰か」が法律ごとに違う

「主務大臣」という役所が一つあるわけではありません。同じ言葉でも、どの法律の中で読むかによって別の大臣を指します。独立行政法人通則法は、そのことを条文で明示しています。

この法律における主務大臣及び主務省令は、個別法で定める。 — 独立行政法人通則法第68条(主務大臣等)

同法だけを読んでも主務大臣は決まりません。その独立行政法人を作った個別の法律のほうを見に行くことになります。ほかの法律でも同じ形で、条文の末尾近く(雑則)に「主務大臣は○○大臣とする」という条が置かれていることが多いです。

手元の書類に出てくる主務大臣が誰かを知りたいときは、e-Gov法令検索でその法律を開き、本文を「主務大臣」で検索するのが最短です。契約書やひな形の側に答えは書いてありません。

「主務官庁」は、探しても現行制度にない場合がある

古い解説書や書式に「主務官庁の許可を受けて」と書いてあることがあります。公益法人については、この仕組みはもうありません。提出先の名前が変わっています。

  • 公益社団法人・公益財団法人 — 認定を行うのは「行政庁」で、内閣総理大臣または都道府県知事です。二つ以上の都道府県に事務所を置く場合などが内閣総理大臣、それ以外はその事務所のある都道府県知事(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第3条)
  • NPO法人(特定非営利活動法人) — 認証・監督を行うのは「所轄庁」で、主たる事務所のある都道府県知事。事務所が一つの指定都市の区域内だけにある場合はその市長です(特定非営利活動促進法第9条)

現行の民法第33条にも「主務官庁の許可」という文言はありません。手元の書式が「主務官庁」のままなら、それがいつの時点のものかを先に確かめてください。いま窓口の名前になっているのは、行政庁か所轄庁です。

主務教諭の「主務」

学校教育法に語義の説明はありません。条文が書いているのは職務の中身だけです。上の表でいう大臣・役所の系統ではなく、「その仕事を主として担当する」という一般の語義に近い使い方です。ただ、肩書きの字面から中身を推測しても当たりません。読むなら条文のほうが早い。

以下は、四つのうち最後に増えた主務教諭の話。

いつから、どの学校に置けるのか

法律の正式名称は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律」。2025年5月15日に衆議院本会議、6月11日に参議院本会議で可決されて成立し、6月18日に令和7年法律第68号として公布されました。

根拠条文は給特法ではありません。改正されたのは学校教育法で、幼稚園は第27条、小学校は第37条。中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校についても同様の改正が行われています。改正後の第37条第2項はこうなりました。

小学校には、前項に規定するもののほか、副校長、主幹教諭、指導教諭、主務教諭、栄養教諭その他必要な職員を置くことができる。

「置くことができる」です。必置ではありません。文部科学事務次官通知(7文科初第1404号、2025年9月26日)も、主務教諭は「任意に設置することができる職であり、その設置については、学校や地域の状況を踏まえ、各教育委員会において適切に判断されるもの」だと書いています。ただ、置かない自治体があっても法律の想定どおりです。国は設置の検討を促しているだけで、義務づけてはいません。参議院文教科学委員会の附帯決議(2025年6月10日)は、任意設置であることを前提に、配置人数分の義務教育費国庫負担金を確実に措置するよう政府に求めました。

施行日の2026年4月1日は、すでに過ぎました。給与関係の規定だけは先行して2026年1月1日に施行されています。文部科学省の工程表が描くのは、2025年度に各自治体が条例・規則を改正して選考、2026年度から任用・配置という流れです。

外から人が来るわけではない

見落とされやすいのが第37条第3項です。第1項は小学校に校長・教頭・教諭・養護教諭・事務職員を置かなければならないと定めていて、第3項はその例外を並べています。改正でここに一文が入りました。

主務教諭を置くときは教諭を(中略)置かないことができる

副校長を置くときは教頭を置かないことができる、という既存の規定と同じ形です。主務教諭は外から採用する職ではなく、いま教諭として働いている人が任用される職だという前提が、条文の側にも出ています。附帯決議も「主務教諭の配置による教諭の職務内容・職責の変化がない」ことを前提に議論していました。

通知は「主務教諭のみに業務が集中することのないよう留意しつつ」と釘を刺したうえで、校長に学校全体の校務のマネジメントを求めています。調整役ができたぶん誰かの校務が自動的に減るわけではない。

何をする職なのか

学校教育法第37条第11項の条文はこうです。

主務教諭は、児童の教育をつかさどり、及び命を受けて当該小学校の教育活動に関し教諭その他の職員間における総合的な調整を行う。

事務次官通知はこれを「校長等から命を受けて」と補って説明していますが、条文の側は命じる者を書いていません。引用を見かけたら、どちらの文言かを見ておくと確かです。

授業を持ったまま、担当する領域で調整の核になります。通知が挙げている業務の例は次のとおり。

  • 教育相談、特別支援教育に関する連絡調整といった児童生徒への対応
  • 校内研修
  • 学校安全
  • 情報教育
  • 道徳教育

学年や分掌をまたぐ仕事ばかりで、これまで担当者が明示されないまま誰かが引き受けていた領域が並んでいます。

養護・栄養をつかさどる主務教諭もある

解説記事でまず落ちるのが第37条第20項です。この記事も、9月にe-Gov法令検索で第37条を頭から読み直すまで落としていました。学校の実情に照らし必要があると認めるときは、第11項の主務教諭とは別に、次の職を置くことができます。

児童の養護又は栄養の指導及び管理をつかさどり、並びに命を受けて当該小学校の教育活動に関し教諭その他の職員間における総合的な調整を行う主務教諭

養護教諭・栄養教諭の側にも調整役の職が用意された、ということです。第3項との関係が二段階になっているので、そこだけ押さえてください。

  • 養護をつかさどる主務教諭(または主幹教諭)を置くときは、養護教諭を置かないことができます
  • 一方、第3項が「主務教諭を置くときは教諭を置かないことができる」と定めるときの主務教諭からは、この第20項第2号の主務教諭は明文で除かれています

養護・栄養の側の主務教諭を置いても、教諭の必置は外れません。自分の学校で置かれるのがどちらの主務教諭なのかは、教育委員会の規則や選考要項の職名で分かります。

主幹教諭・指導教諭とどう違うのか

三つとも学校教育法第37条に職務が書かれています。並べると輪郭が出ます。

条文が定める職務
主幹教諭(第9項)校長及び副校長並びに教頭を助け、命を受けて校務の一部を整理し、並びに児童の教育をつかさどる
指導教諭(第10項)児童の教育をつかさどり、並びに教諭その他の職員に対して、教育指導の改善及び充実のために必要な指導及び助言を行う
主務教諭(第11項)児童の教育をつかさどり、及び命を受けて当該小学校の教育活動に関し教諭その他の職員間における総合的な調整を行う

主幹教諭は管理職を助けて校務を「整理」する。指導教諭は他の教員の授業に「指導・助言」する。主務教諭は職員の間を「調整」する。向いている先が、上・横・間で分かれています。

この三つは、下から順に上がっていく昇任階段ではない。第37条第2項は副校長・主幹教諭・指導教諭・主務教諭を並列に列挙しているだけで、上下の順序はどこにも書かれていません。

給与はどうなるのか

ここが最も誤解されているところです。「主務教諭手当」という手当は作られていません。

通知は処遇についてこう書いています。

主務教諭の職務を踏まえ、主務教諭の設置に伴う新たな級の創設による適切な処遇についても検討されたいこと

手当ではなく給料表の級です。都道府県・指定都市が給与条例と規則を改正して級を作り、そこに格付けする。金額は条例で決まるため、全国一律の額は存在しません。自分がいくらになるかは、勤務先の都道府県(政令市なら市)の教育職員給与条例を見るしかありません。

通知を最後まで読んでも、級の数も金額も出てきません。主務教諭の処遇について国が書いたのは、上に引いた一文がすべてです。

主務教諭にならない人への言及もあります。

主務教諭の設置に関わらず、教諭の職務内容・職責に変更がないことを踏まえ、関係法令にのっとって適切な教諭の給与水準の確保に努めること

附帯決議はさらに踏み込み、「主務教諭の配置のために、教諭の給与を引き下げることのないよう、地方公共団体に周知徹底すること」としました。逆に言えば、そういう運用が起こりうると国会が見ていたということです。

教職調整額と学級担任への加算

主務教諭とは別に、給与の枠組み自体も動いています。

教職調整額は給料月額の4%から10%へ。通知は「令和12年度までに教職調整額の基準となる率を10%に引き上げる」と明記しています。工程表には5%から10%まで1ポイント刻みの枠が年度ごとに並んでおり、起点は給与関係規定が施行された2026年1月です。ただし給与明細に反映されるのは、各自治体が条例を改正してからになります。

学級担任のほうは、手当が新設されたわけではない。既存の「義務教育等教員特別手当」を校務類型別に配り直す形になりました。文部科学省令が定めた校務類型は二つだけです。

  • 学級(小学校、中学校、義務教育学校、高等学校及び中等教育学校の学級に限り、特別支援学級を除く)を担任する業務
  • それ以外の校務

額は「校務類型にかかる業務の困難性その他の事情を考慮して、条例で定める」。複数担任制の学校でも実態に即した額を定めて差し支えない、国庫負担金の限度額が1学級当たりで算定されても学級運営のやり方まで縛られるわけではない。通知はそこまで念を押しています。

では、その原資はどこから出るのか。工程表を見ると、義務教育等教員特別手当そのものは給料の1.5%から1.0%へ縮減、多学年学級担当手当は廃止、給料の調整額も2回に分けて4分の1ずつ縮減する予定が並んでいます。一律に配っていた分を薄くして担任に厚く配り直す組み替えです。附帯決議が「現在行われている一律支給部分について、その支給ができないとの誤解が生じないよう周知すること」と書いたのは、この点にあたります。

どうすれば主務教諭になれるのか

自動的にはなりません。通知は任用の見込みをこう書いています。

一定の経験、知識等を有する教諭のうち、こうした役割を担うことができる教諭が主務教諭として任用されることになると考えられること

「知識等を有する」の中身にも説明があります。心理や福祉に関する資格を活用して特定の学校教育活動の核になっている場合、教職大学院を修了して高度な専門的職業能力を身につけている場合。通知が挙げているのはこの二つです。

選考の方法・時期・人数は各教育委員会が決めます。工程表では2025年度に「選考」の枠が置かれているため、すでに要項を出している自治体があります。

任用後の研修にも変更が入りました。教育公務員特例法施行規則が改正され、中堅教諭等資質向上研修の対象者に主務教諭が加えられています。

自分に関係するか

関係する人。

  • 公立の幼稚園・小中学校・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校の教諭。任用の対象になりえます
  • 教諭のまま働き続ける人。級が新設されれば給料表の構造が変わります。自分の号給がどう扱われるかは条例改正の内容で確認を
  • 管理職。誰にどの調整業務を割り振るかを決める側です

この改正で給与が動かない人。

  • 私立学校の教員。主務教諭の職を定めているのは学校教育法ですが、新たな級・教職調整額・義務教育等教員特別手当・義務教育費国庫負担金は、いずれも公立学校の教員を対象にした仕組みです
  • 非常勤講師。教諭の職に就いていることが前提の職位です
  • 学校事務職員。行政職の給料表が別にあります

何を見に行けばいいか

自治体差の大きい制度なので、確認先を具体的に書いておきます。

  1. 勤務先の都道府県(政令市なら市)の例規集を開き、「教育職員の給与に関する条例」の給料表を見る。級の数が増えていれば主務教諭の級が作られています
  2. 都道府県教育委員会の教職員課・人事課に、主務教諭の選考の有無と時期を聞く。学校を通さず直接問い合わせて構いません
  3. 選考要項が出ているなら、受験資格の経験年数を確認する。自治体ごとに最も差の出る部分です
  4. 制度の根拠を確かめたいときは、事務次官通知(7文科初第1404号)の「3 主務教諭の職の設置について」を読む。2ページに満たない分量で、この記事で引いた文言はすべてそこにあります

施行日を過ぎても、全国の学校が一斉に変わるわけではありません。法律が変えたのは「置けるようになる」ところまでで、その先は自分の自治体の条例が決めます。施行から時間がたっても級が新設されていない自治体はあります。それも法律どおりです。面倒でも、例規集を開くまでは自分の給料の話になりません。

参考資料

  • 文部科学省「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律の概要」(初等中等教育分科会 資料3、2025年7月25日)— 法律の概要、参議院文教科学委員会の附帯決議、工程表
  • 文部科学事務次官通知「給特法等一部改正法の施行に伴う関係政令の整備に関する政令の制定等について」(7文科初第1404号、2025年9月26日)— 主務教諭の設置・職務・処遇に関する留意事項
  • e-Gov法令検索「学校教育法」第37条 — 主幹教諭・指導教諭・主務教諭の職務(第2項・第3項・第11項・第20項)
  • e-Gov法令検索「独立行政法人通則法」第68条 — 主務大臣・主務省令は個別法で定めるという規定
  • e-Gov法令検索「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」第3条 — 公益認定を行う「行政庁」
  • 内閣府 NPOホームページ「所轄庁」 — NPO法人の認証・監督を行う役所(特定非営利活動促進法第9条)
  • 文部科学省「改正法案が参議院本会議において可決され、成立しました」(2025年6月11日)
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参考資料

  1. 文部科学省:公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律の概要(初等中等教育分科会 資料3・2025年7月25日/附帯決議・工程表を含む)
  2. 文部科学事務次官通知:給特法等一部改正法の施行に伴う関係政令の整備に関する政令の制定等について(7文科初第1404号・2025年9月26日)
  3. e-Gov法令検索:学校教育法(昭和22年法律第26号)第37条
  4. e-Gov法令検索:独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第68条(主務大臣等)
  5. e-Gov法令検索:公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第3条(行政庁)
  6. 内閣府 NPOホームページ:所轄庁(特定非営利活動促進法第9条)
  7. 文部科学省:改正法案が参議院本会議において可決され、成立しました(2025年6月11日)

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

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