注文していないカニや海産物が代引きで届いたら、受け取りを断ってかまいません。国民生活センターは、電話で断ったのに代引配達で商品が届いた場合、宅配業者に事情を説明し、送り主の名称や所在地をメモするなどして事業者の情報を控えてから、受け取りを拒否して代金を払わないよう勧めています。
受け取ってしまった場合も、慌てる必要はありません。消費者庁によると、注文や契約をしていないのに、お金を得ようとして一方的に送り付けられた自分宛ての商品は、直ちに処分でき、代金を払う必要もありません。直ちに処分できるようになったのは、2021年7月6日に施行された特定商取引法の改正からです。誤って払ってしまった代金は、事業者に返金を求めることができます。
国民生活センターは、カニなどの海産物の購入機会が増える年末を前に、2022年・2023年・2024年と続けて、海産物の電話勧誘や送り付けへの注意を呼びかけています。この記事では、届いたときの対応、受け取ってしまった・払ってしまったときの対応、この扱いが当てはまらない場合を、消費者庁と国民生活センターの資料で確かめます。
代引きや着払いで届いたとき
消費者庁は、身に覚えのない商品が届いた場合、まずは受け取らないよう呼びかけています。消費者庁をかたる送り付けへの注意喚起では、着払いであれば注文した商品ではない旨を運送業者に伝えたうえで、代金を払わないよう案内しています。
国民生活センターの2024年の注意喚起とあわせると、玄関先での動きは次のとおりです。
- 配達員に、注文した商品ではないことを伝える
- 伝票などで、送り主の名称や所在地をメモする
- 受け取りを拒否し、代金を払わない
国民生活センターの相談事例には、事業者名も連絡先も分からないまま「来月届ける」と電話を切られた例があります。
受け取ってしまった、開けてしまったとき
消費者庁のQ&Aの内容は次のとおりです。
- 売買契約に基づかないで一方的に商品が送られてきても、売買契約は成立しておらず、代金を払う必要はない
- 事業者が金銭を得る目的で一方的に送った商品は直ちに処分でき、開封や処分をしたことで支払義務が生じることはない
- 事業者が「御注文いただいた商品を送付しました」などと、契約があったかのように装っても、売買契約は成立しておらず代金を払う必要はない。この場合も直ちに処分できる
- 海外から日本国内の消費者に送り付けられた商品にも適用される
改正前は、商品が届いた日から14日間(引き取りを求めた場合はその日から7日間)は、処分せずに保管しておく必要がありました。2021年7月6日以降は、この保管期間はありません。
法律の仕組み
特定商取引法59条は、販売業者が、申し込みも契約もしていない人に売買契約の申込みをして商品を送った場合(注文した人に、注文とは別の商品を送った場合も同じ)、その商品の返還を請求できないと定めています。59条の2は、売買契約の成立を偽って商品を送った場合も同じく返還を請求できないとしています。
消費者庁の解説によると、返還請求権がなくなる結果、販売業者は所有権も主張できなくなり、送られた人は直ちに処分できます。処分したことで損害賠償や不当利得の返還を求められる義務も生じません。
代金を払ってしまったとき
消費者庁は、処分したことなどを理由に代金を請求され、払う義務があると誤解して払ってしまった場合でも、その金銭の返還を事業者に請求できるとしています。
ただし、国民生活センターは、事業者と連絡が取れず被害の回復が難しいケースもあると注意しています。2024年の相談事例には、妻宛てに代引きで届いた海産物を、同居の家族が妻の注文だと思って代金を払って受け取ったところ、妻は電話勧誘も受けておらず、自分から電話もしていなかった例があります。同封の納品書には数週間以上前の電話注文と書かれ、記載の番号に電話しても留守番電話でつながりませんでした。
代引きの代金を、配達した宅配業者から取り戻すことも簡単ではありません。国民生活センターはネット通販の代引きトラブルの注意喚起で、宅配事業者には受け取った代金を荷主に渡す役割があり、消費者が宅配事業者に返金や補償を求めるのは難しいと説明しています。
国民生活センターは、事業者と連絡が取れないこともあるため、勧誘の電話があったことを家族や周りの人に伝え、家族が誤って代引きの荷物を受け取らないよう情報を共有しておくことを勧めています。
電話で承諾してしまったとき
断りきれずに電話で購入を承諾してしまった場合は、特定商取引法の「電話勧誘販売」に当たります。国民生活センターによると、特定商取引法に定める書面を受け取った日から数えて8日以内なら、書面またはメール等でクーリング・オフができます。
国民生活センターが紹介する勧誘の言葉には、「以前購入してもらった方に案内している」「売れないと倒産する」「格安にするのに何で購入しないのか」などがあります。2024年の事例では、断っているのに着信番号を変えて20回ほど電話がかかってきた例もありました。要らないときは、きっぱり断るよう勧めています。
送り付けの扱いにならない場合
消費者庁の解説は、59条が当てはまらない場合も挙げています。
- 誤配送など、受け取った人本人を名宛人としない、間違って送られた商品
- 事前の契約に基づく送付。たとえば、1年間の雑誌購読契約で、やめるときは事前に通知し、通知がなければ継続すると合意している場合に、継続分が届いたとき
- 受け取った人が営業のために、または営業として結ぶことになる売買契約の申込み。ただし、事業者宛てに見えても、商品が主に個人用・家庭用であれば適用される
数字で見る海産物の送り付け
国民生活センターの2024年の資料(2024年9月30日までのPIO-NET登録分)によると、海産物の電話勧誘販売・送り付けに関する相談は、2020年度2,282件、2021年度5,205件、2022年度4,994件、2023年度2,873件でした。2023年度の分析では、契約当事者の平均年齢は70.9歳で、70〜80歳代が半数以上を占めています。契約購入金額は1万円以上5万円未満が9割以上、平均は約2万4,000円です。
消費者庁は、消費者庁をかたって注文していない商品を着払いで送り付ける事案も報告されているとして、消費者庁が着払いで商品を送ったり、代金を請求したりすることはないと注意しています。
相談先
- 消費者ホットライン「188(いやや!)」:最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等を案内する全国共通の番号
- 警察相談専用電話「#9110」:緊急でない相談を警察にするときの全国共通の番号(国民生活センターは、相手の説明に不信感や疑問を抱いたら消費生活センターや警察に相談するよう勧めている)
国民生活センターによると、消費生活センター等への相談は、家族やホームヘルパー、地域包括支援センターの職員からでもできます。
この記事で確認できなかったこと
2026年11月6日時点で、次の点は今回読んだ資料では確かめられていません。
- 同居の家族宛てに届いた送り付けの荷物を、本人以外が開けたり処分したりしてよいか。消費者庁の案内は「自分宛て」の商品について書いています。
- 生鮮品など、処分するときのごみの出し方。
- 代引きで払った代金を、事業者と連絡が取れない場合に取り戻す具体的な方法。
- 受け取りを拒否した後、同じ事業者から再び送られてきた場合の扱い。
参考資料
- 消費者庁 身に覚えのない自分宛ての商品が届いたあなた その商品、直ちに処分できます! 支払も不要です! — まず受け取らない、Q&A(2021年7月6日施行、改正前の14日)
- 消費者庁 チラシ 注文していないのに あなた宛てに届いた商品(PDF) — 対応3箇条、188
- 消費者庁 売買契約に基づかないで送付された商品に関するQ&A(PDF) — Q1〜Q6
- 消費者庁 消費者庁をかたる商品の送り付けに御注意ください(2022年6月3日) — 着払いは注文した商品ではない旨を伝えて払わない
- 特定商取引法ガイド 売買契約に基づかないで送付された商品に関するQ&A — Q&A(同内容)
- 特定商取引法ガイド 特定商取引に関する法律の解説(令和7年6月1日時点版)第6章 雑則(PDF) — 59条・59条の2の条文と解説、適用されない場合、改正前の14日・7日
- 国民生活センター 海産物の購入を強引に勧める電話に注意!(2024年11月8日) — 受け取り拒否、返金、クーリング・オフ、188・#9110
- 国民生活センター 同 報告書本文(PDF) — 相談事例、送り主の情報を控える、家族への情報共有、相談件数・年代・金額
- 国民生活センター 海産物の電話勧誘トラブル 年末にかけて特に注意してください!(2023年11月8日) — 年末の注意、北海道警察本部との連名
- 国民生活センター 海産物の電話勧誘販売・送り付けトラブルがさらに増えています(2022年11月24日) — 年末の注意、相談事例
- 国民生活センター 代引き配達を利用したインターネット通販のトラブルにご注意(2025年8月20日、PDF) — 代引きの仕組み、宅配事業者への返金要求が難しい理由