協会けんぽの電子申請、事前のアカウント登録は不要。出せる申請書と使えない人、会社の届出はGビズIDで年金機構へ。傷病手当金の出し方

この記事の要点

事前のアカウント登録はありません。入口は協会けんぽのサイトかけんぽアプリで、毎回マイナンバーカード・マイナアプリ・数字4桁の暗証番号で認証します。使えるのは被保険者本人と委任を受けた社会保険労務士だけ。事業主・代理人・相続人は使えず、会社の届出は日本年金機構へGビズIDプライムで出します。

  1. 協会けんぽの電子申請サービスは2026年1月13日開始。けんぽアプリは同年1月26日リリース
  2. 出せるのは健康保険の給付・任意継続・限度額適用など30種類超。船員保険にも別の一覧がある
  3. 入口はマイナポータルではなく、協会けんぽのサイトかけんぽアプリの「電子申請サービス」
どうする?編集部 · · 初出 · 読了 約20分
目次(20項目)
  1. 協会けんぽの電子申請で何が出せるか
  2. 使えるのは本人と社労士だけ
  3. 会社が出す届出は、協会けんぽではなく日本年金機構
  4. 入口はマイナポータルではない
  5. 事前のアカウント登録はない。ログインするIDも作らない
  6. 始める前に、手元で確かめる3つ
  7. 申請別。添付するものと、先に知っておくこと
  8. 傷病手当金の場合。まず金額と期間
  9. 電子で出しても、紙でもらう2枚がある
  10. 添付するファイルの条件
  11. 申請の流れ
  12. 途中で止まったとき。FAQで多い5つと直し方
  13. 送信できる時間が決まっている
  14. 電子と紙、どちらで出すか
  15. 出したあと。審査状況の見方と、返戻されたとき
  16. いつ振り込まれるか
  17. 期限は2年。ただし日ごとに数える
  18. 退職したあとの請求
  19. 健康保険組合に入っている人は別
  20. 送信する前に見ておくもの

協会けんぽの電子申請サービスは、2026年(令和8年)1月13日に始まりました。郵送せずに、自宅や職場のパソコン・スマートフォンから申請を出せます。

用意するのはマイナンバーカード、カードを読み取る「マイナアプリ」、数字4桁の暗証番号の3つです。会員登録やIDの発行は要りません。 申請のたびにカードで本人確認をする仕組みです。送信できるのは平日の8時から21時で、添付する書類は申請の種類ごとに違います。

ただ、入口を取り違えやすいところです。マイナポータルのアプリを開いて申請メニューを探しても見つかりません。入口は協会けんぽのサイト、またはけんぽアプリの「電子申請サービス」です。

そして、探しても見つからない理由がもう一つあります。あなたが事業主なら、そもそも使えません。 協会けんぽの電子申請は被保険者本人のための仕組みで、会社が出す届出は宛先が別です。まずそこから整理します。

協会けんぽの電子申請で何が出せるか

傷病手当金だけ、ではありません。健康保険分だけで30種類を超えます。よく使うものを並べます。

種類主な申請書
現金給付傷病手当金、出産手当金、出産育児一時金(内払金支払依頼書を含む)、埋葬料(費)、移送費
医療費の払い戻し療養費(立替払等・治療用装具・海外療養費)、高額療養費、年間の高額療養費、高額介護合算療養費
証・認定限度額適用認定申請書、限度額適用・標準負担額減額認定申請書、特定疾病療養受療証交付申請書、高齢受給者基準収入額適用申請書(新規判定用・定期判定用)
任意継続資格取得申出書、資格喪失申出書、被扶養者(異動)届、氏名・住所等の変更(訂正)届、保険料納付遅延理由申出書
貸付高額医療費貸付金貸付申込書、出産費貸付金貸付申込書
健診特定健康診査受診券(セット券)申請書、特定保健指導利用券申請書

船員保険にはさらに別の一覧があり、職務外給付・職務上給付をあわせて数十種類が対象です。

出せないものもあります。 一般の被保険者について、次の3つは電子申請の対象外です。理由も添えられています。「事業主を介して申請するため」。

  • 資格確認書交付申請書
  • 高齢受給者証再交付申請書
  • 健康保険法第118条第1項該当・非該当届(こちらは日本年金機構の電子申請を使う)

ただし、行き止まりになるのは会社員だけです。 注記は「一般被保険者の場合、事業主を介して申請するものであるため」と立場を限っていて、資格確認書交付申請書そのものは対象申請の一覧に残っています。会社員の分は受付後1週間程度で勤め先の事業所に届く仕組みなので、総務に頼む形になります。

任意継続被保険者は、自分で電子申請できます。 協会けんぽは資格確認書交付申請書のページで、紙で支部へ郵送する方法と電子申請サービスの二つを並べています。電子なら提出先の支部を選ぶ必要がありません(社会保険労務士が出すときだけ支部の指定が要ります)。不備がなければ受付後1週間程度で、被保険者本人の住所に届きます。退職して任意継続に入り、手元に資格確認書がない人は、総務を探さずここから出せます。

使えるのは本人と社労士だけ

範囲は狭く区切られています。

立場使えるか
被保険者本人○
被扶養者一部の申請のみ○(埋葬料など)
委任を受けた社会保険労務士○(健診・保健指導関連を除く)
事業主・船舶所有者×
家族などの代理人×
相続人×
日雇特例被保険者とその被扶養者×
顔認証マイナンバーカード(暗証番号なし)の人×

言い方を変えて、何度も書かれています。「事業主や船舶所有者の方は電子申請することができません」「申請者に代わり、代理人が電子申請を利用することはできません。(社会保険労務士の方は除く)」。FAQでも「代理人や相続人、事業主はご利用できません」で揃っています。

日雇特例も明示的に外れています。「健康保険法第3条第2項(日雇特例)被保険者及びその被扶養者は、電子申請サービスを利用することはできません」。この場合は紙で、加入している都道府県支部に出します。

カードの種類で外れる人もいます。顔認証マイナンバーカードです。暗証番号を設定せず、医療機関の顔認証だけで使う前提のカードなので、数字4桁で認証するこのサービスには入れません。FAQの答えは一行です。「電子申請を利用することはできません」。高齢の家族が「暗証番号なし」で作ったカードはこれにあたります。この場合も紙で出します。暗証番号を設定して通常のカードに切り替える手続きは顔認証マイナンバーカードを通常のカードへ切り替える窓口と持ち物に分けてあります。

社労士に頼むなら、社労士側が先にユーザーIDとパスワードの発行手続きを済ませておく必要があります。社会保険労務士証票とマイナンバーカード表面の画像を出し、通知が届いてからログインできるようになる流れなので、休職に入ってから思い立つと間に合いません。

会社が出す届出は、協会けんぽではなく日本年金機構

総務の担当者がここに迷い込むことが多いので、行き先を書いておきます。

資格取得届・資格喪失届・算定基礎届といった健康保険・厚生年金保険の手続きは、年金事務所(日本年金機構)に出します。 健康保険分もそこで処理されるので、協会けんぽの電子申請サービスに会社用のメニューを探しても見つかりません。

電子で出す手段は3つ案内されています。

  • 市販の労務管理ソフト
  • 日本年金機構が無料で配っている「届書作成プログラム」
  • e-Gov電子申請(デジタル庁の行政ポータル)

どれを選んでも、先に要るのは「GビズIDプライム」です。 日本年金機構は「『GビズID』には2種類のアカウントがありますが、社会保険の手続きには、『GビズIDプライム』のアカウントが必要です」としています。従業員向けの「メンバー」や、誰でも作れる「エントリー」では社会保険の手続きに届きません。アカウント自体は無料で、対応する届書は約80種類です。

取り方は2つあり、かかる時間がまるで違います。

申請方法出すもの審査期間
オンライン申請法人代表者のマイナンバーカード(事業区分による)24時間365日、すみやかに処理
書類申請申請書と印鑑証明書をGビズID運用センターへ郵送最大1か月

郵送の審査は、以前は最大2週間でした。2026年7月9日に最大1か月へ延びています。 算定基礎届のように期限のある届出を、アカウントの郵送申請から始めると間に合いません。代表者のマイナンバーカードがあるなら、オンライン申請を選びます。

例外が一つあります。届書作成プログラムだけなら、GビズIDの代わりにマイナンバーカードでも使えます。 ただし使えるのは事業主本人か、事業所関係変更届で選任された事業主代理人のカードに限られるので、総務担当者が自分のカードで出すことはできません。プログラムは無料で、出せるのは資格取得届・資格喪失届・算定基礎届・月額変更届・賞与支払届・被扶養者(異動)届・国民年金第3号被保険者関係届です。会社の手続きでよく使うものはこの7つに入っています。

しかも一部は任意ではありません。令和2年(2020年)4月以降に始まる事業年度から、資本金等の額が1億円を超えるなど特定の法人は、次の3つを電子申請で行うことが義務づけられています。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額算定基礎届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届
  • 健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届

つまり「協会けんぽ 電子申請」で調べていた総務担当者が本当に見るべきなのは、日本年金機構の事業所向けオンラインサービスです。総務担当者向けの話はここまでで、以下は被保険者本人が自分の給付を出す場合に戻ります。

入口はマイナポータルではない

取り違えがいちばん多いのはここです。協会けんぽは「当ページ、またはけんぽアプリの『電子申請サービス』から手続きを進めてください」と案内しています。マイナポータルの給付メニューをいくら開いても、協会けんぽの傷病手当金は出てきません。

この記事も、最初はマイナポータルから入る前提で書いていました。2026年8月末と9月に協会けんぽの各ページとFAQを開き直して、入口から書き直しています。

けんぽアプリは2026年(令和8年)1月26日にリリースされた加入者向けのスマートフォンアプリです。今の段階(Ver.0)でできるのは電子申請と健康記事の配信で、健診の予約や結果確認は先の版に予定されています。App StoreとGoogle Playで「けんぽアプリ」を探します。

事前のアカウント登録はない。ログインするIDも作らない

「電子申請」と聞いて最初に探すのが会員登録のページですが、本人の分にはありません。協会けんぽのFAQは、被保険者と被扶養者については事前の登録を不要としていて、要るのは「マイナンバーカードによる認証」だけです。メールアドレスの登録もパスワードの設定もなく、申請のたびにカードを読み取って本人確認をします。

IDとパスワードが出てくるのは社会保険労務士の側だけです。「事前にユーザーIDとパスワードの払い出しに関する申請(利用申請)が必要です」と案内されていて、本人の認証とは別の経路になっています。

なので「ログインできない」「IDを忘れた」で止まっている人は、探す場所が違います。忘れるIDが、そもそもありません。 入れないときの原因は次の3つのどれかです。

症状原因直す場所
カードを読み取れないマイナアプリ側の問題マイナポータルのよくあるご質問(協会けんぽの支部では答えられない)
数字4桁の暗証番号が違う・ロックした利用者証明用電子証明書の暗証番号住民票のある市区町村の窓口、または条件が合えばコンビニ端末
認証画面から先に進めない電子証明書の有効期限切れ住民票のある市区町村の窓口

控えは自分で残します。 申請が終わると完了画面に「申請内容の保存」ボタンが出て、送信したデータを端末に保存できます。FAQはあわせて、入力内容確認画面を印刷する、スクリーンショットを保存するという方法も挙げています。あとで支部に問い合わせるときは受付番号と送信内容が手がかりになるので、完了画面を閉じる前に押しておきます。

始める前に、手元で確かめる3つ

送信の直前でつまずくのは、たいていこの3つです。

1. マイナンバーカードと「マイナアプリ」

カードだけでは足りません。FAQにこうあります。「被保険者や被扶養者の方は、マイナンバーカードによる認証を行いますので、マイナンバーカードの準備と『マイナアプリ』のインストールが必要です」。カードを読み取るための認証アプリで、申請メニューそのものではありません。入口になる協会けんぽのサイトやけんぽアプリとは別に、これも入れておきます。

2. 数字4桁のパスワードと、電子証明書の期限

使うのは利用者証明用電子証明書の暗証番号、数字4桁です。署名用電子証明書の6桁から16桁の英数字ではありません。コンビニで住民票を取るときや、健康保険証としてカードを使うときに入れている、あの4桁です。協会けんぽは「マイナ保険証でなくても、電子申請を行うことは可能です」とも書いています。保険証利用の登録をしていないカードでも使えます。逆に、暗証番号を設定していない顔認証マイナンバーカードは、この4桁がないので使えません。

この4桁は3回続けて間違えるとロックします。ロックしたときの解除先と、コンビニ端末で直せる条件はマイナンバーカードの暗証番号がロックされたら、どこで解除できるかにまとめてあります。

もう一つ、電子証明書の期限切れ。「マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れている状態においては、電子申請を利用することはできません」と、協会けんぽがはっきり断っています。更新のはがきを放置していた人は、先に更新を済ませてから始めます。

3. 端末とブラウザ

推奨環境が決まっています。

条件
Windows10以上/Microsoft Edge または Google Chrome の最新版
MacmacOS 13以上/Safari または Chrome の最新版
スマートフォン(ブラウザ)iOS 16以上 または Android 12以上
けんぽアプリiOS 18.0以降 または Android 12以降

けんぽアプリのほうが条件が厳しいので、手持ちのiPhoneがiOS 17で止まっているなら、アプリではなくブラウザから電子申請メニューに入ります。それも満たさないなら紙で出すのが確実です。

申請別。添付するものと、先に知っておくこと

入力の流れはどの申請も同じですが、添付する書類は申請ごとに違います。協会けんぽの「アップロード必要書類」の一覧から、よく使う5つを抜き出します。

申請添付するもの先に知っておくこと
限度額適用認定申請書被保険者本人が出す場合の添付は挙げられていない有効期間は申請月の初日から最長1年間
高額療養費支給申請書全員に共通の添付はない。所得区分が低所得になる人は被保険者の課税証明書、公的な医療費助成で窓口負担が減っている人は領収書のコピー受診した医療機関が10か所以上なら別紙が要る
傷病手当金支給申請書事業主記入用と療養担当者記入用退職後の期間だけなら事業主記入用は不要(次の節から)
出産手当金支給申請書事業主記入用と、医師・助産師記入用医師・助産師記入用は手書用の用紙
任意継続被保険者資格取得申出書退職日が確認できる書類は任意。被扶養者がいる場合は続柄・収入を確認する書類資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内・必着

この一覧は「主に必要とされるもの」で、状況によっては載っていない書類を求められることがある、と協会けんぽ自身が断っています。社会保険労務士が提出する場合は、どの申請でも委任状が加わります。

限度額適用認定証は、申請しなくて済む場合があります。 協会けんぽは申請書のページで、窓口での支払いを自己負担限度額までにする方法として、医療機関の窓口でマイナ保険証を出し「限度額情報の表示」に同意するやり方を挙げています。認定証が要るのは、オンライン資格確認を導入していない医療機関にかかるときです。その場合は認定証を資格確認書と一緒に窓口へ出します。

申請する場合、有効期間は「申請月の初日(健康保険加入月に申請された場合は資格取得日)から最長1年間」です。前の月にはさかのぼらないので、入院や手術の月のうちに送ります。電子申請は17時15分以降に送信すると翌営業日の受付になるため、月末の夕方に送ると受付が翌月に入ります。

任意継続は、期限のほうが先に来ます。 申出書のページには「資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に提出してください。(必着)」とあります。電子申請の受付日は送信が完了した当日、17時15分以降なら翌営業日です。土日祝日と年末年始は送信そのものができません。20日目が休日にあたる場合の扱いは申出書のページに書かれていないので、20日目より前の平日、17時15分までに送信を終えるつもりで動きます。

どの申請にも共通の決まりが3つあります。

  • マイナンバー(個人番号)が記載された画像はアップロードしない
  • 添付に使った書類のデータか原本は、手元に保管しておく
  • 紙の原本を別に郵送する必要はない

住民票を添付するときは、個人番号が記載されていないものを使います。

ここから先は、傷病手当金を例に実際の出し方を見ていきます。入口からの流れ、途中で止まったときの直し方、送信できる時間は、ほかの申請でも同じです。

傷病手当金の場合。まず金額と期間

条件と計算式は、協会けんぽが公式サイトに載せているとおりです。

  • 支給されるのは、業務外の病気やケガの療養で仕事に就けず、給与の支払いがない場合
  • 日額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2
  • 加入期間が12か月に満たないときは、その平均額と32万円(支給開始日が令和7年4月1日以降)の低いほうで計算する
  • 連続する3日間を含んで4日以上仕事に就けなかったときの、4日目から
  • 支給開始日から通算して1年6か月まで
  • 紙で出すときの提出先は、加入している協会けんぽの都道府県支部

待期の3日は「連続」でないと成立しません。わかりやすいのは公式サイトの例です。「連続して2日間会社を休んだ後、3日目に仕事を行った場合には、『待期3日間』は成立しません」。土日をはさんでも、休みが途切れなければ3日として数えます。

自分の標準報酬月額で日額を出すなら傷病手当金の計算ツールに入れると、日額と月額、通算1年6か月の残りがそのまま出ます。手取りベースの試算や、有給・出産手当金・障害年金との調整は協会けんぽの傷病手当金はいくら受け取れるかに分けてあります。残るのは、その申請書をどう出すか。

協会けんぽ自身も申請書のページで電子申請をすすめていて、理由として「システムチェックにより記載もれなどのミスを防げます」と書いています。返戻のいちばんの原因が記入もれなので、そこを機械に見てもらえるのが実質的な利点です。

電子で出しても、紙でもらう2枚がある

完全なペーパーレスにはなっていません。傷病手当金では、次の2枚を紙で用意して撮影またはPDFにし、アップロードします。

書類誰に書いてもらうか電子申請での扱い
事業主記入用勤務先(総務・給与担当)撮影またはPDFで添付
療養担当者記入用主治医撮影またはPDFで添付

添付についての案内はこうです。「事業主記入用にお勤め先の事業所に証明を受けてください。(資格喪失日以降の期間に関する申請については、アップロードは不要です。)療養担当者記入用に療養担当者(医師等)の意見を受けてください」。

かっこの中が地味に大きいところです。退職後、資格喪失日以降の期間だけを請求するなら、事業主記入用そのものが要りません。 退職した会社に連絡を取り続けなくてよくなるので、継続給付を受けている人にとっては電子のほうが軽く済みます。

用紙そのものは協会けんぽのサイトから落とせます。入力用と手書用があり、療養担当者記入用だけは主治医に渡すので印刷して持っていきます。4枚のうち誰がどこを書くか、書き損じたときの直し方は協会けんぽの傷病手当金支給申請書、用紙はどこで取るかに書いてあります。

添付するファイルの条件

写真がはねられて出し直しになるのを避けるため、条件は先に見ておきます。

  • 形式: JPEG・PNG・PDF
  • 容量: 100KBから20MBまで(PDFは15MBまで)
  • 画像サイズ: 縦512から8,192ピクセル × 横512から8,192ピクセル(PDFを除く)

見落としやすいのは下限の100KBです。画質を落としすぎた写真や、白紙に近いスキャンは軽くなりすぎてはじかれます。一方で最近のスマホで撮ると20MBを超えることもあり、その場合は解像度を一段下げます。撮るときは影が落ちない明るさで、用紙の四隅が入るように真上から撮ります。

申請の流れ

手順は6段階に分かれています。

  1. 協会けんぽのサイトかけんぽアプリで「電子申請サービスを利用」ボタンを押し、利用規約に同意して電子申請メニューに入る
  2. 申請書の種類(傷病手当金支給申請書)を選ぶ
  3. マイナンバーカードを読み取り、マイナポータルから取得された資格情報の中から該当するものを選ぶ
  4. 加入者情報・振込口座・申請内容(労務不能だった期間、給与の支払いの有無)を入力する
  5. 事業主記入用と療養担当者記入用の画像をアップロードする
  6. 内容を確かめて送信する

3の「資格情報を選ぶ」は、転職などで複数の資格が出てくる人のための段階です。申請する期間に在籍していた側を選びます。ここを取り違えると審査で止まります。資格情報そのものは「マイナポータルから取得」される仕組みなので、マイナポータルは裏で使われています。入口ではないだけです。

途中で止まったとき。FAQで多い5つと直し方

協会けんぽのFAQは104問あり、そのうち19問がエラーと制約の話です。実際に止まりやすいのは次の5つです。

30分さわらないと切れる。 「電子申請サービスの利用開始後、30分間画面遷移が発生しない状態(通信が発生しない状態)が続いた場合は、電子申請サービスとの接続が自動的に終了されます」。医師の意見書を探しに席を立つ、会社に電話して確かめる。その間に切れます。書類と振込口座の番号を手元に揃えてから入力に入ります。

別のサイトを見て戻るとエラーになる。 入力中にブラウザで別のページを開いて戻ると「不正遷移エラー」になり、元の画面には戻れません。FAQの案内は「お手数ですが、再度トップページから申請を行ってください」です。金融機関コードを調べたくなったら、別のタブか別の端末で調べます。

途中保存はできる。ただし添付は消える。 「入力データを保存する」ボタンで入力内容を端末に保存でき、次回はメニューの「保存データを利用して申請」から再開できます。ただし「アップロードした添付書類データは保存されませんので、申請再開時に再度アップロードが必要になります」。撮った写真は消さずに残しておきます。

iPhoneの写真がはねられる。 「iPhone/iPadで撮影した写真をパソコンにコピーした場合、JPEG形式の写真でも電子申請サービスにアップロードできない事象が発生することがあります」。直し方も書かれていて、設定>カメラ>フォーマットで「互換性優先」にチェックを入れてから撮り直します。スマートフォンから直接上げるときではなく、パソコン経由のときに起きる話です。

シークレットモードは使わない。 プライベートブラウズやInPrivateブラウズは「正しく動作しない可能性があるため、通常のブラウザモードでご利用いただくことを推奨」とされています。

そして、マイナアプリでカードが読み取れないときの問い合わせ先は協会けんぽではありません。「マイナンバーカード、及びカードの読み取りについてのお問い合わせは、マイナポータルのホームページ(よくあるご質問)をご確認ください」。支部に電話しても、カードの読み取りは答えてもらえない前提でいます。

送信できる時間が決まっている

24時間いつでも送れるわけではありません。

  • 平日 8時00分から21時00分
  • 平日の時間外、土日祝日、年末年始(12月29日から1月3日)は利用できない

そのうえで、協会けんぽは2つ書き添えています。17時15分以降に送信した申請は翌営業日の受付になること、21時になると自動でメンテナンス画面に移り、保存していないデータは削除されることです。

10営業日の起算点が受付日なので、金曜の夜に送ると受付は月曜です。急ぐなら平日の17時15分より前に送信を終わらせます。入力の途中で21時をまたぎそうなときは、いったん保存してから続けます。

電子と紙、どちらで出すか

どちらも並行して受け付けています。判断材料を並べると次のようになります。

電子紙
用意するものマイナンバーカード・マイナアプリ・4桁のパスワード用紙と切手・封筒
使える人本人と委任を受けた社労士のみ制限なし(日雇特例も可)
記入もれのチェック送信前にシステムが見る支部に届いてから発覚する
事業主記入用資格喪失後の期間なら不要期間にかかわらず添付
送信できる時間平日8時から21時いつでも投函できる
途中経過審査状況確認で見られる通知が届くまで分からない
返戻の連絡メニュー上の通知郵送で戻ってくる

電子が向くのは、カードと4桁のパスワードが手元にあり、退職後の継続給付で会社に連絡を取りづらい人です。逆に、カードを持っていない人や、申請書をまとめて支部へ送る運用の職場なら、紙のままでかまいません。療養中で画面の操作がつらいときも同じです。どちらを選んでも支払いの基準は変わりません。

出したあと。審査状況の見方と、返戻されたとき

送信すると受付番号が発行されます。この番号をメニューの「審査状況確認」に入れると、いまどこまで進んでいるかを見られます。紙で出したときの「届いたのかどうかも分からない期間」が、ここで消えます。

表示は4段階です。

表示意味(FAQの説明)
受付申請が正常に送信され、全国健康保険協会システムに到達しました
審査中提出された申請の審査が行われています
審査完了提出された申請の審査が完了しました
返戻提出された申請に不備があります

「審査完了」と「返戻」になった申請は、180日たつと一覧から消えます。受付番号と送信した日は、画面とは別に自分のメモにも控えます。

不備があった場合は「協会電子ポスト」に返戻の通知が入り、返戻された申請データをダウンロードして直します。戻ってくるのは、返戻理由が書かれた「返戻のお知らせ」と、入力した内容をイメージ化した画像データです。最初からやり直しにはなりません。見落とし防止のため、返戻のお知らせは「別途、紙でも送付します」とされているので、電子で出しても郵便受けは見ておきます。ただし10営業日の数え直しになるので、往復した分だけ入金は後ろにずれます。療養担当者記入用を書き直してもらう場合だけは、同じ期間について2度目の意見書の費用が本人負担です。

送信したあとで入力の誤りに気づいたときは、画面から直せません。 案内は「提出先支部にお問合せください」の一行だけです。加入している都道府県支部に電話するしかないので、送信ボタンを押す前の確認画面が、手間の少ない最後のチェックポイントです。電話で話すときに頼れるのは、受付番号と、完了画面の「申請内容の保存」で残したデータです。

なお、電子で出しても審査結果は書面で郵送されます。 電子申請サービスの中で見られるのは審査の状況までです。支給決定通知書はポストに届くので、住所変更をしたまま届出をしていないと受け取れません。

いつ振り込まれるか

協会けんぽは申請書のページで「審査の結果お支払い可能であれば、受付日から10営業日以内にお支払いいたします」と明記しています。紙でも電子でも同じ基準です。

営業日で数えるので、祝日をはさむ週は暦の上で2週間を超えます。初回は資格や賃金台帳の照合が入るぶん、この枠の上限まで使われやすくなります。生活費を手当でまかなうなら、最初の入金までひと月ほど空く前提で組んでおくと転びません。

期限は2年。ただし日ごとに数える

請求権の時効は2年です。協会けんぽは「受けることができるようになった日の翌日から2年で時効になります」としていて、傷病手当金では労務不能だった1日ごとに、その翌日から数えます。

つまり「2年たったら全部消える」のではなく、古い日の分から1日ずつ落ちていきます。 長く休んでいる人がまとめて出そうとすると、書いているあいだにも先頭が欠けます。ひと月ごとに区切って出しておくのが安全です。申請期間の上限は暦で3か月なので、どのみち長くはまとめられません。

退職したあとの請求

退職後も続けて受け取れるのは、次を満たす場合です。

  • 退職日まで継続して1年以上の被保険者期間がある
  • 退職日に労務不能で、傷病手当金を受けているか受けられる状態だった
  • 退職後も労務不能の状態が続いている

ここで効いてくるのが、さきほどの「資格喪失日以降の期間に関する申請については、アップロードは不要です」です。退職日の翌日以降だけを請求するなら、事業主記入用を取りに行かなくて済みます。退職日をまたぐ期間を1枚にまとめると在職分の証明が要るので、退職日で区切って2回に分けるほうが早く動けます。

なお、退職日に出勤してしまうと継続給付の資格を失います。最終出社日と退職日をずらす話は、休職の相談をする段階で会社と詰めておくところです。

健康保険組合に入っている人は別

ここまでは協会けんぽの話です。保険証や資格情報のお知らせに「◯◯健康保険組合」と書かれている人は、電子申請の対応状況も締切も、その組合ごとに違います。独自のシステムを持つ組合もあれば、紙だけの組合もあります。

まず保険者名を見て、協会けんぽでないなら、その組合のサイトの給付ページから入ってください。計算式や通算1年6か月といった制度の骨格は健康保険法で共通なので、この記事の金額・期間の部分はそのまま使えます。違うのは出し方だけです。

送信する前に見ておくもの

  • マイナンバーカードの電子証明書が期限内か(更新のはがきを放置していないか)
  • 「マイナアプリ」を端末に入れたか
  • 数字4桁のパスワードを覚えているか
  • 使っている端末が推奨環境に入っているか(iOS 16以上/Android 12以上)
  • 事業主記入用の証明が、申請する期間をすべて覆っているか
  • 療養担当者記入用に書かれた労務不能の期間が、申請期間と食い違っていないか
  • 申請期間が暦で3か月以内に収まっているか
  • 添付ファイルが100KBから20MBの範囲で、四隅まで写っているか
  • 送信する時刻が平日の17時15分より前か
  • 顔認証マイナンバーカード(暗証番号なし)ではないか
  • パソコンから上げるiPhoneの写真なら、カメラ設定が「互換性優先」になっているか
  • 書類と口座番号を揃えてから始めるか(30分さわらないと切れる)
  • 完了画面で「申請内容の保存」を押して控えを残したか
Photo by elnaz asadi on Unsplash

参考資料

  1. 全国健康保険協会:電子申請サービスについて(令和8年1月13日開始)
  2. 全国健康保険協会:電子申請「申請できる方」
  3. 全国健康保険協会:電子申請「対象申請」
  4. 全国健康保険協会:電子申請「アップロード必要書類」
  5. 全国健康保険協会:電子申請「サービス提供時間」
  6. 全国健康保険協会:電子申請「ご利用の手順」
  7. 全国健康保険協会:電子申請「よくあるご質問・お問い合わせ(FAQ)」
  8. 全国健康保険協会:けんぽアプリについて(令和8年1月26日リリース)
  9. 全国健康保険協会:健康保険限度額適用認定申請書(有効期間・マイナ保険証での限度額情報の表示)
  10. 全国健康保険協会:任意継続被保険者資格取得申出書(資格喪失日から20日以内・必着)
  11. 日本年金機構:事業所向けオンラインサービス(電子申請)
  12. 日本年金機構:GビズID(社会保険の手続きにはGビズIDプライムが必要・無料・約80種類)
  13. GビズID 公式サイト(アカウントの種類と申請方法・2026年7月9日から書類申請の審査期間は最大1か月)
  14. 日本年金機構:電子申請(届書作成プログラム)対応届書とマイナンバーカードでの利用
  15. 全国健康保険協会:健康保険資格確認書交付申請書(提出方法・任意継続は本人住所へ1週間程度)
  16. 日本年金機構:電子申請の義務化(特定の法人・令和2年4月から)
  17. 全国健康保険協会:傷病手当金(支給条件・支給額・支給期間)
  18. 全国健康保険協会:健康保険傷病手当金支給申請書(提出先・時効・支払日数)
  19. 厚生労働省:診療報酬の算定方法 別表第一 医科診療報酬点数表 B012 傷病手当金意見書交付料

掲載時点で確認した資料です。制度やガイドラインは変わることがあるため、手続き前には各機関の最新情報も確認してください。

ご注意 この記事は一般的な情報を整理したものです。症状・家計・契約・法律関係など、個別判断が必要な場合は、医師・税理士・弁護士・行政窓口などにも確認してください。

この記事をシェア

関連記事

傷病手当金が1年6か月で終わる前に、障害年金はいつから申請できる?「障害認定日」は初診日から数えるので、手当金の終わりより先に来る

お金 どうする?
お金2026年9月20日

傷病手当金が1年6か月で終わる前に、障害年金はいつから申請できる?「障害認定日」は初診日から数えるので、手当金の終わりより先に来る

要点障害年金の申請は、傷病手当金が終わってからではなく「初診日から1年6か月」が来た日から動けます。この日は支給開始日から数える手当金の終わりより先に来ることが多いので、今日やることは初診日を確定させて認定日をカレンダーに書き、初診の病院が今と違えば受診状況等証明書を先に頼むことです。

協会けんぽの傷病手当金申請書:ダウンロード・印刷と4枚の書き方

お金 どうする?
お金2026年8月11日

協会けんぽの傷病手当金申請書:ダウンロード・印刷と4枚の書き方

要点申請書は協会けんぽの公式ページからダウンロードし、A4・片面・実際のサイズで印刷します。1〜2ページ目は本人、3ページ目は会社、4ページ目は医師等の担当です。申請期間が終わってから証明と添付書類を確認し、加入支部へ郵送してください。10営業日以内の支払いは、審査で支払い可能と判断された場合の案内です。

協会けんぽの傷病手当金:条件・いくら・いつまで・いつ振り込まれるか

お金 どうする?
お金2026年8月10日

協会けんぽの傷病手当金:条件・いくら・いつまで・いつ振り込まれるか

要点日額は「支給開始日前12か月の標準報酬月額の平均÷30×3分の2」。連続3日休んだ後の4日目から対象で、支給開始日から通算1年6か月まで受け取れます。申請書は加入している都道府県支部へ郵送し、不備がなければ受付日から10営業日以内に振り込まれます。2回目以降も同じ4枚を1か月ごとに出します。請求できる期限は、労務不能だった日ごとにその翌日から2年です。

同じテーマの記事

タグ #傷病手当金 #協会けんぽ #電子申請 を含む他のカテゴリの記事も見る